【バリアフリーコンソーシアム・株式会社Ashirase】準天頂軌道衛星「みちびき」の衛星測位システムを利用し、事業化に向けた実証実験を実施
<B-SOSシステム(車椅子ユーザー向け介助システム)/あしらせ(視覚障がい者向けナビゲーションシステム)>
準天頂衛星システム「みちびき」は、準天頂軌道の衛星が主体となって構成されている日本の衛星測位システムです。日本版GPSとも呼ばれる同システムは、2010年に初号機が、2017年に2〜4号機が打ち上げられ、現在アジア・オセアニア地域の各地点を常時3機がカバーする全4機体制で運用を行っています。2021年10月に初号機の代替機が打ち上げられ、2023年にはさらに3機が打ち上げられ、7機体制で持続測位可能な運用が開始される予定です。
B-SOSシステムは、車椅子ユーザーが単独移動している際、思わぬ段差や側溝などにより身動きが取れなくなるという突発的な課題に対し、付近にいる事前登録した介助者がすぐに助けに行く仕組みです。少しでも早く正確に介助を必要としている人の元に駆けつけることができるように、みちびきのセンチメータ級測位補強サービス(CLAS)を利用した受信機のAQLOC Lightと補正情報配信サービスのCLARCSを使って高精度な位置情報を提供します。
今回の実証実験では、植え込みで車椅子が脱輪してしまった、歩行路が上り坂で上がれない、お店の車椅子専用路に段ボールなどの障害物があって入店できないという3つの場面を想定した検証が行われ、社会福祉法人太陽の家の協力の下参加した車椅子ユーザーの被験者が、スマートフォンの専用アプリを使ってSOSを発信すると、介助役として参加した大分東明高等学校の看護学生がそれぞれ100m地点、200m地点、300m地点でSOSを受信し、「みちびき」によるセンチメータ級の衛星測位システムによるナビゲーションで駆けつける実証が行われました。
一方、「あしらせ」は、2021年4月に設立された株式会社Ashiraseが取り組む、視覚障がい者向けの歩行ナビゲーションシステム。「みちびき」と測位補強システムSLASを利用しながら、靴に装着したデバイスの振動により、聴覚を邪魔せずに誘導します。視覚障がい者向けに特化した誘導情報の生成と、独自振動インターフェースにより、ユーザーは直感的にルート情報を把握することが出来るため、安全に余裕を持って歩行することが可能になります。
今回の実証実験では、社会福祉法人大分県盲人協会の協力の下参加した視覚障がい者が、およそ300mの距離を「あしらせ」のナビゲーションによる歩行で検証。さらに、目的地付近まで到着することができても、目的地の建物の入り口が分からない、建物内の店舗まで行くことができないといった目的地付近における課題解決に向けて、目的地側が接近情報を受信し、入り口付近まで迎えに行き誘導する「あしらせお出迎え」サービスの検証も行われました。
(注)バリアフリーコンソーシアムについて
バリアフリーコンソーシアムは、大分県内の車椅子ユーザーの窓口役を担うおおいたサテライトオフィス株式会社(大分県大分市/代表取締役:上杉 照明)、システム開発に当たる株式会社ラムダシステム(大分県大分市/代表取締役:利光 宏一)、CLARCS利用の技術サポートに当たる一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構(東京都港区/常務理事:三神 泉)、本事業の取りまとめ役を担う株式会社minsora(大分県大分市/代表取締役:髙山 久信)で構成。今回の実証実験の結果を踏まえながら、車椅子ユーザーが街に出かける際の心のバリアが少しでも小さくなるように、大分県内でB-SOSシステムの事業化に向けて取り組みます。
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センチメータ級の位置補正情報「CLARCS」(CLAS-based RTK Correction System)は、「みちびき」が配信する高精度な測位補強情報(CLAS)を、従来のRTK補正情報に変えてインターネット網を通じて配信することができるサービスで、一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構により開発されました。
実証実験の冒頭、株式会社minsora(大分県大分市/代表取締役 髙山 久信)は、このCLARCSの配信プロバイダーサービスを2022年4月(予定)より開始するにあたり、同機構との提携を発表しました。
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