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バイオマス発電関連企業にアンケート実施。多くが燃料を海外から調達、ライフサイクルにわたるGHG排出はほとんどが確認せず。

FoE Japan

国際環境NGO FoE Japanは、発電容量1万kW以上の発電所を有する主なバイオマス発電事業者とその出資企業、およびバイオマス燃料の調達を行う商社等の計204社に対し、燃料の調達状況や持続可能性の確認に関するアンケートを実施し、44社から回答を得ました。

木質ペレット工場と原料となる大量の木材(米ノースカロライナ州)木質ペレット工場と原料となる大量の木材(米ノースカロライナ州)

国際環境NGO FoE Japan は、バイオマス発電事業者及びバイオマス燃料調達に関わる商社や出資企業に対し、バイオマス発電の燃料の調達状況や持続可能性の確認に関するアンケートを実施し、その結果を公表しました。
アンケートは、発電容量1万kW以上の発電所を有する主な発電事業者とその出資企業及びバイオマス燃料の調達を行う商社等の計204社を対象に2021年1月12日から2月12日にかけて実施し、44社から回答を得ました。

調査の結果、回答のあった稼働中の発電所21ヶ所のうち17ヶ所が、また、計画中の発電所17ヶ所すべてが輸入燃料(木質ペレット、木質チップ、パーム椰子殻(以下PKS))を利用もしくは予定していることがわかりました。燃料の生産国は、木質ペレット及びチップは、アメリカ、カナダ、インドネシア、ベトナム、マレーシアの5カ国、PKSはインドネシア、マレーシアの2カ国でした。

稼働中の発電所のうち、輸入木質ペレットや木質チップを利用する7発電所の全てで、森林認証制度(※注)による燃料の持続可能性・合法性の確認を行っていると回答しましたが、うち3発電所では、サプライヤーがCoC認証を取得していることのみを確認し、燃料自体の認証(FM認証)を確認していないとの回答でした。同様の回答は、燃料の調達・供給を行う商社等からも多く得られました。

CoC認証は、認証製品と非認証製品と分けて管理する能力を有していることを保証するにすぎず、森林認証(FM認証)とCoC認証はセットで利用しなければ持続可能性・合法性を確認できません。よって、アンケート結果は、複数の発電所でFITの要件である燃料の持続可能性・合法性が担保できていない可能性があることを示しています。

また、PKSを利用する稼働中の発電所12ヶ所のうち、第三者認証制度を利用するのは1ヶ所のみで、11ヶ所では、「独自の取り組み」によって持続可能性・合法性を確認していると回答しました。PKSは、FITの「事業計画策定ガイドライン」において、取り組みの内容と燃料調達元となる農園の情報を自社のホームページ等で開示することを条件に、2022年3月末までに定められた認証を取得すればよいことになっています。しかし、12ヶ所のうち、現時点で農園等の情報をホームページで公開をしている企業はありませんでした。
バイオマス発電事業への出資の際に、燃料生産にあたり、森林減少・劣化や生物多様性の減少が生じないことを確認していると回答した企業は、出資企業17社中14社にのぼりましたが、事業のライフサイクルにわたるGHG排出量を確認している企業は、1社にとどまりました。

FoE Japanは、同じ時期に、RE100及び日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)に加盟する主な日本企業50社を対象としたアンケート調査も実施し、バイオマス発電の持続可能性に関する認識や方針をたずねました。回答があった8社のうち、自社が契約する電力会社の選定にあたり、持続可能性や環境社会影響評価等に関するガイドラインを有する企業は、1社にとどまりました。同社のガイドラインには、GHG排出量及び生物多様性と森林減少・劣化に関する項目が含まれます。また、ガイドラインはないものの、GHG排出量、生物多様性損失、違法労働の懸念があったため、独自の調査・ヒアリングの結果、電力会社を選定したと回答した企業が1社ありました。

FoE Japanのバイオマス担当の小松原和恵は、「日本のバイオマス発電の燃料は、多くが海外から輸入されている。今後、さらに輸入量は急増することが予想される。燃料生産により、現地の森林が伐採され、生態系の破壊や先住民族の人権を脅かしているケースも報告されている。また、ライフサイクルを考えればバイオマス発電事業は決してカーボンニュートラルではない。バイオマス発電=環境に優しい、という幻想は捨てるべき」とコメントしています。

燃料を輸入する大規模なバイオマス発電に関しては、昨年12月、FoE Japanなどの国内外の34の環境NGOが「生物多様性を脅かし、気候変動を加速させる」として、中止を求める声明を発表しました。今年2月には、500人以上の科学者が「森林バイオマスはカーボンニュートラルではない」という書簡を日本、EU、アメリカ、韓国政府に提出するなど、国際的にも懸念の声があがっています。

(※注)森林認証制度とは、独立した第三者機関が一定の持続可能性基準に基づいて適切に管理された森林を認証する制度で、原則と基準に従って森林が管理されているかを評価するFM認証と、流通において認証製品と非認証製品の分別管理の適切性を評価するCoC認証があります。

▼アンケート調査の結果
https://www.foejapan.org/forest/biofuel/210330.html 

参考情報)プレスリリース:環境NGOグループ、大規模バイオマス発電の中止を求める共同声明発表「生物多様性を脅かし、気候変動を加速させる」
https://www.foejapan.org/forest/biofuel/201203.html

問い合わせ先:国際環境NGO FoE Japan
〒173-0037 東京都板橋区小茂根1-21-9
TEL: 03-6909-5983 / FAX: 03-6909-5986
E-mail: info@foejapan.org

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種類
調査レポート
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会社概要

URL
https://www.foejapan.org/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都板橋区小茂根1-21-9
電話番号
03-6909-5983
代表者名
満田 夏花
上場
未上場
資本金
-
設立
1980年01月