勅使川原三郎ドローイングダンス『失われた線を求めて』
ダンサー・振付家の勅使川原三郎がドローイングとダンスで描き出す 深淵なる内部的世界。今秋、2022年10月7日(金)、8日(土)、9日(日) 東京両国にて上演!
これまで、絵画、文学、音楽、映画など、多岐にわたるさまざまなアーティストやその作品を題材に取り上げてきた勅使川原三郎が、その深淵なる目標への決定的な通過点として、「私」と向き合う新たなシリーズをスタートさせます。「絵画とダンス」と設定されたこのシリーズは、一個人のアーティストである「私」の内的世界がいかにして世界に向かって広がっていくかということを、勅使川原三郎という特殊な身体性、そのダンスと絵画を通して現前に形にすべく模索していく新たな試みとなります。
- ドローイングとダンスを通して、舞台上に新たなフォルムを現出させる
カラス アパラタス ドローイング展示の様子
勅使川原三郎による新シリーズ「絵とダンス」の第1作として創作するドローイングダンス『失われた線を求めて』のモチーフとなるのは、勅使川原自身が描いたドローイング。描くこととダンスを創作することは、勅使川原にとって同じ製作プロセスの中にあり、この二つを探求することでより明快なものが見えてくるといいます。
勅使川原が創作の拠点とする東京・荻窪のカラス アパラタスでは、公演のたびに勅使川によるドローイングを展示し、訪れた人々に、ダンスに向き合う勅使川原の内的世界を感じていただく場を提供していますが、今回の新作では、ドローイングとダンスを通して、勅使川原の新たな展望と身体性とが融合し、舞台上に新たなフォルムが現出することとなるでしょう。勅使川原のドローイング作品は舞台装置としても登場します。
- シアターXの空間でこそ実現しうる、新たな表現へ──
『ガドルフの百合』(2022) photo by Akihito Abe
- シアターXでの新シリーズ「絵とダンス」について── 勅使川原三郎コメント
私の創造性が今までの多種多様な経験の集約としてあるのが私が描く絵であり、
その中心にあるものはダンス的身体性なのです。
要約すれば私のダンスは絵であり、私の絵はダンスです。
それは世界と関わる私であり、私の中にある世界です。
言い換えれば私が絵の中にある世界観であり、ダンスが表す世界観なのです。
それは私個人に限らず、世界と個人とか結びつき、重なり合う、
人間にとって重要なテーマだと考えます。
勅使川原三郎
- 『失われた線を求めて』── 勅使川原三郎 創作ノート
drawing by Saburo Teshigawara
勅使川原三郎
- 『失われた線を求めて』上演にあたって── 佐東利穂子コメント
勅使川原三郎氏の絵と対面すると、いつも知らない場所へ連れて行かれます。
描かれている紙の奥にはもっと広い世界が待っていて、その中へと誘いこまれていくかのようです。
幼い頃、チューリップの中を覗き込んだり、石の模様をじっと見ているとその中に吸い込まれていくように感じた、そんな感覚を思い出します。
暖かく、懐かしく、憧れの、少し怖い、見知らぬところ。
知らないところに迷い込むのは、ダンスをするときにもいつも感じることです。
当たり前の場所が当たり前の場所ではなくなっていき、時間の流れも変わっていきます。
そこにドローイングという未知の要素が加わるとどうなるのか、そんな世界に足を踏み入れるのを今から楽しみにしています。
佐東利穂子
『読書 本を読む女』(2021)
- 〈 寄稿 〉 勅使川原三郎ドローイングについて "素画という起点" 執筆:水沢 勉 美術評論家、神奈川近代美術館 館長
いまから30年以上の時を遡る。その頃の勅使川原三郎の存在感を際だたせた出版物として『青い隕石』(求龍堂、1989年)が知られている。同書をはじめて手にしたとき、モノクロームのドローイングが複数紹介されていて心底驚かされた(pp.28-34)。そして出版記念パーティ会場にはそのオリジナルが並んでいた。素描家としての才能のきらめきを直に確かめることができた。
美術に関心の深かった勅使川原三郎にとって素描は早くから身についていた表現方法のひとつであったはずだ。当時、ダンサーとしてのデビューの衝撃波が残っていたこともあって、同書掲載の詩的断片群の喚起力と相俟ってなんと豊かな才能の持主であるかとしばしオリジナルを前に息を呑んだ。
しかし、その後、勅使川原三郎の表現者としての歩みを辿っていくと、画家としての側面は付加されたエピソード的なものではなく、その本質に深くかかわっていることがはっきりした。多才の一端、ではなく、むしろ、その核心ではないかと思えてきたのだ。
その創作の熱量は下がる気配がまったくない。荻窪にある「カラス アパラタス」の壁面には、無数の素描が途切れることなく発表され続けている。
ドローイングは素の状態の描画である。まさに引く(draw)線を主とする素画。
そこに表現者・勅使川原三郎のすべてが起点として宿っている。それは舞台面の光の効果に結びつくと同時に、その構成も暗示する。さらにはそこに展開する物語をも超現実主義的空間に孕むこともある。そして、それを描く指と手と腕などの身体と頭脳とが閃光のように直結する。つまり素画は、身体表現=ダンスのエッセンスというべき素型なのだ
drawing by Saburo Teshigawara
- プロフィール
勅使川原三郎 S a b u r o T e s h i g a w a r a
photo by Hiroshi Noguchi (Flowers)
佐東利穂子 R i h o k o S a t o
photo by Ryo Owada
- 公演概要
構成・振付・演出・美術・照明・衣装 勅使川原三郎
アーティスティック・コラボレーター 佐東利穂子
出演 勅使川原三郎 佐東利穂子
使用曲 バッハ 無伴奏ヴァイオリン パルティータ 他
日時:2022 年
10 月 7 日(金) 19:30
10 月 8 日(土) 16:00
10 月 9 日(日) 16:00
*開演 30 分前に受付及びロビー開場、客席開場は開演の 15 分前
劇場:東京・両国 シアターXカイ
〒130-0026 東京都墨田区両国 2-10-14 両国シティコア 1 階
料金(税込):指定席 5,500 円/自由席 一般 5,000 円/学生 3,500 円/当日 5,500 円
*指定席は前売のみ、当日券は自由席のみの取り扱いとなります
*学生券は自由席、予約のみの取り扱いとなります。
チケット取扱い:
【ヴォートル・チケット・センター】
WEB https://www.e-get.jp/votre1280/pt/&lg=-1&s=20221007ka
電話 03-5355-1280(平日 10 時-18 時)
【シアターX】
電話 03-5624-1181(10 時-18時)*自由席のみの取扱い
問合せ:KARAS(カラス) ticket@st-karas.com TEL:03-5858-8189(11時 -18 時)
企画制作:KARAS 主催:有限会社カラス 特別提携:シアターXカイ 助成:文化庁舞台芸術振興費補助金(舞台芸術創造活動活性化事業)独立行政法人日本芸術文化振興会
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