NPO法人しぶたね、11/23に「当事者」の語りについて、必要な配慮を考えるオンラインセミナーを開催
「当事者」の話を聴く/する前に知っておきたいこと
- 背景
NPO法人しぶたねは、重い病気のある子どものきょうだいのサポートを志し活動を始めました。私たちが出会うきょうだいたちは子どもであるため、複雑な気持ちを言葉にして語ることはまだできません。きょうだいの気持ちにそったサポートを広げるためには、語れる年齢になった大人のきょうだいの声から教わることが必要と感じてきました。同時に、大変な勇気をもって語ってくださった方の経験が、ただの情報として取捨選択されているように感じたり、当事者が経験を話すことで傷ついたり、もやもやした気持ちをひとりぼっちで抱えることがある現状に疑問をもっていました。
このような状況の中、自身もきょうだい当事者である理事長が経験談を語った遺族会の場で「自身の経験を受け止めてもらった」と感じる体験をし、場のあり方によっては、「話してよかった」と思ってもらえるような場も実現できるのではないか、という思いから、大人になったきょうだいの声から学ぶパネルトーク「シブパネル」(sibling=きょうだい)開発事業(ファイザープログラム 心とからだのヘルスケアに関する市民活動・市民研究支援助成事業)を開始しました。
- 経験談を語る当事者も気づいていなかった、負担や傷つき…
「シブパネル」の試行と振り返りを重ねる中で見えてきたのは、当事者として経験を語った方々の、我慢していた気持ちや、自分でも気づいていなかった傷、語る側に生じている負担でした。
「支援の広がりのためなら、つらくても話さなければ」と思って無理していたり、「きょうだい支援という概念についても正しく伝えなければ」と重い責任を感じていたり、前向きなきょうだいと一緒に登壇してネガティブな自分をだめに感じたり…
そしてこの気持ちは「きょうだい」のみならず、 さまざまな「当事者」の方々にも重なる気持ちでした。
今年はプロジェクト2年目となりましたが、昨今ヤングケアラー問題が急速に社会に広まったために、その一面をもつきょうだいにも語りが求められる機会が増え、私たちの周辺でも、少し乱暴に感じる取材依頼があったり、話した内容の取り上げられ方により、きょうだいが自身の人生を否定されたように感じたことを耳にすることが増えました。このタイミングで、聴く側ができること、話す側の安心のために必要なことを発信する必要があると考え、本セミナーの企画に至りました。
- このセミナーで目指すこと
神戸ダルクヴィレッジ 代表理事の梅田靖規さまによる基調講演と併せて、当事者(ここでは、病気や障がいなど特別なニーズのある人の「きょうだい」)として経験を語ったことのあるきょうだいによる座談会から見えてきた、つらかったことやよかったことをまとめ、報告します。それにより、同じように傷つきを抱えたきょうだいの立場の方々に「自分だけじゃない」と感じてもらえること、これまでの傷を癒すチャンスになることを1つ目の目標とし、同時に、語りの場を主催している方々やメディアの方々に対しても、語ることの大変さや生じ得る傷つき、必要な配慮などに目を向けていただくことを目指します。
- セミナー概要
■日時
2021年11月23日(火・祝)13:00-15:00
■環境
オンライン(Youtubeライブ配信を限定公開の予定)
■参加申込みはこちらから
https://www.kokuchpro.com/event/sps2021/
■定員
50名程度
■参加対象者
・きょうだい当事者
・医療、福祉、教育、行政関係者、報道関係者など、本セミナーの趣旨にご興味がある方はどなたでも
■プログラム
1. 基調講演 「あなたの声を届ける」〜私たちが決して傷つかないために〜
(一般社団法人神戸ダルクヴィレッジ 代表理事 梅田靖規さま)
依存症を経験した人やその家族が社会に向けて体験談スピーチを行う際のガイド『あなたの声を届ける〜一般社会への依存症体験談を守る〜』を作成された背景や思いについて、お話しいただきます。
2. 報告「きょうだいたちの座談会から見えてきたこと」
(NPO法人しぶたね 理事長 清田悠代)
登壇経験のあるきょうだいによる座談会で語られた声をまとめ、当事者の安全安心のために私たちはどんなことに気を付けて「聴く」ことができるのか、みんなでできることを考えます。
■登壇者プロフィール
梅田靖規さま(一般社団法人神戸ダルクヴィレッジ 代表理事)
平成19年、薬物依存症にて、茨城ダルクにてリハビリ開始。同年ダルク職員として活動開始。職員をしながら、大検に合格し、通信大学で心理学を専攻。平成23年より、京都・木津川ダルクでの非常勤を経て、アリゾナ州治療共同体アミティ及びデイトップにて、3ヶ月のトレーニングを経験。平成26年より、「アジア太平洋地域アディクション研究所」にて、研究員及び「フィリピンプロジェクトチーフ」として、フィリピン メトロマニラを中心とした貧困層依存症支援での政府との連携調整及び、フィリピン全土のピアネットワーク構築に従事。帰国後神戸にて活動を開始し、平成28年7月 「神戸ダルク ヴィレッジ」の開設に至る。精神保健福祉士。双子の二児の父。
- 「神戸ダルクヴィレッジ」とは
神戸ダルクヴィレッジは、薬物依存から回復したい仲間の安全な居場所です。
各種依存症者(薬物、アルコール、ギャンブル等) 、その家族、及び薬物依存の問題を抱えるあらゆる関係者に対して、包括的に回復及び社会復帰を支援する事業並びに広く一般に薬物依存症に関する啓発事業を行い、社会全体の利益に寄与することを目的としています。
- 『あなたの声を届ける〜一般社会への依存症体験談を守る〜』はこちらから購入できます。
- 「シブパネル」とは
病気や障がいのあるひとの「きょうだい(シブリング)」によるパネルトークです。
大人になったきょうだいたちに、子ども時代から今までの人生経験、心の中にうかぶ大切な気持ちをお話しいただき、社会がきょうだいにとってあたたかなものになるように、明日からのきょうだい支援につなげることを目的に開催します。
NPO法人しぶたねが「ファイザープログラム心とからだのヘルスケアに関する市民活動・市民研究支援」の助成を受けて、開発している事業です。
ガイドラインの暫定版はこちらで公開しています。
https://blog.canpan.info/sib-tane/archive/554
- NPO法人しぶたねについて
しぶたねは、病気のある子どもの「きょうだい」をサポートする団体です。
不安や孤立感など複雑な気持ちを抱えて頑張るきょうだいたちが、1人の子どもとして当たり前に大事にされる社会を目指して、2003年に任意団体として設立。2016年にNPO法人格を取得しました。きょうだいのためのワークショップの開催や、病院内の活動、冊子の作成配布、支援者向け研修、啓発活動などを通してきょうだいを応援しています。
<団体概要>
設立 :2003年11月1日
代表 :理事長 清田悠代
所在地 :大阪府大東市
事業内容:病気のある子どものきょうだいのワークショップの開催/病院にきょうだいの居場所をつくる活動/寄稿・講演/支援者向け研修ワークショップの実施/きょうだい支援ツールの作成配布/4月10日の「きょうだいの日(シブリングデー)」にあわせた啓発等
URL : https://sibtane.com/
<お問い合わせ先>
E-mail :sibtanev@yahoo.co.jp
すべての画像