電力卸取引スタートアップのエナジーグリッド、設立1周年
――“電力×金融”で新電力へリスクヘッジ商品を提供
設立1年間の実績と手ごたえ
当社は「電力と金融の融合で電力市場の安定化に寄与する」ミッションを掲げ、電力の卸取引に特化したビジネスモデルで2021年7月に設立。小売電気事業者免許を取得した後、2月から電力取引を開始、同時に電力の調達資金としてプライベート・デットにより18億円を調達しました。
全国の新電力に対し当社は、①価格上限付き契約などデリバティブ・オプション要素を組み込んだストック型顧客向け取引②地域間やカレンダー間など市場価格の歪みを収益化するフロー型裁定取引をご案内。各社が抱える価格変動リスクに合わせ、オプションを組み入れた現物取引を提供する当社独自の商品をご評価いただき、これまでに60社を超える新電力の開拓に成功いたしました。3月には業界で注目される大型先物取引にも関与(4/25RIM Power Intelligence Daily)。電力先物市場取引量の拡大によりマーケットでのプレゼンスを高めており、初年度から黒字決算を達成することができました。
成長余地大きい電力先物市場と今後の戦略
日本の電力市場における先物市場(TOCOM、EEX)取引量は消費される電力のわずか約1%に過ぎません。一方、欧米では100%以上の市場規模があります。日本では昨今、電力の市場取引価格が乱高下するなど市況が不安定化しており、これを契機にヘッジニーズも高まりつつあります。日本の電力先物市場は今後、先行する欧米並みに成長すると見られ、市場規模は2020年の0.1兆円から2030年には16.8兆円まで拡大することが想定されています(※)。
こうした成長余地が大きい日本の電力先物市場において、当社は金融実務・リスク管理における厚いケイパビリティと、デリバティブを活用した他社にない商品の設計・開発力を強みに事業拡大を図っていきます。具体的には、長期の取引や独自商品の提供を通じて、顧客1社当たりの取引量を安定的に確保・拡大しながらストック型顧客向け取引を積み上げ、今後5年で取扱電力量約5,500GWh(想定単価30円/kWh)、売上高1,500億円程度を目指します。
※東京商品取引所「電力市場における先物市場の役割と課題」より
◎コメント
欧州エネルギー取引所(EEX)上席アドバイザー 高井裕之
欧州を基盤として全世界で電力取引所を運営する弊社は2020年5月にアジア初となる日本電力先物市場に参入しました。以来サービス開始から2年超となる本年6月で累計10TWh(10,000GWh)超の電力先物取引を清算し欧州に比して市場自由化の萌芽期にある我国において圧倒的な市場シェアを獲得しました。
弊社はその生い立ちから欧州系を中心に海外プレーヤーが市場の成長を牽引してきましたが、そんな中において同社に代表される国内電力市場を基盤とする日系プレーヤーの存在意義は大きく今後とも弊所の市場規模拡大の一翼を担って頂けることを期待しております。
欧州エネルギー取引所(EEX):https://ja.eexasia.com/japanpower
2022年4月 当社顧問就任 宮地信輔
電力システム改革が進む中、気候、燃料、投資行動等様々な要因により、昨今の電力市場は歴史的高値水準で乱高下しています。消費者生活や当業者事業運営には無視出来ない影響があり、今後益々リスク管理の重要性が増すものと思われます。
新たな市場が立ち上がる際、先物市場の育成は勿論、当業者のニーズに合った商品をオーダーメイドで組成する業者の存在も重要です。取引に内在するリスクを分解、解析し、現物やデリバティブを利用してそのリスクをヘッジする高度の能力を有するプロフェッショナルです。当社はその任を担うべく、電力現物取引や金融取引に精通した人材、十分な資本、電力現物取引能力を備えています。電力当業者のニーズに沿った商品を柔軟かつ機動的に組成、販売出来る、本邦では大変ユニークな存在で、今後の更なる成長が期待されます。
【会社概要】
会社名:エナジーグリッド株式会社
所在地:東京都中央区日本橋室町2-1-1 日本橋三井タワー6階
代表者:代表取締役社長 城﨑 洋平
設 立:2021年7月14日
資本金等:1億7百万円
事業内容:電力の小売・卸売取引、商品先物取引等コモディティ、取引全般、および関連事業