CIWFがケージフリーエッグへの取り組みに関するレポート「エッグトラック・レポート」を公開

今回初めて、アジア太平洋のセクションが追加。日本企業も2社掲載。

Compassion in World Farming

国際的な畜産動物福祉団体CIWF(コンパッションインワールドファーミング / Compassion in World Farming International)は、ケージフリーエッグへの取り組みに関するレポート「エッグトラック・レポート」(EggTrack report)を公開しました。これは、CIWFが、企業によって使用される卵すべてのケージフリーを達成する活動の進展を測定、奨励するため、2016年に立ち上げた機関「エッグトラック」によるレポートです。


<グローバル市場における取組み>
CIWFが調査している全232社のうち75.4%の175社は、ケージフリーエッグへの取り組みを行っており、2021年の71%から増加しています。上記175社の各社におけるケージフリーの達成率は、それぞれの企業ごとに、使用する卵すべてがケージフリーであることを100%とすると、2021年の平均は79.1%です。また一般的な調査でも、ケージフリーエッグを使用していると報告した企業の割合は63.1%と、2021 年の 55.2%から 7.9%も増えました。

2022年には、ケージフリーエッグへの取り組みを宣言した58社のうち、34社(58.6%)はケージフリーエッグへの移行に進捗があることを報告しました。具体的な企業の例としては、Bloomin’ Brands、Darden Restaurants、Focus Brands、Pizza Express、Royal Caribbean International、The Cheesecake Factory、Wyndham Hotels & Resorts、Yum! Brandsなどが挙げられ、CIWFによるグローバル規模の促進活動が実った結果と考えられます。

グローバルな事業展開において、使用する卵がすべてケージフリーの原料の使用に成功し、今回の「エッグトラック・レポート」に序文を寄せている企業がダノン (Danone)です。

ダノン社 グローバル・ファーミング・エクスパティーズ・マネジャー、ケース・ヤン・ホランダーは以下のように述べています。
「ダノンは、再生可能な農業戦略の柱の一つとも言える動物福祉の活動に長年取り組んできました。ケージフリーエッグと卵由来の原料への取組みに尽力し、2018年からサプライヤーとの連携を緊密に取り、2020年にケージフリーエッグと卵由来の原料を100%使用するという目標を達成しました。
また、BBFAW(Business Benchmark on Farm Animal Welfare)のようなベンチマークを通じて、透明性と改善を求める消費者や投資家の要望に応えています。CIWFの調査により、ケージフリーエッグが急速に業界の基準になりつつあることがわかり、とても嬉しく思っています。」

<アジア太平洋市場における取組み>
初めて「エッグトラック・レポート」にアジア太平洋のセクションが作られ、日本で事業を展開する日清食品、日清製粉グループの2企業が含まれます。

アジア太平洋市場は、需要の伸び、革新的な製品開発、可処分所得の増加により、最も成長の早いケージフリーエッグの市場になっています。日本は世界第8位の鶏卵生産国ですが、ケージフリー飼育への移行が遅れています。飼育密度に関する規制はなく、バタリーケージ(積み上げられた小さなケージに鶏を収容)やデビーク(クチバシの切断)、断食による強制換羽を禁止しておらず、これらの劣悪な飼育法は日本にある養鶏場の66%で施行されています。2018年、大規模なケージフリー施設が日本にも紹介されましたが、2020年のケージフリー化はわずか1%でした。現在、養鶏場の92%でバタリーケージが使われ、国内で販売される卵の99%は劣悪な飼育環境で生産されています。

一方で消費者の間では、ケージフリーエッグ、平飼いの卵の人気は高まっています。アニマルライツセンター(Animal Rights Center)が2019年に行った調査によると、平飼い卵は国内スーパーの51%で販売されており、2015年の22%から2倍以上に増加しています。コロナ禍やウクライナ侵攻、インフレ、非常に感染性の高い鳥インフルエンザ (HPAI)の流行が続く中、平飼い卵を扱う企業が増えたことは称賛に値します。

<今後の展望>
ケージフリーエッグへの需要が右肩上がりの現状では、企業は「コンビネーション」(一部のケージにのみケージフリーを適用)や「リミテッドアクセス」(鶏が自由に動ける範囲を限定)などのケージシステムに妥協しない努力が必要です。鶏の行動を制限することは、ケージ飼育の代替手段にはなりません。CIWFは企業に対し、これらのコンビネーションシステムを認めないことを明記した最新の文言を公表するよう求めています。

今回の「エッグトラック・レポート」では、下記24社がサプライチェーン上でコンビネーションシステムを使用しない旨を宣言しています。

CIWFは使用する卵すべてのケージフリーを実現するために、卵殻、卵製品、そして卵由来の原料を含むすべての生産工程をケージフリーにしなければならないと働きかけています。加工食品に大量の卵が使用されており、膨大な数の雌鶏に影響があることを踏まえ、2023年の「エッグトラック・レポート」では、初めて卵由来の原料を含む加工品の調査を行う予定です。

グローバルな卵産業がケージフリーへ移行しつつある今、各企業はサプライヤーと密に協力し合うことが重要です。使用する卵すべてのケージフリーを実現できるバリューチェーンになっているか確認し、コンビネーションやリミテッドアクセスのケージシステムを排除し、ケージフリーへの取り組みを実施できるよう軌道に乗せていくことが求められます。

CIWF フードビジネス部門グローバルディレクター、トレーシー・ジョーンズは以下のように述べています。
「経済的に困難な時代ですが、企業はケージフリー実現に向けて尽力しています。リーディングカンパニーによる<グローバル宣言>の増加と、ケージフリーへの移行が進んでいることを嬉しく思います。「エッグトラック・レポート」はこの進展を確実にするための重要なツールであり、ケージフリーへの移行とコンプライアンスを推し進める力になっています。今後、企業はすべての卵においてケージフリーを推進していく必要があります。ケージフリーへの投資は賢い投資です。消費者と企業のニーズは今後も高まり、このグローバルトレンドは続いていくでしょう。」

CIWFのアジア太平洋食品ビジネス部門は、あらゆる地域のフードビジネスのケージフリーへの取り組みの促進と移行をサポートしています。ケージフリーに移行した企業はグッドエッグ・アワードに応募できます。2022年6月には、名古屋にあるオーガニック商品の販売と普及に力を入れている「旬楽膳」が日本初となるグッドエッグ・アワードを授賞しました。タイのHilltribe Organicsはタイ国内のオーガニック卵市場と再生可能な農業を促進した貢献により、サステナブル・フード・アンド・ファーミング・アワードを授賞しました。いずれも養鶏のウェルフェア(福祉)に関して良い変化がアジア地域にもたらされていることを示しています。

「エッグトラック・レポート」について:
企業が使用する卵すべてのケージフリーを達成する活動の進展を測定、奨励するため、CIWFが2016年に立ち上げた機関「エッグトラック」によるレポートです。感度の高い消費者、業界関係者、そしてケージフリーを目指す上で日々の事業遂行と意志決定に関わる方々(バイヤー、経営陣、サプライチェーン・マネジャー、サスティナビリティ専門家)が活用することを想定しています。
レポートはウェブサイト上で公開されていて、各社の進捗を競合と比較できます。Twitter、Facebook、InstagramなどのSNS上の「#EggTrack」でケージフリーについての議論もご確認ください。
レポートの完全版(英語のみ)はこちらから:https://www.eggtrack.com/en/

CIWF(コンパッションインワールドファーミング)について:
世界をリードする国際的な畜産動物福祉団体で、何百万もの畜産動物の福祉を改善するため、啓発活動、ロビー活動による規制の変更、世界の食品会社との良好な関係作りを続けています。CIWFが確立した国際的なフードビジネス・プログラムを通じ、畜産動物の福祉改善や食肉への依存軽減など、産業全体が再生可能、かつ自然に優しい畜産を行うことを促しながら、持続可能な食品生産を目指しています。
CIWF ウェブサイト(英語のみ): https://www.ciwf.org/
 

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会社概要

Compassion in World Farming

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URL
https://www.ciwf.org.uk/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
United Kingdom Surrey GU7 1EZ Godalming, River Court, Mill Lane
電話番号
-
代表者名
VALERIE J. JAMES
上場
未上場
資本金
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設立
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