HILLTOP・BIZYME・小松精機工作所による合弁会社であるネクストコアテクノロジーズ、高効率モータ向け「アモルファス積層コア」の量産化に世界初で目処
革新的なテクノロジーでカーボンニュートラルの実現に貢献
今回開発したアモルファス積層コアを用いることで、電磁鋼板コアを用いた既存モータに対して最大10%以上のモータ効率向上が確認され、定格5kWクラスでは世界最高レベルの出力密度1.2kW/kg、モータ効率95%を達成できました。アモルファス積層コアの適用により鉄損が低減し、高効率化が得られるだけでなく、駆動時の温度上昇が抑えられることで重希土類フリー磁石の適用範囲が広がります。今後、小型高速回転が要求されるEVやエアコン等への搭載が進み、カーボンニュートラル実現への貢献が期待されます。
*ネクストコアテクノロジーズ株式会社調べ 2023年6月15日時点
・調査手法:モータ素材開発業界の主要大手企業および専門家へのヒアリング調査
・対象技術:鉄基アモルファス合金の「プレス加工+積層化」に係る量産技術
NCTは、HILLTOP株式会社(京都府宇治市、代表取締役:山本 勇輝)、BIZYME(ビザイム)株式会社(京都府京都市、代表取締役:金清 裕和)、株式会社小松精機工作所(長野県諏訪市、代表取締役:小松 滋)の中小企業3社による合弁会社です。
取り組みの背景とアモルファス利用の意義
世界で消費される電力の50%以上はモータで消費されていることから、モータ効率の向上はエネルギー消費の大幅な削減に直結します。
アモルファスは、モータのコア(鉄心)材として広く使用されている電磁鋼板と比較してエネルギー損失が約1/10であり、特に高速回転時の損失上昇が電磁鋼板に比べて大幅に抑えられることは、以前から知られていました。しかしながら、アモルファスは非常に薄くかつ硬いという材料特性上、電磁鋼板製のモータコア量産で一般的に採用されている「打ち抜きプレス加工+積層」の工程で作製することが難しく、アモルファス薄帯を樹脂積層した後で、ワイヤーカットにてモータコア形状に切出するなどの作製方法に限定されており、量産には不向きであったため、これまでモータコア材として普及することはありませんでした。
このたび、NCTを構成する3社連合は、「アモルファス素材の製造」、「アモルファスの打抜きプレス加工」、「打抜きアモルファスの積層技術」の主要3課題を全て自社内で開発することで、量産対応可能なアモルファス積層コア生産の開発に世界で初めて目途を付けました。
アモルファス積層コアモータの実証試験と今後の展望
アモルファス積層コアの性能を実証することを目的に、小型EV等にも搭載可能な出力5kWクラスのアモルファス積層コアを採用した世界最高レベルのモータ効率が得られるブラシレスDCモータを開発しました。
本モータは、大同大学(愛知県名古屋市)加納善明教授との共同研究で、アモルファス積層コアの性能を最大限活かせるモータ設計を実施。その後、株式会社明和製作所(福岡県糸島市)等の協力を得て、巻線・モータ組上げを行いました。既存の大手モータメーカに頼ることなく、中小企業の力を結集することで、1年強という短期間で、5kWクラスとしては世界最高レベルのモータ効率95%(同等出力のモータに比べてモータ効率を5~10%改善)及び1.2kW/kgの出力密度を達成しました。
当社では、今後、カーボンニュートラルの実現を達成し得る日本発のキラーコンテンツとするため、アモルファス積層コアを活用した次世代高性能モータを共同開発するパートナー企業を求めていく計画です。
ネクストコアテクノロジーズ株式会社について(https://www.nextcore.jp/)
アルミ切削加工を行うHILLTOP株式会社(京都府宇治市、代表取締役:山本 勇輝)、磁性材料開発を行うBIZYME株式会社(京都府京都市、代表取締役:金清 裕和)、精密プレス部品製造を行う株式会社小松精機工作所(長野県諏訪市、代表取締役:小松 滋)の3社による合弁で、2022年9月に会社設立しました。
【会社概要】
商 号:ネクストコアテクノロジーズ株式会社
本 店:京都府宇治市大久保町成手1番30号(HILLTOP株式会社 内)
代 表 者:山本 勇輝
資 本 金:3,000万円
■HILLTOP株式会社について(https://hilltop21.co.jp/)
HILLTOPは製造DXを実現する「デジタルものづくり企業」です。主にアルミの切削加工を行い、特注品の多品種少量生産で様々な業界のニーズに対応しています。製造工程のデジタル化を行い、工場の24時間無人稼働を実現しています。また近年では部品加工事業のみならず、プロダクトの設計からデザイン・表面処理・組立まで、プロジェクトのトータルサポートを行う装置開発事業や、HILLTOPのデジタルものづくりのノウハウをサービス化するソフトウェア開発事業まで事業領域を広げています。
■BIZYME(ビザイム)株式会社について(https://bizyme.net/)
アモルファス合金、鉄基ナノ結晶材料および希土類鉄系永久磁石等の各種機能性金属材料の研究開発を実施する国内唯一のベンチャー企業。佐賀県伊万里市に設置するImari Lab.では、独自の溶湯急冷技術およびナノ結晶組織制御技術をベースにした種々の金属材料を開発すると共に、各種機能性材料向け設備の設計・製作を実施。併せて日本の金属材料開発スキルの継承を行っています。
■株式会社小松精機工作所について(https://www.komatsuseiki.co.jp/)
1953年創業の精密加工企業で、自動車部品、腕時計部品、医療機器等の精密プレス加工および切削加工を主業務としています。特に、自動車エンジン部品のガソリン電子燃料噴射装置のインジェクタ先端に装着されるオリフィスプレートは、プレス加工によって量産をしており、世界シェア約38%を占めております。これらの精密加工技術を活かし、アモルファス積層コア開発においては、プレス打抜き技術および積層技術を担当しています。
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像