温暖化耐性のある新品種の酒米「萌えいぶき」で醸す日本酒ブランドが誕生
令和創業のベンチャーと明治創業の老舗酒蔵がタッグを組んで日本酒業界に新しい息吹を注ぎ込む
広島県で開発された新しい酒造好適米「萌えいぶき」について
日本酒の製造には通常、酒造りのために開発された専用の品種の米(酒造好適米、酒米)が用いられますが、近年の温暖化により、酒造好適米の生育に悪影響が生じ始めています。
具体的には、米の生育時の気温が高いために、
玄米の品質が低下する(成熟したきれいな米(整粒)の割合が低下する)
米の溶解性が低下する(製造時に米が溶けにくくなる)
といった問題が生じています。前者の問題は酒造りに適した高品質な米の量が減ることを意味し、後者の問題は酒(アルコール)の生成効率が下がり、味わいに影響を与えることを意味し、いずれも今後の酒造りを脅かす問題です。
そこで、広島県立総合技術研究所、農業・食品産業技術総合研究機構西日本農業研究センター、広島県酒造協同組合、JA全農ひろしま、広島県穀物改良協会の共同研究により、10年の歳月を経て、これからの温暖化時代でも収量・品質ともに良好な酒米「萌えいぶき」が開発されました。
「萌えいぶき」の主な特徴は以下の4点です。
短稈で倒伏に強い
背丈が短いため風を受けても倒れにくい
収量が多い
多収で知られる八反錦1号以上の収穫量が得られる
心白の大きさは中程度
吟醸酒向けの精米も可能となる大きさの心白(米の中心部にある白濁部分のことで、デンプン質の含有量が多く吸水性がよい)
高温登熟耐性がある
高温下で成熟しても玄米の品質低下が少なく、また、米の溶解性が低下しにくい
「高温登熟耐性」により上述の問題を克服しており、まさに、次世代の酒造りのスタンダードとなるべき酒米といえます。軟水での酒造りという困難を克服し「吟醸酒発祥の地」となった銘醸地・広島が、醸造界に再度新たな息吹をもたらしました。
「萌えいぶき」という名称について
「萌えいぶき」という名称は、開発に携わった研究機関や広島県内の酒造会社から提案された58個の案から、この新品種を使うことになる同県内の約40蔵の酒造会社による投票で決まり、2023年10月1日に発表されました。
そこには、豊穣な大地の力強さと、醸造や開発に関わる人の夢や希望、情熱のイメージが強く込められていると同時に、新芽のような柔らかい響きもあります。柔らかさの中にも強い芯がある、広島の酒を言い表しているかのような、唯一無二の名前です。
「萌えいぶき」で醸す新たなブランドについて
当社は、このたび広島県で開発された「萌えいぶき」を全量用いた新たな日本酒のブランドを立ち上げます。醸造パートナーは広島県呉市で「白鴻」を醸し、IWCやKura Masterなど海外の日本酒品評会でも受賞歴のある1887年(明治20年)創業の盛川酒造です。
当社は、2022年(令和4年)に創業したばかりの日本酒ベンチャー企業で、「全国の酒蔵にスポットライトを」を合言葉に、小規模酒蔵の課題解決のサポートを通じて日本酒業界の明るい未来に挑戦しています。
今回、「萌えいぶき」という次世代を担う酒米と、その開発に携わられた方々の情熱に魅せられ、ぜひともこの酒米で醸す日本酒を全国に広め、業界に新しい息吹を注ぎ込みたいと盛川酒造にお願いしたところ、快諾いただきました。
創業1年の当社にとって、ブランドを立ち上げることが挑戦であるのはもちろんですが、これまで使用したことのない酒米での酒造りは、創業136年の歴史ある盛川酒造にとっても挑戦といえます。
当社の挑戦にご協力いただく過程で、酒蔵にとって少しでも新しい気づきなどがあるとしたら、酒蔵支援をミッションとする当社にとってこれ以上ない喜びです。また、そういった小さな積み重ねこそ、日本酒業界の明るい未来の基礎になることと信じています。
新しいブランドは来春にクラウドファンディングにて先行販売する予定です。
詳細については続報をお待ちください。
■会社概要
会社名:株式会社エノク
所在地:東京都千代田区神田須田町1-14-1
代表者:猪子 友彪
免許:一般酒類販売小売業免許、通信販売酒類小売業免許
事業内容:酒類の販売、コンサルティング事業、その他日本酒に関連する事業
ウェブサイト:https://enoch.co.jp
会社名:盛川酒造株式会社
所在地:広島呉市安浦町原畑44
代表者:盛川 知則
代表銘柄:白鴻
ウェブサイト:https://morikawa-shuzo.com/
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