『ヴィレッジ・コード ―ニセコで考えた村づくりのコード45・北海道ニセコ編―自然・景観・建築・暮らしを統合するために』創刊
出版レーベル〈涌出 WAKIIZU〉は、9月25日より新刊『ヴィレッジ・コード ―ニセコで考えた村づくりのコード45・北海道ニセコ編―自然・景観・建築・暮らしを統合するために』の販売を開始しました。
本誌の内容は、パターン・ランゲージというデザインの方法論を取り入れ、6つの章に分けて(1自然観、2領域、3建築、4インフラ、5アートや文化、6教育)のデザインを定性的に示しました。本書は2部構成で、先の6つのテーマを45のコードとして課題、解決方法、イラストで示し、2部(付録)として北海道・ニセコで行われているコミュニティ協定の事例紹介、そして模型による代案作成の事例、編集メンバーによる座談会としてまとめています。
本書を製作するにあたり、今までの景観づくりの事例を参考にしてはいますが、それらとの大きな違いは、建築や人間を主語にするのではなく、自然を主語にした部分を多く提案しています。自然に意識を向けながら、その自然と人間を、そして建築をどう共存させていくのかという視点を大事にしています。
また、作成にあたり、どこまで住民参加型で共通のビジョンをつくることができるかが鍵でしたが、結果的に私たちは、大きな指針や体系は専門家チームで決め、余白を残しながら住民が改変していくという方針をとっています。
これから環境だけでなく、社会や経済の仕組みが大きく変わるでしょう。経済発展を中心とした時代から、人と人との関係性、人と自然との関係性が問われる時代の「コード」を、みなさんにお届けできたらと思っています。
□本書に寄せる思い
本書は、北海道・ ニセコという、主に海外投資家による開発が盛んな場所で、どのように風景を保ち、価値あるものとして存続できるかということを提案したものです。
この活動は、2020年12月に都市未来研究会 in NISEKOという人口減少社会の都市の未来像を考える研究会をニセコで始めたことがきっかけでした。その後、3年に渡り価値ある風景をどのように未来につなげていくのか、また気候変動や過疎化する地方都市の生き残りの風景とはどのようなものなのか、建築に関わる6名の研究者で毎週議論し、試行錯誤しながら作成しました。また私自身、ニセコに住みながら多くの住民と対話を重ね、またその間開発が提案された数々の国内外のデベロッパーの行う住民説明会に参加しながら考えたものです。
その内容は、やや唐突であったり、行き過ぎていると感じる人もいるでしょう。しかし町の景観をつくるという長い時間を要する課題に対して、強く明確な方向性を打ち出すことが重要だと思います。それは、共通のビジョンを持つことだと考えています。
制約をつくってそれを守るのでなく、あるべき方向を共有することが景観を守るためには大切です。自然環境を壊したのは紛れもなく我々人間です。しかし、その修復を図り、実践することも我々人間であると信じています。
未完成の部分もありますが、今後、改善や改変をしていきたいと考えています。また、この本はニセコで考えたものですが、他の町でも叩き台として利用され、それぞれの地域でこうした風景のコードがつくられることを期待しています。
□書籍情報
名称:ヴィレッジ・コード
―ニセコで考えた村づくりのコード45・北海道ニセコ編―
自然・景観・建築・暮らしを統合するために
発行:都市未来研究会 in NISEKO 建築チーム
販売:有限責任事業組合 涌出
サイズ:B5
ページ:96ページ
言語:日本語
ISBN:978-4-9913185-1-1
□発行について
都市未来研究会 in NISEKO 建築チーム
都市未来研究会は、2020年12月に北海道ニセコで、人口縮小の都市の未来像を探るために様々な分野の研究者30名ほどで組織された。世界の成熟した都市では人口減少が続き深刻な少子化と高齢化、そしてそれに伴う経済的な低迷、さらに地球温暖化に代表される環境問題に直面している。こうした未来の社会をどう再編していくのかそのことを考えるために、エネルギー、生態系、交通、建築、アート、教育など主として10のグループに分けて研究。特にニセコという人口5000人という小規模な都市で未来像を考えることは、成長や増加を前提とした今までの大都市の仕組みとは大きく違い、かつそこに未来のありようを考えるヒントも変革の実験への可能性があるのだと考えた。様々な中央集権型の仕組みから小規模分散型への切り替えも、小さな街の方が取り組みやすいともいえる。研究会は様々な問題提起はしたもののあまり大きな成果を残せずに2022年の春に終えたが、建築チームだけはその後も活動を続け、その成果を今回の出版としてまとめた。経済優先だった社会の構造に対して、環境、経済、社会の3つのバランスをどう共存させていくかという課題に、そもそも社会の仕組みを根本から疑ってみる必要があるという立場を取っている。
土谷 貞雄
ムジネット株式会社(現 MUJIHOUSE)取締役をへて 2008年にコンサルタントして独立。 商品開発からプロモーションまで一貫した住宅商品開発支援を行う。また現代の暮らし に関する知恵を集め未来の暮らしのありかたを提案し続けている。HOUSE VISION 展 覧会を 2013 年、16 年、19 年に開催。著書に『無印良品・みんなで考える住まいのかたち』。2020年北海道ニセコに移住、ニセコのまちづくり会社の設計顧問としてニセコの新しい住宅街区の基本設計を行う。同時に人口社会の地方の都市のあり方を模索する都市未来研究会in Nisekoを主催、日本から多くのニセコで行われるリゾート開発などの住民説明会に参加しながら、地方の風景のあり方を考える。到達した田舎に住むという暮らし方や考え方を元に2022年ニセコの近く喜茂別町知来別で実際の村づくりをセルフビルドで構想、2024年現在建設中。
□注文について
有限責任事業組合 涌出(本社所在地:長野県松本市深志3-7-8)が運営するWEBサイトにて一括注文・発送を承ります。また取次(委託)販売や直接販売(買取)などのお問い合わせは、以下のフォームよりお問合せください。
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