三菱ケミカル、AVEVA Asset Information Managementのデータ連携基盤の構築により、業務効率化と安定操業を強化
産業用ソフトウェアの世界的なリーダーとしてDXおよび持続可能性を推進する英AVEVAの日本法人であるAVEVA株式会社(本社:東京都港区、VP、日本統括:佐々木 正治、以下AVEVA)は本日、三菱ケミカルグループ株式会社(本社:東京都千代田区、代表執行役社長 筑本 学、以下 三菱ケミカル)が、[1] AVEVA Asset Information Management (AIM)を茨城事業所に導入し、化学プラントのデジタルトランスフォーメーション(DX)を強化していることを発表しました。本ソリューションは、散在する多様な情報を一元化し、アクセスを提供することで、ユーザーによるデータに基づく効率化と迅速な意思決定を支援し、同社の持続的な成長を支えます。
導入の背景
近年、国内製造業では、熟練技術者の高齢化と労働人口減少に伴い、ノウハウの継承や属人性排除が喫緊の課題となっています。三菱ケミカルも例外ではなく、同社では10年以上にわたり、運転、設備、生産管理に関するデータが複数のシステムに点在し、情報検索に膨大な時間を費やしていたため、これらのデータを連携し、活用する方法を模索していました。
また、同社は、2022年に策定したDXビジョン「安定運転(絶対止まらない)」「コストMIN(国内競争力No1)」「作業負荷MIN化(真のKAITEKI職場)」の実現には、これらの情報を横断的に活用できるデータ連携基盤の構築が不可欠であると判断しました。
その実現に向けて、三菱ケミカルは、国内外で豊富な実績と知見を持ち、同社のめざすデータ連携を確実に実現できる信頼できるパートナーとしてAVEVAを選定。運転部門および設備技術部門とのチームを編成しました。そして、2023年12月から約一年をかけて環境構築を進め、現在は茨城事業所において、データ連携によるさらなる効率化に取り組んでいます。
AIMは、工場内に散在する図面、文書、運転データ等の多様な情報を一つの入り口に集約するデータ連携基盤です。導入にあたっては、単にパッケージ商品を導入するのではなく、まず業務のあるべき姿を定義し、その実現のためにAIMに求められる機能やドキュメントを明確化するという手法を取りました。 価値に直結する情報の特定や、関係者間での活用イメージの共有といった課題に対し 、両社は集中的に協議を重ね、予期せぬポリシー上の制約も乗り越えながら、理想のデータ連携システムを構築しました。
導入による主な効果:
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作業効率の向上: プラント設備の運転・設備管理情報を検索する時間が大幅に短縮されました。 従来、異なるシステムから収集していた図面や過去履歴などの関連情報がAIM上から一括で入手可能となり、設備管理計画の立案が効率化され、計画の精度も向上しました。 また、トラブル発生時には関連情報へ迅速にアクセスできるため、不具合への初動が早くなっています。
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属人性の排除: 経験の浅い若手社員でも、ベテランと同様に必要な情報へ容易にアクセスできるようになりました。 例えば、広大な工場内でも機器のタグ番号から配置図連携ですぐに場所を特定したり 、製造部門から設備管理部門への補修依頼時に、場所のアイソメ図と必要な情報を正確に共有したりすることが可能となり、部門間の情報共有が向上しています。
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論理的思考力の深化・展開: 必要な情報が網羅的に確認できるようになったことで、抜け漏れの少ない検討が可能になりました。 設備の状態をリアルタイムで監視し、異常があれば即座にAIMから関連情報を収集して検討に入れるようになったことで、より論理的な思考が促進され、判断の質が向上しています。
三菱ケミカルグループ株式会社 企画管理部DX推進グループ 黒澤 知広氏は次のように述べています。 「主な成果は3点あります。まず、情報の連携により必要な情報へ迅速にアクセスでき、作業効率が向上しました。次に、属人性が排除され、これまで限られた人しか扱えなかった情報が誰でも利用可能になりました。最後に、意思決定に必要な情報が網羅的に揃うことで、論理的思考が促進され、判断の質が向上しました。これらの成果により、業務の効率化だけでなく、安定した意思決定を支える環境が整いつつあります」
AVEVA株式会社 VP、日本統括 佐々木 正治は次のように述べています。「三菱ケミカル様のDX推進を支援できることを大変光栄に思います。当社のAIMはお客様の持つ膨大なデータを価値ある情報へと変換し、新たな競争力を生み出す原動力となります。今後も三菱ケミカル様のパートナーとして、企業内で様々なユーザーのパフォーマンスを高めるデータ連携と利活用がもたらす継続的な成長を支援してまいります」
今後、労働人口の減少や転職などで人の流動性がさらに高まることが予測されることを受け、三菱ケミカルは今後、社内の暗黙知の情報やドキュメントを誰でもすぐに扱えることができ、従業員が高いパフォーマンスを発揮できるような環境づくりを目指します。また、今回構築したデジタルプラットフォームを基盤に、生成AIを活用したオペレーションガイドの構築などを検討しています。そして、意思決定のためのさらなる論理的思考や、すでに導入の[2] AVEVA™ PI System™ の[3] PI Event Frameworkや [4] PI Asset Frameworkとの情報連携によるさらなる情報活用をAVEVAと進めてまいります。
以上
注:
[1] AVEVA™ Asset Information Management (AIM):複数の情報源や多様な形式の情報を集約し、企業全体のユーザーが信頼できるデータへ安全にアクセスし、可視化、検証、コラボレーションできるようにします。文書、3Dモデル、レポート、レーザースキャンなど、あらゆるデータを一元的に集約し、信頼性の高いデジタルツインの中核を形成します。また、デジタルツイン内のすべての要素に対してリンクや関連付けを持つ完全な相互参照インデックスを提供し、標準に基づいた検証を可能にします。これにより、データドリブンな意思決定を促進し、プロジェクト計画、運用パフォーマンス、安全性を最適化するとともに、リスクを低減します。
[2] AVEVA™ PI System™: リアルタイムの時系列データを収集、保存、強化し、人やアプリケーション、ツールをつなぐ統合データ管理インフラです。
[3] PI Event Framework: プロセスの中で重要な出来事を捉え、それに関連するデータを収集することで、その出来事がなぜ起きたのかを分析する手がかりとなります。
[4] PI Asset Framework:物理的または論理的なオブジェクトを、設備資産およびそれに関連するデータの見たい形に最も適した方法でモデリングできるツールです。
AVEVAについて
AVEVAは、産業用ソフトウェアの世界的なリーダーとして、世界の資源を持続可能かつ責任ある形で活用をできるよう支援しています。世界の主要な産業企業の90%以上が、エネルギー、食品、医薬品、インフラなど、私たちの生活に欠かせないものを安全かつ安定的に提供するためにAVEVAのソリューションを活用しています。
AVEVAは、人と信頼できる情報、そしてAIを活用したインサイトを結びつけることで、プラントからクラウド、そしてその先まで、設備投資プロジェクトのより効率的な設計、より良い運用、持続可能な価値の創出を支援します。AVEVAのインダストリアルインテリジェントプラットフォーム「CONNECT」や、産業AIで強化された信頼性の高いセキュアな情報管理アプリケーションを通じて、企業はチーム間の連携を強化し、サプライヤー、パートナー、顧客といったエコシステム全体でインサイトを加速させることが可能になります。
世界で最も革新的な企業の一つに挙げられるAVEVAのオープンソリューションは、6,000人以上の従業員、5,000社のパートナー、5,700人以上の認定開発者の専門知識によって支えられています。グローバルに事業を展開するAVEVAは、英国ケンブリッジに本社を置いています。
詳細は https://www.aveva.com/ja-jp/ をご覧ください。
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