JCBとトヨタ・コニック・アルファが協業 生活者が自ら指定した範囲の自分のデータだけをつなぐ「ゆるやか連携™」実証 を実証パートナー4社とともに行います
株式会社ジェーシービー(JCB)とトヨタ・コニック・アルファ株式会社(トヨタ・コニック・アルファ)は、特定の事業者がデータを囲うのではなく、生活者の意思で指定した範囲だけつなげて利活用する社会をめざす「ゆるやか連携™」実証を、実証パートナー4社とともに2024年度から実施することをお知らせいたします。
ゆるやか連携™実証の主旨
社会全体のデジタル化が進んでいます。特にCovid-19をきっかけに、日本でもデジタル・トランスフォーメーションの動きが加速しました。これにより利便性などの魅力を感じる人がいる一方で、情報管理に不安を持つ人がいることも事実で、データ利活用に関する課題も見えてきました。
内閣官房デジタル市場競争本部のTrusted Web※1は、プラットフォーム事業者などのアカウントやメールアドレスが識別子となってデータが集約・統合され、生活者が想定しない使われ方がなされることによって生じる「プライバシーに対する懸念」や、多くの人が依存する複数のサービスを顧客接点として持つネットワーク効果で、特定の事業者が生活者のデータを事実上ロックインする「勝者総取りなどによるエコシステムのサステナビリティへの懸念」といった課題があると、2023年11月公表のホワイトペーパーVer.3.0※2で示しています。
リアルの世界で、たとえば何かのサービスを利用する時に本人確認が必要な場合、私たちは自分の財布やパスケースから自分の意思で身分証明書を取り出して情報を提供しますが、確認が終われば身分証明書は元の場所に戻し、誰もそれを使うことができません。JCBとトヨタ・コニック・アルファは、デジタルの世界でもこうしたことが実現可能であるかを検証することを目的に、自己主権型アイデンティティ/分散型アイデンティティの概念や、やりとりするデータの信頼性を証明するVC※3といった標準化された仕組みを取り入れた実証を「ゆるやか連携™実証」と名付けて実施します。
この実証には、大日本印刷株式会社(DNP)、フェリカネットワークス株式会社(フェリカネットワークス)、IDEMIA、NRIセキュアテクノロジーズ株式会社(NRIセキュアテクノロジーズ)の4社が実証パートナーとして参画します。
ゆるやか連携™実証の概要
実証は、モビリティデータと生活者の相互運用性や具体的な社会実装を意識したユースケースを設定して、システムとアプリで構成される実証用インタフェースを開発し、次の内容で実施します。
実 証 対 象: あらたに開発する、ゆるやか連携™システム※4と個人用ゆるやか連携™ アプリ※5
実 証 規 模: 人数を限定したクローズ環境を想定
実 証 モデル : 標準技術仕様、相互運用性を考慮したインタフェースの構築と実証
ユースケース: サービスの利用申込に必要な、mDL※6などの資格情報を資格情報発行機 関に要求し、VC/mdoc※7化されたものをサービス事業者に提供するもの
この流れにおけるVC/mdoc授受による権限授与/アプリ利用の履歴照会/ 証跡照会、これらによる属性情報と属性連携の実証
実証における各社の役割
JCBとトヨタ・コニック・アルファ協業の背景と経緯
デジタル・アイデンティティ分野における国内有数の知見と数多くの知財をもつJCBと、モビリティ領域の新しい価値創造、サービス開発に取り組むトヨタ・コニック・アルファは、2021年に「デジタル・アイデンティティ」に関する協業で合意し、人とモビリティのデータを正しくつなぐための研究や技術実証を共同で行なってきました。
2022年には、複数の運転者データと複数のモビリティデータを標準化が進んだ技術(VC、OpenID関連技術※8など)でつなぐシステム実証と、データをつなぐ際のユーザビリティを検証するプロトタイプアプリ実証を計画。決済事業者が持つユーザ自身の情報とモビリティデータをもとに利用料を算定し、事業者のサービス利用に活用するユースケースを想定して実施しました。
この過程で、JCBが保有する多数の特許(第6871296号、第7267349号など)を元にした関連特許(特願 2022-060207号など複数)を、JCBとトヨタ・コニック・アルファが共同出願しています。
また、プロトタイプアプリの開発は、ドイツのLissi GmbH(Lissi)※9と協力して行ないました。
Lissiはドイツ連邦共和国の経済・気候保護省が助成するプログラムに参加している「IDunion Research Project※10」を率いており、欧州のeIDAS 2.0※11に対応したEUDI-Walletコネクタ・ソリューションを提供しています。JCBとトヨタ・コニック・アルファは、Lissiからその中のLissi ID-Walletの提供を受けて日本語化し、ユーザ・フローとユーザ・インタフェースの検証を行いました。
なお、JCBとトヨタ・コニック・アルファ両社の協業については、トヨタ・コニック・アルファの特設Webサイト「みんなでデジタる!」※12でも掲載いたします(近日公開予定)。
「デジタル・アイデンティティ」に関する協業で合意(2社)
JCBについて
1961年に設立し、日本発唯一の国際カードブランドを運営する企業としてJCBカードを利用できる加盟店ネットワークを展開するとともに、アジアを中心に国内外のパートナー企業とJCBカードの発行を拡大しています。また、総合決済サービス企業の実現を目指し、お客様やパートナー企業の皆様の期待にお応えする様々な事業を展開しています。国内外で1億5千万人以上の会員様にご利用いただいています。(2023年12月末現在)
トヨタ・コニック・アルファについて
https://toyotaconiq-alpha.co.jp
トヨタ自動車株式会社と株式会社電通グループの合弁として2021年1月に設立された、トヨタ・コニック・ホールディングス傘下の事業会社のひとつです。モビリティ領域のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進することを目的とし、「データで、ありがとうをつくる仕事。」をミッションに、新たなモビリティ分野の「仕組み」と「ビジネス」の創造に取り組んでいます。
2024年度実施の実証パートナー(4社)
DNPについて
1876年創業。出版印刷・商業印刷・ICカード・企業のマーケティング支援・包装・建材・産業資材・電子部材など、幅広い分野で多様な製品・サービスを提供する世界最大規模の総合印刷会社です。個人のアイデンティティを管理・証明するデジタル・アイデンティティ・ウォレットの社会実装を目指して、ICカード事業で培った認証・セキュリティ技術で、安全なネットワークの構築とデータの管理ルールの標準化に取り組みます。
フェリカネットワークスについて
https://www.felicanetworks.co.jp/
フェリカネットワークスは、2004年の会社設立以来、NFCサービスプラットフォーム向けにさまざまな技術およびソリューションや、携帯端末用ミドルウェア、セキュリティドメイン管理、アプリケーションサービスなどのサービスも提供しています。フェリカネットワークスのサービスプラットフォーム上では、決済や交通の他にも先進的なサービスが、非常に多岐にわたり提供されています。
IDEMIAについて
https://www.idemia.com/business/idemia-smart-identity
IDEMIA、その一部門であるIDEMIA Smart Identityは、フィジカル及びデジタルIDソリューションのリーダーとして40年以上にわたり世界中の政府機関、金融、通信などの分野において信頼されるパートナーです。数少ないEnd to Endソリューションプロバイダーであり、Civil IDソリューションにおける誰もが認める世界的リーディングカンパニーです。その実績は世界79か国にわたります。
NRIセキュアテクノロジーズについて
野村総合研究所(NRI)グループの情報セキュリティ専門企業です。国内外の関連資格を取得し世界レベルの研鑽に励んだスペシャリストが、金融、流通、製造など様々な業界の企業から官公庁に至るまで、幅広いお客様の情報セキュリティに関する課題解決を支援しています。お客様の情報セキュリティに関するあらゆるニーズに「ワンストップ」で対応し、安全・安心なデジタル社会の実現を目指しています。
*それぞれ、株式会社表記を除くアルファベット順
<注釈解説>
※1 Trusted Web
※2 ホワイトペーパー Ver.3.0
https://trustedweb.go.jp/documents/
※3 VC
Verifiable Credentials(検証可能なデジタル証明書)
※4 ゆるやか連携TMシステム
一般的に「Digital Identity Wallet」と呼ばれるデータ連携基盤のインタフェースのうち、ビジネスロジック機能を持つ「サーバ」のことを指す
※5 ゆるやか連携TMアプリ
上記インタフェースのうち、生活者が操作するためにスマートフォンで使う「アプリ」のことを指す
※6 mDL(エムディーエル)
Mobile driving license(モバイル運転免許証)。デジタル化した運転免許証をモバイル端末に格納、実装するためのインターフェース仕様で、国際標準(ISO/IEC18013-5)として公開されたもの
※7 mdoc(エムドック)
上記ISO/IEC18013-5ではモバイル運転免許証が取り上げられているが、理論的には他のユースケースでも使用できることから、モバイル端末にある文書そのもの、あるいは端末にある文書と読取り端末の間、読取り端末と文書発行機関のそれぞれの間のインタフェース仕様として定義されている
※8 OpenID関連技術
ここでは、ユーザがあるサービスを利用する際、別のサービスからユーザ情報を連携するときに使うプロトコル「OpenID」を用いて、VCやmDLといったデジタル化された証明書を安全にやりとりするための標準仕様の技術のこと
※9 Lissi GmbH
※10 IDunion Research Project
※11 eIDAS 2.0
2014年に批准されたeIDAS(electronic IDentification Authentication and trust Services)の改正案で、2023年11月に欧州議会と欧州理事会で最終合意された、電子取引のためのデジタルIDおよびトラストサービスに関する規則。
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/IP_23_5651
※12 みんなでデジタる!
https://digita-ru.toyotaconiq-alpha.co.jp
*「ゆるやか連携™」
事業者間が直接連携するのではなく、ユーザがデータ連携を管理できる仕組み。一般的に自己主権型アイデンティティ/分散型アイデンティティで連携することを指し、生活者や事業者など参加者が負荷低く参画できるゆるやかな仕組みを”ゆるやか連携”と名付けて、株式会社ジェーシービーが登録商標として出願中。
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像
- 種類
- 商品サービス
- ビジネスカテゴリ
- マーケティング・リサーチ
- キーワード
- デジタル・アイデンティティ