こども家庭庁が初めて実施する<こどもの自殺に関する意識調査>
全国の15~18歳の724名と19~59歳の1,600名を対象
小中高生の自殺者数は令和6年が527人(暫定値)と過去最多で喫緊の課題となる中、こども家庭庁では、こどもの自殺対策の推進に資する広報啓発の一環として、全国の15~18歳及び19~59歳を対象に「こどもの自殺に関する意識調査」をインターネット調査で初めて実施し、2,324名(15~18歳の724名、19~59歳の1,600名)から回答を得ました。
※ 本調査は、有識者(一覧は後述)の意見を参考に回答者の心情に十分に配慮し、回答の途中でいつでも回答を終了できるようにするとともに、相談窓口を提示する等の対応を行いました。特に、15~18歳の調査においては、設問等の表現についても配慮を行いました。
※ 報道におかれましては、WHO(世界保健機関)発行の『自殺予防を推進するためにメディア関係者に知ってもらいたい基礎知識2023年版』を踏まえた対応をお願いいたします。(https://jscp.or.jp/WHO/MediaProfessionals-2023.pdf)
■実施の背景
小中高生の自殺者数は、令和6年が527人(暫定値)と過去最多となっており、喫緊の課題となっています。こども家庭庁では、こどもが自ら命を絶つようなことのない社会の実現に向けて、今年度から「こどもの自殺対策の推進に向けたデジタル広報啓発事業」を開始し、こどもの自殺対策等に関わる有識者とともに、こども・若者に届くような広報啓発活動を実施・検証を通じて、今後のこどもの自殺対策について取り組むべき広報啓発の方針を検討しています。
本調査は、こどもの自殺に関する認識や取組等の実態について、全国的なインターネット調査により把握し、その調査結果をメディアの報道を通して広く社会に周知することで、広報啓発の効果検証に繋げます。
■調査概要
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・調査時期:令和7(2025)年1月25日~30日 ・調査方法:インターネット調査 ・調査対象及び回答数:全国の15~59歳の男女を対象に実施し、計2,324名が回答 1. 大人(19~59歳)男女各800名(計1,600名) ※ 19~29歳、30~39歳、40~49歳、50~59歳の各年齢区分につき、400名 2. こども(15~18歳)男性324名、女性400名(計724名) <調査における侵襲性への配慮> ・調査の前後に「こどもの自殺に関する全国意識調査」であり、心理的負担となる可能性を提示し、もし気分が悪くなったり、不安を感じる場合は、途中で回答をやめることもできるようにしました。 ・こどもにおいては、事前質問として「あなたは現在、深刻な悩みを持っていたり、その悩みにより、自ら命を絶つことを考えるつらい状況に置かれていますか。」という質問を設け、「つらい状況に置かれていない」と回答したこどもは本調査に進み、「つらい状況に置かれている」「わからない」「答えたくない」と回答したこどもは、本調査へ移行させず、相談窓口を示すなどの配慮を行いました。 |
■調査結果
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大人(19~59歳)の調査結果
1-1. こどもの自殺に対する認識
1-2. 深刻な悩みを持つこどもへの対応
1-3. 態度変容や行動変容につながらない要因
1-4. 深刻な悩み・不安を持つこどもに対応する相談先に関する認知
1-5. こどもに関する社会課題を認知する機会
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こども(15~18歳)の調査結果
2-1. 自ら命を絶つ同年代がいることに対する認識
2-2. 深刻な悩みを持つこどもへの対応
2-3. 自ら命を絶つ同年代がいることに対する理解に有用な情報
2-4. 深刻な悩み・不安を持つこどもに対応する相談先に関する認知
2-5. 深刻な悩みをもつこどもに起こりうる変化に関する認識
2-6. 悩みを相談しやすい周囲の大人
2-7. 世の中で起こっている問題に関する認知の機会
大人・こどもともに、同様の調査項目がある場合には、相互に参照できるよう、該当箇所を注釈に記載しています。
なお、本調査の設問における「こども」は、6~18歳としています。
※ 小数点第二位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。
1. 大人(19~59歳)の調査結果
1-1. こどもの自殺に対する認識
日本国内におけるこどもの自殺について、社会課題の一つとして認識しているかを問う設問に対して、「強く認識している」が16.8%、「どちらかといえば認識している」が45.2%となりました。
※ こどもの結果は本リリース2-1に記載。
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日本国内におけるこどもの自殺について、自分の周囲に起こりうる社会課題として認識しているかを問う設問に対して、「強く認識している」が15.6%、「どちらかといえば認識している」が38.4%となりました。
※ こどもの結果は本リリース2-1に記載。
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日本国内におけるこどもの自殺に関する事柄で認識していたものを問う設問に対して、最も多い回答は「知っていたものはない」(47.8%)となりました。
一方で、知っていた事柄の中で回答が多かったものは、「日本はG7の中で10代の死因の1位が「自殺」となる唯一の国であった」が19.7%、「大人も含めた日本全体における自殺者数は減少傾向にあるものの、こどもの自殺者数は増加傾向にある」が19.5%、「若年(18歳~29歳)の44.8%が希死念慮を持った経験がある」が16.6%となりました。
※ こどもの結果は本リリース2-1に記載。
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日本国内におけるこどもの自殺を社会課題として認識している理由を問う設問に対して、回答が多かったものは、「TV・新聞等のニュースでよく見かけるから」が42.0%、「こどもは日本の未来を担う存在だと考えるから」が23.6%、「自分がこどもを持つ親だから」が22.0%となりました。
※ 「こどもの自殺を自分の周囲に起こりうる社会課題として認識している」と回答した人が対象(n=864)
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1-2. 深刻な悩みを持つこどもへの対応
あなたの周囲で、自殺の可能性や深刻な悩みを持っていることを感じさせるこどもの存在に気付いた際、そのこどもにとって望ましい対応を知っているかを問う設問に対して「あまり知らない」が32.9%、「全く知らない」が23.8%となりました。
※ こどもの結果は本リリース2-2に記載。
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深刻な悩みを持つこどもに対して行動を取ったことがあるかを問う設問について、「行動したことがある」が8.5%、「行動したことがない」が17.5%となりました。なお、「深刻な悩みを持っていると感じるこどもに、出会ったことがない」は65.4%となりました。
※ こどもの結果は本リリース2-2に記載。
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周囲のこどもに対して、気にかけたり声をかけたりするなど、何かしらの対応をしなくてはいけないと感じるこどもの行動を問う設問に対して、回答が多かったものは、「自殺について考えたり、関連する言動や行動をとる」が54.3%、「不眠や食欲不振、体調不良が続く」が51.4%、「危険な行動をとったり、周囲のおとなへ迷惑をかけるような行動をとる」が47.3%となりました。
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1-3. 態度変容や行動変容につながらない要因
こどもの自殺に関する事実や情報に触れても、あまり関心が持てない、特段行動しようと思えない理由を問う設問に対して、回答が多かったものは、「自分に何ができるかわからないから」と「素人が介入する問題だと思えないから」が同率で24.6%、「自分にこどもがいないから」が23.1%となりました。
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1-4. 深刻な悩み・不安を持つこどもに対応する相談先に関する認知
自殺を考えるほどの深刻な悩み・不安を持つこどもに対応する国・自治体・NPO等の相談先を知っているかを問う設問に対して、「存在を知っている」が50.9%、「存在を知らない」が49.1%となりました。
※ こどもの結果は本リリース2-4に記載。
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1-5. こどもに関する社会課題を認知する機会
こどもに関する社会課題を見聞きする場所を問う設問に対して、回答が多かったものは、「テレビ」が47.9%、「WEBメディア・ポータルサイト(Yahoo!ニュース, Smart Newsなど)」が26.4%、「X(旧Twitter)」が16.2%となりました。
※ こどもの結果は本リリース2-7に記載。
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2. こども(15~18歳)の調査結果
2-1. 自ら命を絶つ同年代がいることに対する認識
自ら命を絶つ同年代がいることを、社会課題の一つとして認識しているかを問う設問に対して、「強く認識している」が37.4%、「どちらかといえば認識している」が46.3%となりました。
※ 大人の結果は本リリース1-1に記載。
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日本国内において自ら命を絶つ同年代がいることを、自分の周囲に起こりうる社会課題として認識しているかを問う設問に対して、「強く認識している」が34.7%、「どちらかといえば認識している」が43.0%となりました。
※ 大人の結果は本リリース1-1に記載。
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日本国内における自ら命を絶つこどもに関する事柄で認識していたものを問う設問に対して、最も多い回答は「知っていたものはない」(30.9%)となりました。知っていたものの中で回答が多かったものは、「日本はG7の中で10代の死因の1位が「自殺」となる唯一の国であった」が23.6%、「若年(18歳~29歳)の44.8%が希死念慮を持った経験がある」が22.4%、「大人も含めた日本全体における自殺者数は減少傾向にあるものの、こどもの自殺者数は増加傾向にある」が20.9%となりました。
※ 大人の結果は本リリース1-1に記載。
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自ら命を絶つ同年代のこどもがいることを自分の周囲に起こるかもしれないと認識していない理由を問う設問に対して、回答が多かったものは、「『自分の周りの友達は、自ら命を絶つ行動とは無関係だろう』と思っているから」が32.4%、「自分自身が周囲との関係性が良好であるため、そのような事柄を意識することが難しいから」が16.2%、「死というテーマが遠すぎると感じるから」と「ニュース等では『自ら命を絶った後の情報(訴訟や理由等)』にしか触れず、自分の生活には関わりが無いと感じるから」が同率で14.7%となりました。
※ 「自分の周囲に起こりうる社会課題として認識していない」と回答した人が対象(n=68)
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2-2. 深刻な悩みを持つこどもへの対応
あなたの周囲で、本気で自ら命を絶つことを考えたり、深刻な悩みを持っていそうな人の存在に気付いた際、その人にとって望ましい対応を知っているかを問う設問に対して、「具体的なことまで知っている」が7.7%、「どちらかといえば知っている」が36.6%となりました。
※ 大人の結果は本リリース1-2に記載。
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深刻な悩みを持つ人に対して行動を取ったことがあるかを問う設問に対して、「行動したことがある」が20.7%、「行動したことがない」が20.6%となりました。なお、「深刻な悩みを持っていると感じるこどもに、出会ったことがない」は53.9%となりました。
※ 大人の結果は本リリース1-2に記載。
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2-3. 自ら命を絶つ同年代がいることに対する理解に有用な情報
「自ら命を絶つ同年代がいること」についてどのような情報を知ると、今より関心を持てたり、行動しようと思えるかを問う設問に対して、回答が多かったものは、「若年(18歳~29歳)の44.8%が希死念慮を持った経験がある」が34.3%、「こどもの5人に1人は自殺未遂・自殺準備の経験がある」が30.1%、「令和4年の小中高生の自殺者数は、514人で過去最多であった」が22.0%となりました。
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2-4. 深刻な悩み・不安を持つこどもに対応する相談先に関する認知
自ら命を絶つほどの深刻な悩み・不安を持つこどもに対応する国・自治体・NPO等の相談先を知っているかを問う設問に対して、「存在を知っている」が72.4%、「存在を知らない」が27.6%となりました。
※ 大人の結果は本リリース1-4に記載。
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2-5. 深刻な悩みをもつこどもに起こりうる変化に関する認識
同年代が深刻な悩みや不安を持っている場合に、起こりうる変化として何が考えられるかを問う設問に対して、回答が多かったものは、「イライラしたり、気分が落ち込んだりする」が51.7%、「友人との関わり方が変わったり、身だしなみや生活習慣が乱れたりする」が48.9%、「自ら命を絶つことについて考えたり、関連する言動や行動をとる」と「不眠や食欲不振、体調不良が続く」が同率で46.3%となりました。
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2-6. 悩みを相談しやすい周囲の大人
自分の深刻な悩みや不安を周囲の大人に相談するとしたら、どの程度相談しやすいかを問う設問に対して、相談しやすい(とても相談しやすい+やや相談しやすい)と回答された相手は、「親・保護者」が50.3%、「話しやすい先生(そのほかの先生)」が45.0%、「養護教諭・スクールカウンセラー」が38.0%となりました。
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2-7.世の中で起こっている問題に関する認知の機会
普段、世の中で起こっている問題に関するニュースを見聞きする場所を問う設問に対して、回答が多かったものは、「テレビ」が55.9%、「YouTube」と「X(旧Twitter)」が同率で34.4%、「学校」が31.1%となりました。
※ 大人の結果は本リリース1-5に記載。
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■有識者コメント(NPO法人OVA 代表理事 伊藤次郎氏)
本調査において、最も注目すべき点は、こどもの自殺の問題について、大人よりもこどもが関心を持ち、その知識や問題意識を持っていた割合が高かったことである。これは、こどもにとって同世代の自殺関連行動がより身近な問題となっていることが背景にあると考えられる。また、本調査は、直接的な自殺リスクを持つこども本人ではなく、その周囲にいる大人や同世代のこどもと幅広い世代を対象としたことに意義がある。
こどもが自殺に追い込まれた際、家庭、学校、塾、習い事、アルバイト先など、さまざまな場面でその兆候が表れる可能性がある。
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そのため、周囲の人々がリスクに早期に気づき、適切な支援につなぐことが求められる。周囲の大人が、悩みを持つこどもの変化に気づき、話を聞き、支援につなぐ役割を担うことが自殺対策の早期発見において重要となる。『地域のみんなでこどもを見守る』という理想を掲げることは重要ではある。こどもの自殺の深刻さは、社会全体で取り組むべき問題として、広く啓発していくべきことだろう。
しかし、現在、少子化によってこどもの人口割合が低下し、こうした状況を自分事として捉えることが難しい大人も多いことが考えられる。調査結果を見ても、すべての大人に等しくこどもの自殺に問題意識や関心を持ってもらうことは容易ではない。より具体的な施策として、こどもと日常的な接触があり、自殺リスクに気づく可能性が高い立場にある大人、例えば、保護者や学校関係者はもちろんのこと、塾や習い事の先生、アルバイト先の大人など、こどもと関わりのある大人が機能するよう施策を重点的に行っていくことも重要と考えられる。
また、多くのこどもは、同年代が深刻な悩みや不安をもっている場合に起こりうる変化として「イライラしたり、気分が落ち込んだりする」を挙げていた。周囲の大人は、こうした小さな変化に気づく必要がある。調査結果からは悩みを持つこどもに、大人よりもこどもが気づき、具体的な行動を起こしている。こども同士の気づきをどう支援につなげていくかは、今後の課題である。
■悩みや困ったことなどの相談窓口があります
自ら命を絶つことを考えるような深刻な悩みを持つ人に対して、また、こどもの自殺の問題に悩んでいる人に対して、どんな小さなことでもすぐに相談できる窓口があります。下記の相談先などを通じて、専門の相談員があなたの声をしっかりと受け止め、サポートします。
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まもろうよこころ 悩みがある人、困っている人に対する電話やSNSの相談窓口を総合的に紹介しているサイトです。 |
24時間子供SOSダイヤル 18歳までのこどもがかける電話で、悩みの内容などに合わせて相談できる窓口を紹介します。 連絡先:☎0120-0-78310 |
#いのちSOS 「死にたい」「消えたい」「生きることに疲れた」などの気持ちを専門の相談員が受け止め、状況を整理し、必要な支援策などについて一緒に考えます。24時間365日対応。 連絡先:☎0120-061-338 |
支援情報検索サイト どこに相談したらいいのか分からない時は「支援情報検索サイト」にて地域別、方法別、悩み別に相談窓口を検索することができます。 |
■有識者検討会委員(敬称略)
NPO法人あなたのいばしょ 理事長 根岸督和
NPO法人OVA 代表理事 伊藤次郎
NPO法人Light Ring. 代表理事 石井綾華
NPO法人自殺対策支援センターライフリンク 情報デザイングループリーダー 鈴木洋平
一般社団法人いのち支える自殺対策推進センター(JSCP) 広報室長 山寺香
株式会社官民連携事業研究所 代表取締役 鷲見英利
株式会社大広WEDO チームリーダー 谷本卓哉
日本放送協会 大阪放送局 ディレクター 後藤怜亜
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