大阪・関西万博発、未来へつなぐSDGsのバトン 「OSAKA JAPAN SDGs Forum」開催報告

国連GSDR執筆者、世界No.1サステナブル企業講演 企業パネル討論、学生発表から歌唱・ダンスパフォーマンスまで、万博から発信するSDGs

大阪府(企画室)

大阪府は、「Osaka SDGs ビジョン」(令和2年策定)で目標に掲げる、大阪・関西万博の開催都市として、世界の先頭に立ってSDGsの達成に貢献する「SDGs 先進都市」の実現に向け、オール大阪でSDGsの新たな取組みの創出を図っていくこととしています。その一環として、大阪・関西万博会場内のEXPOホール「シャインハット」にて、「OSAKA JAPAN SDGs Forum」を2025年9月5日に開催しました。第一部では基調講演や産官民によるパネルディスカッション、第二部では演歌歌手・中村美律子氏による歌唱パフォーマンスや学生らによる発表、講演やパネルディスカッションを実施しました。

ダンスパフォーマンス「光結び(ひかりむすび)」
ダンスパフォーマンス「光結び(ひかりむすび)」

<当日の様子>

ダンスカンパニー DAZZLE(ダズル)とダンスユニット BOTAN(ボタン)、公募で選ばれた障がいのある方を含む出演者約70名によるオープニングダンスパフォーマンス「光結び」から第一部が開幕しました。

主催者挨拶では、大阪府の吉村知事が開催にあたる思いなどについて、次のように語りました。

「大阪府は、世界の先頭に立ってSDGsの達成に貢献する『SDGs先進都市』の実現をめざしています。万博イヤーである今年は、これまでの取組みをパワーアップし、本フォーラムを開催しています。『みんなの知恵をつなげて、世界を変えよう』をコンセプトに、皆様と一緒に培ってきたことや、皆様が普段から行っていることを積み上げて、SDGsのアクションを次に繋げていけたらと思います。」

吉村大阪府知事

基調講演では、国連事務総長の任命を受けた独立科学者15人の1人として、グローバル持続可能な開発報告書(GSDR 2023)の執筆を行なった、SDGsの第一人者である蟹江 憲史教授より、取組みの加速化に向けたキーワードである「変革」とSDGs+beyondの発信の重要性についてご講演いただきました。

「2030年まであと5年ですが、SDGsはそこで終わりではなく、その先も続いていく必要があります。地域や企業などの小さな単位で、その文化・伝統に基づいて未来を見据えた行動を行い、一つ一つの努力を繋げて行動の輪を広げていくことが最も大切です。」と述べ、日本におけるSDGsへの高い認知度や地方自治体の活動が「変革」を加速する可能性について語りました。そして、経済に頼らない成長や将来世代との協働、さらに、地域の活動を繋げることが、2030年以降を見据えたBeyond SDGsに向けて不可欠であると強調しました。

続く特別講演には、TIME誌及びStatistaによる「世界で最も持続可能な企業」に2年連続で首位に選出されるなど、SDGsの先進的な取り組みで知られているシュナイダーエレクトリック ジャパン カントリープレジデントの青柳 亮子氏に登壇いただきました。サステナビリティの実現に向けたあらゆる事業活動が世界で高く評価されている理由について、ゴール(目的)、ピープル(人)、デジタルの3つの観点から説明し、サステナビリティに関する独自の取り組みである「シュナイダー・サステナビリティ・インパクト(SSI)」を通じた気候変動対策や、IoTプラットフォーム「EcoStruxure」を活用した既存施設のネットゼロ化など、デジタル技術を用いた革新的なソリューションを提示しました。

「多くの会社ではサステナビリティの目標を達成することがコンプライアンスを守るために大切だと考えていますが、シュナイダーでは会社がより成長するチャンスだと考えています。」と述べ、日本の未来に貢献するインパクトメーカーとして今後も日本のサステナビリティに貢献していくことを強調しました。

慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授 蟹江氏
シュナイダーエレクトリック ジャパン 青柳氏

パネルディスカッションでは、消費者の脱炭素行動変容をめざすプロジェクト「みんなで減CO2(ゲンコツ)プロジェクト」に参画する大阪府と民間企業が、産官民それぞれができることについて議論しました。モデレーターは、株式会社日本総合研究所 チーフスペシャリスト 佐々木 努氏が務めました。

株式会社三井住友銀行 代表取締役兼副頭取執行役員 道岡 俊浩氏は、企業の脱炭素化だけでなく、生活者一人ひとりの意識・行動変容が不可欠だと指摘しました。Web通帳化による森林づくり活動へ寄付を行う環境保全活動や、北海道富良野の大自然で学ぶ子供向けの自然体験教育などを通じて、環境問題を「自分ごと化」する機会を提供していると述べました。また、複数の業界が連携することは、持続的で実行性のある変化を生み出し、非常に有意義であると述べました。

株式会社万代 常務取締役 河野 竜一氏は、スーパーマーケットの立場から、多忙な顧客に情報過多の店内で特定のメッセージを伝える難しさを説明しました。一方で、「万代 ゲンコツキャンペーン」には多くの好意的な反響があり、従業員への啓発や社会科見学への活用など、地道な取り組みを継続することが重要だと語りました。

江崎グリコ株式会社 執行役員SCM本部長 髙橋 康巳氏は、メーカーとして高いCO2削減目標を掲げていることを紹介しました。「環境に良いから高くても買ってほしい」ではなく、美味しさや健康といった商品本来の価値を向上させ、環境価値とセットで提供する必要があると強調しました。小売店と連携した実証実験で効果をデータ化し、取り組みを加速させたいと述べました。

(「高」は、はしごだかが正式表記)

大阪府環境農林水産部の原田 行司部長は、大阪府の2050年二酸化炭素排出量実質ゼロの目標の達成に向けた取り組みを紹介し、あらゆる主体の意識改革と行動喚起が重要だと述べました。最後に、オゾン層が回復に向かっている事例を挙げ、一人ひとりの努力が地球規模の課題を解決する力になると訴えました。

株式会社日本総合研究所 佐々木氏
株式会社三井住友銀行 道岡氏
株式会社万代 河野氏
江崎グリコ株式会社 髙橋氏
大阪府 原田氏

第二部では、補助犬の啓発活動を行っている演歌歌手の中村美律子氏が河内おとこ節を熱唱しました。「盲導犬をはじめ、補助犬は障がいがある方のパートナーであり、大切な存在です。誰もが安心して暮らせる社会にしていくために、周りにいる私たちも、自分には関係ないと思わず、配慮できることを考えていきたいですね。」と会場に呼び掛けました。

演歌歌手 中村 美律子氏
演歌歌手 中村 美律子氏

続く発表では、7月に開催した、このフォーラムのプレイベント「SDGsとビジネスの価値」について発表を行いました。プレイベントを共催した「QUINTBRIDGE」を運営する、NTT西日本株式会社 経営企画部 ミライ事業共創室 担当課長 QUINTBRIDGE オープンイノベーションデザイナー下川哲平氏は、参加者の真剣な議論から、SDGsを本業に位置づけ取り組んでいくことに、企業の強い関心を感じたとしつつも、「資金や人材の不足でビジネス化が難しい」というジレンマを指摘。「SDGsとビジネスの価値」というテーマの重要性を語りました。今冬には、大阪府と企業、「QUINTBRIDGE」共催のポストイベントを開催予定です。

NTT西日本株式会社 下川氏(画像右)、大阪府政策企画部 和田氏(画像左)

その後は、慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科准教授 川久保俊氏より、日本の自治体におけるSDGs施策の歩みと今後の方向性について講演がありました。川久保氏は「日本の自治体の8割、企業の5割がSDGsに取り組む一方、市民の理解は浅い。」と指摘。この課題に対し、個人の行動宣言を集約・分析する大阪府の「私のSDGs宣言プロジェクト」を紹介しました。宣言のデータから、学生は世界や差別、社会人は地域活動への関心が高いことが判明したと述べました。こうしたデータに基づき次の行動を促す「データでまちを診る」アプローチを「SDGs 2.0」と提唱し、SDGsの加速のためにデータ活用の重要性を強調しました。

SDGsを達成するための学生によるアイデアやアクションを顕彰する「第6回 関西SDGsユースアクション2024」において、「聞こえのハンデの無い未来社会をめざす」で「公益社団法人2025年日本国際博覧会協会賞」を受賞した関西大学北陽高等学校 SOSカード探究チーム、「投資から『再生』の『波動』を社会に起こす ReVibe(リバイブ)」で「近畿経済産業局長賞」を受賞した山脇学園高等学校 My blue sparklingと、ユース世代2チームの発表がありました。また、立命館大学が考える「社会共創の新たなカタチ」やパートナーシップを生かした学生向けの人材育成プログラム等について学校法人立命館 総合企画部 社会共創推進課担当者からもプレゼンテーションがありました。

NPO法人Deep People 中尾氏
山脇学園高等学校
関西大学北陽高等学校
立命館大学

プログラムの最後は、「SDGs全国フォーラム」の次期開催都市である豊田市の太田 稔彦市長、トヨタ自動車株式会社の大塚友美サステナビリティ推進担当 統括部長、蟹江教授による、「官民のパートナーシップの重要性について」をテーマとしたパネルディスカッションが行われ、「SDGsフォーラム」の次期開催都市である愛知県豊田市へ引き継がれました。

パネルディスカッションでは、愛知県豊田市とトヨタ自動車株式会社が、それぞれの取り組みおよび両者の連携によるSDGsの取り組み事例を紹介しました。大塚氏は「グローバルカンパニーでありながら、街の方々から愛され信頼され、『ありがとう』と言っていただけるような存在になっていきたい」と話しました。蟹江教授は、2団体による成功事例をそのまま真似するのではなく、エッセンスを学び、それぞれの地域文化や課題に合わせた方法で検討・実践していくことの重要性を強調しました。太田市長は、豊田市の取り組みについて「企業や市民の皆さんと一緒に取り組みを進めるというのが一番の基本」と話し、市町村がSDGs全国フォーラムを主催することで地方都市間の連携が促進され、持続可能な社会づくりが加速するとの見解を示し、来年のフォーラムへの意気込みを語りました。

太田豊田市長
トヨタ自動車株式会社 大塚氏
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授 蟹江氏

大阪府では、令和2年3月に策定した「Osaka SDGs ビジョン」に基づいてSDGs先進都市をめざした取組みを今後も続けてまいります。

詳細は、参考リンク「OSAKA JAPAN SDGs Forum」をご覧ください。

開催概要

1. 日時:2025年9月5日(金曜日)13時から17時30分まで(開場:12時)

2. 会場:EXPOホール「シャインハット」(大阪・関西万博会場内)

3. 参加対象者:SDGsにご関心のある、企業・自治体・NPO等の団体・大学の皆さまや学生の皆さま等

4. 定員・参加費: 定員:1,300名、参加費:無料

(参考)SDGs(エスディージーズ)について

持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは、2015年9月の国連サミットにおいて、全会一致で採択された国際目標です。

「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のため、2030年を年限とする17の国際目標で、その下に、169のターゲットが定められています。

SDGsは、発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むべき普遍的なものであり、自治体を含めた様々なステークホルダーが取り組むべき目標とされています。

大阪府では、令和2年3月に策定した「Osaka SDGs ビジョン」に基づいてSDGs先進都市をめざした取組みを進めています。

参考:Osaka SDGs ビジョン~大阪がめざす「SDGs 先進都市」の姿~

参考リンク:「OSAKA JAPAN SDGs Forum」

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会社概要

大阪府(企画室)

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URL
https://www.pref.osaka.lg.jp/index.html
業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
大阪府大阪市中央区大手前2丁目
電話番号
06-6941-0351
代表者名
吉村洋文
上場
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資本金
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設立
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