木の可能性を五感で感じるアート展示。大阪・関西万博「Wood Change 2025 ~使おう、日本の木。」

林野庁は、大阪・関西万博の「フューチャーライフヴィレッジ」において、9月23日(火)から29日(月)まで、日本の木材を活用した優れた事例を紹介する展示を行います。その展示内容についてお知らせします。

1. 展示会場 概要

展示会場では、木材の優れた加工技術や繊細な造形美を体感していただけます。円形にカットアウトされた木材を組み合わせた展示什器が空間全体を形づくり、来場者をやさしく包み込むように迎え入れます。木の質感や香りに満ちた会場内では、立体的なディスプレーが多彩な表情を見せ、木の持つ豊かさを直感的に感じ取ることができます。

さらに会場奥には、「日本の秋」をテーマにしたアート展示を展開。木の糸を張り巡らせて生み出される“秋のオーロラ”や、組子細工による文様が織りなす光と影が、移ろいゆく季節の情緒を映し出します。歩を進めるごとに異なる景色が現れ、木が持つ可能性を五感で味わえる特別なひとときをお楽しみいただけます。

また、展示什器には大阪産材を活用し、地域の木材利用や資源循環の取り組みを体現。空間全体が、単なる展示の場にとどまらず、持続可能な未来へとつながる「木とともにある暮らし」を実感できる舞台となっています。

2. 会場を彩るアート作品 1 「樹木布-JumokuFu-~日本の秋のオーロラ」

国内の樹木を糸に紡ぎ、そこからつくられたファブリック(布・繊維)で「日本の秋のオーロラ」を表現したアート作品を展示します。

樹木布は、エシカルな暮らしを体現するためのアイテムとして開発されており、国産の間伐材や端材を活用して特殊技術でつくられた糸を紡ぎ、織られています。木の特性を活かして、吸湿速乾性、消臭性に加え、樹木由来の風あい、ほのかな木の香り、使い込むほどにうつろう豊かな風合いが魅力です。

各地域の特色ある文化を彩る樹木や、森林の美しさを守るために伐り出される倒木や間伐材から生まれました。

“秋のオーロラ”は円形ユニットに樹木でつくった糸と布を張り、糸の持つ美しい色で秋を表現。※画像はイメージ/展示協力:縁樹の糸(大阪府)

今回の樹木糸として使っているのは、大阪産のスギ、ヒノキ、奈良県吉野のスギ、ヒノキ、兵庫県六甲山のスギ、ヒノキなど関西で伐採された木を使って制作しています。

樹木布アートのテーマである「日本の秋のオーロラ」は、飛鳥時代から続く染めの技術を活かし、「秋の紅葉」と「万葉文化」をイメージした色に。染めは土や草木を使い、すべて天然素材を使っています。

3. 会場を彩るアート作品 2 「組子アート:日本の秋・いのち」

伝統木工技術「組子(組子細工)」とは、釘を使わずに木を幾何学的な文様に組み付ける木工技術のことをいいます。

細くひき割った木に溝・穴・ホゾ加工を施しカンナやノコギリ、ノミ等で調節しながら1本1本組付けする繊細な技術です。格子状に組みつけた桟の中に「葉っぱ」と呼ばれる小さな木の部品を様々な形にはめ込むことで幾何学模様を表現します。

遠く飛鳥時代から長い年月をかけて職人たちの伝統を守る心と情熱により、現代まで引き継がれてきました。

本展示では、「日本の秋といのち」をテーマに4つの文様を使ったアート作品を制作します。

「桔梗」…秋の七草の一つとして知られ、古くから日本文化に深く根ざした花の一つ。

「八重麻の葉」…麻の葉がいくつも重なった様子をイメージした文様。

「胡麻」…古くから健康と長寿を願う薬用植物として親しまれてた植物。

「麻の葉」…子どもの健やかな成長を願う意味が込められた、日本を代表する伝統の文様。

組子を制作するための木材は、「氷見古材ノットワーク」(ノット=結び目と能登を掛け合わせ言葉)というプロジェクトチームによって、能登半島地震で被害を受けた富山県氷見市の被災家屋から取り出したものです。

繊細な組子細工で秋の風や移ろいを表現。木材は能登震災後、「古材レスキュープロジェクト(震災の被害家屋の木材を再利用)」としてストックされた木材を一部使用。/展示協力:株式会社タニハタ(富山県)

●「古材レスキュー」のストーリー

2024年1月1日に発生した能登半島地震では多くの家屋が被災し、氷見市においては700軒以上が公費解体される見込みです。古民家が織りなす風景は能登や氷見の大きな魅力でしたが、倒壊の危険から多くが解体されざるを得ない状況になっています。

「失われていく暮らしの記憶を残したい」という思いから活動しているのが、氷見古材ノットワークです。同団体が推進する「氷見古材レスキュープロジェクト」では、解体予定の建物から使える木材をレスキューし、文化資源として新しい命を吹き込む活動を続けています。

この活動に地元の方とともに通信制高校の学校法人青池学園AOIKE高等学校の生徒たちも参加しており、解体される蔵から材を取り出したり、救い出した古材を再利用のアイデアを考えたりしています。

今回の展示では、この取組に賛同した富山県の組子細工の老舗・株式会社タニハタが古材レスキューで保存された木材を活用し、組子アートとして制作します。同校の生徒たちは組子アートの制作にも関わって、自らの手で救済した古材が新たな作品に姿を変えて大阪・関西万博で発表します。

古材が組子アートとして再生する姿は、能登の記憶を未来へつなぐ象徴的な作品となります。地域の文化資源を守る取り組みは、震災からの復興支援であると同時に、次世代へその文化を継承する大切な機会となります。


「Wood Change 2025 ~使おう、日本の木。」
展示期間:2025年9月23日(火曜日)から9月29日(月曜日)まで
展示場所:万博会場内フューチャーライフヴィレッジ

4. 開催場所

2025年日本国際博覧会協会提供画像を加工して作成

フューチャーライフヴィレッジ(FLV)内

大阪・関西万博会場

交通アクセス:大阪メトロ中央線「夢洲駅」

西ゲートより 徒歩約6分

5. 関連サイト

Wood Change 2025 特設サイト https://rinya-expo2025.maff.go.jp

Wood Change 2025 インスタグラム https://www.instagram.com/woodchange2025/

6.木づかいシンポジウムの開催

初日の9月23日(火曜日)には、フューチャーライフヴィレッジ内のステージにおいて、「木づかいシンポジウム 2025 in 万博」を開催します。木造建築や木材の技術開発の最新事例を交え、木材利用の可能性について紹介します。詳細は順次、林野庁ウェブページに掲載します。

お問い合わせ先

林野庁 林政部木材利用課

担当者:中野・北平

代表:03-3502-8111(内線6122)

ダイヤルイン:03-6744-2298

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。

すべての画像


会社概要

URL
https://www.jwda.or.jp/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都千代田区大手町1-2-1 OtemachiOneタワー6階 ワークスタイリング内
電話番号
03-4588-6325
代表者名
土田 智子
上場
未上場
資本金
-
設立
2011年11月