香りは“視覚”に影響を与える効果あり~シャンプーの香りは、女性を魅力的に見せる効果あり/タバコの香りは、女性の魅力を低減させる~

カネボウ化粧品 香料研究室、奈良教育大学 “香りの感覚間相互作用”に関する共同研究を実施

株式会社カネボウ化粧品 香料研究室は、奈良教育大学・福井一教授と、香りと視覚の感覚間相互作用の観点から、特定の香りが女性の顔の視覚的印象に影響を与える効果について共同研究を行いました。
研究の結果、香りの種類により、視覚が影響を受けていることが分かりました。とくに、香りの嗜好性や残り香などを考慮してつくられた「シャンプーの香り* 」や、一般的なシャンプーの香りに用いられる香り素材である「白バラ」、 「ホワイト・ムスク」の香りは、より女性の顔を魅力的に見せる効果があることがわかりました。
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= 実験概要 =

■実験期間 :2013年1月~3月末
■実施場所 :奈良教育大学
■被験者 :健康で嗅覚が正常な男性32名(平均年齢:22.7歳)。被験者には、香りの種類を伏せて実験を行った。
■実験概要:
・被験者は、あらかじめ香りを漂わせた部屋に入室し、一定時間(一分間)香りを嗅いだ後に、スクリーンに映し出された女性の顔写真を30秒間見て、その写真に対する魅力度を評価した。
・女性の顔写真は3種類。それらは、日本人女性70名の顔写真をアベレージング(平均化法)により作成した。組み合わせを色々変え、事前に、本実験の被験者とは別の10名(男女各5名)が魅力度を評価し、それぞれ「美人顔(バランスの整った顔)」、「平均的な顔」、「それ以外の顔」とし、本実験で使用した。
・実験は、6種類の香りと、3種類の顔写真の組み合わせ(18パターン)を、順序をランダマイズして呈示した。顔写真に対する「魅力度」は、5段階で評価した。

<測定した香りの種類>  シャンプーの香り1*、シャンプーの香り2*、白バラ(ローズ・アルバ)の香り、ホワイト・ムスクの香り、タバコの香り、無臭
* この実験に使用した「シャンプーの香り」は、1・2ともに、カネボウ化粧品が30年余にわたり販売しているロングセラーブランドのシャンプーの香りです。1と2はともにフローラル系で似た香調ですが、1はローズを主とした香り、2はナルシス(水仙)やミューゲ(すずらん)を主とした香りです。


= 実験結果 =

■シャンプーの香りで、女性の顔は魅力的に見える
平均顔の女性の画像に対し、香りの影響が端的に表れたのが、シャンプーの香りでした。 男性被験者がシャンプーの香りを嗅ぎながら、女性の顔を見ると、無臭の時よりも、約10%その女性の顔が魅力的にうつるという結果となりました。(無臭時に対して、シャンプーの香り1呈示時で110.4%、シャンプーの香り2呈示時で109.1%の魅力度を示した。)
「残り香」で身体や毛髪を香らせる間接的な芳香は、平安時代から貴族女性の間で用いられてきた手法であり、現代の女性も「残り香」の優れたシャンプーや髪コロン等を効果的に用い、毛髪等の身体に香りのおしゃれを楽しんでいます。このような間接的な芳香は、実際に女性を魅力的に見せる効果があることが分かりました。

■香りの種類により、視覚が影響を受けている
今回の実験で、香りと視覚の感覚間相互作用を見た結果、香りの種類により、視覚が影響を受けていることが分かりました。今回の実験で使用したシャンプーの香りや、白バラの香り、ホワイト・ムスクの香りは、男性に対し女性の顔を魅力的に見せる効果があり、また、タバコの香りについては、女性の顔の魅力を大きく下げるという結果になりました。女性が香水を付けるのは、自分が好きな香りを楽しむためということももちろんですが、洋服と同じように、自分を引き立ててくれる「一種のおしゃれ」であるとみることができるのではないでしょうか。

■白バラ、ホワイト・ムスクの香りは、バランスの整った顔の女性をより魅力的に
魅力度が高いバランスの整った顔の女性の画像に対しては、 白バラとホワイト・ムスクの香りにおいて特に魅力度が増加することが分かりました。白バラとホワイト・ムスクは、シャンプーの香りに用いられている素材で、単独でも高い香りの嗜好性を示し、鎮静効果等の生理・心理効果が示されています。個性的で特徴のある印象を被験者に与える香りです。したがって、バランスの整った顔の画像に対しては個性的な香りでも許容され、女性をより一層魅力的に見せる効果を有していることが考えられます。

 

福井 一(ふくい はじめ)
奈良教育大学教育学部、同大学院教育学研究科 教授
京都市立芸術大学音楽学部音楽学科卒。
ミシガン大学大学院修士課程修了。
専門は、音楽生理学、行動内分泌学。

生化学物質(ホルモンや神経伝達物質)を調べることで、音楽がヒトにどのような影響を及ぼしているのかを研究する傍ら、カネボウ化粧品との共同研究で香りがヒトの体や心理に及ぼす影響を明らかにしている。

 

~(参考)香りの歴史について~
カネボウ化粧品 香料研究室  チーフパフューマー  駒木亮一
■間接的な香りの使い方「残り香」で、香りのおしゃれを楽しむ
照明には、直接照明と間接照明があります。光源が直接に対象物を照らす方法が直接照明、天井や壁に一度光を反射させて周囲を照らす方法が間接照明です。間接照明の方が光は軟らかく、対象物に陰影をつけくっきりと浮き上がらせることができます。
香りも同様で、直接的な芳香と間接的な芳香があります。直接的な芳香とは香りを直接肌につけ、その体温で香りを放散させる方法で、間接的な芳香とは着物、洋服の香りとして、あるいは頭髪や肌の「残り香」として身体全体を香りで包み込む方法です。間接的な芳香の方が香りは柔らかく、そこはかとなく香りが漂い、ヴェールのように対象物を被ってくれます。
源氏物語は、11世紀頃の平安時代に紫式部によって書かれた日本が世界に誇る長編恋愛小説です。一方で、香りの書としても読み解くこともできます。物語の随所に多数の香りが記載されているのです。衣装に焚き込められた香り、身体や長髪(ながかみ)に残る「残り香」、或いは部屋に残る香りなどを巧みに用いて、登場人物を香りでくっきりと浮き上がらせています。これらは優れた間接的な香りの使い方といえるでしょう。
現代の日本女性も香りを直接肌につける方法以外に、優れた香りを有するヘアシャンプー、コンディショナー、髪コロン、ボディケア等を効果的に使い、身体全体、そして毛髪を「残り香」等で香らせる「香りのおしゃれ」を楽しんでいます。すれ違い様に仄かに漂う香りは、意識するか否かに係わらず振りむかされるものです。 

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