世界№1の金融センター香港。人民元の国際化で一段と飛躍へ 5月開催の「think GLOBAL , think HONG KONG」シンポジウム 金融産業分科会への参加者募集中
世界№1の金融センターは香港――。世界の指導者層をスイスのダボスに集めて年次総会を開くことで有名な「世界経済フォーラム」の2011年世界金融センター・ランキングによると、香港がロンドンやニューヨークを抜いて世界1位に躍り出た。アジアの都市がトップを占めたのは初めてのこと。これは、香港における総合的な資本・金融サービスの質が高く評価されたことに他ならない。人民元の国際化が進展する中、香港は人民元での資金調達・資産運用センターとしての機能を強めており、金融面でも「中国へのゲートウェイ」としての地位を一段と強化している。
「世界経済フォーラム」による世界金融センター・ランキングは、世界60カ所の金融センターを対象に、資本・金融サービスのあり方、利用の難易度、安全性、規制や監督に従事する金融専門家の数などを基準に判定される。2011年のランキングは4回目で、その評価結果は世界中の金融関係者が注目するもの。前年のランキングで4位だった香港が一挙にトップに浮上したのは、IPO(新規株式公開)をはじめとするクオリティーの高い金融サービスが評価されたためである。
実際、香港は世界で最も自由な経済システムを堅持し、世界でもトップクラスの経済力を誇っている。これを背景として、世界の金融機関が集中する有数の地域に数えられている。世界の上位銀行100行のうち約70行が香港で業務を展開していることが一例だ。香港では市場の透明性やディスクロージャーの基準が高く、金融機関に対する監督も非常に厳格なことから、世界に冠たる金融センターの地位を確立しえたのだ。
「香港は、中国をはじめとするアジア市場への進出を目指す日本企業に様々なスプリングボードを提供しています。その中でも今、世界の企業が最も注目しているのが金融機能であり、その象徴がIPOによる資金調達額です。香港のこの金額は世界一で、成長機会を中国に求める世界の企業に加え、中国本土の企業が香港でのIPOをはじめとする資金調達に強い関心を示しているのです」と、香港貿易発展局香港貿易発展局のレイモンド・イップ副総裁は強調する。
ちなみに、香港における2011年のIPOによる資金調達額は334億米ドルで、世界1位となり、3年連続トップの座を確保した。「加えて、未上場企業にとっての資金調達の場として欠かせないベンチャー・キャピタル市場が整備されています。香港はアジア最大のベンチャー・キャピタル・センターであり、アジア市場の約22%のシェアを占めているのです」と、イップ副総裁は続ける。
証券市場も活況を続け、香港証券取引所の上場企業時価総額は2兆2580億米ドル(2011年末)で、世界7位の座にある。昨年4月、東証上場の総合金融会社SBIホールディングスが日本企業として初めて香港証券取引所に上場し、話題を呼んだ。高水準のIPOに加え、「中国での知名度を高めるという観点から、香港市場を資金調達のプラットフォームとして活用することに興味を持つ日本企業が増えている」と言われる。
日本を抜き世界第2位の経済大国になった中国の通貨・人民元は、世界的に存在感を増している。これを背景に、中国政府は人民元の国際化を進めつつある。とりわけ、香港の資本・金融市場に大きなインパクトを与えたのが、人民元建て貿易決済の大幅な規制緩和だ。具体的には、中国政府は2010年7月から人民元建て貿易決済の対象国を全世界に拡大し、中国内の適用地域も広げた。これをきっかけに、香港での人民元による貿易決済、預金、融資、債券発行という、いわゆる人民元ビジネスが急拡大した。
「香港は人民元建て貿易決済で世界最大のセンターになっています」と、イップ副総裁はコメントする。確かに、人民元建て貿易決済額に占める香港の取引比率は70%を超えている。人民元建て貿易決済は中国企業の為替リスクをゼロにするため、貿易をさらに拡大する効果がある。
一方、香港のオフショア人民元建て債券市場は、2007年6月に中国本土の銀行による発行が認められて始まった。今では人民元建て債券は「点心債」と呼ばれ、人民元の長期的な値上がり益期待によって投資家の人気を集めている。人民元建て貿易決済の規制緩和の効果もあって、香港における2011年の人民元建て債券発行額は1060億元と、前年(358億元)の3倍近くに増加した。
人民元の国際化を背景に、香港は人民元の資金調達・資産運用センターとしての機能を一段と強めているわけだ。「香港の有識者は人民元を核とするアジア共同市場を研究しています。日本企業も今からそのような事態に備える必要があるのではないでしょうか」。香港貿易発展局の古田茂美・日本首席代表の示唆である。
中国という成長市場にビジネスチャンスを求める日本企業にとって、香港を活用するメリットをよく理解するには、香港貿易発展局が5月に日本で開催する「think GLOBAL, think HONG KONG」シンポジウムに参加してほしい。「人民元の国際化と世界No1の金融センター香港」をテーマにした金融産業分科会がある。基軸通貨であるドルにかわる国際通貨体制改革の機運がますます高まり、人民元の国際化への模索が始まっている中、国際社会は、とりわけ日本企業は、この新時代をどのように切り拓くべきかを日港の金融当局、ビジネスリーダーが最新情報を議論する。登壇者としては香港金融管理局(日本では日銀に相当)の陳徳霖(ノーマン・チャン)総裁をはじめ、財務省中尾武彦 財務官、HSBCホールディングス香港部門CEOの馮婉眉(アニタ・フン)が登場する予定である。
日本のビジネスリーダーにとって、このシンポジウムが経営戦略策定のための、そして情報収集につながる交流のための、絶好の機会になることは間違いない。
申し込みはこちらまで(入場無料)
think GLOBAL, think HONG KONG Website:
http://www.thinkglobalthinkhk.com/jp/index.htm
■香港貿易発展局について
香港貿易発展局(Hong Kong Trade Development Council)は、香港の対外貿易促進を目的に1966年に設立された準政府機関で、世界40以上の都市に事務所を開設しています。香港の企業やサービスを利用したビジネスや、中国・アジアへのビジネスの拠点としての香港活用を支援しています。
(写真)香港貿易発展局副総裁 レイモンド・イップ(Raymond Yip)
「世界経済フォーラム」による世界金融センター・ランキングは、世界60カ所の金融センターを対象に、資本・金融サービスのあり方、利用の難易度、安全性、規制や監督に従事する金融専門家の数などを基準に判定される。2011年のランキングは4回目で、その評価結果は世界中の金融関係者が注目するもの。前年のランキングで4位だった香港が一挙にトップに浮上したのは、IPO(新規株式公開)をはじめとするクオリティーの高い金融サービスが評価されたためである。
実際、香港は世界で最も自由な経済システムを堅持し、世界でもトップクラスの経済力を誇っている。これを背景として、世界の金融機関が集中する有数の地域に数えられている。世界の上位銀行100行のうち約70行が香港で業務を展開していることが一例だ。香港では市場の透明性やディスクロージャーの基準が高く、金融機関に対する監督も非常に厳格なことから、世界に冠たる金融センターの地位を確立しえたのだ。
「香港は、中国をはじめとするアジア市場への進出を目指す日本企業に様々なスプリングボードを提供しています。その中でも今、世界の企業が最も注目しているのが金融機能であり、その象徴がIPOによる資金調達額です。香港のこの金額は世界一で、成長機会を中国に求める世界の企業に加え、中国本土の企業が香港でのIPOをはじめとする資金調達に強い関心を示しているのです」と、香港貿易発展局香港貿易発展局のレイモンド・イップ副総裁は強調する。
ちなみに、香港における2011年のIPOによる資金調達額は334億米ドルで、世界1位となり、3年連続トップの座を確保した。「加えて、未上場企業にとっての資金調達の場として欠かせないベンチャー・キャピタル市場が整備されています。香港はアジア最大のベンチャー・キャピタル・センターであり、アジア市場の約22%のシェアを占めているのです」と、イップ副総裁は続ける。
証券市場も活況を続け、香港証券取引所の上場企業時価総額は2兆2580億米ドル(2011年末)で、世界7位の座にある。昨年4月、東証上場の総合金融会社SBIホールディングスが日本企業として初めて香港証券取引所に上場し、話題を呼んだ。高水準のIPOに加え、「中国での知名度を高めるという観点から、香港市場を資金調達のプラットフォームとして活用することに興味を持つ日本企業が増えている」と言われる。
日本を抜き世界第2位の経済大国になった中国の通貨・人民元は、世界的に存在感を増している。これを背景に、中国政府は人民元の国際化を進めつつある。とりわけ、香港の資本・金融市場に大きなインパクトを与えたのが、人民元建て貿易決済の大幅な規制緩和だ。具体的には、中国政府は2010年7月から人民元建て貿易決済の対象国を全世界に拡大し、中国内の適用地域も広げた。これをきっかけに、香港での人民元による貿易決済、預金、融資、債券発行という、いわゆる人民元ビジネスが急拡大した。
「香港は人民元建て貿易決済で世界最大のセンターになっています」と、イップ副総裁はコメントする。確かに、人民元建て貿易決済額に占める香港の取引比率は70%を超えている。人民元建て貿易決済は中国企業の為替リスクをゼロにするため、貿易をさらに拡大する効果がある。
一方、香港のオフショア人民元建て債券市場は、2007年6月に中国本土の銀行による発行が認められて始まった。今では人民元建て債券は「点心債」と呼ばれ、人民元の長期的な値上がり益期待によって投資家の人気を集めている。人民元建て貿易決済の規制緩和の効果もあって、香港における2011年の人民元建て債券発行額は1060億元と、前年(358億元)の3倍近くに増加した。
人民元の国際化を背景に、香港は人民元の資金調達・資産運用センターとしての機能を一段と強めているわけだ。「香港の有識者は人民元を核とするアジア共同市場を研究しています。日本企業も今からそのような事態に備える必要があるのではないでしょうか」。香港貿易発展局の古田茂美・日本首席代表の示唆である。
中国という成長市場にビジネスチャンスを求める日本企業にとって、香港を活用するメリットをよく理解するには、香港貿易発展局が5月に日本で開催する「think GLOBAL, think HONG KONG」シンポジウムに参加してほしい。「人民元の国際化と世界No1の金融センター香港」をテーマにした金融産業分科会がある。基軸通貨であるドルにかわる国際通貨体制改革の機運がますます高まり、人民元の国際化への模索が始まっている中、国際社会は、とりわけ日本企業は、この新時代をどのように切り拓くべきかを日港の金融当局、ビジネスリーダーが最新情報を議論する。登壇者としては香港金融管理局(日本では日銀に相当)の陳徳霖(ノーマン・チャン)総裁をはじめ、財務省中尾武彦 財務官、HSBCホールディングス香港部門CEOの馮婉眉(アニタ・フン)が登場する予定である。
日本のビジネスリーダーにとって、このシンポジウムが経営戦略策定のための、そして情報収集につながる交流のための、絶好の機会になることは間違いない。
申し込みはこちらまで(入場無料)
think GLOBAL, think HONG KONG Website:
http://www.thinkglobalthinkhk.com/jp/index.htm
■香港貿易発展局について
香港貿易発展局(Hong Kong Trade Development Council)は、香港の対外貿易促進を目的に1966年に設立された準政府機関で、世界40以上の都市に事務所を開設しています。香港の企業やサービスを利用したビジネスや、中国・アジアへのビジネスの拠点としての香港活用を支援しています。
(写真)香港貿易発展局副総裁 レイモンド・イップ(Raymond Yip)
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