自殺が多い夏休み明け。「学校行きたくない」発言の子どもにするべきではなかった対応「登校刺激」「不満を表す」が計76.1%
発達障害や不登校のお子さんとご家族に向けて、孤独をなくし居場所を提供するサービス・Branch(ブランチ)を運営する株式会社WOODY(本社:東京都渋谷区、代表取締役中里祐次)は、8月末から9月にかけて子どもの夏休みが終わることを機に、不登校や行き渋りの子どもを持つ保護者の方に、アンケートを実施しました。詳しい結果をご報告します。
最初に:子どもの自殺が多い夏休み明け
こんにちは。「好きで自信を創り、好きで社会とつながる」をビジョンに、発達障害や不登校のお子さんが好きなことを見つけたり、好きなことができる環境創りをするサービスを提供しているBranch(ブランチ)です。
上の画像からも分かるように、長期休み明けは子どもの自殺数が伸びる傾向にあります。そして1年で最も自殺率が高いのは、9月1日だと言われています。夏休み明けは特に登校への拒否感やストレスが高まり、それに伴い自殺のリスクも高まっていると言えるでしょう。不登校・行き渋りの傾向を持つお子様がいらっしゃるご家庭は、注意が必要です。
では、不登校・行き渋り傾向のお子様の精神状態が不安定である夏休み明けに、親はどのような対応を取るべきなのでしょうか。今回はそれを調査するべく、子どもの不登校・行き渋りと、「死にたい」「消えたい」等の希死念慮、自殺念慮を示す発言に関してアンケートを作成しました。
【調査概要】
・調査期間:2024年8月20日~8月26 日(7日間)
・回答者: Branchの公式LINE登録者 計98名
・調査方法:インターネット調査
Q1 お子様の学年を教えてください
98名の回答の内、小学校低学年(1-2年)と回答した方は17.3%(17名)、小学校中学年(3-4年)と回答した方は23.5%(23名)、小学校高学年(5-6年)と回答した方は21.4%(21名)、中学生と回答した方は31.6%(31名)、高校生と回答した方は5.1%(5名)、その他(高専など)と回答した方は1%(1名)となりました。
Q2 お子様の、現在の不登校・行き渋りの度合いを教えてください
98名の回答の内、完全不登校が続いていると回答した方は41.8%(41名)、月に数回ほど登校すると回答した方は19.4%(19名)、週に2〜3日登校すると回答した方は10.2%(10名)、ほとんどの日に登校するが、たまに休むと回答した方は19.4%(19名)、毎日登校していると回答した方は9.2%(9名)となりました。
Q3 お子様が「学校行きたくない」等の発言をした当初、学校に行かせようとしましたか?
98名の回答の内「強くした」と回答した方が51%(50人)、「した」と回答した方が20.4%(20人)、「あまりしていない」と回答した方が19.4%(19人)、「全くしていない」と回答した方が7.1%(7人)、「覚えていない」と回答した方が1%(1%)となりました。
Q4 お子様が「学校行きたくない」等の発言をした際、して良かったと思う対応を教えてください。
寄せられた84名の回答を種類別に分けてまとめました。結果は、「休ませる」が54.8%(46名)、子どもと話し合うが16.7%(14名)、「第三者に相談する」が9.5%(8名)、「楽しいことをする」が4.8%(4名)、「学校以外の受け入れ先を探す」が3.6%(3名)、「ない・分からない」が3.2%(3名)、「登校させる」が1.1%(1名)、「その他」が6%(5名)となりました。
具体的な回答例
寄せられた回答を一部紹介します。
休ませる
-
毎朝行けるかどうか確認することや、明日は行こうとか、1週間だけお休みしようとか、休む期限を決めることをやめた。最初は布団からも起きれない状態だったが、私が全く学校のことを言わなくなってからは、安心したようで、逆に回復が早まったように思う。
普通に休ませてあげたら安心したようだった。
話し合う
-
子どもと散歩をしていろいろな話をした。できるだけ子どもの好きにさせた。
-
どんな気持ちか絵で表してもらった。まだ言語化が難しい年齢なので、感情を表現することにつながり、本人もすっきりした様子が見られた。親も理解が深まった。
第三者に相談する
-
わりと早い段階で、相談室の先生に連絡し、相談にのっていただいたこと。お先真っ暗なときに、アドバイスや、見通しを教えて頂いたり、他の先生方とも連携してくださって、なんとか私は孤立せずにやってこれた。
-
一旦連続して休ませ、親がカウンセラーに対応を相談した。その後、「いきたい授業だけいけばいい」と伝え、まずは放課後に翌日の時間割を担任にもらいにいくだけを続けた。担任と勉強に関係ない話をするのが楽しく、徐々に復帰する日が増えた。まだ低学年だったので、基礎だけはわからないと、と、漢字と九九など基礎計算だけは、家庭で楽しめるように教えたことが、授業に途中からでも復帰しやすくよかった。
Q5 お子様が「学校行きたくない」等の発言をした際、するべきではなかったと思う対応を教えてください。
寄せられた88名の回答を種類別に分けてまとめました。結果は「登校刺激をする」が62.5%(55名)で、「不満を表す」が13.6%(12名)、「理由、思いを問い詰める」が6.8%(6名)、「勉強させる」が3.4%(3名)、「その他」が13.6%(12名)となりました。
具体的な回答例
寄せられた回答を一部紹介します。
登校刺激をする
-
不登校になったらどうしようという恐怖感から、学校へいけ!と息子を追い出すような勢いで登校を無理強いしたこと。今思うと、どれほどひどいことをしていたかと怖くなります。
-
無理に行かせようとしたこと 原因を探してそれをなくそうと努力したこと 結果的に2年半完全不登校になった。
不満を表す
-
「行きなさい」と言うこと、「また?」と責めること、ため息をつくこと、嫌な顔をすること。
-
気持ちを否定する、家に居づらくさせる。きつくあたる。
その他
-
担任の先生と一対一でやりとりをする事。
-
本人に気持ちなど聞かず、学校の言いなりになる。
Q6 お子様は不登校・行き渋りの状態の際、「死にたい」「消えたい」等の発言をしていましたか?
98名の回答の内、「していた」と回答した方は29.6%(29名)、「たまにしていた」と回答した方は20.4%(20名)、「ほぼしていない」と回答した方は7.1%(7名)、「全くしていない」と回答した方は41.8%(41名)、「覚えていない」と回答した方は1%(1名)となりました。
Q7 お子様が「死にたい」「消えたい」等の発言をした際、どのような対応を取っていましたか?
寄せられた58名の回答を種類別に分けてまとめました。結果は、「受け止める、話を聞く」が43.9%(25名)、「死んで欲しくないと伝える」が28.1%(16名)、「動揺、何もしていない」が10.5%(6名)、「外部に支援を求める」が5.3%(3名)、「一人にさせない」が3.5%(2名)、「その他」が8.8%(5名)となりました。
具体的な回答例
寄せられた回答を一部紹介します。
受け止める、話を聞く
-
そうなんだね。と受け止める。アドバイスはしない。ハサミや包丁等は届かないところに置く。
-
話をして一緒に泣いたり、抱きしめたり、子供を大切に思っている事を伝えた。夜寝る前に手足をマッサージしたり、添い寝して話を沢山した。
死んで欲しくないと伝える
-
お母さんは大好きな〇〇に死んでほしくないから、もしそんなことになったら絶対止めるよ、と伝えた。
-
私は生きていて欲しい、私はそんな事になったら辛いと私の気持ちをしっかり伝えた。学校に行かなくていいと伝えました。
Q8 お子様が「死にたい」「消えたい」等の発言をした際、して良かったと思う対応があれば教えてください。
寄せられた50名の回答を種類別に分けてまとめました。結果は、「受け止める、話を聞く」が41.7%、「『死んだら悲しい』『大好き』など気持ちを伝える」が16.7%、「一緒いいる時間を増やす」が6.3%、「楽しいことをする」が8.3%、「ない、分からない」が12.5%、「その他」が6.3%となりました。
具体的な回答例
寄せられた回答を一部紹介します。
受け止める、話を聞く
-
本人の気持ちは受け止めつつ、人の心は疲れ過ぎるとそういう気持ちが出てくる物だよと、客観的な視点も伝えた。
-
家庭内は安心できる様に、自分もやわらかい気持ちになる様心掛けた。気持ちを受け止めた。
「死んだら悲しい」「大好き」など気持ちを伝える
-
「ママは死んだら悲しいよ」と言う。 こちらに余裕があるときは、カウンセラーに教えてもらったとおりに、「死にたいほど辛いんだね」と共感した。
-
どんなことが辛いのか、不安なのか話してもらえそうなら、話してもらう。お母さんは〇〇と思う、とアイメッセージで自分の気持ちを伝える。
Q9 お子様が「死にたい」「消えたい」等の発言をした際、するべきではなかったと思う対応があれば教えてください。
寄せられた45名の回答を種類別に分けてまとめました。結果は、「怒る、否定する」が43.9%、「一緒に悲しくなる」が24.4%、「理由を突き詰める」が7.3%、「ない、分からない」が14.6%、「その他」が9.8%となりました。
具体的な回答例
具体的に寄せられた回答を一部紹介します。
怒る、否定する
-
怒る親の心に余裕がなく、「なんでそんなこと言うの!?」と責めるような口振りでやめさせようとしてしまったことがあった。子どもの気持ちに寄り添うことができなくて、ただネガティブな言葉を聞きたくないという自分の気持ちだけを優先してしまった。
-
それは甘えだ、弱いなど否定するような発言。そんなことでは将来やっていけないと脅すような発言。
一緒に悲しくなる
-
1人で抱え込んで、こちらまで不安でいっぱいになった事。
-
親が落ち込み、その様子を本人に見せてしまう事(本人以外の信頼できる家族やカウンセラーさんなどに聞いてもらい、本人の前ではなるべく普段通り落ち着いて接してあげるのが良いと思います)
総括
アンケートの結果、「学校行きたくない」と登校渋りを見せた子どもに対して、登校刺激や不満を見せるよりも学校を休ませる方が良い選択だと考えている方が多く見られました。
また、「Q5お子様が『学校行きたくない』等の発言をした際、するべきではなかったと思う対応を教えてください。」に関しては、「登校刺激をする」「不満を表す」が計76.1%、「登校させる」に該当する回答が「その他」内の1件しか見られないことが特徴的でした。
いずれにせよ、夏休み明けに不登校・登校渋りの傾向を見せた子どもに対しては、無理に学校へ行かせるのではなく、しっかりと休ませて、心の休息を取ることが安全だと考えられます。
■Branchのサービスについて
Branchでは現在、3つのサービスを展開し、不登校や発達障害のお子様とご家庭をサポートしています。
①Branchコミュニティ
Discordというオンラインツールをつかったコミュニティサービスです。お子さまと保護者さまのどちらも利用することができます。
子ども用と保護者用。それぞれにコミュニケーション用のチャンネルがあり、さまざまな活動をしています。
子どもたち一人ひとりの「好き」なことを軸に交流ができます。また、発達障害に理解があり、研修を受けたスタッフが運営をサポートすることで、一人ひとりのちがいが尊重され、否定されず安心できる環境になっています。
②Branchメンターマッチング
Branchメンターは、発達障害・不登校のお子さま向けの「好きなことを伸ばすこと」に特化した、訪問 / ビデオチャットでのサービスです。
人は自分を受け入れてくれる人が3人いると、自尊心が育ちやすいと言われています。
発達障害のあるお子さんの中には、その独特の感性から、身近な友人・知人・家族とはなかなか会話が合わないことがあります。
そんな時に、そのお子さんの「好き」なことを同じように「好き」な大人をマッチングするサービスです。
③代官山Branch roomサービス
東京・代官山にある教室「Branch room」でスタッフと1対1で遊ぶ/学ぶことができます。スタッフと1対1の環境で、他の子に合わせる必要はなく、その時その場でやりたいことができます。
◾️取材窓口・取材相談窓口
取材は決まっていないものの、企画段階で相談をしたい、不登校の現状を知りたい、リアルタイムの相談状況(夏休み明けに相談が増えたか)などの相談・意見交換も受け付けております。以下URLからお申込ください。
https://form.run/@contact-SyCOSa91BiwjTMMajJS3
■株式会社WOODY について
「好きで自信を創り、好きで社会とつながる」をビジョンに、発達障害や不登校の子とその家族が幸せになるために、「好き」で人とつながることで孤独をなくし、「好き」で可能性が伸びる環境づくりをするサービス、Branchを運営しています。
■株式会社WOODY 代表 中里祐次プロフィール
2007年、早稲田大学卒業後、㈱サイバーエージェント入社。子会社の㈱サイバー・バズにて広告クリエイティブのディレクションを担当し東京インタラクティブ・アド・アワード受賞。広告プランニング/商品開発経験後、子会社の㈱プーペガール取締役に就任。その後Amebaにて、ソーシャルゲームのスマートフォン対応、プラットフォームのオープン化担当、プロジェクト責任者などを経て独立。
2013年11月にWOODYを創業。
すべての画像