CSRA加盟コミュニティ放送局と日本レコード協会との間の訴訟における第一審判決について
CSRA加盟コミュニティ放送局29局で構成するサイマル放送推進の会が原告となり、一般社団法人日本レコード協会を被告としてなされた契約上の地位確認請求訴訟につき、平成28年6月8日、東京地裁において第一審判決が下されました。
同判決は、コミュニティ放送局が放送と同時にインターネット上で配信している音楽情報番組が、株式会社エムティーアイの提供するアプリ「Listen Radio」において「まとめチャンネル」の名のもとに聴取できるようになっていること等を根拠として、同「まとめチャンネル」が、エムティーアイの発意と責任の下でなされた番組であり、コミュニティ放送局の自主制作番組ではないと認定しました。
そして、かかる認定に基づき、日本レコード協会が集中管理事業として文化庁に届け出ている、コミュニティ放送局との間で締結したサイマル配信に関する音源の使用許諾契約を更新しなかったことが、著作権等管理事業法に照らしても正当な理由がないとは言えないとの判断を下しました。しかしながらサイマル放送推進の会は、同判決は、誤った事実認定の下での合理性及び妥当性を欠く不当な判決であると考えております。
Listen Radioアプリには、他のアプリにも備わっている再生予約機能により、J-POP等のワンコーラス音源を紹介する音楽情報番組を放送する各コミュニティ放送局のチャンネルを自動的に切り替えて聴くことのできる機能があります。この機能を利用した「まとめチャンネル」は、コミュニティ放送局によりサイマル配信された音楽情報番組を受信する、いわば「ラジオ放送の受信機」と同様のものにすぎません。配信される音楽情報番組自体は、これに参加する各コミュニティ放送局が、互いに番組制作能力を補い、番組制作に対する意向を十分に伝えあって、共同で制作したものです。そして、自局の編成方針に従い同音楽情報番組の地上波放送を決定し公衆に提供しているのは、各コミュニティ放送局に他なりません。つまり、各コミュニティ放送局が、音楽情報番組についての「発意」と「責任」を有しながら同番組を地上波放送し、それらを並行してサイマル配信していることは明白であり、同番組が各コミュニティ放送局にとっての「自主制作番組」に該当することは当然のことです。同判決の事実認定は、ラジオ・テレビを問わず、放送業界において当然とされてきた常識的な扱いを根底から覆すものであります。
また、各コミュニティ放送局は、レコード協会が著作権等管理事業法に基づき集中管理事業として文化庁に届出し公示した使用料規程に従い、著作権使用料を支払っております。使用料規定には、地域制限のないビジネスユースについて定める本則と、コミュニティ放送局に対する配慮措置としての細則があり、各原告はこれまで細則に基づいて使用料を支払ってきました。細則には、地上波放送についての地域制限に関する制限がありますが、本則にはその制限はありません。仮に、上記のようなListen Radioアプリと音楽情報番組が細則の適用対象とならないとしても、本則は適用されるとサイマル放送推進の会は主張して来ました。しかし、同判決はこの本則と細則の位置付けの違いに一切言及することなく、細則部分のみをもって判断を行っています。その点においても、同判決は、審理を尽くした合理的なものであるとは決して言えません。
以上に加え、何よりも疑問であるのは、同判決が、コミュニティ放送局の社会的な役割を矮小化していることです。コミュニティ放送局は、放送法上、一の市町村の一部の区域における需要に応えるための放送設置理由として開設されるものであり、当然のことながら「音楽情報番組」も、その地域住民の需要に応えるものです。しかし、インターネットを通じてコミュニティ放送局の番組を地域住民のみならず、全国の方に満足をしていただくということは、放送と通信の融合という視点でメディアとして十分に想定された事業形態です。
しかしながら、同判決は、Listen Radioアプリの「まとめチャンネル」機能により聴取できる形で、音楽情報番組をサイマル配信することは、コミュニティ放送局に対する許可の範囲を逸脱していると断言しました。ラジオ受信機がスマートフォンに代わりつつある今日、インターネットによる受信形態の変化に適応していくことも、ラジオ放送局の責務であると考えます。同判決は、まだスマートフォンが台頭していなかった頃の旧態依然とした感覚に基づいた、時代錯誤的な判断に基づくものであります。
もはやスマートフォンがラジオ受信機にとって代わり、音楽離れや音楽を購入しない層が明確になりつつある昨今において、音楽が放送局の行うインターネット利用からも消えてしまうことは、音楽文化の衰退に一層の拍車をかけるのみならず、今後の放送と通信の融合や、新たなビジネス展開への道も途絶されることになります。
ListenRadioアプリにおける「まとめチャンネル」のようなインターネットでの放送番組の活用は、月間数百時間にもおよぶリスナーと音楽の接点を生み出すだけでなく、音楽自体そのものの普及、文化的形成を促進するものであり、アーティストの活動を支援するものです。日本レコード協会会員各社の本来あるべき道は、かかるコミュニティ放送局と手を携え、音楽文化の将来を切り開くイノベーションを支援するものであるべきです。
上記のように、今回の判決は、誤った事実認定に基づく不当なものであることはもちろん、単なるコミュニティFM放送局にとどまらず、我が国のラジオ局全体及び音楽業界の現在そして将来の閉塞に繋がるものであり、到底承服できるものではありません。
サイマル放送推進の会では、改めて知財高裁による審理を求める方向で、現在その準備を進めているところです。我が国のコミュニティ放送局と音楽文化の維持・発展のため、私たちは闘い続けます。みなさま方の暖かいご支援を賜りたくよろしくお願いいたします。
同判決は、コミュニティ放送局が放送と同時にインターネット上で配信している音楽情報番組が、株式会社エムティーアイの提供するアプリ「Listen Radio」において「まとめチャンネル」の名のもとに聴取できるようになっていること等を根拠として、同「まとめチャンネル」が、エムティーアイの発意と責任の下でなされた番組であり、コミュニティ放送局の自主制作番組ではないと認定しました。
そして、かかる認定に基づき、日本レコード協会が集中管理事業として文化庁に届け出ている、コミュニティ放送局との間で締結したサイマル配信に関する音源の使用許諾契約を更新しなかったことが、著作権等管理事業法に照らしても正当な理由がないとは言えないとの判断を下しました。しかしながらサイマル放送推進の会は、同判決は、誤った事実認定の下での合理性及び妥当性を欠く不当な判決であると考えております。
Listen Radioアプリには、他のアプリにも備わっている再生予約機能により、J-POP等のワンコーラス音源を紹介する音楽情報番組を放送する各コミュニティ放送局のチャンネルを自動的に切り替えて聴くことのできる機能があります。この機能を利用した「まとめチャンネル」は、コミュニティ放送局によりサイマル配信された音楽情報番組を受信する、いわば「ラジオ放送の受信機」と同様のものにすぎません。配信される音楽情報番組自体は、これに参加する各コミュニティ放送局が、互いに番組制作能力を補い、番組制作に対する意向を十分に伝えあって、共同で制作したものです。そして、自局の編成方針に従い同音楽情報番組の地上波放送を決定し公衆に提供しているのは、各コミュニティ放送局に他なりません。つまり、各コミュニティ放送局が、音楽情報番組についての「発意」と「責任」を有しながら同番組を地上波放送し、それらを並行してサイマル配信していることは明白であり、同番組が各コミュニティ放送局にとっての「自主制作番組」に該当することは当然のことです。同判決の事実認定は、ラジオ・テレビを問わず、放送業界において当然とされてきた常識的な扱いを根底から覆すものであります。
また、各コミュニティ放送局は、レコード協会が著作権等管理事業法に基づき集中管理事業として文化庁に届出し公示した使用料規程に従い、著作権使用料を支払っております。使用料規定には、地域制限のないビジネスユースについて定める本則と、コミュニティ放送局に対する配慮措置としての細則があり、各原告はこれまで細則に基づいて使用料を支払ってきました。細則には、地上波放送についての地域制限に関する制限がありますが、本則にはその制限はありません。仮に、上記のようなListen Radioアプリと音楽情報番組が細則の適用対象とならないとしても、本則は適用されるとサイマル放送推進の会は主張して来ました。しかし、同判決はこの本則と細則の位置付けの違いに一切言及することなく、細則部分のみをもって判断を行っています。その点においても、同判決は、審理を尽くした合理的なものであるとは決して言えません。
以上に加え、何よりも疑問であるのは、同判決が、コミュニティ放送局の社会的な役割を矮小化していることです。コミュニティ放送局は、放送法上、一の市町村の一部の区域における需要に応えるための放送設置理由として開設されるものであり、当然のことながら「音楽情報番組」も、その地域住民の需要に応えるものです。しかし、インターネットを通じてコミュニティ放送局の番組を地域住民のみならず、全国の方に満足をしていただくということは、放送と通信の融合という視点でメディアとして十分に想定された事業形態です。
しかしながら、同判決は、Listen Radioアプリの「まとめチャンネル」機能により聴取できる形で、音楽情報番組をサイマル配信することは、コミュニティ放送局に対する許可の範囲を逸脱していると断言しました。ラジオ受信機がスマートフォンに代わりつつある今日、インターネットによる受信形態の変化に適応していくことも、ラジオ放送局の責務であると考えます。同判決は、まだスマートフォンが台頭していなかった頃の旧態依然とした感覚に基づいた、時代錯誤的な判断に基づくものであります。
もはやスマートフォンがラジオ受信機にとって代わり、音楽離れや音楽を購入しない層が明確になりつつある昨今において、音楽が放送局の行うインターネット利用からも消えてしまうことは、音楽文化の衰退に一層の拍車をかけるのみならず、今後の放送と通信の融合や、新たなビジネス展開への道も途絶されることになります。
ListenRadioアプリにおける「まとめチャンネル」のようなインターネットでの放送番組の活用は、月間数百時間にもおよぶリスナーと音楽の接点を生み出すだけでなく、音楽自体そのものの普及、文化的形成を促進するものであり、アーティストの活動を支援するものです。日本レコード協会会員各社の本来あるべき道は、かかるコミュニティ放送局と手を携え、音楽文化の将来を切り開くイノベーションを支援するものであるべきです。
上記のように、今回の判決は、誤った事実認定に基づく不当なものであることはもちろん、単なるコミュニティFM放送局にとどまらず、我が国のラジオ局全体及び音楽業界の現在そして将来の閉塞に繋がるものであり、到底承服できるものではありません。
サイマル放送推進の会では、改めて知財高裁による審理を求める方向で、現在その準備を進めているところです。我が国のコミュニティ放送局と音楽文化の維持・発展のため、私たちは闘い続けます。みなさま方の暖かいご支援を賜りたくよろしくお願いいたします。
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