レポート「大都市における災害発生時の情報発信に関する一考察~デジタルサイネージの設置を中心に~」の発表
地上配電盤と広告を活用した情報発信の拡充を提言
慶應義塾大学大学院経営管理研究科の岩本隆特任教授は、レポート「大都市における災害発生時の情報発信に関する一考察~デジタルサイネージの設置を中心に~」を発表しましたのでお知らせします。
【サマリー】
【本文】
地震や水害などの自然災害発生時には、住民等の安全な避難のために迅速・正確な情報提供が求められます。特に大都市等、ターミナル駅やオフィス・商業ビル等が存在する地域においては、住民のほかにいわゆる「帰宅困難者」の迅速な誘導も課題となるほか、視聴覚障害者や訪日外国人観光客など多様な特性を有する人々へわかりやすい発信や、電波障害が発生する場合にも備えスマートフォンに依存しない形での情報発信が求められています。
この点、デジタルサイネージは、発信情報を設置場所に合わせてきめ細かく設定可能であり、事前登録など情報の受け手に特段の準備を要求しない、多言語・動画での発信が容易など、他の手段に比べて様々な優位性を有しています。既に国や自治体がデジタルサイネージを災害時の情報発信手段として活用する方針を打ち出していますが、設置場所やコストなどの課題があり広範な整備は進んでいません。
これらの課題を解決し、迅速に整備を進める観点からは、無電柱化に伴って増加している地上配電盤等を活用して道路(歩道)上にデジタルサイネージを設置し、平常時には広告を放映することで収入を得る事業モデルが有効です。試算の結果、2030年までに都内で480機を稼働させるペースで整備を進めた場合、採算ベースに乗ることが示されました。
一方で、実際に整備を進めていくためには、法令(道路法、道路交通法、屋外広告物法)による規制の緩和・撤廃や、道路の管理主体の細分化(国道、都道府県道、市町村道・特別区道)によって統一的対応が実現しにくい点など、引き続き行政と連携しながら取り組むべき課題が残されています。現在、様々な自治体で災害情報発信手段としてのデジタルサイネージの活用や、特に地上配電盤へのデジタルサイネージの設置の実証実験が行われており、このような取組を通じて官民の双方で知見の蓄積と課題解決が進むことが期待されます。
【提言】
(レポート本文は、下記URLから御確認ください。)
https://www.tiwamoto.jp/report/
【執筆者プロフィール】
岩本 隆 慶應義塾大学大学院経営管理研究科特任教授
東京大学工学部金属工学科卒業。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)工学・応用科学研究科材料学・材料工学専攻Ph.D.。
日本モトローラ株式会社、日本ルーセント・テクノロジー株式会社、ノキア・ジャパン株式会社、株式会社ドリームインキュベータ(DI)を経て、2012年より慶應義塾大学大学院経営管理研究科特任教授。「技術」・「戦略」・「政策」を融合させた「産業プロデュース論」を専門領域として、様々な分野の新産業創出に携わる。
- 災害時の帰宅困難者、訪日外国人観光客、視聴覚障害者等に対する効果的な情報発信のため、デジタルサイネージの活用が有効。
- 設置場所や整備・維持コストの問題を解決するため、地上配電盤等にデジタルサイネージを付加し、平常時には広告を放映することで収入を得るモデルを検討。
- 試算の結果、2030年までに都内で480機を稼働させるペースで整備を進めた場合、採算ベースに乗ることが示された。
- 広告収入モデルのより精緻な試算のため、また法令による規制や、道路管理主体の細分化による課題に取り組むため、自治体と民間事業者の共同実証事業を早急かつ広範に実施する必要がある。
【本文】
地震や水害などの自然災害発生時には、住民等の安全な避難のために迅速・正確な情報提供が求められます。特に大都市等、ターミナル駅やオフィス・商業ビル等が存在する地域においては、住民のほかにいわゆる「帰宅困難者」の迅速な誘導も課題となるほか、視聴覚障害者や訪日外国人観光客など多様な特性を有する人々へわかりやすい発信や、電波障害が発生する場合にも備えスマートフォンに依存しない形での情報発信が求められています。
この点、デジタルサイネージは、発信情報を設置場所に合わせてきめ細かく設定可能であり、事前登録など情報の受け手に特段の準備を要求しない、多言語・動画での発信が容易など、他の手段に比べて様々な優位性を有しています。既に国や自治体がデジタルサイネージを災害時の情報発信手段として活用する方針を打ち出していますが、設置場所やコストなどの課題があり広範な整備は進んでいません。
これらの課題を解決し、迅速に整備を進める観点からは、無電柱化に伴って増加している地上配電盤等を活用して道路(歩道)上にデジタルサイネージを設置し、平常時には広告を放映することで収入を得る事業モデルが有効です。試算の結果、2030年までに都内で480機を稼働させるペースで整備を進めた場合、採算ベースに乗ることが示されました。
一方で、実際に整備を進めていくためには、法令(道路法、道路交通法、屋外広告物法)による規制の緩和・撤廃や、道路の管理主体の細分化(国道、都道府県道、市町村道・特別区道)によって統一的対応が実現しにくい点など、引き続き行政と連携しながら取り組むべき課題が残されています。現在、様々な自治体で災害情報発信手段としてのデジタルサイネージの活用や、特に地上配電盤へのデジタルサイネージの設置の実証実験が行われており、このような取組を通じて官民の双方で知見の蓄積と課題解決が進むことが期待されます。
【提言】
- 災害時の帰宅困難者、訪日外国人観光客、視聴覚障害者等に対する効果的な情報発信のため、デジタルサイネージを活用する。
- 設置場所や整備・維持コストの問題を解決するため、地上配電盤等にデジタルサイネージを付加し、平常時には広告を放映することで収入を得る。
- 広告収入モデルのより精緻な試算のため、また法令による規制や、道路管理主体の細分化による課題に取り組むため、自治体と民間事業者の共同実証事業を早急かつ広範に実施する。
(レポート本文は、下記URLから御確認ください。)
https://www.tiwamoto.jp/report/
【執筆者プロフィール】
岩本 隆 慶應義塾大学大学院経営管理研究科特任教授
東京大学工学部金属工学科卒業。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)工学・応用科学研究科材料学・材料工学専攻Ph.D.。
日本モトローラ株式会社、日本ルーセント・テクノロジー株式会社、ノキア・ジャパン株式会社、株式会社ドリームインキュベータ(DI)を経て、2012年より慶應義塾大学大学院経営管理研究科特任教授。「技術」・「戦略」・「政策」を融合させた「産業プロデュース論」を専門領域として、様々な分野の新産業創出に携わる。
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