アセンダー・キャピタル、株式会社アルゴグラフィックスの資本配分政策の改善を要請
(証券コード: 7595)
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アルゴグラフィックスは優れた安定した事業を展開していますが、依然として著しく過小評価されています
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アセンダー・キャピタルは、2025年5月9日に発表された、公開買付けを通じてSCSKから取得する自己株式を消却し、政策保有株式であるSCSKの株式を売却することを求めます
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アセンダー・キャピタルは、会長兼CEOの再任に反対します
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アセンダー・キャピタルは、2025年6月に開催予定の時株主総会へ向け株主提案を提出しました
日本を含むアジアの優良企業への投資に注力する香港拠点の投資ファンド、アセンダー・キャピタル・リミテッド(以下「アセンダー・キャピタル」、または「当社」といいます。)は、株式会社アルゴグラフィックス(以下「アルゴグラフィックス」または「同社」といいます。)の長期株主であり、現在約2%の株式を保有しています。
アセンダー・キャピタルは、日本のソフトウェア開発、およびシステムインテグレーター分野における長期投資家として、近年資産の大部分を同分野に配分してきました。当社は同分野の公開企業100社以上を積極的にモニタリングしており、2015年以降、そのうち50社以上の経営陣と面談を実施しています。
また、アセンダー・キャピタルは、企業との建設的な対話を通じて長期的な企業価値向上を支援する実績を有しており、日本ステュワードシップ・コードの目的とグローバルなベストプラクティスに従い、2023年12月からアルゴグラフィックスの会長、並びに取締役会と対話を進め、資本配分とコーポレートガバナンスの改善を促してきました。
不適切な資本配分で損なわれる堅調な事業運営
2015年以降、アルゴグラフィックスは営業利益率を7.3%から14.7%に改善させ、営業利益は年率16%の成長を遂げました。同期間中、バランスシートに未活用の累積フリーキャッシュフローが約400億円程度にまで積み上がっています。
2025年3月期は堅調な業績を達成:売上高は16.9%増加し、営業利益は11.2%増加、2026年3月期の業績見通しではさらに5.4%増の営業利益を目標としています。
当社は、これらの堅実な経営成果を評価します。これは、主要な法人顧客との信頼関係や、コアパートナーであるダッソー・システムズとIBMのソフトウェアソリューションが持つ高いスイッチングコストと素晴らしい価値提供能力を反映しています。
一方で、残念ながら、株主は限定的な恩恵しか享受できていません。過去10年間で生みだされた450億円の営業キャッシュフローの大部分は未活用のままです。過剰資本(販管費の3ヶ月分を超える部分)と新規事業への資本支出を除くと、同社の真のROEは100%を超える可能性があり、これは現在の14%を大幅に上回る水準で、この数値は同社の高い事業品質の証です。
配当性向を32%から40%に引き上げる措置が、来年からのみ適用される点と、2025年5月9日に発表された公開買付けを通じて取得予定の自己株式の20%を消却することに対するコミットメントがない点は、いずれも失望を禁じ得ません。これらの発表に対する市場の否定的な反応は、株主の不満の高まりを反映しており、会長と取締役会の現実離れした決定と、当社の提案に対して建設的に対応しなかったことを明確に拒否しています。
バリュエーションの乖離
堅固な基盤にもかかわらず、アルゴグラフィックスはP/E倍率(株価収益倍率)14倍で取引されており、システムインテグレーター(SI)セクター平均の19倍に対し、約26%のディスカウントとなっています。公開買付けで取得する自己株式消却の後、P/E倍率は11倍に低下し、ディスカウントは41%に拡大します。
この二重のディスカウントは、事業品質を反映したものではありません。これは、非効率かつ不均衡な資本配分、継続的な過剰資本、および改革が急務のガバナンス構造に起因しています。
株主提案
2025年6月の定時株主総会を控え、アセンダー・キャピタルは全株主の利益を考慮し、以下の提案を提出しました:
1. 配当
a. 営業活動に必要な現金残高を正常化するため、1株あたり218円の特別配当を実施する
b. 2025年3月期の期末配当金を1株あたり182円とし、75%の配当性向を実現する。これは、アルゴグラフィックスのアセットライトモデルを反映した持続可能な水準となる
2. 自己株式取得を最大450万株(発行済株式の20%)まで拡大し、保有する全自己株式を即時消却する。これは関係会社でもある住友商事のベストプラクティスに準拠した措置となる
これらの株主提案を実施し、SCSKからの自己株式取得を完了した後も、同社は50億円を超える現金および投資有価証券を維持します — これは合理的な事業運営上の必要性を大幅に上回る水準です。さらに、配当前の年間営業キャッシュフローが50億円を超える水準は、計画中の北海道のデータセンターを含む今後の投資を完全に支援し、内部留保を継続的に補充します。
追加分析
過剰な資本構成を維持する財務上の正当性はありません。
2025年3月時点において、アルゴグラフィックスのネットキャッシュと長期投資有価証券は7.8年分の販管費に相当し、世界金融危機、東日本大震災、COVID-19パンデミック禍を含む過去15年間、ポジティブキャッシュフローを維持し続けた実績を有する企業にとって過剰なバッファーです。
また、同社は過去10年間で15億円のM&Aの成功を遂げた実績がありますが、同様の規模の将来の取引は、営業キャッシュフローまたは適度な借り入れで十分に資金調達が可能です。経営陣が中期計画で必要と指摘する100~150億円に正当性はありません。
SCSKとの株式持ち合いの解消
アルゴグラフィックスは約130億円相当のSCSKの株式を保有し続けています。SCSKがアルゴグラフィックスへの投資を解消した現在、相互売却が実施されるべきです。SCSKはP/E倍率30倍で取引されており、流動性(1日の平均売買代金26億円)も十分です。売却は日本のガバナンスコードと政策保有株式削減に関する規制指針に適合します。
アセンダー・キャピタルは、同社に対し、この株式を直ちに売却し、売却益を株主還元に充当するよう求めます。
自己株式の濫用の停止と政策保有株式の廃止を求めます
既に4.7%である自己株式保有率は、公開買付け後、25%に上昇します。しかし、経営陣はこれらの株式の消却を約束しない姿勢を堅持しており、これは住友商事のような上場企業が実施するベストプラクティスに反しています。
これはまた、過去に繰り返されたパターンを反映しています。過去複数回にわたって実施された自己株式取得株にもかかわらず、発行済株式数はほとんど減少していません。加えて、同社は2008年に創業株主らからSCSKへ現在公開買付け予定の株式の売却を仲介し、政策保有株式の強化と経営陣の怠慢を助長しました。
ガバナンスの崩壊と株主軽視
CEO兼会長が過去2年間、建設的な対話を欠いたこと、および取締役会が当社の株主提案を表面的に却下したことは(2025年5月19日公開の取締役会意見に関するお知らせに記載)、資本配分に関する根本的な誤解と、受託者責任を軽視する懸念すべき態度を反映しています。
SCSKが撤退した現在、アルゴグラフィックスは支配株主を失っており、これまでにも増して公開株主に対して完全に責任を負うべきです。
また、当社は信頼できる後継計画の欠如にも懸念を抱いています。藤澤義麿会長兼CEOは現在83歳で、業界のCEOの平均年齢を約20歳上回っており、2007年から取締役会の議長を務めています。
これらの懸念を踏まえ、当社は藤澤氏の再任に反対票を投じると共に、2025年の日本企業に期待されるガバナンスのスタンダードに合致する、より強い取締役会を求めてまいります。
追加情報
各種関係資料は以下の通りです。
免責事項
アセンダー・キャピタルは、株式会社アルゴグラフィックスの株式を保有する私募ファンド(以下「アセンダー・キャピタル・ファンド」といいます)の投資運用者です。アセンダー・キャピタルが作成した、本プレスリリースに記載の情報と見解は、他の株主がアルゴグラフィックスの取締役会、および経営陣が当社の懸念に真摯に対応し、株主の意見を聴取し、すべての株主の利益にかなう形でアルゴグラフィックスの株式価値向上に努める様子を慎重にモニタリングすることを可能にするべく、情報提供目的またはご参考に供する目的でのみ提供するものです。
アセンダー・キャピタルは、いかなる形においても、(i) アルゴグラフィックスの他の株主に対し、アセンダー・キャピタルと共同、または単独で、その株主権(投票権を含むがこれに限らない)を行使するよう勧誘または要請すること、(ii) 取引の締結または完了を目的とした提案、提案の勧誘、または助言、招待、または誘導を行うこと、または (iii) その他の措置を講じるか、または講じないように助言、招待、または誘導(当該提案の条件に従うか否かを問わず)を行っているわけではありません。
さらに、本プレスリリース、並びに当社ウェブサイトに掲載される情報は、いかなる有価証券の売買を推奨するものではなく、また、いかなる有価証券の売却の申し出または購入の申し出の勧誘を含むものではありません。本プレスリリース、並びに当社ウェブサイトに記載されている内容は、投資、税務、または法的助言を構成するものではなく、また、そのような助言として解釈または使用されるべきものではありません。アセンダー・キャピタルがアルゴグラフィックスの事業およびガバナンス構造に関する意見、解釈、および見解を示すものであり、アセンダー・キャピタルは、アセンダー・キャピタル・ファンドの投資助言者としての立場においてのみ、これらの意見を表明しています。
アセンダー・キャピタルについて
2012年12月に設立されたアセンダー・キャピタルは、香港を拠点とするバリュー投資に特化した投資会社で、日本を含むアジアの投資機会を重点的に追求しています。ファンドは、利益と利益成長の実績を有する優れた企業に焦点を当てています。
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