~外国人留学生アルバイトの定着・戦力化 成功事例 (介護・居酒屋)~
●やる気のある留学生には仕事を任せ、“日本語が勉強できる職場”に ●厳しい入社前研修とSNS等のツール活用で、「無断欠勤」が激減
労働力不足の深刻化に伴い、日本でも外国人アルバイトの採用を進める企業が増えています。一方で、「外国人アルバイトの教育方法がわからない」「せっかく採用をしてもすぐに辞めてしまう」といった企業の悩みも多く聞かれます。そこで当社は2019年秋に、日本語学校や専門学校等に通う留学生を対象にアルバイトに関する意識調査※を実施し、雇用する企業と留学生アルバイトの意識や認識のギャップを明らかにしました。
ニュースレターVol.2ではさらに深掘りし、当社のお客様で、実際に外国人留学生をアルバイト採用して定着・戦力化に繋げている介護・飲食業界の企業にインタビューを行いました。意識調査の結果も踏まえながら、各社で行っている取り組みについてご紹介します。
■ 外国人留学生アルバイトの定着・戦力化のポイント ●「できない」 と決めつけず、やる気のある留学生にはどんどん任せる 介護現場では仕事内容によって時給が変わるので、面談時にどのような仕事をしていきたいか聞き、やる気のある留学生にはどんどん仕事を任せた。できないだろうと決めつけていた部分もあり、「日本語のスキルが上がらない」という理由で辞める留学生もいたが、色々な仕事を任せるようになってからは、離職率も改善。留学生にとって、日本語が勉強できる職場というのはポイントが高いため、入居者様とのコミュニケーションは制限しなかった。 ●厳しい入社前研修とSNS等のツール活用で、「無断欠勤」が激減! やむを得ず遅刻や欠勤する場合は事前に連絡するなど、初めてアルバイトをする人に教えるつもりで細かく説明。当初、留学生は一度に説明しても理解できないだろうという先入観があり、入社後にその都度教えていたが、「無断欠勤」が増加してしまった。そこで、入社時のオリエンテーションで「ルールを守らないと働けません」と最初から厳しく言ったところ、「無断欠勤」がほとんどなくなった。連絡手段はLINEやFacebookのメッセンジャー等のSNSも利用し、電話以外の連絡手段も認めた。 ●採用した留学生たちでユニットを構成し、日本人スタッフとのコミュニケーションギャップを埋める 語学力、文化の違い、伝え方の違いなど、外国人と日本人スタッフのコミュニケーションギャップをなくすために、「ユニット採用」を導入。留学生3名程度でユニットを構成し、日本語が上手な留学生をリーダーにして、仕事の進め方や連絡事項などを留学生同士で確認し合っている。仕事に慣れるまでは同じシフトで一緒に働かせ、留学生の孤独感や不安感を払拭するにも効果的だった。 ●スタッフ全員で、留学生を受け入れる環境をつくる 留学生を受け入れるために、店長1人だけが頑張るのではなく、スタッフ全員のコミュニケーション力を上げることが大切。面接をあえて日本人スタッフが働いている場所で行うことで、面接をそばで見ている日本人スタッフが「この子ならサポートしてあげたい」という気持ちになった。接客で困ったことがあったら、スタッフ全員でサポートする体制が築けた。また、日本人スタッフに対しての導入研修も有効だった。 |
※「アルバイトに従事する外国人留学生の意識調査」
(2019年8月~9月、インターネット調査、有効回答数433名)
当社が運営する留学生向けアルバイト紹介サイト『NLiss』(エヌリス)の登録者および日本語学校・専門学校等に通う留学生を対象に実施。
調査結果リリースはこちら⇒ https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000045940.html
【CASE①】介護現場で活躍するベトナム人留学生
<株式会社 学研ココファン>
学研ホールディングスのグループ会社で、高齢者福祉事業を展開。同社が運営する高齢者住宅「ココファンシリーズ」は、サービス付高齢者向け住宅を中心に全国約140拠点に拡大。
<インタビュー>
事業本部開設支援課課長 都筑裕介氏
※2017年に大阪エリアのブロック長として取り組んでいた当時のお話をお聞きしました。
■大阪エリアで先行して外国人採用を実施
今後ますます介護人材の確保が厳しくなることを考え、当時私がブロック長を務めていた大阪エリアで、先行して外国人採用をすることになり、2017年4月入学の留学生をターゲットに募集開始したところ、ベトナム人留学生を数名採用することができました。介護の資格を持っていない留学生を想定していましたが、中には、日本で「介護職員初任者研修」を取得したベトナム人留学生もいて、その後、そのスタッフの紹介でベトナム人留学生が多く入るようになりました。
■「できない」 と決めつけず、やる気のある留学生にはどんどん任せる
最初は留学生に何を任せてよいか分からず、配膳やシーツ交換などの簡単な作業をお願いしていましたが、排泄介助なども問題なくできたため、徐々に仕事の範囲を広げていきました。仕事内容によって時給も変わるので、面談時にどのような仕事をしていきたいか本人に聞き、やる気のある留学生にはどんどん仕事を任せるようにしました。
こちらが勝手にできないだろうと決めつけていた部分もあり、「日本語のスキルが上がらない」という理由で辞める留学生もいましたが、色々な仕事を任せるようになってからは、それがなくなりました。知らない間に、入居者様と留学生がすごく仲良くなっていたこともあります。留学生にとって、日本語が勉強できる職場というのはポイントが高いため、入居者様とのコミュニケーションに関しては制限せず、自由に会話をしてもらうようにしました。
■留学生がストレスなく安心して働ける職場の環境づくり
シフトはできる限り、本人の希望に合わせるようにしました。ただし、留学生のアルバイトは週28時間以内と定められているため、ダブルワークをしている留学生に対しては、他のアルバイトのシフトも提出してもらい、トータルで週に何時間働いているかを確認し、上限を超えないように注意を払っていました。
当時私が担当していた「ココファン鶴橋」(大阪市)は7フロアあり、全体を3つのチームに分けていたのですが、どのチームにもベトナム人留学生を2人以上にして、1人だけにならないように配慮しました。仕事が終わったら留学生同士で一緒に帰るという流れが自然にでき、帰り道にその日の仕事で嬉しかったことや失敗してしまったことなど、母国語でおしゃべりをしてストレス発散していたのが良かったのだと思います。
[ノーザンライツ調査より] アルバイト先を選ぶときに、大事にしていることは何ですか?
● 「スケジュールに合わせて働ける」(50.3%)が「時給が高い」(40.2%)を上回り、1位に。
●「日本語が勉強できる」(25.9%)の割合も高く、アルバイトを通じて日本語のレベルを上げたいという留学生が多いことが伺えます。
●「留学生が働いている」(23.3%)、「同じ国の人がいる」(13.2%)など、孤独感や不安感を与えない職場の環境作りも大切。
(n=433、3つまで選択可)
■厳しい入社前研修とSNS等のツール活用で、「無断欠勤」 が激減!
やむを得ず遅刻や欠勤する場合は事前に連絡をするなど、初めてアルバイトをする人に教えるつもりで細かく説明しました。留学生を採用し始めた頃は、一度に説明すると理解できないだろうという先入観があり、入社してからゆっくり教えていたのですが、「無断欠勤」をする留学生が増えてしまいました。それから試行錯誤を重ね、入社時のオリエンテーションで「ルールを守らないと、うちでは働けません」と厳しく言ったところ、「無断欠勤」をする留学生がほとんどいなくなりました。
また、留学生が「無断欠勤」をする理由のひとつとして、「どのように電話をすればよいか分からない」ということがあったので、連絡手段はLINEやFacebookのメッセンジャー等のSNSでも受け付けるようにしました。
■留学生だけでなく、一緒に働く日本人スタッフにも導入研修を
一緒に働く日本人スタッフにも留学生のことを理解してもらい、認識のズレをなくすために、各フロアのリーダーを集めて導入研修をノーザンライツに実施してもらいました。 留学生が、「はい」「わかりました」と返事をしても、実はよく理解していなかったということが何度かありました。それからは、google翻訳なども使って、こちらの意図をきちんと理解しているか確認し、未然にミスを防ぎました。また、物品を倉庫へ取りに行ってもらった時、「〇〇とXXを取ってきて」とお願いし、「わかりました!」と返事をしたはずなのに、まったく別の物を持ってきたこともありました。それからは、写真を使って「これと同じ物を持ってきて」と視覚でわかるように依頼したことで、間違いがなくなりました。これからも改善を重ねて、ベストな方法を探っていきたいと思います。[上画像「ココファン鶴橋」の外観]
[ノーザンライツ調査より] 日本でのアルバイトで、大変だったことや困ったことは何ですか?
●「店長が怖い」(12.0%)、「病気でも休めない」(11.3%)、「欠勤相談の連絡を責任者にできない」(6.7%)が挙げられていますが、留学生は病気などの際に、店長に休みの許可をもらうことが怖く、結果的に無断欠勤になってしまう場合があります。日本人にとっては当たり前と思っていることでも、外国人にとってはハードルの高いこともあるので注意が必要です。
(n=433、3つまで選択可)
【CASE②】居酒屋で明るい笑顔をふりまく留学生
<株式会社 グラッド>
焼鳥チェーンの業界大手「鳥貴族」のフランチャイズ店を経営。鶏肉をはじめとした国産食材を毎日店舗で串打ちするなど、安心・安全・新鮮にこだわるだけでなく、リーズナブルな価格設定で若者を中心に人気のお店。
<インタビュー>
「鳥貴族」塚口2号店(兵庫県)店長 三田村竜平氏
■完璧な日本語・敬語でなくても、笑顔で対応すればOK
私は高校時代にアルバイトとして入社し、その後、22歳で店長になり、店舗運営に携わるようになりました。面接では必ず、「将来の夢」について聞いています。グラッドでの経験を生かして社会に出て活躍してほしいという想いがあり、ここで学びたい、接客を通して周りの人たちを楽しませたいという意欲的なスタッフと一緒に働きたいからです。
日本人のアルバイトスタッフは、2020年3月に卒業する大学4年生の子が多いので、人材確保のために、2019年10月に3名のベトナム人留学生を採用しました。ノーザンライツの紹介で面接に来たベトナム人留学生は、笑顔が素敵で、「一緒に働きたい!」と思わせるような人たちでした。完璧な日本語や敬語が使えなくても、笑顔でコミュニケーションを取ろうとする姿勢があれば問題ないと思っています。基本的に、留学生にはキッチンのサポート業務をお願いしていますが、常連のお客様から話しかけられることもあり、わからない日本語があっても笑顔で対応してくれています。
■スタッフ全員で、外国人留学生を受け入れる環境をつくる
採用したベトナム人留学生のうち、2人は日本語レベルがN3(中級レベル)で1人はN4~N5(初級レベル)だったので、最初は不安でしたが、日本人スタッフがベトナム語を覚えたり、留学生たちがお店のメニューや仕事の流れを一生懸命覚えている姿、自分たちから片言の日本語でも挨拶をしている姿を見て、安心しました。
留学生を受け入れるために、店長1人だけが頑張るのではなく、スタッフ全員のコミュニケーション力を上げることが大切だと思っています。面接はあえて日本人スタッフが働いている場所で行い、一緒に働くスタッフやお客様がどう思うかをポイントに見ていました。面接をそばで見ていた日本人スタッフも、「この子ならサポートしてあげたい」という気持ちになったと思います。接客で困ったことがあったら、スタッフ全員でサポートしてあげる体制が築けたと思います。
今回、留学生を採用したことで、スタッフの笑顔が増え、雰囲気がさらに良くなったと感じています。日本人スタッフが自ら、留学生を誘ってご飯に連れて行ったりしているのを見て、本当に良いスタッフに支えられているなと嬉しくなりました。
[Point] 採用した留学生たちでユニットを構成し、日本人スタッフとのコミュニケーションギャップを埋める
留学生を採用する際、語学力、文化の違い、伝え方の違いなど、外国人と日本人スタッフのコミュニケーションギャップをなくすために、ノーザンライツが推奨しているのが「ユニット採用」です。採用した留学生たちでユニットを構成し、日本語が上手な留学生をリーダーに任命し、仕事の進め方や連絡事項などを留学生同士で確認し合うことができます。
[ノーザンライツ調査より] 仕事が大変で辞めたくなったとき、どのようなサポートをしてほしいですか?
●「責任者にすぐ連絡ができる」(27.9%)、「気軽に質問できる雰囲気がある」(26.6%)が上位に。安心してコミュニケーションをとれる人たちが職場にいることを望んでいることがわかります。
(n=433、複数回答)
~外国人留学生アルバイト 定着力アップの3つのポイント~ ノーザンライツでは、面接に関わる方や役職者の方向けにアルバイト採用率向上・離職率低下のための教育・研修サービスを行っています。せっかく採用しても早期離職してしまう…といったケースもありますが、受け入れる側のスタッフに研修を行うことで、離職率を下げ、採用率の向上が図れます。留学生アルバイトも同様に、育成する店長の心構えやサポートする周囲の対応によって退職は防ぎやすくなります。以下、留学生アルバイトの定着率アップのポイントについて解説いたします。 1.留学生向けのマニュアル作成や研修を実施する 敬語やアルバイト特有の日本語は、学校でも習わない場合があるため、留学生専用のマニュアルを作成したり、入社後研修を実施することが望ましいです。アンケートで、「日本でのアルバイトで大変だったことや困ったことは何ですか?」という質問に対して最も多かった回答が、「敬語の使い方がわからない」(37.4%)でした。「面接や業務で使う日本語が難しい」(12.2%)の3倍以上だったことからも、多くの留学生が、日本語ではなく敬語が難しいと考えているようです。アルバイト業務を想定した敬語のレッスンなどを実施すると良いでしょう。 また、「店長が怖い」(12.0%)、「病気でも休めない」(11.3%)、「欠勤相談の連絡を責任者にできない」(6.7%)も挙げられましたが、これらの問題に対しては、連絡しやすい環境づくりが重要です。急病や不測の事態の連絡方法のマニュアルを作成したり、連絡手段は電話だけでなく、LINEやFacebookのメッセンジャー等のSNSでも受け付けることをおすすめします。 2.指導する際はできる限り、「理由」を伝える 日本人は世界の中でも時間に正確でテキパキと仕事をすると言われていますが、留学生はそのような環境になれていません。店長やスタッフが忙しい時間帯に、早口で説明したり大声でアドバイスをしたりすると、留学生たちは「怒られている」と感じることがあるようです。留学生に指導する側はできる限り、具体的な例や理由を挙げて、「なぜ」それが必要なのかを説明することがポイントです。 3.留学生に寄り添ったフォロー体制を構築する 日本人でも初めての職場は慣れるまで緊張したり悩みを抱えたりするものですが、言葉も文化も異なる留学生は、なおのことです。アンケートで、「仕事が大変で辞めたくなった時、どのようなサポートをしてほしいですか?」という質問に対して最も多かった回答が「責任者にすぐ連絡ができる」(27.9%)、次いで、「気軽に質問できる雰囲気がある」(26.6%)でした。 アルバイトの育成に携わる担当者だけでなく、一緒に働く周囲のスタッフも留学生の気持ちに寄り添ったコミュニケーションを行えるよう、社内への周知を徹底するのが重要です。お互いのことをよく理解しないと誤解が生じ、後々トラブルに繋がる可能性もあるので、日本人スタッフに対して導入研修を実施し、意識や認識のズレを解消しておくと良いでしょう。また、月に1回など定期的に個人面談やフィードバックを行うなど入社後のフォロー体制を構築することも大切です。 |
<会社概要> https://www.n-lights.com/
ノーザンライツは1995年の設立時より、アルバイトの採用から定着・戦力化までワンストップで支援をしています。現在は飲食・流通業界に加え、慢性的な人材不足に悩む介護業界にも注力し、更なるサービスの強化を図っています。
[社 名] 株式会社ノーザンライツ
[代表者] 代表取締役社長 山根康宏 (やまね・やすひろ)
[設 立] 1995年6月1日
[所在地] 東京オフィス:東京都千代田区一ツ橋2-5-5 岩波書店一ツ橋ビル15F(TEL: 03-3262-8825)
大阪オフィス:大阪府大阪市中央区本町2-6-10 本町センタービル5F(TEL: 06-6120-2903)
[事業内容]① 飲食・小売・介護など大手企業を中心としたアルバイトの採用~戦力化支援事業
② 留学生支援事業(外国人留学生のアルバイト・職業紹介)
➂ インドネシアでの語学教育を中心とした海外事業
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