世界エネルギー貿易の脱炭素化

ゼロカーボン化への取り組みは5,000億ドル規模の事業機会をもたらす(ラックスリサーチ)

世界的に脱炭素化の取り組みが行われる中、自国の需要を再生可能エネルギーのみで満たすことができない国は、経済成長と同時に非炭素化を達成するために、ゼロカーボンエネルギーのサプライチェーンを新たに構築する必要があります。ラックスリサーチは、『Evolution of Energy Networks: Decarbonizing the Global Energy Trade(エネルギーネットワークの発展:世界のエネルギー貿易の脱炭素化)』レポートにて、15の異なる再生可能エネルギーキャリアを評価し、技術開発を手がける国や企業を取り上げました。サプライチェーン確立には数十年必要であるものの、北欧、東南アジア、日本、韓国などにおいては国内での風力・太陽光発電量増加よりも再生可能エネルギー輸入の方がコスト効率性は高く、向こう10年で戦略提携やパイロットプロジェクトの実施など、再生可能エネルギー輸入という5,000億ドル相当の市場をめぐる動きがさらに活発化する見込みです。
マサチューセッツ州ボストン: 2020年5月21日 - 今日の世界経済はエネルギー貿易によって支えられています。多くの国々では経済成長の維持には石油、石炭、天然ガスの輸入が不可欠ですが、世界各国は同時に非炭素化へ向けた取り組みを強化し、再生可能エネルギーの採用増加に動いています。ただし、太陽光や風力資源には根本的な制約がある国も多く、このような国や地域では、自国のエネルギー需要に見合う再生可能エネルギーを自国内で確保することは困難です。経済成長と同時に非炭素化を達成するために、これら国々では、革新的な再生可能エネルギーキャリアを開発し、ゼロカーボンエネルギーのサプライチェーンを新たに構築する必要があります。

そこで、先端技術の事業性や動向調査を専門とするラックスリサーチ(Lux Research, Inc.)は、新しい報告書、『Evolution of Energy Networks: Decarbonizing the Global Energy Trade(エネルギーネットワークの発展:世界のエネルギー貿易の脱炭素化)』にて、再生可能エネルギーのキャリアと、技術開発に注力する国や企業を調査しました。 

「シンガポール、日本、オランダのような国では、風力や太陽光発電など、国内の再生可能エネルギー源だけでは自国のエネルギー需要を満たすことができません。実際、世界のGDPの9兆ドルを代表する国々にて、国内の再生可能エネルギー発電だけではエネルギー需要を満たすことはできないため、再生エネルギー生産に不可欠な資源を豊富に持つ国々から再生可能エネルギーの輸入を行うことが必要になることは間違いありません」と、本報告書の執筆者であるラックスリサーチのTim Grejtak氏は説明しています。

「ラックスリサーチの分析では、AC及びDCの電力線建設が、遠く離れた地域からの低コストでの太陽光エネルギー輸入には最も費用対効果の高い方法であることがわかりました。しかし、距離的にこの方法が最も効率的であるのはおよそ1,000kmまでです。遠く離れた地域から輸入を行う場合は、合成燃料のような他の再生可能エネルギーキャリアの方が低価格になります。また重要なポイントとして、輸入エネルギーコストは他のゼロカーボン技術と競争できる点が挙げられます。ただし、現行のエネルギーキャリアは液化天然ガス(LNG)や石油を完全に代替する上で必要なコスト競争力を持ちません」、とGrejtakはコメントしています。

条件が悪い国や地域では、自国での風力・太陽光発電量を増加するよりも再生可能エネルギー輸入が50%〜80%低コストであるため、今後再生可能エネルギー輸入インフラの構築へ向けた投資が増加する見込み

本報告書にて、ラックスリサーチは電力、水素、合成メタン、アンモニアなどの従来のキャリアから、液体有機水素キャリア (LOHC)、バナジウム、アルミニウムなどのより進んだキャリアまで、15の異なる再生可能エネルギーキャリアの生涯コストを評価しました。下記が主なポイントです。
  • 電力網やパイプラインのような土地ベースのインフラストラクチャを通じてエネルギーを提供することは、パイプラインの非効率性や資金コストのために長距離で高価になります。
  • 一方、タンカーで運ばれるLOHC、LNGのような極低温キャリアにより運ばれる液体水素、など、船舶を介した輸送が長距離の輸送においてははるかに費用対効果が高いことが分かりました。
  • また、ラックスリサーチの分析によると、すべての再生可能エネルギーキャリアにおいて、低コストの太陽光エネルギーは、地理的に好ましくない条件下において自国内で太陽光発電を行うよりも、50%から80%低いコストで資源制約のある地域へ輸入可能であることがわかりました。
そのため、炭素排出削減にコミットしている国々は、今後数十億ドル規模の新たな再生可能エネルギー輸入インフラの構築へ向けて動き出すと考えられます。

事業機会のタイミングとしては2030年ごろが最初の転換点、向こう10年で戦略提携やパイロットプロジェクト実施などの動きが活発化することが予想される

ラックスリサーチは、再生可能エネルギー輸入インフラを導入する最初の転換点は、新しい高圧直流送電線による輸入電力が低炭素天然ガスタービンより安くなる2030年時期と予測しています。またその次の転換点は、液体水素の輸入が低炭素蒸気メタン改質よりも安くなる2040年時期となるでしょう。

つまり、このようなエネルギー市場のパラダイムの変革に向け、関連企業は向こう10年で必要な戦略提携を構築し、試験的プロジェクトを実施することが可能です。すでに、川崎重工業、三井物産、エクイノール(ノルウェー)、ロイヤル・ダッチ・シェル(オランダ)などの企業は、欧州、日本、東南アジアにて、非炭素エネルギー貿易路の開拓へと動いています。再生可能エネルギー輸入という5,000億ドル相当の市場をめぐる戦いは始まったばかりです。

詳細は、エグゼクティブサマリーをダウンロードしてご確認ください。
https://www.luxresearchinc.com/ja/decarbonizing-the-global-energy-trade-press-release-executive-summary-press


ラックスリサーチについて
ラックスリサーチは、先端技術の事業性や動向調査を専門とするコンサルティングサービス企業です。世界の5つの拠点より、技術イノベーションを通じて成長を目指すクライアントに対し、4つのアプローチに基づき先端技術の事業性を評価します。
1)技術の専門家であるアナリストがプライマリーリサーチを実施、市場関係者から直接情報を入手し、マクロとミクロレベルの技術トレンドを把握
2)インハウスでデータサイエンスチームを抱え、独自アナリティクスプラットフォームを開発、常に更新されるデータを分析、過去のデータにのみ頼るのではなく、そこから見えてくる先行指数も提示
3)『So what?』の視点を大事にし、アクションにつなぐことが可能なインサイトを提供
4)『ラックステイク(Lux Take)』としてアナリストの見解を明確化、市場における過大評価から見逃されている重要なニュースまで、クライアントが知るべきことを指摘

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