インシリコ・メディシン社(Insilico Medicine)がエンド・ツー・エンドのAI(人工知能)エンジンで見出した腎線維症の前臨床候補薬を発表

Insilico Medicine Taiwan Ltd.

2021年8月4日  ニューヨーク/香港
次世代の機械学習技術によりAI創薬分野をけん引するインシリコ・メディシンは、本日、独自に開発したAI(人工知能)創薬プラットフォームを駆使し、腎線維化に対する新たな前臨床候補化合物を開発したと発表しました。この前臨床候補薬は、理想的な薬理学的特性と薬物動態プロファイルを有し、イン・ビトロ(in vitro)、イン・ビボ(in vivo)いずれの前臨床試験でも非常に有望な結果を得ています。インシリコ・メディシンは現在、当プロジェクトを臨床試験に進める準備に取り組んでいます。

「慢性腎臓疾患(chronic kidney disease,CKD)は実に世界人口の約10%にも及ぶとされますが、残念ながら有効な治療法や薬剤はないのが現状です」とインシリコ・メディシンの創設者兼CEOのアレックス・ザヴォロンコフ(Alex Zhavoronkov)博士は述べています。「腎線維化は、慢性腎臓病(CKD)を引き起こす主要な病因であり、治療法が未確立ないわゆるアンメット・メディカル・ニーズ(unmet medical need)です。世界中で実に約8億5000万もの人々が、腎線維化により直接または間接的に腎疾患に罹患しています。我々はAI(人工知能)創薬プラットフォームを用い、腎線維症の前臨床モデルで確認された有望な新規標的機序および新規化合物を発見しました。さらに独自開発のインクリニコ(InClinico)プラットフォームを用いて、腎線維化により引き起こされる複数の腎疾患の罹患リスク数理モデルを作成しており、このプロジェクトの臨床的将来性に期待しています。」

米国疾病対策センター(CDC)の統計によると、アメリカの成人の15%以上(約3700万人)がCDKを患っているとされています。CKDは数ケ月から数年かけ患者の腎臓機能を徐々に喪失させます。慢性腎臓疾患を引き起こす要因には糖尿病、高血圧、糸球体腎炎など種々の疾患が挙げられますが、いずれも根本的な病態は未解明であり、本態性と呼ばれています。

2021年2月にインシリコ・メディシンが画期的なブレークスルーを実現し、当社は世界初の完全AI(人工知能)創薬プラットフォームを用いた特発性肺線維症(IPF)の新規創薬標的機序と、この標的に対し設計された特発性肺線維症(IPF)に対する前臨床候補薬を同定、発表しました。IPF治療法も現代医学のアンメット・メディカル・ニーズのひとつですが、この前臨床候補薬はわずか18カ月という短期間で、しかも260万ドルという低コストで見出され
た点は特筆に値します。

特発性肺線維化プロジェクトの成功をベースに、インシリコ・メディシンはいずれも新開発の“パンダ・オミックス(PandaOmics)”を用い腎線維化の標的研究を展開、さらに“ケミストリー42(Chemistry42)”を用い有益な薬理学的特性を有する新規化合物の生成に成功しました。プレリミナリーな実験では、当新規化合物は腎線維化の発症を顕著に抑制し、筋線維芽細胞の活性化を大幅に改善、組織の修復と瘢痕回復に有益な結果が確認されました。同社は2022年にこのプログラムのIND対応試験を完了する予定です。

「未開発な治療法に寄与する創薬には安全で、かつ製造が容易な事が求められるが、実際にこれらの目標を達成するのは簡単ではない。これがインシリコ・メディシンの取り組みが画期的な進歩を遂げた最大の理由だろう。私は、インシリコ・メディシンが従来の方法より効率的かつ経済的な方法で、アンメット・メディカル・ニーズの分野に革新的な医薬品をもたらし、バイオ医薬業界に重要な影響を与えるものと考えている。」2013年にノーベル化学賞を受賞した、インシリコ・メディシン科学諮問委員会のメンバーであるマイケル・レヴィット(Michael Levitt)氏は述べています。

インシリコ・メディシンは2014年に設立され、現在3億ドル以上の資金調達を受けており、今年6月に完了した直近の資金調達ラウンドではシリーズCでした。同社は調達した資金を腎線維症およびIPFの候補薬の開発加速に充てるほか、エンド・ツー・エンドのAI薬物研究開発プラットフォームを駆使して更に多くの新規候補薬の発見、創薬に邁進する計画です。

インシリコ・メディシン社について
インシリコ・メディシンは、有望な薬理特性を有する新規の分子構造物を見出すため、深層生成モデル(deep generative models) や 強化学習(reinforcement learning)、トランスフォーマー (transformers)、その他最新の機械学習技術を取り入れた人工知能を開発しています。また同社は革新的で独自のAI創薬プラットフォームにより、癌、各種線維症、感染症、自己免疫疾患、高齢化に伴う種々の関連疾患の治療法開発に取り組んでいます。2014年の創業以来、30社を超える製薬会社やバイオテクノロジー関連会社と戦略的な共同開発を進める傍ら、米国、欧州、中国、日本の各大学や研究施設とも連携して複数のR&D(研究開発)パイプラインを構築し、難治性疾患の治療法開発に貢献しています。また同社はSyngenta社とのコラボレーションにより持続可能な農業へのAI活用にも取り組んでいます。同社は2014年の設立以降、金融、バイオテクノロジーおよび情報テクノロジー関連の投資家に定評があり、実に3億1,000万ドルを超える資金調達を受けています。(https://insilico.com

 

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業種
医療・福祉
本社所在地
20F, No.333, Sec.1, Keelung Rd., Taipei 國貿大樓
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代表者名
林 彥竹
上場
海外市場
資本金
-
設立
2018年04月