災害に対して強靱な社会と経済をつくるMIRAI BOSAI 2022

ポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)、ESG投資、SDGs、の潮流を踏まえ、経済を動かすことで持続可能で安全な社会を実現する防災減災の国際連続ワークショップ

国立大学法人 神戸大学

神戸大学 高等研究院 未来世紀都市学研究アライアンスの主催で、未来の防災をテーマに、国際連続ワークショップMIRAI BOSAI 2022をオンライン開催致します。


最前線のエンジニア、経済学者、経営学者、金融機関、シンクタンク、企業内担当者、社会起業家らが集結し、ポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)、ESG投資、SDGsの潮流を踏まえ、経済を動かすことで持続可能で安全な社会を実現する可能性を探ります。
 本イベントは、大学や研究機関と、社会、経済の各セクターが、自由にまたダイレクトに相互コミュニケーションを取る場を創出することで、日本の防災減災分野における技術と知の社会実装を加速させることを目的としています。

 聴衆の対象は、企業内または自治体内の防災またESG等担当者、これらに関心が高い他分野担当者、また他分野研究者相当を想定しています。

 本イベントは、防災減災分野の日本側研究機関と米国側研究機関(PEER)との国際連携協定に基づき開催されます。
※ポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)とは・・・企業活動が環境・社会・経済に及ぼすインパクト (ポジティブな影響とネガティブな影響)を包括的に分析・評価し、当該活動の継続的な支援を目的とした融資・投資のこと。

日 時  令和4年3月10日(木)13:00-18:00、11日(金)10:30~18:00 (日本語)
3月11日(金)の10:30~12:00には日米研究機関代表者によるクロストークも予定しています。(英語)
※視聴無料・完全オンラインで開催いたします。

プログラム詳細及び参加申込みは下記URLを参照ください。
https://www.mirai-bosai.jp (「MIRAI BOSAI」と検索)

運営概要
主催:神戸大学高等研究院未来世紀都市学研究アライアンス
共催:カリフォルニア大学バークレー校 太平洋地震工学研究センター(PEER)、防災科学技術研究所、その他PEER連携機関、産業技術総合研究所人工知能研究センター
協賛:阪急電鉄株式会社
協力:三井住友信託銀行株式会社、株式会社大和総研、西日本旅客鉄道株式会社、株式会社サンテレビジョン、株式会社taliki、近鉄グループホールディングス株式会社、東電設計株式会社、兵庫県立大学、阪神電気鉄道株式会社、東急株式会社
後援:日本経済新聞社
※協賛、協力、後援は2022年2月8日時点で確定団体様となります。

 <プログラムの紹介>
◆3月10日(木曜日)ライブ配信
総合司会:サンテレビジョンニュースキャスター 藤岡勇貴
●セッション1・テーマ:民間・防災・DX
<災害に対する事前対策に重点を置いた日本版ESG指標の可能性>
<講演>
1.都市レジリエント化のためのサイバーフィジカルシステムの構想
私たちの街は地震の危険に曝されていますが備えが十分かの判断は困難で、健康診断のような検査と診断を踏まえた適切な対策が必要です。このためのフィジカル空間にある都市と分析を担うサイバー空間から構成されたサイバーフィジカルシステム(都市CPS)を実現する研究開発の構想を紹介します。様々な都市データを集約・変換・統合し都市全体のモデルをつくる「データ生成プロセス」を構築し、都市の真の状態把握のため建物センサーで状態を分析しモデルに反映する手法も組み込みます。レジリエンス(地震への強さ)をシミュレーションで分析し、レジリエントな「あるべき状態」を見い出して現状からの改善の方向性と有効な対策を示します。
(登壇者:国立研究開発法人防災科学技術研究所 地震減災実験研究部門 堀内敏彦)

2.シミュレーションによる被害推定からはじまる減災
自然災害に対して強靱な社会の構築のためには、社会基盤施設マネジメントが必要になるので、デジタル・ツイン・コンセプト、すなわち、計画している都市と同じものを計算機内に構成して災害発生時の状況を総合的に理解する必要があります。
一方で、想定外に対応するためには、複合的な災害に帯する対処が不可欠になります。南海トラフ地震では地震の規模が強くて大規模・広範囲に堤防が破壊され即座に全ての堤防を修復できない状態が続くことは容易に理解でき、修復までの期間に巨大台風に襲われることはあり得ることです。
そのため、私たちはデジタル・アンサンブル・コンセプトを打ち出し、複合災害に対して大規模数値シミュレーションを実施しているので、その内容を紹介します。
(登壇者:国立研究開発法人理化学研究 計算科学研究センター 総合防災・減災研究チーム長 神戸大学都市安全研究センター教授 大石哲)

3.都市丸ごとシミュレーションの民間活用
我が国の自然災害の一つに地震がある。強い地震は都市を壊滅させ、津波を発生させ、多くの人命を奪い去ってしまう。わが国土では、幾度となくこれらが発生し、少しでも多くの人命を救うための方法の開発が急務である。
近年、地震の発生から地盤と建物の揺れ、津波の来襲、そして、人々の避難までの一連をシミュレートする「統合地震シミュレーション」が、堀宗朗らの研究グループ(東京大学地震研究所)によって開発された。我々はこれを民間活用することを目的に、実在する都市を対象に適用した。本講演では、方法の概要、モデルの構築、シミュレーションの結果について示すとともに、効果や適用の留意点、最近の関連技術などについて解説する。
(登壇者:東電設計株式会社 研究開発部門マネージャー 溜幸生)

 ●セッション2・テーマ:ESG投資・TCFD対策
<ESG、TCFD対応めぐる動向と社会課題解決に向けたインパクト・ファイナンスの取り組み>
<講演>
1.日本企業でESG/SDGsが求められるマクロ要因
2015年の国連サミットで採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」の機運が高まる昨今、自社の経営戦略のキーワードとしてSDGsやESGを意識するビジネスパーソンも増える中、ESG投資と言われる、環境・社会・ガバナンスを重視した企業の価値を評価し、非財務情報から中長期的な視点で投資する傾向も加速している。SDGsやESGが注目される背景を紐解き、日本企業においても本格化するのか。そして、事業をどう変えるのか、また、なぜESG投資が注目されているのか、企業戦略にどのような影響を与えるのかなどを、ESG経営について、先行する海外事例を交えながら新しい企業の在り方について議論する。
(登壇者:神戸大学経営学研究科教授 保田隆明)

2.ESG投資のグローバル潮流と弊社の取組
「ESG投資」の拡大は目覚ましく、一躍金融資本市場の中でも不可欠なコンセプトとなった。各企業の経営や事業推進、および山積する社会課題の解決には、もはやESG投資家は無視できない存在となっている事情も踏まえ、本セッションでは、ESG投資が重視される背景や進化の変遷について解説する。そして昨今、ESGだけではなく、「インパクト」を謡う投資家、金融機関が増え始めている。なぜ今「インパクト」なのか、金融の存在意義(パーパス)として、「インパクト創出」を据えるというのは、一体どういうことなのか。そして、技術・テクノロジーと金融のシナジー効果について、三井住友信託銀行の取組を通じて、ご紹介する。
(登壇者:三井住友信託銀行 サステナビリティ推進部 フェロー役員 チーフ・サステナビリティ・オフィサー 金井司)

3.日本企業のESG対応の近時動向
ESG投資が資本市場で注目されており、上場企業には従来型のCSR(企業の社会的責任)の視点にとどまらず 、自社のESGへの取組みが企業価値にどのように寄与していくのかという視点での説明責任が求められている。本講演では、政府や機関投資家の動きなど資本市場を取り巻くESGに関する外部環境を整理したうえで、上場企業に求められるESG対応について整理していきたい。特にESG評価機関への対応や気候変動対応の開示(TCFD開示)について解説していく。また、防災・減災などの観点とESGの関連についても考察し、企業のサステナビリティ戦略への示唆についても整理していきたい。
(登壇者:株式会社大和総研 経営コンサルティング第一部 次長・主任コンサルタント 吉川英徳)

●未来防災会議DAY1(異分野共創の場)
<討論テーマ>
災害が起こったときの弱点部分は目に見えるようになってきた。民による国土、社会、経済の強靱化は可能か?
1.いま防災DXを使う投資効果は?/2.投資家はどこを見ているのか?/3.公共セクターの役割とは?
(登壇者:【セッション1より】防災科学技術研究所・堀内敏彦、神戸大学・大石哲、東電設計・溜幸生、【セッション2より】神戸大学・保田隆明、大和総研・吉川英徳、三井住友信託銀行(法人企画部 関西活性化プロジェクト)・伊藤航、【特別講演より】taliki・中村多伽)

<特別講演>
社会課題解決を市場機会として捉える
talikiでは気候変動や障害者支援などの社会課題の解決を目的とする事業をエンパワーしています。主な事業内容として、事業の立ち上げ伴走を行うアクセラレーションプログラムの提供、それらの事業と大企業をマッチングするオープンイノベーション、彼らの成長を加速させる投資事業です。
従来、あからさまな社会課題は非営利セクターや行政によって解決が期待されてきましたが、SDGsなどが喫緊のテーマとなってからは民間セクターによる参入が増えてきました。果たして社会課題解決はビジネスとなりうるのか、どのような協業が社会性と経済合理性を担保するのか。社会課題解決型ビジネスの最先端を行くtalikiの取り組みをご紹介します。
(登壇者:株式会社taliki 代表取締役(taliki, Inc. CEO) 中村多伽)

 
◆3月11日(金曜日)ライブ配信
総合司会:フリーアナウンサー 松本純
●インターナショナル・セッション(言語は英語、後日日本語字幕付きで配信)
<講演>
1.気候災害と農業分野への技術転用
(登壇者:太平洋地震工学研究センター(PEER)センター長 カリフォルニア大学バークレー校教授 Khalid M. Mosalam)
2.「街の安全性評価と投資」-都市丸ごとのシミュレーション技術を用いた市場創成の可能性
ICT(情報通信技術)の進展は、防災・減災にも変革をもたらそうとしている。 2016年、理研AICS@神戸において、神戸丸ごとシミュレーションが行われた。仮想空間内に神戸の街が再現された。都市デジタルツインである。これによって、 多種多様な災害リスクが定量化される。一方で、企業価値の維持や向上に非財務情報が重視されるようになってきた。ESG投資である。都市デジタルツインにより、その企業が晒される災害リスクが明らかとなる。そのリスクの低減がESG投資になる。ここに平時の経済活動が国土の強靭化につながる図式が見えてくる。 すなわち、防災・減災が、公による受身の防御から民による投資対象となるのである。
(登壇者:MIRAIアライアンス長(22年3月まで) 神戸大学都市安全研究センター教授 飯塚敦)

<パネルディスカッション>
司会:MIRAIアライアンス長(22年4月より) 神戸大学計算社会科学研究センター長 上東貴志
(パネラー:PEER・Khalid M. Mosalam、神戸大学・飯塚敦)

 ●セッション3・テーマ:Withコロナ、2050年の新しい生活様式
<今後も起こりうる人人感染ウィルスに対して社会・経済も含めた対策法>
<講演>
1.コロナ最新情報
COID-19は、2019年12月に新規コロナウイルスとして確認されたSevere acute respiratory syndrome coronavirus-2(SARS-CoV-2)が原因となっています。2020年初頭からCOVID-19はほぼ全世界で流行しています。COVID-19による世界の死者数は500万人を突破しました。一方、私たち人類は、このウイルスに対するいくつかの武器を手に入れました。私は2022年のCOVID-19に関するそうした話題を取り上げます。
(登壇者:感染症内科医 神戸大学医学研究科准教授  大路剛)

2.人工知能を用いた大規模空間における群集行動分析
新型コロナウイルスまん延下において安全に大規模イベントを開催するためにはどうすればいいのでしょうか。これまでに花火大会や劇場、スタジアムにおいて、人工知能技術によって人の流れの計測・シミュレーションを行ってきました。その知見を活かして、コロナ禍に取り組んできた研究例を紹介します。
(登壇者:産業技術総合研究所 人工知能研究センター 研究チーム長 大西正輝)

3.大規模データに基づくコロナ禍の経済シミュレーション
本講演では、日本を網羅する企業活動データを用いて個々の企業を把握し、関係しあう企業の動的な振る舞いをスーパーコンピュータ上でシミュレートした取り組みについて報告をする。この研究は、COVID-19をはじめ、地震・津波災害、異常気象などによる経済的リスクをできるだけ正確に把握し、それへの対策と効果を検討する手段となることが見込まれる。従来の経済学ではこのように急激に変化する状況のリスクや施策効果の見積もりはできなかった。我々の研究は、そのような関わりを扱うための分野であるネットワーク科学、大規模データ、スーパーコンピュータを用いながら、これまで明らかにされなかった企業の動的な変化を扱う。
(登壇者:兵庫県立大学大学院情報科学研究科准教授 井上寛康)

●セッション4・テーマ:災害文化の新展開
<民間、自治体、大学の連携が生み出すもの>
<講演>
1.災害の記憶継承に向けての新展開
(登壇者:神戸大学人文学研究科教授 奥村弘)

2.阪神淡路大震災 サンテレビの映像のデジタルアーカイブ事業(録画講演)
6434人が亡くなった阪神淡路大震災から27年。神戸にあるサンテレビは、神戸大学附属図書館震災文庫で、震災映像のデジタルアーカイブに取り組んでいる。2022年3月現在で、99のサンテレビの動画が震災文庫で公開されていて、今後も少しずつ公開していく予定だ。事業の目的は、テレビ局が撮影した映像を震災研究や学生の防災学習に役立ててもらうためだ。しかし、映像を公開するには肖像権という壁が存在する。では、何を基準に協議し、映像を公開するかどうかを決めているのか?その過程や問題点、今後の展望について紹介する。
(登壇者:サンテレビニュースキャスター 藤岡勇貴)

3.災害映像記録の研究活用
(登壇者:神戸大学都市安全研究センター教授 北後明彦)

 ●未来防災会議DAY2(異分野共創の場)
<討論テーマ1>
今後も起こりうる人人感染ウィルスに対して社会・経済も含めた対策法とは?
1.経済シミュレーション、行動分析をどう活用するか?/2.どのように意思決定すればよいか?
(参加者:【セッション3より】神戸大学・大路剛、産業技術総合研究所・大西正輝、兵庫県立大学・井上寛康、【セッション4より】神戸大学・奥村弘、サンテレビ・藤岡勇貴、神戸大学・北後明彦)

<討論テーマ2>
公民学連携の実践と各セクターの役割
1.災害の記憶継承における民の力とは?/2.民の力と公の役割を知を持ってマネジメントする学理と実践の大学像とは?
(参加者:【セッション4より】神戸大学・奥村弘、サンテレビ・藤岡勇貴、神戸大学・北後明彦、【セッション3より】神戸大学・大路剛、産業技術総合研究所・大西正輝、兵庫県立大学・井上寛康)

※各プログラム内容やゲストが変更になる場合があります。最新情報はWebサイトでご確認お願い致します。
※上記加えて、会期中WEBサイトにて、大学の研究や企業の取り組みを紹介する資料を掲示。


【神戸大学 高等研究院未来世紀都市学研究アライアンスについて】

イベントを主催する神戸大学の研究グループ(以下、MIRAIアライアンス。MIRAIは、Multidisciplinary Integration for Resilience And Innovation の略)で、67名の各分野の専門家が、文理医の融合的アプローチから防災減災研究を行っています。最近は、地盤工学、化学工学、気象科学、医学、経済学、歴史学、法学、防災工学、建築学といった専門家が毎月一回一堂に会する場に、企業が抱える具体的な社会課題が持ち込まれ、その解決を多角的アプローチからサポートする活動を行っています。

【PEERについて】
Pacific Earthquake Engineering Research Centerの略で、災害(地震)に対して強靭な社会と経済を実現するための技術の開発と普及を行う20以上の機関からなる分野融合型の国際的な産学連携組織です。2019年10月に、神戸大学をハブとして日本側研究機関とカリフォルニア大学バークレー校をハブに、各種大学、カリフォルニア交通局、インフラ系の大手企業で構成されるPEER(米国)との連携が成りました。今後日本においても同様にさらなる研究機関や企業との連携が期待されています。尚、協定において地震災害に限らないことが確認されています。
【PEER構成団体】
米国側:カリフォルニア大学バークレー校をハブに、カリフォルニア大学各校、スタンフォード大学、ワシントン大学、南カリフォルニア大学等の大学、またカリフォルニア交通局、株式会社IHI、BECHTEL、SOMなどインフラ系の大手企業
日本側:神戸大学をハブに、防災科学技術研究所、理化学研究所、数理科学・先端技術研究開発センター、海洋研究開発機構、神戸大学工学部、神戸大学都市安全研究センター
その他国際連携:国際地震工学研究所(上海)、国際災害研究所連盟(京都大学)、国際地震モデル財団(イタリア)、都市地震工学センター(東京工業大学)、E-ディフェンス防災科学技術研究所(兵庫耐震工学研究センター)、同济大学(上海)、防災科学技術研究所(茨城県)

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<問い合わせ先>
■防災減災の国際連続ワークショップ(MIRAI BOSAI 2022)運営事務局
TEL:078-803-7001(神戸大学小代研究室内)
E-mail:kaorukoshiro@people.kobe-u.ac.jp

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業種
水産・農林業
本社所在地
兵庫県神戸市灘区六甲台町1−1
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代表者名
武田廣
上場
未上場
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設立
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