芸術の力で次世代を担う子どもたちの応援プロジェクト『なら国際映画祭 for Youth 2021』が3日間の会期を終え閉幕
本物の文化・芸術の伝承についてユース2名、琉球舞踊家・宮城茂雄氏、河瀨直美がトーク「なら国際映画祭を1,000年続く映画祭に」ユース審査員が選んだクリスタルSHIKA賞に「静かな夜」「Beans」
今年は「なら国際映画祭for Youth 2021」と新たな名称に生まれ変わり、会期中は次世代を担うこどもたちの才能を発掘するための3つのプログラム「ユース映画制作ワークショップ」「ユース映画審査員」「ユースシネマインターン」で本年の映画祭を盛り上げました。
- 公式サイトURL:https://nara-iff.jp/
- 「なら国際映画祭 for Youth 2021」 “祈”のレッドカーペット及び20日(月・祝) 最終日プログラム:なら国際映画祭公式YouTubeチャンネル内にて配信:https://www.youtube.com/channel/UCctcGfxkPuaXDm5112rNbPw/featured
NPO法人なら国際映画祭は、芸術の力で次世代を担う子どもたちの応援プロジェクト「なら国際映画祭 for Youth 2021」を2021年9月18日(土)~2021年9月20日(月・祝)にかけて開催しました。
今年は「なら国際映画祭for Youth 2021」と新たな名称に生まれ変わり、会期中は次世代を担うこどもたちの才能を発掘するための3つのプログラム「ユース映画制作ワークショップ」「ユース映画審査員」「ユースシネマインターン」で本年の映画祭を盛り上げました。
◆“本物”に触れ、人から人へ伝承していくことを目指す「なら国際映画祭」。1,000年先も続く映画祭に
初日18日(土)の “祈”のレッドカーペットの司会を務めたユースの古見成生(ふるみ なる)さんと、瀬戸紫英(せと しおん)さん、琉球舞踊家・宮城茂雄氏、そして、本映画祭エグゼクティブディレクターの河瀨直美がクロージングセレモニーに登場。それぞれの立場から「なら国際映画祭for Youth 2021」を振り返りました。
ユースの古見さんは、なら国際映画祭に参加して得たことについて尋ねられると、「“経験”というギフトをもらった。経験は自分がするものではあるが、自分1人ではできない。なら国際映画祭を開催してくれる人達がいるからだと実感した」とコメント。
対して、ユースの瀬戸紫英(せとしおん)さんは、「プロフェッショナルとの出会い」と回答。自分から作りたいもの、伝えたいものを一直線に突き進んで発信していく“本物”の姿勢に大きな刺激を受けたことを紹介しました。
また、春日大社に琉球舞踊を奉納した宮城茂雄氏は「普段は、ステージの上でお客様に向けて舞っていますが、18日の春日大社で行った奉納演舞は、神様やお客様、四方から囲まれながらの奉納演舞でした。月にちなんだ演目でしたが、舞っている途中、月が上り、感動もひとしお。とても幸せな気持ちでした。」と奉納演舞のエピソードを語りました。
河瀨エグゼクティブディレクターは「私たちも映画祭を開催するたびに気がつくことが多くある。世界遺産の春日大社、そして古代より連綿と文化を受け継ぎ、歴史の中心地であった奈良を舞台に開催することに意味がある。着実に歩を進め、1,000年先も続く映画祭にしていくためにこれからも挑戦していきたい。」と、なら国際映画祭への思いを語りました。瀬戸さんは「来年のユースにも伝統が残るように結果を残したい、頑張りたいと思います。」と力強く誓い、会を締めくくりました。
◆1:映画を創る「ユース映画制作ワークショップ」にて「青い」「SPACE」「ライフライン」の3作品が誕生
一線で活躍する映画監督を講師に招き、中高生が主体となって構想・撮影・編集・上映までを行う「ユース映画制作ワークショップ」には17名が参加。期間内に3作品が誕生しました。1作品目は恋愛がテーマの「青い」。女性同士の恋愛を描いた作品です。2作品目は多様性をテーマにした「SPACE」。自分と相手、それを取り囲む全体の空間を表現した作品です。3作品目は「依存」をテーマにした「ライフライン」。女子高生が母との関係に悩み、どんどんアイドルへはまっていく作品。最後には、制作を行ったユースたちが泣きながら本音で親とへの思いを語るフェイクドキュメンタリーが収められています。
上映会を終えて、参加したユースからは「精神の変化や辛かった時の気持ちを映画中に映し出せた。」「もっと早くから参加したかった。」など振り返りました。ゲスト講師を務めたリム・カーワイ監督は「これまで様々なワークショップを行ってきたが、今までで1番レベルの高い3作品だった。1週間でここまでの作品は大人でも作れない。僕もこの経験を元に制作に励みたい」と総評しました。
◆2:映画を観て、審査する「ユース映画審査員」“クリスタルSHIKA賞”は「静かな夜」「Beans」に決定
9月18日(土)~19日(日)に「ベルリン国際映画祭 ジェネレーション」推薦の長編映画5作品と「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア」の推薦の短編映画5作品を上映し、10名のユースメンバーが審査員として参加。審査基準もユースが決めることも特徴です。
最終日20日(月・祝)に、ユース映画審査員による優秀作品を選出する「クリスタルSHIKA 賞」の発表が行われ、短編部門ではチウ・ヤン監督の「静かな夜」が、長編部門ではトレイシー・ディアー「Beans(ビーンズ)」がそれぞれ選ばれました。
<短編部門「静かな夜」選定理由>
選定基準:(1)作品としての面白さ (2)メッセージ性があるかどうか
物語内の”にぎやかな町”と”静かな夜”のギャップがあると感じることが出来ました。
人と人とのつながりを感じる映画であり、コロナ禍の今だからこそ観てほしいと思いユースで評価。
<長編部門「Beans(ビーンズ)」選定理由>
選定基準:(1)映像と音のバランス (2)共感・心が動くか (3)ストーリー性・プロットのテンポの良さ (4)将来へのメッセージ性 (5)友達に勧めたい映画
音に緩急、緊張感があり、登場人物の心情に入ることができ激しく心が揺さぶられました。また過去の映像・ニュースを流すことでよりリアリティのある現場を作り出すことが出来ていました。続きが気になり、飽きさせない、退屈させないという作品という点がユースの評価ポイントとなりました。
◆3:映画を魅せる・届ける「ユースシネマインターン」には6名が参加
映画作品の「配給・宣伝」を学ぶ、ユース向けプログラム「ユースシネマインターン」には6名が参加。
実力派監督リム・カーワイ監督の映画作品「いつか、どこかで」を通して、チラシ、ポスター、WEB、予告編等の制作をそれぞれが手掛けました。
本編上映後に行われたトークセッションには、リム・カーワイ監督と映画の配給宣伝に携わったユース、河瀨直美監督が参加。予告編を担当したユースの瀬戸紫英さんは「予告編は、お客さんに映画を見たいと思わせるきっかけになると思うので、どうやったら興味を持ってもらえるのかを考えた。サスペンスやミステリーなどそわそわ、ワクワクするような映像を先に入れることで、最初にミステリー作品であることを印象づけた。この決断になるまでに大変苦労した」とコメント。河瀨監督も予告編の出来栄えに思わず「もう一度上映しよう!」と観客へ提案していました。
最後にリム・カーワイ監督は「みんなに映画を宣伝してもらって、すごく幸せを感じた。オンライン会議では、ユースの子から、宣伝に必要な素材を追いかけられることがあったり、配給する上で投げかけられる鋭い質問のやり取りも楽しかった」と会場では笑いが起きました。
◆なら国際映画祭 2020 の学生部門にて観客賞を受賞した、奈良・川上村を舞台にする卒業して初めての作品となる村瀬大智監督が登壇
なら国際映画祭では、奈良と世界をつなぎたいという思いのもと、コンペティション部門で受賞した国内外の監督を招き映画を創るプロジェクト「NARAtive」を行っています。「NARAtive2020」の、中国のポンフェイ監督がメガホンをとった「再開の奈良」を2022年の劇場公開を前に最終日に特別上映。その後、昨年のなら国際映画祭2020で学生部門にて観客賞を受賞した次期 「NARAtive2022」の村瀬大智監督が登場。学生を卒業して初の作品となるので緊張しているが、来月から舞台となる川上村に通い、作品を作りたいと意気込みを語りました。
◆来場者の約2割がワクチン接種済証や検査での陰性証明を持参し割引対応を実施
3日間の会期中、上映会場となった東大寺総合文化センター・金鐘ホールにて、会場入り口で、ワクチン接種証明書(接種済証、接種記録書)の提示がある方、抗原検査等陰性証明をされた方は、割引として通常料金より500円割引をする対応を実施しました。会期中、およそ2割のお客様がワクチン接種証明書を持参。割引対応を行い、行動制限緩和策の具体化に向けた、今後のイベント実施の在り方を提示することができました。
<なら国際映画祭 for Youth 2021 開催概要>
■名 称: なら国際映画祭 for Youth 2021
■主 催: NPO法人なら国際映画祭
■日 程: 2021年9月18日(土)〜9月20日(祝・月)
■会 場: 東大寺 総合文化センター金鐘ホール、春日大社
■料 金: 前売券:(一般・学生)1000円, 当日券:(一般)1500円・(学生)1000円
■URL: https://nara-iff.jp/
■プログラム内容:
9月18日(土)
・13時00分~13時30分 開催の挨拶
・13時30分~15時30分 長編映画作品「地球よとまれ」
・16時00分~18時00分 長編映画作品「フロム・ザ・ワイルド・シー」
・19時00分~20時30分 「“祈”のレッドカーペット」&奉納演舞(★)
9月19日(日)
・10時00分~12時00分 長編映画作品「ラ・ミフ 家族」
・12時30分~14時00分 短編映画作品「プレゼント」「静かな夜」「窓から見える世界」
「11月1日」「心の重し」
・14時30分~16時30分 長編映画作品「少年の最後の夏」
・17時00分~19時00分 長編映画作品「ビーンズ」
9月20日(祝・月)
・10時00分~12時00分 NARAtive2020『再会の奈良』特別上映+ NARAtive2022村瀬大智監督バトンタッチセレモニー(★) ※NARAtive2020『再会の奈良』はオンライン配信無し
・13時00分~14時30分 ユース映画制作ワークショップ3作品上映会(★)
・15時00分~17時30分 ユースシネマインターン(トークイベント(★)&リム・カーワイ監督作品)
・17時30分~18時30分 クロージングセレモニー(★)
■なら国際映画祭 for Youth 2021 “祈”のレッドカーペット及び20日(月・祝) 最終日プログラム:
なら国際映画祭公式YouTubeチャンネル内にて配信 (★=オンライン配信あり)
https://www.youtube.com/channel/UCctcGfxkPuaXDm5112rNbPw/featured
<なら国際映画祭とは>
「なら国際映画祭」は奈良の平城遷都 1300年目となる 2010 年から、映画作家の河瀨直美をエグゼクティブディレクターに迎え、2年に1回開催されている国際映画祭です。当会は、国内外の若手監督と奈良を舞台とした映画制作や、子ども・海外学生とのワークショップ、奈良市内を移動する映画館「ならシネマテーク」など、映画の魅力を伝える数々のプロジェクトを実施しています。次世代を担う子どもたちのプロジェクトの充実を図り、若き才能あふれる芸術の力で、世界を再び繋げていけるように映画の魅力を発信していきます。
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