分光分析を用いた革新的な一包化散薬鑑査支援装置「コナミルPLUS」販売開始
■コナミルPLUSとは
「コナミルPLUS」は、一包化散薬に近赤外線(*1)を照射し、その吸収スペクトル(*2)をデータベース照合することにより薬剤を識別する機能を搭載しています。これにより、調剤した一包化散薬が処方箋に記載しているものと相違ないか、自動で判断することができます(成分鑑査機能)。二剤以上が混合された散薬についても、含まれる散薬の種類と混合比を確認することができます。
(*1)近赤外線:可視光線よりも長い波長(700~2500 nm)の光。この領域の光は、化合物中の化学結合の振動状態の励起により吸収が起こるため、着色していない試料であっても光の吸収が観測される。
(*2)吸収スペクトル:波長ごとの光の吸収度合いをグラフにして示したもの。
「コナミルPLUS」では、この成分鑑査機能に加えて、調剤した一包化散薬の重量を計測して処方箋から計算される総重量と照合し、秤量に間違いがないかも確認します(重量鑑査機能)。「コナミルPLUS」は、対象散薬に対して成分鑑査と重量鑑査を約4秒の測定時間で同時に行い、これまで目視で行っていた一包化散薬の調剤鑑査業務を効率化します。
これらの機能に加えて、「コナミルPLUS」には未知散薬の特定を行う「検索」機能が搭載されており、一包化散薬に関わる薬剤師業務を強力にサポートします。
■薬剤師業務について
2015年に厚生労働省により策定された「患者のための薬局ビジョン」において、薬剤師業務は「対物から対人へ」という流れが明確に示されました。その後の薬機法(*3)改正等によって、今日に至るまでその流れは加速しつつあります。薬剤師が医療の担い手としてその専門性を活かしながら社会に貢献するためには、医薬品の取り揃えや調剤鑑査などの対物業務に業務の中心を置くのではなく、患者さんの病態や服薬状況の把握、あるいは服薬後のフォローアップといった対人業務に業務の中心を置く必要があります。そのため、対物業務を軽減するための装置やロボット、DX化システムなどが近年盛んに開発されており、これらを導入する病院、薬局も増加傾向にあります。
(*3)薬機法:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
■コナミルPLUS導入によってもたらされる効果
このように、薬剤師の対物業務の機械化、DX化が進んでいる現状ですが、一包化散薬の調剤鑑査についてはこれまで機械化されておらず、薬剤師の目視頼りで行われているのが現状です。これは、散薬は外観が類似した白色の粉末が多いため、画像解析などの機械化技術が適用できないためです。ただし、散薬を投与される患者さんは小児や高齢者が多く、薬剤の取り違えは大きな医療事故につながるおそれがあります。そのため、薬剤師は一包化散薬鑑査業務には心理的な圧力を感じています。また、鑑査時に複数人の薬剤師でダブルチェック、トリプルチェックが行われるため、業務内での時間的圧力も少なくありません。
「コナミルPLUS」を導入することで、このような一包化散薬の調剤鑑査に関わる薬剤師の心理的、時間的圧力が軽減され、薬剤師業務の「対物から対人へ」の流れをさらに推し進めることにつながります。これまで外観の類似性のため機械化されてこなかった一包化散薬の調剤鑑査が「コナミルPLUS」により可能となることで、調剤業務の機械化における残された1ピースが埋められるものだと考えています。
■今後の展開
今回販売開始となる「コナミルPLUS」は、一包化散薬の調剤鑑査に特化した装置ですが、今後はさらに機能を拡充し、散薬の処方鑑査機能や在庫管理機能、さらには需給予測機能などと連携させ、散薬の一元管理装置として発展させていく予定です。また、「コナミルPLUS」に搭載している近赤外吸収スペクトルによる薬剤判別の技術を応用し、持参薬鑑別(*4)装置や違法薬物判別装置などの開発へとつなげていきたいと考えています。
(*4)持参薬鑑別:患者さんが普段服薬されている薬剤を特定し、患者さんのその後の薬物治療計画に反映させる業務のこと。
■株式会社トーショー 技術企画室 取締役室長 梅田潤一様からのコメント
これまで散薬の鑑査は色や形状が酷似している為、目視による散薬鑑査は薬剤師にとって非常に困難な作業でした。「コナミルPLUS」によりこれまでの重量鑑査のプロセスのなかで散薬の同定まで可能になり、薬剤師の精神的負荷の軽減や患者様の医療安全に貢献できる画期的な製品であると考えております。
■「コナミルPLUS」製品に関するお問い合わせ
株式会社トーショー お問い合わせフォーム
https://www.tosho.cc/contact/
■株式会社ウィズレイについて
株式会社ウィズレイは、2019年に設立されたスタートアップ企業です。分光分析法を用いた化合物識別技術を応用し、医療現場での薬剤識別を可能にする革新的な装置を開発していきます。「薬物誤投与による医療事故ゼロの社会」を、私たちは目指しています。
【会社概要】
会社名:株式会社ウィズレイ
設 立:2019年7月11日
所在地:岡山県岡山市北区本町6-36 第一セントラルビル 4F
取締役:森山 圭、亀井 健人
事業内容:ラマン分光法、近赤外分光法を用いた医薬品判別装置の開発、スペクトルデータベースの管理・運営、スペクトル照合解析アルゴリズムの開発
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