フィリピン経済成長の陰に取り残された貧困層の実態
フィリピン統計庁は、2022年第1四半期の実質GDP成長率を前年同期比で8.3%とし、コロナ前の成長率に戻ったと発表した。その一方で経済成長から取り残された貧困層の存在を忘れてはならない。
フィリピンの貧困問題の根本解決を目指し、セブ島で活動するNPO法人DAREDEMO HEROが、現地の貧困層の現状を報告する。
- パグパグ(アライス)と呼ばれる食べ物
教育支援をメインに行うDAREDEMO HEROだが、現在、貧困層の栄養改善事業に取り組んでいる。そのきっかけとなったのは支援地区のひとつであるゴミ山に住む人々の食事である。炎天下で1日中ゴミにまみれて働く人々。しかし、この仕事では家族がその日食べる食事すら買うことができず、ゴミの中から拾った残飯を再調理して食べている。
- スカベンジャーという仕事
DAREDEMO HEROの支援地区のひとつである、イナヤワン最終処理場には、ゴミの中から売れるものを探して生計を立てる「スカベンジャー」と呼ばれる人々が住んでいる。彼らの収入は1週間で500ペソ(約1,200円)程度だが、それでもこの地でゴミを漁る以外に収入を得る手段がないため、ここから出ていくことはできない。
この限られた収入で大家族の生活を支えなければならない。そのため、小さな子どもたちまでも、ショベルカーが行きかうゴミ山でゴミを漁り、さらにトラックに飛び乗って、まだ売れるものを探さなければならない。
- 国際協力として我々にできること
彼らにとってアライスは、日常食なのだ。彼らにはアライスを食べる以外の選択肢がない。このような食事を食べて育った子どもたちは、栄養のバランスが悪いため体力が低く、感染症などの病気にかかる可能性が高い。いくら、夢のために頑張って勉強をしようとしても、身体が頑張ることを許してくれない。
「アライスなど子どもに食べさせずに、バランスのとれた食事を食べさせなさい!」
と、保護者に言ったところで、彼らも好きでアライスを子どもたちに食べさせているわけではない。子どもたちが飢えないためには、アライスを食べさせるしかないのだ。
彼らに食事を提供することも大切である。しかし、支援団体が食事の提供を一生続けていくことはできない。
現状を単に否定するのではなく、実現可能な理想を押し付けるのではなく、現状に合った実現可能で継続可能な改善策を、現地の人々と一緒に見つけていくしかない。
そのために、DAREDEMO HEROでは味の素ファンデーションの助成を受け、徹底した聞き取りと食事調査を行い、彼らが少しでも衛生的で健康的な食事を、自分たちの力でとれるように活動を行っている。
NPO法人DAREDEMO HERO
◎団体ホームページ
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