顧みられない熱帯病(NTDs)制圧に関する声明「長崎アウトカム・ステートメント」を発表

NTDsに対する研究開発、アクセス&デリバリーの加速に向けて

GHIT Fund

本日、世界の主要機関が顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases: NTDs)の研究開発およびアクセス&デリバリーの加速化を求め、NTDs制圧に関する声明「長崎アウトカム・ステートメント」に署名し、ここに表明いたします。

NTDsは、世界で16億人以上の人々に影響を与える20以上の熱帯感染症を中心とした疾患群であり、特に低中所得国の貧しい地域に偏り分布し、人々の健康や生活に大きな影響を与えています。診断薬、ワクチン、治療薬などが必要にも関わらず、資金や人材が不足し、研究開発が進んでいません。


この課題に取り組むため、グローバルヘルスのリーダーたちは、2023年5月12日(金)に長崎にて開催された「G7長崎保健大臣会合開催記念 国際シンポジウム『顧みられない熱帯病に対する研究開発とアクセス&デリバリーの加速化に向けて』(主催:グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)、長崎大学、Uniting to Combat NTDs)に集結し、「長崎アウトカム・ステートメント」を策定し、NTDsに対する持続的な資金拠出と公平なアクセスの必要性を呼びかけました。この呼びかけに応じるかのように、岸田文雄内閣総理大臣はG7サミットにおいて、GHIT Fundに5年間で2億米ドルのプレッジ(誓約)を発表しました。


本ステートメントは、「キガリ宣言*1」を再認識し、ユニバーサルヘルスカバレッジ(UHC)*2とパンデミック対策に関するG7で掲げられた野心的な目標の達成に対して、NTDsへの取り組みがいかに重要であるかを概説しています。本ステートメントでは、研究開発およびアクセス&デリバリーへの投資支援などG7首脳への6つの提言とともに、世界のNTDコミュニティやグローバル社会が果たすべき7つの行動喚起を示しています。NTD制圧のために持続的な資金調達メガニズムが重要であることも含まれています。



G7首脳への6つの提言 (要約版:別紙全文参照)

1.  NTDs制圧へのコミットメントを継続し、政治的な優先順位として掲げ、大胆な行動、投資に反映させること。

2.  製品開発パートナーシップやアクセスを確保するための戦略的パートナーシップへの長期的かつ持続可能な資金調達を支援すること。

3.  G7首脳は、NTDsをさらに重要視し、今後のG7、G20サミットや国連総会などのハイレベルな政治フォーラムにおいてNTDsを支持すること。

4.  NTDまん延国に根ざした持続可能な研究ネットワークを支援し、プライマリ・ヘルスケア(PHC)レベルで利用できる新しい医療ツールを開発し、NTDの研究開発と健康解決への公平なアクセスを加速させること。

5.  NTDロードマップの重要な柱でもあるプール型調達メカニズムを活用すること。

6.  世界保健機関(WHO)の世界NTDプログラムおよびWHO加盟国への支援を継続し、WHO内でもNTDが「見過ごされない」ようにすること。


グローバル社会への7つの行動喚起(要約版:別紙全文参照)

1.NTDの社会経済的影響を強調し、国、地域、世界レベルでコミュニティレベルからNTDの認知度を向上させます。

2.流行国が政治的リーダーシップを発揮し、既存のリソース確保、持続可能な調達、NTDsに対する分野横断的かつ「人」を中心としたリソースの有効活用を確保します。

3.NTDの制圧と撲滅のために多額の資金を調達するための革新的な資金調達メカニズムを開発します。

4.最も深刻な資金不足のNTDsなどへの資源動員を優先させる必要があります。

5.すべての研究開発関係者とパートナーは、研究開発の効率とアクセスを改善するために、研究開発プロセスを通じて知識と技術の共有をよりオープンに、より透明性をもって推進する必要があります。

6.アクセスバリューチェーン(AVC)のすべてのステップを再評価し、プロセスを改善し加速させる方法を模索します。

7.研究開発、アクセス&デリバリーを加速するためのエンド・ツー・エンドのエコシステムを多角的アプローチで実現します。



GHIT Fund、長崎大学、Uniting to Combat NTDsを含む約20の団体および個人*3が署名した本ステートメントでは、G7首脳が「G7広島首脳コミュニケ」においてNTDsに言及し、UHCおよびパンデミックへの備えを優先させることを称賛するとともに、NTDsの診断薬、ワクチン、治療薬の研究開発への投資と、NTDsの影響を受ける最も脆弱な人々がこれらのイノベーションにアクセスできるようにするための継続的な資金拠出を支援するようG7首脳に強く要請します。NTDsへの具体的な行動と財政的なコミットメントにG7が重要な役割を果たし、G7が国際社会とともに行動する時に、変化をもたらすことができると賛同者一同確信しています。



「長崎アウトカム・ステートメント」の全文は別紙を参照ください。

https://www.ghitfund.org/assets/othermedia/Nagasaki_Outcome_Statement_JP.pdf


 

*1 キガリ宣言(「顧みられない熱帯病(NTDs)に関するキガリ宣言」)について

「顧みられない熱帯病(NTDs)に関するキガリ宣言」は、2022年6月にルワンダで開催された「マラリアと顧みられない熱帯病(NTDs)のキガリサミット」において発表されたNTDs制圧に関わるステークホルダーズのコミットメントです。「キガリ宣言」では、国連の持続可能な開発目標(SDGs)目標3に掲げるNTDs制圧ターゲットならびにWHOのNTDs ロードマップ(2021-2030)の達成、2030年までに、2つのNTDsを根絶、100カ国において少なくとも1つのNTDsを制圧、そしてNTDsの治療介入を必要とする人を90%減らすことを目指しています。
出典:外務省:https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100362515.pdf

   エーザイ株式会社:https://www.eisai.co.jp/news/2022/news202250.html


*2ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)とは、「全ての人が生涯を通じて必要な時に基礎的な保健サービスを負担可能な費用で受けられること」を意味しており、2015年9月の国連サミットで採択された持続可能な開発目標(SDGs)においても、ゴール3(健康と福祉)の中でUHCの達成が掲げられています。日本は50年以上前の1961年に、国民皆保険制度を実現するなど、保健医療システムの整備が進められ、医療格差が減少したことにより、今日、日本国民は世界一の平均寿命を享受しています。日本政府は、2015年9月に発表した「平和と健康のための基本方針」の中でUHCの推進を政策目標や基本方針として掲げるとともに、日本の経験を活かして、各国のUHC実現に向けて積極的に取り組んでいます。出典:日本製薬工業協会https://www.jpma.or.jp/about/



*3 長崎アウトカム・ステートメント賛同者について(順不同)

別紙「長崎アウトカム・ステートメント」の全文(P9-10)を参照ください。


 「長崎アウトカム・ステートメント」は、グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)、長崎大学、Uniting to Combat NTDsが主催した「G7長崎保健大臣会合開催記念 国際シンポジウム『顧みられない熱帯病に対する研究開発とアクセス&デリバリーの加速化に向けて』で共同作成されました。


シンポジウムへの参加団体は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、Drugs for Neglected Diseases initiative(DNDi)、The END Fund、Baylor College of Medicine、The Global Health Innovation Alliance Accelerator (GHIAA)、公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)、Global Institute for Disease Elimination (GLIDE)、日本政府、日本顧みられない熱帯病アライアンス(JAGntd )、日本製薬工業協会(JPMA)、Medicines Development for Global Health、エーザイ株式会社、アステラス製薬株式会社、Merck KGaA、MSF Access Campaign 、国境なき医師団、国立大学法人長崎大学、小児用プラジカンテル・コンソーシアム、SDGs・プロミス・ジャパン(SPJ)、the Special Programme for Research and Training in Tropical Diseases (TDR)、国連開発計画-アクセス&デリバリーパートナーシップ、Uniting to Combat NTDs、世界保健機関(WHO)グローバルNTDプログラム及びアフリカ地域事務所(AFRO)。

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会社概要

URL
https://www.ghitfund.org/jp
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都港区六本木一丁目9-10 アークヒルズ仙石山森タワー 25階
電話番号
03-6441-2032
代表者名
國井 修
上場
未上場
資本金
-
設立
2012年11月