『コモンズの再発明 「みんなで暮らしをつくる」という生存戦略』創刊
出版レーベル〈涌出 WAKIIZU〉は、9月21日より新刊『コモンズの再発明 「みんなで暮らしをつくる」という生存戦略』の販売を開始しました。

▼「コモンズの再発明」とは?
これは、人類が生き延びるための戦略であり、
遊びながら"もう一つの未来"をつくるための提案だ。
それは単なる「古き良き共同体」への回帰ではない。
現代のテクノロジー、価値観、市場経済を掛け合わせた再発明。
その芽吹きは、すでに世界各地で始まっている。
まちに新しい店や会社が生まれたり、移住者や観光客が増えたりすることは、地上の植生のように目に見えやすい変化だ。一方で、その生き生きとした動きを支える地下の土壌や水脈のようなものは、なかなか知覚しにくい。
そこに「遊び」や「学び」が豊かに醸成され、「公(Public)」と「私(Private)」の間に横たわる広大な「共(Common)」の領域が育まれていくと、ゆっくりと着実に、ふかふかな土壌が積み重なっていく。菌糸のように「つながりの資本」が張り巡らされ、その上には多種多様な植生 ──経済や文化をはじめとしたさまざまな活動── が芽吹いていく。
(本文より)
▼本書に寄せる思い
この本で伝えたいことは、「みんなで暮らしをつくる」(暮らしを共有化する)ことの楽しさと、その限りない可能性だ。そして、読んでいただいた誰もが、日々の暮らしの中で小さな一歩目を踏み出していくことのできるような本であればと願っている。
合言葉は「3% Commons」。
自分の暮らしの3%くらいーー時間、お金、労力、なんでもいいーーを、私(Private)なものから、共(Common)な世界へと、はみ出させてみるのはどうだろうか。それって具体的にどういうこと?という話は、本章の中でたっぷりお届けしたい。
「共」もしくは「コモンズ」という概念は、これからの時代において、一人ひとりの人間にとっても、企業やビジネスにおいても、地域や社会のあり方においても、とても大切なテーマであると考えている。
一方で、従来のコモンズ論や共助といった領域は、都市化・資本主義・少子高齢化といった大きな流れや、時に面倒くささやしがらみを感じたりと、いろんな理由が絡まり合って、ここ数十年の間ではどちらかというと縮小気味ともいえる。
この本のスタンスとしても、古き良き社会に戻ろうと主張するつもりもないし、コモンズというものが万能なわけでもない。従来の人類が生み出してきたコモンな営みの価値を見つめ直すことと同時に、いま、その概念をアップデートする=再発明するくらいの問いかけが必要であると考えている。そして、その兆しは既に世界各地で出現している。
従って、形式知化されている学問としてのコモンズ論からは、相当はみ出していると言ってもいい。もしくは、学術的な定義でいうところから外れているものもあるかもしれない。
本書の著者である「シェアビレッジ」は、“みんなで暮らしをつくる”を、人類最高の遊びにするための協同組合型チームだ。2015年に、秋田の茅葺古民家を仮想の村に見立てた新たなコミュニティづくりを開始。2020年より、全国各地の小さなコミュニティ群や、さまざまな領域との共創を通じて、”暮らしを共有化”(コモニング)するための「道具」と「学び場」づくり、そして「社会実験」を進めてきた。
これらの実践やつながりから見えてきたことを、一冊に詰め込んでお届けできればと思う。
シェアビレッジ株式会社 代表取締役 丑田俊輔
▼書籍情報

タイトル:コモンズの再発明
ー「みんなで暮らしをつくる」という生存戦略ー
編著者:丑田俊輔(シェアビレッジ株式会社)
出版社:有限責任事業組合涌出
定価:2,970円(10%税込)
サイズ:A5変形
ページ:294ページ
言語:日本語
ISBN:978-4-9913185-2-8
▼発行人
丑田 俊輔
シェアビレッジ株式会社 代表取締役
プラットフォームサービス株式会社 代表取締役
ハバタク株式会社 代表取締役
一般財団法人私立新留小学校設立準備財団 共同代表
1984年会津生まれ、東京育ち。慶應義塾大学商学部卒。2004年、千代田区の公民連携まちづくり拠点「ちよだプラットフォームスクウェア」の創業に参画。日本IBMを経て、2010年、新しい学びのクリエイティブ集団「ハバタク」を創業。2014年より秋田県五城目町在住。“コモンズの再発明”を合言葉に「シェアビレッジ」を運営。茅葺古民家の宿泊交流施設「シェアビレッジ町村」、商店街の遊休不動産を活かした遊び場「ただのあそび場」、住民参加型の小学校建設「越える学校」、住民出資による温泉再生「湯の越温泉」、地域の森林資源とデジタル技術でつくる集合住宅「森山ビレッジ」などを手掛ける。
▼あとがきより
来るべき社会に向けて、どのように「共(Common)で つ く る」か は、最も創造的な問いであり、そのアイデアを形にしていくことは、最も創造的な遊びである。「共」は、人間の記憶の古層にある。社会は結び合うことで、その健やかさを維持してきたのではなかったか。「みんなで暮らしをつくる」ことは、人類が生き延びるための生存戦略そのものなのである。
▼目次
はじめに
#00 “みんなで暮らしをつくる”は、人類最高の遊び
みんなで暮らしをつくる
東京・神田錦町のこと
秋田・五城目町のこと
シェアビレッジ・プロジェクト
まちの中に生成され続ける多種多様なコモンズ
集落を再発明する
自分たちのコミュニティを複数持つ生き方
コモンズってわかりにくい
コモンズという概念を拡張しよう
日本にもともと存在していた「共」
現代に生まれている新たな「共」
コモンズの視点を社会にインストールする
コミュニティを「つくる」と「つくらない」の間
そもそも、「コミュニティ」とは何か
共同体ならぬ「共異体」
「つくる」と「つくらない」の間
「間」の曖昧さを噛み締める
コモンズは誰のものか?
「共有」の3分類
現代で生まれている「共有」のスタイル
商品や消費者の壁を越える
コモン=一緒につくっている感
コモンズは暇人のものなのか?
現代に生きる人々は忙しい?
自分の時間を捉え直してみる
コモンズを考える2つの視点
楽しく生きるための“共”
複数の経済圏を行き来する力が、未来の必須スキルになる
いま自分はどの経済圏で生きているか?
多種多様な経済圏と「暮らし」
経済圏によって組織のかたちも変わる
経済圏を乗りこなすツールの発明は黎明期
経済圏をホッピングする
コミュニティを「ひらく」と「ひらかない」の間
排除性と競合性の間のグレーゾーン
郷に入っては郷に従うか?
暮らしをつくるって、自由だ
評価されないという快感
ムラ社会の評価と、都会的な評価
評価経済、アテンションエコノミーの加速
Stay with Community
評価から逸脱する、ということ
狩猟採集民から学ぶ「育てない」という感覚
狩猟と農耕を併せ持つ秋田人
マタギ的なもの
「育てる」を手放してみる
「育てる」と「育てない」の間
#01 生成され続ける、まちのコモンズ
町民が発起して、次々とプロジェクトが立ち上がる。
五城目町で生まれる「遊び」ドリブンなコモンズ
秋田県南秋田郡五城目町
波のように寄せては返し、積層していくコモンズ。
境界線を超えて混ざり合い、変化する海士町の地域生態系
島根県隠岐郡海士町
人とのつながりから生まれる「信用経済」が地域を熱くする。
まち・ひと・お金の新たな関係をつくる三豊市のコモンズ
香川県三豊市仁尾町
それは単なる「古き良き共同体」への回帰ではない
#02 コモニングから生まれていく風景
駄菓子屋、宿、マーケット…。ほしい日常をつくる「やまろくむら」
静岡県静岡市清水区蒲原
心が“ふるえる”本と出会う。人が集う秘密基地「ふるえる書庫」
大阪府池田市古江町
感謝経済で成り立つ「虫村」から広がる「私有(仮)」な世界
神奈川県相模原市緑区(旧藤野町)
「学び場」を軸に、地域のコモンズを再生する「私立新留小学校」
鹿児島県姶良市
#03 コモンズとは何か?を紐解く
コモンズとは何か? ~日常のコモンズと有事のコモンズから~
概念と論点の整理
「日常」のコモンズ
「場所」のコモンズ
「制度」のコモンズ
「有事」のコモンズ
2023年秋田県豪雨被害をうけた五城目町から
災害に強くなるためにコモンズが大切になっていく
おわりに
あとがき
▼出版社より
◾️コモニングとは…?

◾️コモニングが育む地域生態系

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