「令和5年度 蓄電池等の分散型エネルギーリソースを活用した次世代技術構築実証事業」の成果を報告
Q.ENESTホールディングス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:張熙載、以後当社)のグループ会社であるハンファジャパン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:尹 柱、以後ハンファジャパン)は、経済産業省の「令和5年度分散型エネルギーリソースの更なる活用実証事業」(以下、本実証事業)にリソースアグリゲーター(注1)として参画し、複数の家庭用蓄電池システムを活用した実証事業を行いました。 本実証事業における、家庭用蓄電池の遠隔制御技術に関する現状の成果と今後の課題について報告します。当社は、ハンファジャパンからVPP(注2)・エネルギーリソースアグリゲーション事業を引き継ぎ、VPP事業の商用化を進めています。
【実証の目的】
本実証事業の目的は、リソースアグリゲーターとしての家庭用蓄電池の制御精度の向上、及び、調整力・供給力提供サービスの拡充など家庭用蓄電池のアグリゲーションビジネスの実現可能性の検証です。
【実証の背景】
国が掲げている2050年カーボンニュートラル実現に向けて、日本の再生可能エネルギーの導入拡大が進められています。一方で、太陽光発電などをはじめとした再生可能エネルギーは、天候などによって発電量が大きく変動することから、供給量が安定せず、予測が立てづらいという課題に直面しています。家庭用蓄電池は、一時的に電気をためる役割が期待されており、2030年には314万台規模に拡大すると見られています。(注3)
また、分散型リソースのさらなる活用促進に向けて、資源エネルギー庁は2026年度から需給調整市場(注4)に家庭用蓄電池などの低圧リソースを活用する方針を打ち出しています。
【実証の概要】
本実証事業では、株式会社エナリス(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:都築実宏、以下、エナリス)をコンソーシアムリーダーとするコンソーシアムに参画し、ハンファジャパンはリソースアグリゲーターとして複数の家庭用蓄電池を制御し、供給力(市場価格連動DR)、調整力(二次②、三次①、三次②、容量市場発動指令電源)(注5)の実証に取り組みました。
事業名 |
低圧リソースの活用をはじめとしたアグリゲーションビジネス拡大のための実証事業 |
実証期間 |
2023年6月~2024年2月 |
コンソーシアム リーダー |
株式会社エナリス(アグリゲーションコーディネーター) |
実証エリア |
東北電力エリア |
制御対象リソース |
家庭用蓄電システム 5台 |
実証内容 |
【供給力実証】 ■ 市場価格連動DR 【調整力実証】 ■ 二次調整力②(簡易指令システム相当) ■ 三次調整力①② ■ 容量市場発動指令電源 |
《供給力実証》
制御実施日のスポット市場価格を基に、電力小売事業者視点での電力調達価格の値差を考慮した充放電計画を作成し、家庭用蓄電池の制御を実施
《調整力実証》
将来的に低圧リソースの参加が見込まれる需給調整市場を想定した調整力実証や、容量市場における発動指令電源(複数の蓄電池をデマンドレスポンスのリソースとして組み合わせ、特定の時間帯に放電させることで電気の需要を引き下げ、必要な供給力を提供するもの)の実証を実施
【実証の役割】
ハンファジャパンはリソースアグリゲーターとしてクラウドシステムおよびゲートウェイ(注6)を活用し遠隔操作にて家庭用蓄電池の制御を行いました。
【主な成果と今後の課題】
《成果》
■供給力実証
・スポット市場の予測価格を元に家庭用蓄電池の充放電計画の作成ができました。
■調整力実証
・整力実証、容量市場発動指令電源については、リソースアグリゲーターシステムを介して家庭用蓄電池の制御を実施できました。
《課題》
家庭用蓄電池とリソースアグリゲーターシステムとの間で通信異常が発生し、一部充放電制御ができない状況が発生し、通信仕様の課題がありました。
【今後の取り組み】
当社は、本実証事業を通じて得られた家庭用蓄電池を遠隔制御する際の技術的ならびに経済性確保の成果ならびに課題を踏まえて、VPPの本格的な商用化に向けて更なる検証を進めます。当社は、今回の実証実験における家庭用蓄電池のみならず、産業用蓄電池の制御も含め、VPP事業におけるリソースアグリゲーターとして再生可能エネルギーのさらなる普及を目指します。VPP事業をはじめ、当社は再生可能エネルギー分野において先導的な役割を果たし、持続可能な未来の構築に寄与してまいります。
注1) リソースアグリゲーターは、各電力需要家と契約して、電力のリソース調整を行う役割を担っています。
注2) VPPとは、Virtual Power Plant(仮想発電所)の略であり、複数の分散型エネルギー源を遠隔で統合・制御することで、あたかも一つの発電所のように機能させる仕組みです。
注3) 出典:第4回定置用蓄電システム普及拡大検討会「定置用蓄電システム普及拡大検討会の結果とりまとめ」資源エネルギー庁
注4) 需給調整市場とは、短時間で調整力を提供することで需要と供給のバランスを整えて、安定的な電力の供給を行うための市場です。需要と供給のバランスが崩れると大規模停電などの事態につながる可能性があるため、需給調整市場はその調整をする役割を担っています。
注5) 需給調整市場には様々な調整力があり、本実証事業の対象となったのは以下の調整力です。
《二次調整力②》
数秒~数分間隔で出される制御指令に対し、指令受領後5分以内に指令値に則したリソース制御
《三次調整力①》
数秒~数分間隔で出される制御指令に対し、指令受領後15分以内に指令値に則したリソース制御を行うことで市場へ提供するメニュー
《三次調整力②》
30分間隔で出される制御指令に対し、指令受領後45分以内に指令値に則したリソース制御を行うことで市場へ提供するメニュー
注6) ゲートウェイとは、蓄電池用のパワーコンディショナと接続して蓄電システムの設定をするためのリモートコントローラーとしての役割を果たし、蓄電池の発電量や蓄電量をモニタリングする装置です。
【参考】
【Q.ENESTホールディングス株式会社について】
ハンファジャパン株式会社の電力事業として設立され、2023年に独立。グリーンテクノロジー事業を主軸にVPP事業・蓄電池事業・太陽光売電事業・電力小売事業など、再生可能エネルギー分野における多角的な事業を展開している。
日本におけるグリーントランスフォーメーション(GX)を推進すべく、自社の発電・小売ノウハウに基づいた独自のグリーンテクノロジーを活用し、誰もが適切な価格で再生可能エネルギーを利用できる発販一体ビジネスモデルの構築を目指す。
「Q.ENESTホールディングス」ホームページ:https://www.qenest.com/
【ハンファジャパン株式会社について】
世界710ヵ所の拠点をもち、Fortune Global 500に選出された韓国最大手企業の一つである株式会社ハンファの日本法人として1984年に設立。グリーンエネルギー事業、ケミカル事業、セキュリティ事業、プロダクトソリューション事業の4部門を展開し、化学品、鉄鋼、機械・設備、自動車部品、IT関連機器等、多部門にわたる基幹産業のアジア諸国間での輸出入業務と日本市場での販売事業を行っている。2011年より日本の太陽光事業に参入し、2023年12月現在で日本向けの出荷量累計7.5GW、住宅設置数150,000棟を達成した。
「ハンファジャパン」ホームページ:https://www.hanwha-japan.com/
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