人手不足が深刻な福祉業界で「YouTubeを活用した採用戦略」 「第43回全国社会福祉法人経営者大会」で発表
「デジタルツールの活用」と「職場環境のデザイン改善」の成功事例を公開
大分県の社会福祉法人博愛会 第一博愛寮の釘宮謙悟施設長は、2024年8月29日・30日に神奈川県横浜市で開催された「第43回全国社会福祉法人経営者大会」において、「第2分科会 経営実践 福祉を守り抜く経営実践」にて、福祉人材の採用と定着に関する取り組みを発表しました。
背景
日本では、少子高齢化により介護業界が深刻な人手不足に直面しています。高齢化に伴う介護需要の急増と、少子化による労働人口の減少が重なり、介護業界は他業界と比べて人材不足が特に顕著です。2025年には国民の約4人に1人が75歳以上となる「2025年問題」が迫る中、厚生労働省は2025年度には約245万人の介護人材が必要と見積もっており、多くの福祉人材確保が必要な状況です。
この状況を打破するため、博愛会では「デジタルツールの活用」と「職場環境のデザイン改善」を軸にした新たなアプローチに取り組み、これが一定の成果を収めています。この成功事例の共有に、多くの参加者から関心が寄せられました。
取り組みのポイント
YouTube動画を活用した採用活動
博愛会では、YouTubeを通じて職場の雰囲気を伝える15秒の短い動画を毎日3本投稿しています。これにより、求職者に実際の職場の様子や働くスタッフの姿を視覚的に伝え、応募者数の増加に成功しました。動画を視聴した求職者は職場への理解を深めた状態で見学や面接に臨むため、採用後のミスマッチが減少しています。今回の発表でも、この戦略に対して多くの質問が寄せられました。
空間デザインの改善による職場環境の向上
東京のデザイナーと協力し、施設内の職員室をカフェのようなリラックスできる空間にリノベーションしました。おしゃれなカフェをイメージした職場環境は、職員間のコミュニケーションを促進し、離職率の低減にも寄与しています。香り高いコーヒーと自由に利用できるお菓子が並ぶ職員室は、職員からも好評で、より長く働き続けたいという意欲を高めています。この変化が、職員の定着に大きな影響を与えています。
LINE公式アカウントを活用したフレンドリーなコミュニケーション
学生とのコミュニケーションツールとしてLINEを導入し、従来のメールや電話に代わり、気軽なやり取りを実現しています。これにより、求職者が感じる敷居を低くし、採用プロセスをよりスムーズにしています。
シンプルで分かりやすい法人理念の共有
「やさしさ日本一の社会福祉法人」というシンプルな法人理念を繰り返し掲げることで、職員間の一体感を高めています。この理念に共感した若手職員が増加しており、職場のやさしい雰囲気が求職者に伝わることで、さらなる人材確保につながっています。
発表内容への反響
発表後、参加者からは「SNSやホームページなど年間どれくらいの予算で運用しているのか?」「広報活動に積極的にかかわってくれる職員をどうやって育てたのか?」といった多くの質問が寄せられ、博愛会の採用活動に対する取り組みへの関心の高さが伺えました。
発表者のコメント
社会福祉法人博愛会 第一博愛寮 釘宮謙悟施設長
毎日の動画撮影は正直大変なこともありますが、福祉の仕事の魅力を伝える非常に有効な方法だと思っています。 今回の横浜大会での内容発表はすべてYouTubeで公開していますので、ぜひご覧ください、この取り組みが、福祉人材の未来に向けた一助となり、少しでも皆様のお役に立つことを心から願っています。
YouTube動画「福祉人材の育成と定着 ~デジタルとデザインを活用した採用戦略~」
【社会福祉法人博愛会 法人概要】
【法人名】社会福祉法人博愛会
【所在地】大分県大分市野田759番地1
【連絡先】TEL:097-586-6121 FAX:097-586-6115
【代表者】釘宮卓司
【従業員数】160名
【ホームページ】http://hakuai-oita.com/
【YouTube】 https://bit.ly/38dkAFL
【事業内容】
「社会福祉法人博愛会」は昭和27 年に設⽴された創立75年目の法人です。
設⽴当初から現在に⾄るまで、障害者の社会参加を目的として
福祉・農業・⽣産品加⼯・観光産業を融合させた六次産業化を推進しています。
大分県立美術館のカフェ「カフェ・シャリテ」「府内のおうどん」
おしゃれな牡蠣小屋「キツキテラス」「野遊び浜キャンプ場」など知的障害の方の就労支援や
夢を叶える入所支援などワンストップで行っています。
「日本一やさしい社会福祉法人」を目指して魅力的なサービスを提供することで
障害者の方の生きがい創出や、雇用を増やし続けています。
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