金融経済教育の浸透に課題
約9割の教員が金融経済教育の必要性を実感するも生徒への浸透率は1割強
日本FP協会(所在地:東京都港区、理事長:白根壽晴)は、2024年6月6日(木)~2024年6月10日(月)、金融経済教育に携わったことがある教員を対象としたインターネット調査「学校における金融経済教育に関する意識調査」を実施しました。本調査では、学校現場での金融経済教育の実施状況や浸透度に加え、その担い手を高度な専門知識を有した公平中立な立場の専門家に求めているなど、金融経済教育における学校現場の課題などが明らかになっています。
調査結果の概要
Topic1. 金融経済教育における学校現場の課題は「専門知識の不足」
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金融経済教育をするうえで難しいと感じることは、「生徒にとって理解が難しい内容が多い」が5割強、次いで「教える側の専門知識が不足している」が続く。
「金融経済教育をする人」に求められる資質は、高度な知識と専門性。
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金融経済教育の内容が生徒たちに浸透していると思う割合は、1割強に留まる。
Topic2. 時間的制約により「専門知識の不足」を教員自身で解消することは困難
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金融知識を身に付ける際の障壁は、「時間的余裕がない」の回答が6割弱で最も高い。
「知識・情報のアップデートが追いつかない」が約4割で続く。
Topic3. 外部組織との連携の必要性は感じているが、半数程度は経験なし
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金融経済教育を行ったことがある教員の約8割が外部組織との連携を進めるべきだと思っている。
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外部講師の利用を検討している教員は4割弱、現在利用しているのは25%ほどであり、利用したいと
考えているが、利用できていない層が一定数。
Topic4. 外部組織に期待することは「専門知識」と「公平・中立性」、教員の負担軽減となるような「学校教育・授業への理解」が求められる
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外部組織との連携を進めるべき理由としては、「高度な専門知識を持った講師の授業をうけられる
から」が8割弱で最も高い。 -
「金融経済教育をする人・組織」に求める資質として、約3割が「公平・中立性」と回答。
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連携先選択時に重視するのは、「依頼料がかからない」が6割超、次いで、「学校教育に関する知識がある」「授業内容を提案してくれる」が約半数。
Topic5. 金融経済教育の必要性は約9割
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9割を超える教員は、学校における金融経済教育を必要だと感じている。
本調査実施の背景
「学校等で教育を受けたと認識している人の割合」は、7%という調査結果が出ています(金融広報中央委員会「金融リテラシー調査2022年」より)。政府は、2028年度末を目途に、この割合を現状の7%から20%に増やす方針を明らかにしており、学校現場における金融経済教育の推進が加速されることが予想されます。
一方で、教員の働き方は危機的な状況にあり、教員を取り巻く環境整備について、社会全体で取り組むべきとする緊急提言がまとめられています。金融経済教育を教える教員には、専門的な知識の習得が求められますが、その教員が、実際に担い手となり得るのか、あるいは、実態は難しく、専門家の派遣が求められているのかといった現場の声を確認することが重要であると考え、教員を対象とした調査を実施しました。
パーソナルファイナンス教育インストラクターによる出張授業
教員を取り巻く環境整備の具体的な支援策のひとつとして、日本FP協会では「パーソナルファイナンス教育インストラクターによる出張授業」を実施しています。金融経済教育(パーソナルファイナンス教育)を通じて、人生の夢の実現をお金の面から考えていけるよう、学校での出張授業などさまざまな活動に取り組んでいます。
◆ご要望に応じた授業プラン
先生のご要望に応じて、学校ごとに授業プランを作成しています。
インストラクターが「授業計画案」を作成しますので、事前にご確認いただけます。
◆対象
主に、高校生および教員のみなさまを対象としていますが、内容によっては、中学生、大学・専門学生等も対象としています。また、高等学校各種部会が開催する研修会、保護者向け講演会も実施しています。
◆実施形態
対面の授業に加えて、オンラインでの授業にも対応しています。
◆派遣費用等について
派遣に係る費用(講師交通費等含む)は、日本FP協会が負担します。
(ご注意:出張授業の実施は原則3年度限りとさせていただきます。)
◆教材について
テキスト『10代から学ぶパーソナルファイナンス』を活用します。学校へは無償提供しています。
◆授業実施までの流れ
インターネットでの申込み→授業内容の打ち合わせ→授業計画案の確認→授業実施→アンケートの提出
「パーソナルファイナンス教育インストラクター」は、金融経済教育に関する知識・経験を持つ日本FP協会会員(CFP認定者、AFP認定者)の中から公募・選考のうえ、登録されたファイナンシャル・プランナー(FP)です。
≪小学生に向けた活動≫
小学生向けには、 「ライフプランニング出張授業」を実施しています。 『夢をかなえる』作文コンクールの一環として、ライフプランニングの大切さを知っていただくことを目的に、ファイナンシャル・プランナー(FP)を講師として小学校に派遣しています。
◆日本FP協会の金融経済教育の取り組みについては、こちら
≪調査概要・調査結果詳細≫
Topic1. 金融経済教育における学校現場の課題は「専門知識の不足」
■「金融経済教育で難しいと感じること」では、「生徒にとって理解が難しい内容が多い」
「教える側の専門知識が不足している」が約半数。
■「金融経済教育をする人・組織(教える側)に求められる資質」では、「知識」が最も選ばれている(52.5%)。
■「金融経済教育の内容が生徒に浸透しているか」では、全体でみると「浸透している(「とても浸透している」+「浸透している」)」の割合は13.3%に留まる。
しかし、金融リテラシーが高い(自任)教員ほど、「浸透している」と思う割合が高い。
⇒金融知識の高い教員が金融経済教育を行うことで、生徒への金融経済教育の効果が高まると考えられる。
金融経済教育をするうえで、難しいと感じていること(いくつでも)
金融経済教育をする人・組織(教える側)に求められる資質(3つまで)
金融経済教育の内容が生徒たちに浸透していると思うか(1つだけ)
Topic2. 時間的制約により「専門知識の不足」を教員自身で解消するのは困難
■「金融知識を得るための取り組みをするうえで困難だと感じること」では、「時間的余裕がない」が58.6%と最も高く、「知識・情報のアップデートが追いつかない」が39.8%で続く。
⇒ 教員自身の金融知識の向上には、教員の時間的余裕がないことを解消することが最優先。
時間がない中で世の中の流動的な経済情報を教員自らアップデートし続けることは難しいため、短期的な解消のためには、専門の外部講師を利用してのサポートは有効と考えられる。
金融知識を得るために取り組みをするうえで困難だと感じること(いくつでも)
Topic3. 外部組織との連携の必要性は感じているが、半数程度は経験なし
■「外部組織との連携を進めるべきか」については、「連携を進めるべき(「そう思う」+「ややそう思う」)」と思っている教員が80.1%。
■「今後、利用を検討している教材など」では「外部講師」が38.3%で、「教科書」の40.5%に次いで2位。「外部講師」を「現在利用している」のは26.5%で、検討者の割合と比較すると、10ポイント以上の差がある。
■「金融経済教育を行う際に、外部組織と連携した経験はない」教員が金融経済教育を行ったことが
ある教員の53.2%。
⇒ 外部組織との連携を進めるべきと感じている教員は多く、利用意向が高い。
しかし、現状では53.2%の教員は外部連携の経験がないため、さらなる外部連携が求められる。
金融経済教育における学校と外部組織との連携を進めるべきか(1つだけ)
金融経済教育で、今後利用を検討している教材/利用している教材(それぞれいくつでも)
金融経済教育を行う際に、過去に実際に連携した組織(いくつでも)
Topic4. 外部組織に期待することは「高度な専門知識」と「公平・中立性」、教員の負担軽減となるような「学校教育・授業への理解」が求められる
■外部組織との「連携を進めるべき理由」では「高度な専門知識を持った講師の授業をうけられるから」が78.4%で最も高い。
■「金融経済教育をする人・組織(教える側)に求められる資質」、「公平・中立性」約3割
■「連携先選択時の重視点」では「依頼料がかからない」が6割超、「学校教育に関する知識がある」「授業内容を提案してくれる」が約半数で続き、「公平・中立的な立場である」が4位(21.6%)。
⇒ 高度な専門知識を持っていることはもちろんのこと、教育の観点から公平性や中立性が求められる。機能面では依頼料がかからないことを前提として、教員の細かい指示がなくても授業を問題なく進めてくれるような外部組織を求めていると考えられる。
金融経済教育における学校と外部組織との連携を進めるべき理由(いくつでも)
一般的に金融経済教育を教える立場の人/組織に求められる資質(3つまで)
金融経済教育を連携して行う外部組織の特徴として重視すること(3つまで)
Topic5. 金融経済教育の必要性、「とても必要」+「必要」+「やや必要」の合計は約9割と高い。
■TOTALでは、TOP2(「とても必要」+「必要」)が67.9%、BOTTOM2(「必要ではない」+「全く必要ではない」)が0.5%。
<調査概要>
■調査方法(抽出フレーム):インターネット調査(調査モニターより適格者を抽出)
■調査地域・対象者条件:全国 23~60歳 男女個人
金融経済教育に携わったことがある 小学校、中学校、高校の教員
■サンプルサイズ :SCR回収 n=10,063、本調査回収 n=814
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