メカノクロス、メカノケミカル有機合成技術量産化実現に向け⽇揮と協業を開始

医薬品・化学品合成⽤に開発したメカノケミカル有機合成プロセスを社会実装する時が来ました。 化学・製薬プラント導⼊で実績のある⽇揮株式会社と技術協業を⾏い、100kg/日 を⽬指します。

株式会社メカノクロス

製造プロセスにおける溶媒を極少量に削減する有機合成反応技術 (下図) を社会実装する北海道⼤学発ベンチャー、株式会社メカノクロス(本社:北海道札幌市、代表取締役 CEO:齋藤 智久、以下「メカノクロス」)は、⽇揮株式会社(以下「⽇揮」)と技術協業を開始します。本協業では、溶媒を使⽤せずに合成できるメカノケミカル有機合成プロセスを量産スケールで実現するべく、試作機、および、量産機の実証可能性を検討します。特に、医薬品向けの製造にも耐えうるコンタミネーションの少ない系における実証検証で、⽬標として「1kg/⽇」→「10kg/⽇」→「100kg/⽇」(弊社会計年度で、 2026 年度終了時) を実現すべく両社で取り組みます。

■メカノケミカル有機合成反応について

持続可能な社会の実現に向けて、各産業でカーボンニュートラルへの注⽬が集まっております。 化学業界においてもこのトレンドは同様で、 脱炭素施策として再⽣エネルギーの利⽤や⽣産条件の最適化など⼿が尽くされています 。

⼀⽅で、 化学合成のプロセスそのものは、 依然として環境負荷が⾼いままであると考えています。現在の化学合成プロセスは、医薬品やスマホなど⾝の周りのモノを製造するために、100年以上前から同じ⼿法を⽤いています。 この化学合成は⽯油由来の溶媒に材料を均⼀に溶解してなされるもので、 原料を溶かすために、 多ければ、 原料の100倍もの量の溶媒が必要でした。この有機溶媒は、製造後に集められて産業廃棄物として燃焼処理され、⼤量の⼆酸化炭素を排出する問題がありました。

そんな中、弊社は機械的刺激による攪拌で、有機溶媒を⽤いる化学合成反応と同様の反応を、極少量の有機溶媒で起こす⾰新的な技術を保有しています。 (下図) 。

この⽅法をメカノケミカル有機合成とし、 弊社はこの技術を社会実装することで、 化学プロセスの脱炭素化を実現することを⽬指します。

また、 有機合成反応の適応性の広さも特徴的で、 北海道⼤学⼯学研究院の伊藤研 (伊藤教授は、メカノクロスの取締役)では、多くの化学反応を実証してきました。

■溶媒削減可能性について

メカノケミカル有機合成は、医薬品の合成や化学材料の合成に⽤いられるカップリング反応において、溶液反応と⽐較して、⽣産性の⾼さや⼆酸化炭素排出削減が顕著であり、これまで学術的に多くの関⼼が寄せられています 。

また、溶媒を⽤いる溶液合成法と⽐較して、 溶媒を⽤いないため、 設備⾃体がコンパクトで設備投資も⼩さいという利点(下図)もあります。さらに、例えば 24 時間かかる材料の合成反応が数分で終了するように、⽣産性の⾼さについても⼤きな利点になります 。さらに、溶媒の規制や溶媒価格の⾼騰により供給責任に窮している企業に対しては、 経済的にもサステナブルな化学合成⼿段として、 プロセスの導⼊提案を⾏ってまいりました。 先般のリリースでご紹介しましたダイセル社との協業では、製造⼯程における⾼い⽣産性と溶媒削減によるコストダウンや脱炭素に貢献することを⽬指します。

■⽇揮との量産化プロセス装置の検討について

現在までに、ある反応において、最終⽣成物で約 1kg/バッチ、 または、 連続で約 5g/min.(7kg/day)程度の量産化の可能性を⾒出しています。今回の⽇揮との取り組みでは、最終的には、100kg/day スケールの量産装置の開発を⾏い、実現可能性を検討します。以下に⽰すように、ある材料、化合物に限定すればという前置きをつけるものの、 有識者によると、弊社がフォーカスの1つとしている製薬分野の低分⼦医薬品では、10kg/1 バッチなどが問題なく⽣産量に達するものもあるとのことですので、 最⼤ 100kg/1 バッチを⽬指したいと考えております。 しかしながら、メカノケミカル有機合成反応は、溶媒を⽤いないことから⾮常に濃度、 密度ともに⾼い状態中で反応が起こり、 発熱などを含む暴⾛が起こり易いと予想でき、⼩サイズでも兆候が⾒られます。 反応における安全性が社会実装のために⾮常に重要となるため、 安全性を確保し、 かつ、 可能な限りの量産を達成できる装置設計、反応容器設計が必要となります。

具体的な役割として、下記となり、以下 PDCAを回すことで、試作機の作製、検証を⾏っていきます。

・ メカノクロス: これまで培ったメカノケミカル有機合成に適した反応容器、装置の要件定義、基本

                           設計(⼀部共同) 、および仕様決定に係る反応ノウハウを提供。試作したパイロッ

                           ト機におけるモデル反応の検証。

・⽇揮             :上記要件を実現するための設計(基本設計は⼀部共同) 、およびこれを実現するた

                           めの製造装置設計ノウハウの提供、試作検討の実施。

■今後の予定

今回の量産化プロセス開発は、 メカノクロスが顧客と協業しているテーマや今後注⼒していく開発テーマ (下図) において、必要要素であり、また、弊社の反応設計能⼒と並んでコア技術になるものと位置付けております。 その検証を化学・製薬プラント導⼊で実績のある⽇揮と今このフェーズで実施することは⾮常に⼤きな意味を持つと考えています 。

メカノクロスでは、社会実装に向けてすでに以前から有機合成⽤量産プロセスのアイデアを知財やノウハウで蓄えていますが、 ⽇揮とともに量産⽤試作機として具現化していきます。

将来的には、 顧客様の多分野の市販品を転⽤しているラボ機の検証後、 本検討の成果物となる10kg スケールのパイロット機をプロダクション前の検証に使われることを期待しています 。この検証を経て、顧客様には、「安全性」と⼗分な「⽣産性」をご確認頂き、その後にプロダクションプロセスへのスケールアップ検証を⾏い、 実際にプロセス導⼊できることを⽬指していきます。

■⽇揮株式会社 

                      原⽥ 恒樹氏 / ⼤島 直哉氏 コメント

メカノクロス社の取り組みに協⼒・連携して、環境負荷の⼩さい⾰新的なプロセスであるメカノケミカル有機合成の量産化装置開発に携わることに、やりがいと⼤きな価値を感じています 。量産化装置の実現に向け、解決すべき課題は多くありますが、業界全体の環境負荷・製造コストを低減することに寄与できる有機合成反応設備の新しい形をお届けできればと考えおります。

■株式会社メカノクロス

      代表取締役 CEO 齋藤 智久 コメント

メカノケミカル有機合成⽅法の可能性については、これまでのリリースを通じて申し上げてきましたが、この量産化技術、 プロセスの確⽴がこのメカノケミカル有機合成の社会普及のための⼀丁⽬⼀番地と考えております。ここをしっかりと⽇揮社と、また、 他の反応装置メーカー様を巻き込む形で、とにかく前に進めていきたいと考えております。 ⽇揮社のご協⼒のもと、本検討において、⼀定の⽅向性を⽰せたらと考えております。

日揮株式会社について

⽇揮グループは 1928年の設⽴以降、プラント・設備の設計・調達・建設・メンテナンスを⾏う「総合エンジニアリング事業」 を主要ビジネスのひとつとし、⽇本国内のみならず世界各地で 20,000 件以上のプロジェクトを遂⾏してきました。

⽇揮株式会社は、⽇揮グループの国内事業会社として、今までのプロジェクト遂⾏を通じて培ってきたエンジニアリング技術やプロジェクトマネジメント⼒を礎に、⻑期経営ビジョン「2040 年ビジョン」における「ライフサイエンス・ヘルスケア」の分野を中⼼として事業を多⾓化してまいりました。とくに医薬品分野では、1980年代以降、 これまで600件以上の関連施設・ 設備の建設プロジェクトを遂⾏し、 国内でも有数の医薬品製造プラントエンジニアリング企業としての地位を確⽴しています。

メカノクロスについて

2018年から北海道⼤学の伊藤肇卓越教授、久保⽥浩司准教授が研究を始め、溶媒を使わずに有機合成できる技術について、5年かけて世界をリードする技術にまで押し上げました。メカノクロスは現在、本技術を社会実装する⽬的で⽴ち上げ、2026年以降の本格的な市場参⼊に向け、国内外の製薬、化学メーカーなどと協⼒してメカノケミカル有機合成プロセスの導⼊実証を進めているところです。溶媒を極少量まで減らせ、反応性が⾼いことから、脱炭素対策向けや⼤幅なコスト削減向けを始めとして既存のプロセスよりも優位なデータを出せており、化学合成を⽤いるメーカーなどから積極的な引き合いを頂いております。また、溶媒を使⽤しないことから、現在までに難しいとされていた不溶性化合物の合成も可能となり、半導体、ディスプレイ、電池材料のさらなる性能アップに寄与していきます。

メカノクロスは現在、北海道⼤学のほかに、各企業様とも共同研究、協業を進めています。今後は、メカノケミカル有機合成の量産化技術を確⽴し、企業様のプロセス導⼊をサポートしてまいります。

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<メカノクロス 会社概要>

企業名:株式会社メカノクロス

本社所在地:北海道札幌市中央区北5条⻄29丁⽬2番33号

THE TERRACE宮の森B

研究拠点:北海道札幌市北区北21条⻄10丁⽬

                国⽴⼤学法⼈北海道⼤学内  北海道⼤学化学反応創成研究拠点(WPI-ICReDD)

代表者名:齋藤 智久

設⽴:2023年11⽉

URL:https://mechanocross.com

事業概要:

• 溶液有機合成反応のメカノケミカル化技術の提供

• 不溶性⾼機能材料の開発、提供

• メカノケミカル有機合成関連情報発信

<本件に対するお問い合わせ>

弊社でご⼀緒に働いてみたい⽅、 また、 メカノケミカル実装研究会、弊社との協業にご興味

のある⽅は、以下からお気軽にご連絡ください。

問い合わせフォーム:https://mechanocross.com/contact/

メールアドレス:admin@mechanocross.com

採⽤フォーム:https://mechanocross.com/recruit/

Linkedin : https://www.linkedin.com/company/mechanocross/

instagram : https://www.instagram.com/mechanocross/

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化学医薬・製薬
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会社概要

株式会社メカノクロス

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URL
https://mechanocross.com
業種
製造業
本社所在地
北海道札幌市中央区北五条西29丁目2−33 THE TERRACE宮の森B号
電話番号
080-5088-0649
代表者名
齋藤 智久
上場
未上場
資本金
300万円
設立
2023年11月