株式会社ダイドーリミテッド、株式会社ストラテジックキャピタルの主張に対する見解を表明
株式会社ダイドーリミテッド(以下、「当社」)取締役会は、当社株主である株式会社ストラテジックキャピタル(以下、「SC 社」)及びINTERTRUST TRUSTEES (CAYMAN) LIMITED SOLELY IN ITS CAPACITY AS TRUSTEE OF JAPAN-UP(以下、SC社合わせて「提案株主」)による当社第101 回定時株主総会(以下、「本定時株主総会」)における株主提案(以下、「本株主提案」)に対し、2024年5月24日付にて「株主提案に関する書面の受領及び当該株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ」(以下、「当社5月24日付プレスリリース」)を発表いたしました。
これに対し、SC社は、2024年5月27日に「株式会社ダイドーリミテッド(東証スタンダード:コード3205)が提案する取締役候補者について」と題する書面を、同月29日に「株式会社ダイドーリミテッドへの株主提案について」と題するプレゼンテーション資料を、6月10日に「株式会社ダイドーリミテッド(東証スタンダード:コード3205)が6月7日に開示した弊社への反論について」をそれぞれSC社のホームページにて公表し(以下、これらの書面及びプレゼンテーション資料を合わせて「SC社5月資料」)、株主提案の背景を説明するとともに、当社が提案する取締役候補者の選任に反対する理由についてSC社5月資料に記載の【反対理由①】ないし【反対理由⑤】のとおり主張しております。
しかしながら、SC社の公開情報は、誤った認識に基づく一方的な主張であって、その他株主の皆様を大きく誤導するおそれのある内容であることから、以下のとおり、正確な事実とともに当社の見解をお知らせいたします。
また、本株主提案は、定時株主総会を利用して当社の取締役をSC社の提案する者に入れ替えることを目的とするものですが、提案株主及び本株主提案の取締役候補者は、当社が2024年3月20 日に公表した2025年3月期から2027年3月期までの3ヵ年を対象とする中期経営計画(以下、「本中期経営計画」)及び当社提案の取締役候補者の一部に対する個別的な批判に終始しており、どのように当社の業績を回復するかといった経営の基本的な方針についてすら情報提供をしていません。このように、提案株主は、当社株主の皆様が、提案株主による当社株式の買集め及び本株主提案が当社の企業価値及び株主共同の利益に与える影響を判断する上で必要な情報提供を全く行わないものであって、経済産業省が2023年8月31日に公表した「企業買収における行動指針―企業価値の向上と株主利益の確保に向けて―」の趣旨に照らして不適切であるといわざるを得ません(詳細は当社5月24日付プレスリリース https://www.daidoh-limited.com/pdf/2024/20240524_03.pdf 参照)。
1.【反対理由①】について:社長候補者である成瀬氏は当社の経営に専念する予定であり、会長候補者である山田氏の兼職状況も当社における職務遂行の支障とはならないこと
SC社は、代表取締役社長執行役員兼COO候補者である成瀬功一郎氏(以下、「成瀬氏」)及び代表取締役会長兼CEO候補者である山田政弘氏(以下、「山田氏」)に多数の兼職があるとして、両氏が当社の経営にコミットしているとは考えられない旨主張しています(SC社5月資料に記載の【反対理由①】)。
しかしながら、社長候補者である成瀬氏は、当初の予定通り当社の経営に100%の稼働を持って専念することから、兼職によってその職務遂行に支障が生じるおそれは一切ありません。
また、会長候補者である山田氏については、主たる兼職先はジェミニ社及びその子会社であって、ガバナンス上の観点から兼職しているに過ぎません。当社が山田氏に取締役として期待する役割は、代表取締役会長兼CEOとしてグループ全体を鳥瞰的にとらえ、事業戦略の立案や本中期経営計画の推進を行う点にあり、山田氏自身、当社取締役に選任された場合には執務時間の大半を当社取締役としての職務遂行に充てると表明しております。このように、兼職状況の実質と、山田氏が執務時間の大半を当社取締役としての職務遂行に充てることとを併せて考えれば、会長候補者の山田氏についても、兼職によってその職務遂行に支障が生じるおそれはないと考えられます。SC社の主張は、現時点における形式のみを見て兼職先が多いと非難するものに過ぎません。
特に、成瀬氏は東京証券取引所スタンダード市場上場企業である株式会社ひらまつの経営支援において同社の取締役COOを務める形で収益改善に係る支援を行い、前年比売上高34%増を実現し、営業利益を15億円改善させ、翌期には営業黒字を達成し業績改善に貢献した実績があるほか、ジェミニ社の支援を受けて策定された株式会社ダイドーフォワードの「ニューヨーカー」の収益改善の計画も良好に進捗しております。また、山田氏においても経営及びアパレル事業について特に深い知見を有し実績を残しており、当社の本中期経営計画の実行・実現に貢献いただけると確信しております。
2.【反対理由②】について:成瀬氏及び山田氏と当社株主との間に利益相反の懸念はないこと
SC社は、ジェミニ社側が取締役報酬に加えコンサルティングフィーを受け取ることについて、成瀬氏及び山田氏と当社株主との間に重大な利益相反が生じる懸念がある旨主張しています(SC社5月資料に記載の【反対理由②】)。
しかしながら、まず、両氏が取締役に選任された場合の取締役としての報酬は、ジェミニ社ではなく各個人に対して当社の株主総会決議において承認された枠内で支払われるものであり、その具体的な支給時期及び配分についても独立社外取締役が半数を占める指名報酬等諮問委員会における審議を経て決定されるため、重大な利益相反が生じる懸念はありません。
また、本中期経営計画の達成のためにはジェミニ社から外部エキスパートの派遣等のコンサルティングサービスを受けることが必要であるところ、ジェミニ社が受け取るコンサルティングフィーについても、社会通念上合理的な金額にとどめるとともに、その大部分を本中期経営計画の達成状況に連動した成功報酬部分とすることが予定されており、当社の企業価値向上を図るインセンティブを与え、当社や当社株主の皆様との間の価値共有にも資するものといえます。加えて、当社とジェミニ社との間の取引は、当然に当社取締役会として監督すべき対象であり、当該取引については、今後適切に当社取締役会において監督していくことが予定されております。このように、ジェミニ社が受け取るコンサルティングフィー及びジェミニ社との取引については、当社の企業価値向上を図る観点から適切なものです。
なお、SC社は、ジェミニ社が今後当社のM&Aのアドバイザーを務める可能性があることも問題視していますが、当社が今後M&Aのアドバイザーを選定する際には、ジェミニ社以外の候補者も比較・検討の上で当社にとって最適なアドバイザーを選定することとし、成瀬氏及び山田氏はアドバイザーの選定に関する意思決定には参加いたしませんので、この点でも利益相反が生じる懸念はありません。
3.【反対理由③】について:鍋割氏及び渡部氏は当社顧問に就任しないこと
SC社は、現在当社の業務執行取締役である鍋割宰氏(以下「鍋割氏」)及び渡部克男氏(以下「渡部氏」)が当社の取締役退任後も顧問に就任することを過去検討していたことについて、「SCから株主提案を受けたことで取締役に再任されることが難しいと判断し、顧問といった形で会社に関与し続けるために、形式的に外部人材を代表取締役に立てた疑いがあります」と主張しています(SC社5月資料に記載の【反対理由③】)。
鍋割氏及び渡部氏は当社の取締役退任後に当社の顧問に就任いたしません。
もともと両氏が顧問に就任することを検討していた目的は、新たな経営体制において本中期経営計画を実行していくために必要な業務の引継ぎを行っていただく点にあり、両氏が「顧問といった形で会社に関与し続けるために、形式的に外部人材を代表取締役に立てた」という事実は一切なく、SC社の主張は事実に反しております。
4.【反対理由④】について:ジェミニ社の選定プロセスは極めて合理的であり、そのトラックレコードからしても本中期経営計画の実行に貢献いただけると確信していること
SC社は、ジェミニ社の選定プロセス及びトラックレコードに懸念がある旨主張しています(SC社5月資料に記載の【反対理由④】)。
しかしながら、そもそも当社がジェミニ社を当社の経営アドバイザーに選定したのは、ジェミニ社が当社子会社の株式会社ダイドーフォワードの「ニューヨーカー」の収益改善に係る支援をした際の実績や、他のアパレル企業への経営支援の実績を踏まえた判断です。また、ダイドーフォワードが最初にジェミニ社をアドバイザーとして選定した際には、コンサルティングサービスの品質、実績及び費用等について他社との比較・検討を行ったうえでジェミニ社を選定しております。このように、ジェミニ社の選定プロセスには何ら問題がなく、むしろ衣料事業を主軸とする当社の経営を建て直すためのアドバイザーの選定プロセスとして極めて合理的であると考えております。
また、ジェミニ社及び本件関与メンバーは、国内中堅アパレル(売上高250億円)における経営支援(売上高横ばいの状況から、3年間で売上高170億円→250億円へと向上)、国内大手総合商社アパレル子会社(売上高100億円)の生産等コスト構造改革(生産コスト含めて20億円のコスト削減)、国内中堅小売(売上高100億円)における物流改革(物流コストを40%削減)など、全社の経営支援や本件に関連するテーマにて、流通、小売及びアパレルの業界において業績改善のための支援を多数実施してきた実績を有するプロフェッショナル・コンサルティングファームであり、そのトラックレコードは疑いようのないものです。前述の通り、成瀬氏の株式会社ひらまつでの経営支援の実績や、山田氏の経営者としての知見、アパレル業界での実績などにおいても、当社の本中期経営計画の実行、実現に貢献頂けるものと確信しておりますこと、再度申し上げます。
なお、SC社は、株式会社バロックジャパンリミテッドの業績がジェミニ社の支援にもかかわらず改善されていないとも主張していますが、バロックジャパンリミテッドに対するジェミニ社の支援は、全社経営支援ではなく、特定の一部業務に係る改革支援にとどまるため、同社の連結営業利益等の全社経営状況に改善が見られないことはジェミニ社のトラックレコードを批判する理由として適切ではありません。
5.【反対理由⑤について】:本中期経営計画に係る指摘も的外れであること
SC社による本中期経営計画に係る指摘(SC社5月資料に記載の【反対理由⑤】)についても、当社の見解は以下のとおりです。
① まず、本中期経営計画23頁において2027年3月期の販管費が約4億円削減される見込みとなっている点について、SC社は「最終年度で大幅に販管費が減少する根拠がない」と主張しています。しかし、上記の販管費の削減は、2027年3月期において当社一部子会社の事業構造の変更に伴う経費構造の変化が見込まれることなどが理由となっており、明確な根拠があります。
次に、本中期経営計画22頁に関し、2027年3月期までの営業利益改善策の一つであるM&Aについて、SC社は「ターゲットのイメージも決まっていない」、「全く具体性がありません」などと批判しています。しかし、当社は、当社の衣料事業が川上から川下までを事業領域としていることを踏まえ、当社の既存事業との関わりも考慮して、すでに国内外を問わずターゲットの選定を進めつつあるところであり、SC社の指摘は当たりません。具体的には、当社の既存事業とのシナジー効果を考慮しつつ、バリューチェーンの強化や新市場への参入を目的として同業界の川上や川下の会社を統合する垂直的M&Aと、あるいは市場規模の拡大を目的として同じ業種、業態の会社を対象とする水平的M&Aのいずれも選択肢となり得ると考えております。個別のM&A案件の詳細につきましては、開示すべき段階で適切にお知らせする予定です。
② また、SC社は、ROE 8%の目標は「何の根拠もない願望である」と述べています。しかし、ROE 8%の目標は、グループ全体の投資・経営方針として成長させる事業と縮小させる事業を明確に峻別し、各事業の成長可能性や収益性を検討するとともに、現在検討中の新規事業やM&Aによる利益貢献の想定等をも考慮して算出したものです。このうち新規事業やM&Aについては、事業としての成長可能性と収益性、投下可能資本の規模を考慮して個別に検討する予定です。このように、ROE 8%の目標は合理的に設定されたものであって、「何の根拠もない願望」などではなく、SC社の批判は当たりません。
なお、当社は、2027年3月期までの3ヵ年の達成目標としてはROE 8%を掲げておりますが、長期的には、当社の有価証券報告書等でお知らせしておりますとおりROE 10%の達成を目指しております。当社は、本中期経営計画の実行・実現、目標達成に向けて着実に業績回復に努めてまいります。
③ さらに、当社の保有不動産について、SC社は、小田原の商業施設「ダイナシティ」も含めて売却対象とすることを求めています。当社としても、不動産賃貸事業については、事業ポートフォリオの刷新により、成長させる事業と縮小させる事業を明確に峻別すべきと考えており、当社が保有する小田原の商業施設「ダイナシティ」以外の不動産賃貸事業については、成長投資のための資金調達に用いることとし、本中期経営計計画期間中の資金化を検討してまいります。一方で、「ダイナシティ」は、収益率が高いことから、中長期的な視点からより有効な活用を検討してまいります。なお、繰越欠損金については、上記不動産賃貸事業の資金化の際などに活用することを想定しております。
なお、本中期経営計画23頁において2027年3月期の売上高から販管費までに誤記があったため、訂正しております。営業利益額に修正はありません。この点については、当社が6月7日に開示いたしました「中期経営計画の一部訂正について」( https://www.daidoh-limited.com/pdf/2024/20240607_01.pdf )をご参照ください。
6.SC社が株主提案の背景として掲げる主張も不適切であること
SC社は、SC社5月資料において、「株主提案の背景」として様々主張しておりますが、その中には誤った認識に基づく一方的な主張であり、不適切なものが見受けられるため、以下に正確な事実を記載いたします。
① 従業員の希望退職と当社の株式報酬型ストックオプション制度について
当社は、コーポレートガバナンスの更なる充実を図る観点から、本定時株主総会において取締役に対する譲渡制限付株式の割当てのための報酬支給並びに取締役及び監査役に対する株式報酬型ストックオプションの報酬枠廃止に係る議案を上程しておりますが、これまで導入してきた当社の株式報酬型ストックオプション制度についても、中長期的に当社取締役と株主の利益の共通化をするという観点から適切な株式報酬であり、我が国において一般的に普及しているものです。また、業績が低迷する中においては、固定報酬を抑制し、その分株式報酬型ストックオプションを発行することで、取締役の利益と株主利益を共通化し、取締役に業績回復へのインセンティブを与えるという報酬設計は合理的なものであって、何ら批判されるべきものではありません。
これに対し、SC社は、「株式を1円で取得でき、株価が下落するほど得られる株式数が増加する仕組み」などと述べています。しかし、そもそも株式報酬は、役務提供の対価(すなわち報酬)として取締役に交付される以上、(他の金銭報酬と同様に)交付に際して取締役に追加的な資金の拠出を求めないことは何ら問題視されるべき事項ではない上、取締役及び監査役は会社に対して忠実義務・善管注意義務を負っていることから、退職後における自らの利益を目的として、在任中に意図的に株価が下落するよう職務執行を行うなどということは通常考えられず、SC社の指摘は的外れであると考えております。
なお、SC社は、業績低迷に伴う負担を従業員に強いてきたとも指摘していますが、やむを得ず希望退職者を募集した際は、当社グループユニオンと協議を行い、退職者には特別退職金を支給し、希望者には再就職支援を行うとともに、役員はその職責に応じて役員報酬(金銭報酬)のうち固定部分の返上や、業績連動部分の不支給などの措置を講じることによって責任を明確にしてまいりました。したがって、当社が業績低迷に伴う負担を従業員に強いる一方で経営陣と監査役だけにメリットがある制度を継続しているという事実は一切なく、SC社の指摘は誤った認識に基づく一方的な主張と言わざるを得ません。
② 不動産賃貸事業について
SC社は、当社が衣料事業のみならず不動産賃貸事業をも営む意義について否定しています。しかし、当社の営む衣料事業は、消費者の志向の多様化、新型コロナウイルス感染症、地政学的要因、為替等の経営環境の変化などによっても大きな影響を受ける面があるところ、当社においては、衣料事業とともに、不動産賃貸事業をも営むことで、中長期的な観点から当社グループ全体の事業の継続性・安定性を確保し、持続的な成長が可能になると考えております。
もっとも、前記のとおり、当社としても、不動産賃貸事業については、事業ポートフォリオの刷新により、成長させる事業と縮小させる事業を明確に峻別すべきと考えており、当社が保有する小田原の商業施設「ダイナシティ」以外の不動産については、成長投資のための資金調達に用いることとし、本中期経営計画期間中の資金化を検討してまいります。一方で、「ダイナシティ」は、収益率が高いことから、中長期的な視点からより有効な活用を検討してまいります。
③ M&Aについて
SC社は、当社がM&Aを行ったPONTETORTO及びブルックス ブラザーズ ジャパンについて、いずれも5年以内に減損損失を計上していると指摘し、あたかも当社のM&Aが失敗であったかのように述べています。
しかし、PONTETORTO及びブルックス ブラザーズ ジャパンの業績が当初の想定を下回ったことで、減損が生じたことは事実ですが、現在は両社の事業とも利益を計上しており、強いブランド価値に伴う高い成長性が見込まれておりますので、中長期的な企業価値向上を目指す当社としては、これらのM&Aを失敗とは考えておりません。当社は、両社の事業を本中期経営計画において収益拡大を目指す事業と位置付けており、両社のさらなる成長に向けた取り組みを強化してまいります。
7.当社は、中期経営計画を実現するべく、事業に邁進する所存であること
当社は、2025年3月期から2027年3月期までの3ヵ年を対象とする本中期経営計画を実現するべく、あらゆる手段を尽くして事業に邁進してまいる所存です。株主の皆様には、くれぐれもご理解頂きたく、どうぞよろしくお願い申し上げます。
以上
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