【個別化医療・早期診断】国産初「ペプチドシークエンサー」、年度内に医療機関への先行提供開始(大阪大・産研)
2026/9/14(月)11:30〜 記者発表

病気の「サイン」や、がん細胞が持つ「弱点」は、体内のごくわずかなペプチドに刻まれています。しかし、DNAと違い、ペプチドはコピーを増やして調べることができないため、ごく微量のペプチドを「そのまま読む」技術が必要になります。
大阪大学 産業科学研究所の谷口正輝(たにぐち・まさてる)教授の研究グループは、国産初かつ世界的にも稀少な次世代「ペプチドシークエンサー」を開発しました。ペプチドをわずか1分子という微量から読み取る装置です。
2024年のプロトタイプ機完成の発表から約2年。研究室で生まれたこの技術が、いよいよ実用化に向けて動き出します。
このたび、2026年度内に国内の医療機関などを対象とした先行提供(アーリーアクセスプログラム)を開始するとともに、事業化に向けた展開を進めることとなりました。つきましては、その概要と今後の展望について、記者発表を行います。(一般の方はご参加いただけません)
この発表は、9月14日(月)に開催される「大阪大学 産業科学研究所・工学研究科 定例記者発表」の場で行われる予定です。同日は、工学研究科の加藤泰彦(かとう・やすひこ)准教授による「“湖沼のヒロイン”、ミジンコは環境変化をいかに生き抜くのか?」の発表も予定しており、普段はメスだけで増えるミジンコが、環境変化に応じてオスを産み、休眠卵を作って生き延びる―その巧みな生存戦略を支える分子機構についても併せてご紹介します。
国産初の「ペプチドシークエンサー」、
年度内に医療機関への先行提供開始・事業化フェーズへ

大阪大学 産業科学研究所 バイオナノテクノロジー研究分野
谷口 正輝(たにぐち まさてる)教授
専門領域:ナノテクノロジー、1分子科学
ポイント
-
DNAのように増やせないペプチド(※)を、わずか1分子という微量から読み取る、国産初かつ世界的にも稀少な次世代「ペプチドシークエンサー」を開発。国内の医療機関などへの先行提供を年度内に開始予定。
-
DNA解析だけでは捉えきれない、がんの「弱点」や病気の「サイン」を直接探すことが可能に。
-
一人ひとりに合ったがん免疫療法と、病気を早く見つけて先回りする「先制医療」の高度化へ。
※ペプチド ・・・ 2個以上のアミノ酸がつながってできた物質で、細胞同士の情報伝達や体の機能の調節などを担う。
概要
病気の「サイン」や、がん細胞が持つ「弱点」は、体内のごくわずかなペプチドに刻まれています。しかし、ペプチドはDNAのように増やして調べることができません。大阪大学産業科学研究所の谷口正輝(たにぐち・まさてる)教授は、20種類のアミノ酸が示す電気信号の違いを利用し、わずか1分子のペプチドからアミノ酸配列を読み取る「ペプチドシークエンサー」を開発しています。患者ごとに異なるがんの目印(ネオアンチゲン)を見つけて個別化がん免疫療法につなげることや、疾病マーカーを検出してより早い診断につなげることを目指します。
記者発表当日は、『BioJapan 2026』(10月7日~9日)での展示に先駆け、開発機を用いたアミノ酸・ペプチドの1分子計測デモを行い、「目に見えない分子が電気信号として読まれる瞬間」をご覧いただきます。

研究の詳細
がん治療では、「その人のがんだけにある目印」を見つけることが重要です。がん細胞では、遺伝子変異などにより正常細胞にはないペプチドが生まれ、その一部が細胞表面に「目印」として提示されます。これがネオアンチゲンです。配列は患者やがんの種類ごとに異なります。DNAは、その人の「設計図」を読み取れるのに対し、ペプチドからは、その設計図をもとに体内で実際に作られたものを捉えることができます。しかし、DNAと違い、ペプチドはコピーを増やして調べることができません。そこで、ごく微量のペプチドを「そのまま読む」技術が必要になります。
研究グループは、20種類のアミノ酸がそれぞれ異なる電気伝導度を示すことに着目し、ペプチド1分子がナノサイズの電極を通過するときの電気信号から、アミノ酸配列を読み取る技術を開発しました。すでに複数のネオアンチゲン候補ペプチドの配列決定に成功しています。将来は、がんの「弱点」を見つけて治療法を選ぶことと、病気の「サイン」を見つけて早期診断につなげることへの応用を目指します。開発中のペプチドシークエンサーは、年度内に国内医療機関などへの先行提供(アーリーアクセスプログラム)を開始予定で、2029年までの量産化を目指しています。
出展予定のイベント
ペプチドシークエンサーは、以下のイベントでも展示予定です。
イベント名:BioJapan 2026
会期:2026年10月7日(水)〜9日(金)
会場:パシフィコ横浜
小間番号:A-43
公式サイト:https://jcd-expo.jp/jp/
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像
