多忙な教師を救う!「情動」と「社会性」を学ぶことで休職する教師が減少
那覇市で実施されたカンファレンスの成果報告 SELを取り入れた学校は教員の休職者数が改善
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ウェルビーイングな学校づくりを目的に、SEL(社会性と情動の学び)をベースとしたカリキュラムを提供する「株式会社rokuyou(沖縄県那覇市、代表取締役:下向依梨)」は、昨年11月に教育関係者を対象に、学校教育改革を進めている実践校の導入事例や取り組みの共有と交流を目指した教育カンファレンスを那覇市で実施。その中で取り組みを実践した県内の小学校では、休職する教員が減少したという成果が報告されました。
rokuyouは、今回のカンファレンスで得られた学びとアンケート結果を元に、ウェルビーイングな学校づくりを更に推進し、学校現場の課題解決に貢献できるよう、継続的な活動を展開してまいります。
SEL(社会性と情動の学び)とは
SEL(Social Emotional Learning)とは、感情を理解し、うまく付き合い、良好な人間関係を築くために必要なスキルを身につけるための教育手法です。
SELでは5つの能力を育むことを目的にしています。
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自己理解力:自分への気づきを深める力
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自己管理力:自分の感情とうまく付き合う力
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共感力:他者への気づきを深める力
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社会スキル:他者と良好な関係を築く対人関係力
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意思決定力:責任ある意思決定ができる力
SELを実践することで、生徒たちの心理的ストレスが減少し、学力の向上につながることがわかっています。さらに、子どもだけでなく、このスキルを身につけた教員はメンタルヘルスの問題が改善することがわかりました。
全国で最も高い沖縄県の公立学校教員の休職率
文部科学省の調査によりますと、23年度、沖縄県内にある公立の小学校、中学校、高校、特別支援学校の教員のうち、うつ病などの精神疾患で休職したのは268人でした。前の年度より39人増え、過去最多です。また、全教員に占める割合は1.69%と全国で最も高く、全国平均の0.77%の2倍以上となっています。沖縄県は全国でも教員の精神疾患による休職率が最も高い地域であり、教育現場における働き方改革とメンタルヘルスの改善が急務となっています。
SELを取り入れた学校は教員の休職者数が改善
昨年11月、那覇市で開かれた教育カンファレンスは、学校教育改革を進めている実践校の導入事例や取り組みの共有と交流を目的に、県内外の14校から教員ら46人が参加しました。当日はSELの重要性とその実践方法についての講義やワークショップが行われました。また、各校の実践共有やプレゼンテーションでは、ウェルビーイングの重要性が強調され、参加者は具体的な取り組みについて学びました。
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カンファレンス内で開かれたプレゼンテーションでは、ウェルビーイングな学校づくりに取り組む県内外の教員らが取り組み事例を紹介しました。県内の公立小学校では、「教員の孤独感を解消するため悩みの共有の場を設置したところ、同僚との関係性が深まり教員の休職者数が改善した」との報告があった他、県立高校では「教員間の対話が活性化したことで、学校の課題解決に繋がるアイデアが生まれるようになった」と発表がありました。
【発表された取り組み事例】
◾️うるま市立天願小学校:教員の孤独感を解消するため「嘆きの共有の場」を設置。同僚との関係性が深まり、ストレスチェック調査で「同僚からの支援がある」と回答した割合が全国平均を上回る結果に。(全国平均8.2、天願小学校10.4)休職教職員の減少が生じた
◾️県立宮古総合実業高校:「お酒の出ない飲み会」をきっかけに、教員間の対話が活性化。総合的な探究の時間やペーパーレス化など、学校の課題解決に繋がるアイデアが生まれるように
◾️私立かえつ有明中・高等学校(東京):教員間の対話的な関係性を構築後、生徒が主体的にルール作りや企画を行うように変化。生徒間で衝突が生じた際も、生徒自身で話し合い解決する場面が見られるように
代表コメント:下向依梨
学力の低さや教員の高い休職率など、沖縄県の教育現場が直面している課題に対し、SEL(社会性と情動の学び)が一つの有効なアプローチとなる可能性を改めて実感しました。今回のカンファレンスを通じて、県内外の多くの実践事例が共有され、特にうるま市天願小学校での成果は、教職員のメンタルヘルス向上と学びの質の改善の両面で大きな希望を示しています。
近年、世界の教育界でもSELの重要性が注目されています。例えば、OECD(経済協力開発機構)では、未来を生き抜く力として「学力」だけでなく、感情と健全に付き合い、他者と協力できる力を育むことが不可欠だと議論されています。沖縄の教育の未来を見据え、私たちはこれからも地域の皆さまと協力しながら、学校に関わる全ての人のウェルビーイングの実現を探究し続けてまいります。
株式会社rokuyou 下向 依梨代表
大阪府生まれ。慶應義塾大学総合政策学部へ入学後、社会起業家について研究。その後、米国・ペンシルベニア大学教育大学院で発達心理学において修士号を取得。帰国後は東京のオルタナティブスクールに勤務。2019年に株式会社roku youを沖縄県にて設立、代表取締役に就任。SEL(Social Emotional Learning /社会の情動の学び)を基軸に、全国延べ100校以上の学校改革や総合的な探究の時間に関わる。著書に『世界標準のSEL教育のすすめ「切りひらく力」を育む親子習慣:学力だけで幸せになれるのか?』(小学館)がある。
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株式会社rokuyou
■株式会社rokuyouについて
一人一人の生まれ持った可能性が磨かれ続け有機的に響き合う豊かな社会をつくることを目標に、SEL(Social Emotional Learning)をベースとしたカリキュラム・プログラム制作や小学校から大学までの学校や教育委員会への伴走支援を行っています。
【会社概要】
株式会社rokuyou
代表 :下向 依梨
設立 :2019年4月
事業内容:
- SELをベースとした教材・プログラム制作
- 授業や研修の提供
- 学校・自治体へのコンサルティング・コーディネート事業 等
URL :https://www.roku-you.co/about/
note :https://note.com/roku_you/
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