戦国時代を代表する水墨画家・雪村周継(せっそんしゅうけい)の作品が33年ぶりに茨城に集結。雪村に影響を受けた絵師の作品も含め約110件の名品が一堂に会する。画期的な「クローン文化財」の成果も初公開。
茨城県立歴史館で2月15日(土)から 開館50周年記念特別展「雪村-常陸に生まれし遊歴の画僧-」を開催(4月6日(日)まで、前期:2/15~3/9、後期:3/11~4/6)
茨城県立歴史館は、昭和49(1974)年に開館し、今年で50周年という節目の年を迎えました。本展では、今なお国境を越えて多くの人々を魅了する雪村作品の素晴らしさをご覧いただきます。
![](https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/153033/4/153033-4-751d2e2350e865e34b8dc4996f3cdd16-1928x2700.jpg?width=1950&height=1350&quality=85%2C65&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff)
戦国時代を代表する水墨画家・雪村周継(せっそんしゅうけい)は、常陸国(現茨城県の一部)に生まれたとされます。後半生には小田原や鎌倉を訪れて画才を磨き、晩年は会津や三春を往来しながら数多くの傑作を生み出しました。
彼は、絶え間ない戦乱の時代に、京都から遠く離れた東国で活動し、独自の画境を切り開きました。それは雪舟のように中国に渡ることはなく、武家の出自を負った画僧として山野を遊歴して培われたものです。半生を過ごした常陸の地をはじめとして、東国の風土や文化的土壌が雪村の画業や人格の形成に大きな影響を与えたと考えられます。
本特別展では、今なお国境をも越えて広く人々を魅了する雪村の名品を一堂に会し、飄々とした筆致が描き出す水墨画の世界をご覧いただきます。
<出陳リスト等詳細は茨城県立歴史館ホームページで>
【みどころ】
みどころ1
茨城県にて33年ぶり!生まれ故郷へ作品が里帰り
当館では、展示室増築に伴う新規開館記念として、1992年に特別展「雪村―常陸からの出発―」を開催しました。それから時を経て開館50周年を記念する本年度、33年ぶりに雪村展を開催いたします。雪村の生まれ故郷である茨城の地に多くの作品が里帰りし、《陶淵明図(とうえんめいず)》(個人)や《月夜独釣図(げつやどくちょうず)》(旧ピーター・ドラッガーコレクション)といった常陸滞在期の名品を県内で初公開します。
みどころ2
約110件が一堂に!名品揃いの雪村展
雪村、ならびに雪村の影響を受けた絵師たちの作品約110件が一堂に会します。《自画像》(奈良・大和文華館)や《風濤図(ふうとうず)》(京都・野村美術館)といった雪村を代表する数々の名品の他、《龐婆霊照女図(ほうばばれいしょうにょず)》(個人)や《巌図(いわおず)》(個人)といった本展覧会で初めて一般に公開される新出作品も展示されます。雪村をよく知る人も、初めて見る人も楽しめる展覧会となっています。
みどころ3
本物そっくり!クローン文化財の成果を初公開
令和元年から同2年度にかけて、東京藝術大学、アメリカ・フリーア美術館が所属するスミソニアン協会、当館の三者で、《寿老人図(じゅろうじんず)》(フリーア美術館)と《猿猴図(えんこうず)》(当館)のクローン文化財・スーパークローン文化財の製作を行ってきました。クローン文化財とは、文化財の現状のあるがままの姿を、質感まで高精細かつ忠実に再現したものであり、スーパークローン文化財とは、劣化や欠損への想定による補完を含め、可能な限り過去の状況を研究し、復元したものです。このことにより、門外不出と言われるフリーア美術館の作品と極めて近い複製画が当館で鑑賞できるようになりました。本展では、この事業で製作された《寿老人図》《猿猴図》のクローン文化財、ならびに《寿老人図》のスーパークローン文化財を初めて当館で公開します。
【展示構成】
第1章 常陸からの旅立ち
雪村は、佐竹氏の一族として常陸国部垂(ひたちのくにへたれ)(現在の茨城県常陸大宮市)に生まれたとされます。80 歳代半ばまで生きた雪村は、50 歳代過ぎ、すなわちその生涯の大半を当地で過ごし、絵の制作にあたっています。佐竹家伝来の《風濤図》(京都・野村美術館)や《葛花、竹に蟹図(くずはな、たけにかにず)》(群馬県立美術館戸方庵井上コレクション)といった常陸時代の名品を展観します。
![](https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/153033/4/153033-4-86add334de4b941d08454fe3b601fd2a-3045x2143.jpg?width=1950&height=1350&quality=85%2C65&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff)
![](https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/153033/4/153033-4-91764ad0d5566119e1de74a2377e9c44-450x371.jpg?width=1950&height=1350&quality=85&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff)
第2章 禅僧としての画業
雪村は、禅僧でありながら絵を描く画僧でした。彼の作品の中には、景初周随 (けいしょしゅうずい)や策彦周良(さくげんしゅうりょう)といった禅僧の賛(さん)が付されたものもあり、京都や鎌倉の五山僧と繋がりがあったことが確認できます。こうした禅僧との交流は、寺院に所蔵されていた古画を実見し、画才を磨くことにも役立ったと見られます。ここでは、雪村が晩年に描いた《自画像》(大和文華館)や《渡唐天神図》(茨城県立歴史館)から、禅僧としての画業について見ていきます。
![](https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/153033/4/153033-4-fadb3be06984fe750318004ab5e0fa34-333x1000.jpg?width=1950&height=1350&quality=85%2C65&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff)
![](https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/153033/4/153033-4-b293eec006a66a063b465a6e591e8c08-359x1000.jpg?width=1950&height=1350&quality=85%2C65&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff)
第3章 山水の筆様
雪村は、佐竹氏や蘆名(あしな)氏、北条氏といった戦国大名のもとで、古典となる中国南宋時代の牧谿(もっけい)や玉澗(ぎょくかん)といった絵師たちの絵を学び、自己の画風に受容していったとみられます。本章では、《四季山水図屏風(しきさんすいずびょうぶ)》(郡山市立美術館)や最晩年の《瀟湘八景図屏風(しょうしょうはっけいずびょうぶ)》(個人)をなどから、雪村の山水画における筆様(ひつよう)の展開を探っていきます。
![](https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/153033/4/153033-4-875b198c7e213a0de1ec5fbfafe6ebe9-948x415.jpg?width=1950&height=1350&quality=85&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff)
![](https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/153033/4/153033-4-04134ea83b8e9405651b352d51324261-1000x435.jpg?width=1950&height=1350&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff)
第4章 花鳥・草虫へのまなざし
雪村の作品には、花や鳥、あるいは野菜や昆虫を描いた作品が多数あります。ここには中国の古画に倣って描いた作例もある一方、関東各地を遊歴し、山河を行脚する中で培われたであろう自然への鋭いまなざしが活かされたものもあります。本章では多彩なる墨の濃淡、優れた筆線が画面上に描き出す生命のかたちをみていきます。
![](https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/153033/4/153033-4-48d3e9eb751dee36578d53241fa1a96c-1000x981.png?width=1950&height=1350&quality=85%2C65&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff)
![](https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/153033/4/153033-4-22ef35ecbca52e37f42cc56d7ce9807a-1000x453.png?width=1950&height=1350&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff)
第5章 人物・動物の躍動
雪村の特徴がより示されるのは、大胆な筆致が用いられた人物画です。風を受けて翻るうねりのある衣文(えもん)、奇怪さを伴う面貌表現は画面に躍動感を与え、鑑賞者を水墨画の世界へ誘います。ダイナミックに力強さをあらわした《鐘馗図(しょうきず)》(個人)や愛嬌ある顔つきで描かれた《欠伸布袋図・紅白梅図(あくびほていず・こうはくばいず)》(当館)などから、雪村画の真骨頂をご覧いただきます。
![](https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/153033/4/153033-4-5e1d9599a4a39675db451149aea2e29f-381x799.jpg?width=1950&height=1350&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff)
![](https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/153033/4/153033-4-d5fe0bb6dd9daf948c25b0cb80e5fa69-423x799.jpg?width=1950&height=1350&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff)
第6章 雪村に学びて
江戸時代の画史類には、雪村に絵を学び、影響を受けた絵師が常陸・奥州に点在していたことが記されています。ここでは、雪洞(せつどう)や雪閑(せっかん)、祖栄(そえい)といった室町時代に活動した画家や、狩野派や尾形光琳らといった江戸時代の作例から、雪村の画風の広がりを確認し、彼の影響の大きさについて見ていきます。
![](https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/153033/4/153033-4-52aa247253d20d4456fb71944fa04c24-1000x660.jpg?width=1950&height=1350&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff)
![](https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/153033/4/153033-4-7b40320b94c16e7e98de0cc40486fe68-367x1000.jpg?width=1950&height=1350&quality=85%2C65&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff)
第7章 クローン文化財とスーパークローン文化財
雪村は国内外を問わず人気を博しており、海外に渡った作品も少なくありません。当館所蔵の《猿猴図(えんこうず)》2幅は、フリーア美術館所蔵の《寿老人図(じゅろうじんず)》と合わせて3幅対として伝来していましたが、現在は分かれて所蔵されています。
こうした状況に対し、フリーア美術館が所属するスミソニアン協会、東京芸術大学との共同事業において、原資料と同様の素材を利用したクローン文化財(現状復元)、ならびに製作当初の状況を想定復元したスーパークローン文化財(想定復元)を製作し、フリーア美術館と当館のそれぞれで三幅対が見られるようになりました。本章ではその成果を紹介し、雪村を幅広く活用していく当館の活動を見ていきます。
![](https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/153033/4/153033-4-6e40f4aa531e919c2034b81d6a2028f8-1000x930.png?width=1950&height=1350&quality=85%2C65&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff)
【展示概要・割引キャンペーン】
開館50周年記念特別展「雪村-常陸に生まれし遊歴の画僧-」
1 会 期 令和7年2月15日(土)~4月6日(日)
〈前期〉2月15日(土)~3月9日(日)
〈後期〉3月11日(火)~4月6日(日)
開館時間 9:30~17:00(入館は16:30まで)
2 場 所 茨城県立歴史館(茨城県水戸市緑町2-1-15)
3 関連イベント
〇 講演会① 「雪村はどこからきて、どこへ行ったのか」
日時:3月8日(土) 14:00~15:30
講師:橋本 慎司氏(栃木県立美術館副館長兼学芸課長)
会場:茨城県立歴史館 講堂
〇 講演会② 「雪村-「絵画の時代」に生きた人」
日時:3月22日(土) 14:00~15:30
講師:相澤 正彦氏(海の見える杜美術館館長・成城大学名誉教授)
会場:茨城県立歴史館 講堂
〇 日曜歴史館 「雪村周継の画業と名品の魅力」
日時:3月2日(日) 14:00~15:30
担当:蔀 政人(当館学芸員)
会場:茨城県立歴史館 講堂
〇 ギャラリートーク
日時:2月24日(月・振)3月20日(木・祝) 14:00~15:00
会場:茨城県立歴史館 特別展展示室
〇 ワークショップ 「西ノ内紙の繊維で絵を描こう」
日時:3月16日(日) 13:30~15:30
対象:小・中学生(定員20名)
会場:茨城県立歴史館 講堂
〇 コラボ企画 茨城県立歴史館×コロコロコミック<歴史めちゃわかりクイズラリー>
期間:2月15日(土)~4月6日(日)
対象:どなたでも参加可能
内容:クイズに挑戦し、限定ステッカーをゲットします。
〇 ナイトタイムミュージアム(入館無料の夜間開館)
日にち:3月22日(土)、23日(日)
時間:17:00~19:00(入館は18:45まで)
4 割引キャンペーン
〇 学生ペア割
大学生・専門学生がペアで来館した場合、1人分の入館料を無料とします。
〇 茨城ロボッツ割
アダストリア水戸でロボッツの試合開催日(3月12日(水)、22日(土)、23日(日)、26日(水))に当日のチケットを提示すると入館料無料が無料になります。
〇 偕楽園割
偕楽園入場券を提示すると団体料金で入館できます。
〇 ウキッ!割
雪村周継が描いた「猿猴図」に関連させ、猿に関するグッズを持参すると団体料金で入館できます。
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像