【技術革新】パラメトリックモデルを活用した3次元設計技術による自動設計システムを開始
―調査・設計や積算、施工、維持管理の各段階におけるデータ連係を強化に貢献―
株式会社ラグロフ設計工房は、河川砂防分野の調査・設計、維持管理の事業で最新技術を自社で開発し蓄積しています。この度、当社はパラメトリックモデルを活用した3次元設計技術による自動設計システムの確立・開始を通じ、調査・設計や積算、施工、維持管理の各段階におけるデータ連係を強化しました。
【BIM/CIMの最新情報】
国土交通省はBIM/CIMの活用推進に向けた新たな工程案をまとめ、2027年度以降の直轄工事で3次元(3D)モデルを契約図書とする方針を示し、25年度に試行を始めます。BIM/CIMを利用した積算の自動化も進め、調査・設計や積算、施工、維持管理の各段階におけるデータ連係を強化する方向性が、25年6月17日に「BIM/CIM推進委員会(委員長:矢吹信喜・東京都市大学総合研究所特任教授)」にて示されました。

【建設DXを加速!3次元パラメトリック設計がもたらす5つの変革】
これに伴い、ラグロフ設計工房は、以下の特徴を有する調査サービスを開始いたしました。
1.設計プロセスを根底から覆す「フロントローディング」
従来の2次元図面作成後に3次元モデルを構築する非効率な手順を撤廃 。設計の初期段階から3次元で検討することで、手戻りやヒューマンエラーを防ぎ、一貫した設計プロセスを実現します 。

2.パラメータ入力で完結する「半自動設計」
堰堤・護岸などの高さや位置、幅といった基本的な数値を入力するだけで、設計基準に準拠した計算から複雑な3次元モデルの構築、さらには数量の自動算出まで、一連の設計作業を自動的に実行できるシステムを開発しました 。また、パラメータ入力値の管理は、親しみあるエクセルでも対応可能であり、熟練技術者の技術の蓄積と省人化を実現します。

3.地形と一体で最適解を導く「3次元”何度でも”シミュレーション」
3次元の地形データと設計モデルを重ね合わせることで、計画堆砂量や掘削の形状などを立体的にシミュレーション 。これにより、従来よりも高い精度での設計検討とコスト最適化がリアルタイムで検討可能になります。合意形成も検討も劇的に早くなります。

4.属人化を排除し、誰もが高品質な設計を実現
開発したシステムが設計基準に沿って自動処理を行うため、設計者の経験やスキルによる品質のばらつきを抑制 。ヒューマンエラーを未然に防ぎ、誰でも安定して質の高い設計成果を生み出すことができます。

※上記1~4はパシフィックコンサルタンツ株式会社さまと共同開発
5.3Dと2Dが連携「図面作成を劇的に高速化」
建設業界では今、BIM/CIMの推進によって、設計から施工、維持管理までを3次元データで一元管理する未来が描かれています。しかし、その理想が全ての現場に浸透するには、まだ10年以上の時間が必要と予想します。
多くの現場では依然として2次元図面が根強く活用されており、3次元モデルと2次元図面が混在する「過渡期」特有の非効率や手戻りが、生産性向上の大きな課題となっています。
この過渡期のジレンマを解消するのが、私たちが開発した新技術です。
本技術は、作成された3次元モデルから必要な2次元の土工横断図などを自動で切り出し、瞬時に作成します。
従来は数時間を要していたこの図面作成作業が、わずか数分で完了するため、設計業務の生産性を劇的に向上させます 。
これにより、設計者は慣れ親しんだ2次元の感覚を活かしながら、最新の3次元設計が持つメリットを最大限に享受できます。
完全3D化という未来へ向かう道のりにおいて、現在の2次元主体の業務プロセスを無視することはできません。本技術は、その両者の間に立ち、効率的な連携を促す「架け橋」として、建設業界全体の生産性向上に大きく貢献します。

【サービス対象】
当技術サービスは、特に以下のような組織・事業者様における計画・設計・リスク評価業務に貢献いたします。
■事業者様
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建設コンサルタント(特に砂防、河川、防災、農業土木分野)
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大規模開発を手がけるディベロッパー(宅地造成、リゾート開発、インフラ整備など)
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電力会社、鉄道会社、道路会社など重要インフラの管理・運営企業
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再生可能エネルギー事業者(山間部での太陽光発電、風力発電、小水力発電など)
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環境アセスメント実施機関
■その他
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大学・研究機関(防災、森林科学、地理情報学分野など)
【活用シーン】
本技術は、以下のような場面でご活用いただけます。
■計画・対策立案
・国土交通省の最新指針に準拠した砂防基本計画・河川整備計画等の策定支援
・砂防堰堤、透過型堰堤、渓流保全工(多段落差工含)等対策施設の効果的な配置・規模の計画・設計
・防災・減災効果を考慮した森林整備計画・管理計画策定支援
・ハザードマップ作成・更新のための基礎データの提供
・防災関連事業の費用対効果算定、予算要求時の根拠資料作成
■開発・事業リスク評価
・開発予定地(宅地、工場、インフラ施設等)における土砂・流木災害リスクの定量的評価、デューデリジェンス
・開発計画におけるリスク回避策・軽減策(造成計画、擁壁設計等)の検討・立案
・既存施設・インフラ(ダム、橋梁、送電線鉄塔、道路、鉄道等)に対する災害リスクの再評価、維持管理計画への反映
■その他
・大規模災害発生後の状況把握、ハザード推定、復旧計画策定支援
・環境影響評価(環境アセスメント)
【学会実績】
令和7年度(公社)砂防学会研究発表会「長野大会」では、3件の共同発表させていただき、全国12名の若手優秀発表者の一人に選出。2年間の開発と試行錯誤が評価され、設計分野の新しい可能性が認められました。

■吉川 諒大(株式会社ラグロフ設計工房)
■発表テーマ
『パラメトリックモデルを活用した3次元設計技術の開発』
- 渓流保全工概略設計への具体的取組 -
■発表概要
設計の初期段階から3Dモデルを活用することで、渓流保全施設の配置検討や数量算出を自動化・高精度化。本発表では、CATIA等を活用した設計自動化プロセスの構築と、実業務への適用事例を報告しました

【今後の展開】
当社は本サービスをはじめとし、建設に関する最先端技術の開発・普及に取り組んでおります。関連する技術との連動制を高め、土木建設関係者様方の課題解決を支援し、安全で持続可能な国土利用の実現に貢献してまいります。
株式会社ラグロフ設計工房
事業:建設コンサルティング、調査・設計、技術開発
担当:石澤 好則
TEL:03-6263-9677
Email:y-ishizawa@lagrof.jp
HP:https://www.lagrof.jp
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