【8年間のデータから証明】従業員の健康は「健康経営の取り組み」で変わる
~特定保健指導の実施率が高い企業ほど健康改善が顕著~
協会けんぽ京都支部では、『京(きょう)から取り組む健康事業所宣言(以下「健康事業所宣言」という)』に基づき、健康経営を推進しています。この事業は、企業が主体的に健康づくりに取り組むことを宣言し、協会けんぽがサポートする仕組みで、京都府内の1,548社(令和7年10月現在)がエントリーしています。
令和7年度健康宣言アンケートでは、多くの企業が健康経営に取り組むことで 「従業員の健康に対する意識が変わり、社内で変化があった」と回答しています。また、健康宣言事業所の取組状況や健診等のデータを継続的に分析し、2016〜2023年度の8年間のデータから「特定保健指導を軸にした健康経営の確かな効果」が明らかになりました。
今回、各種データ・企業の声・インタビューを通じて、健康経営の推進、特に特定保健指導が企業の未来を変える理由をピックアップします。
Ⅰ:令和7年度「健康宣言アンケート」
毎年「健康事業所宣言」にエントリーしている全事業所にアンケートを実施しています。令和7年度は9月に実施し、551社から回答を得ました。健康経営の取組みによる変化の目立った回答結果の一部を紹介させていただきます。
令和7年度 健康宣言アンケート結果(※令和7年9月実施/回答件数=551)
Q1. 健康宣言後、社内で変化がありましたか?

Q2. 会社や従業員の健康にどのような影響がありましたか?(複数回答可)

Q3.健康経営・健康宣言を実践していくうえで、課題や障壁がありますか?(複数回答可)

アンケートでは、健康経営に取り組むことで約70%の企業において、社内で変化があったことがわかりました(Q1)。
具体的に最も多かったのは 「健康リテラシーの向上(27%)」 で、続いて「従業員の健康状態の改善(19%)」、「従業員間のコミュニケーション改善・促進(16%)」が挙がりました(Q2)。
また、健康経営を実践していくうえでの課題や障壁については、「従業員の参加率向上(28%)」、「時間がない(22%)」が多くを占めています(Q3)。
Ⅱ:8年間のデータが証明する「健康データブック」
協会けんぽ京都支部が収集した2016~2023年度の健康データ(健康宣言事業所と未宣言事業所)の分析では、特定保健指導と関連する指標に顕著な差が出ています。
■特定保健指導(初回)実施率の上昇
健康宣言事業所(ブルー)は、未宣言事業所(グレー)に比べて、年々実施率が大きく上昇しています。

■メタボリスク割合の抑制
特定保健指導の実施率が高まったことにより、
生活習慣改善とメタボ予防への意識が高まっています。

■運動習慣無しの割合の改善
2021~2022年で運動習慣がないと回答された割合が健康宣言事業所と未宣言事業所で逆転。
従業員の運動意識の向上が職場に広がっています。

■朝食欠食割合の改善
健康宣言事業所では、比較的割合を維持している一方で未宣言事業所では、年々、朝食欠食者の割合が悪化しています。

京都働き世代の健康データブック
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/kyoto/cat070/datebook/
Ⅲ:健康経営の効果に関する企業の声
協会けんぽ京都支部では、健康経営に積極的に取り組む企業の「取組事例集」を毎年発行しています。その中で、健康経営の効果に関する企業の声をまとめると、このような声があります。
■健康経営の効果に関する企業の声
◆従業員の『健康意識』が高まった
「健康診断、特定保健指導などをきっかけに、自分の体を見つめ直す社員が増えた」「食事・運動・睡眠など生活習慣を改善しようという声が社内から出ている」
◆『コミュニケーション・一体感』が生まれた
「ウォーキングや健康イベントを通じて、部署間の会話が増えた」
「レクリエーションが社員の笑顔を引き出し、チームワークが良くなった」
◆『採用力・企業イメージ』が向上した
「健康経営優良法人認定で“安心して働ける会社” として評価が上がった」
「健康経営への取組みを発信したことで新規採用エントリーが増加した」
Ⅰの健康宣言アンケートでは、「健康リテラシーの向上」「健康状態の改善」など、前向きな効果が多く報告されました。一方で、健康経営を実践していくうえでの課題として「従業員の参加率向上」「時間がない」が挙げられています。
また、特に、メタボリスクの高い方に対する保健師等が生活習慣の見直しを支援する「特定保健指導」の実施については、次のような課題も寄せられています。
■特定保健指導の実施に向けた企業のハードル
特定保健指導を確実に実施するうえで、企業からは次のような共通の課題が寄せられています。いずれも、企業の努力だけでは乗り越えにくい構造的なハードルとなっています。
・本人が受診に消極的
・自主性に任せる文化が強く、会社として声かけしづらい
・外勤・シフト制により、時間確保が難しい
・拠点・店舗が多く、対象者の取りまとめが困難
・担当者が多忙で、実施まで手が回らない
京(きょう)から取り組む健康事業所宣言取組事例集
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/kyoto/cat070/jigyosyosengen/
Ⅳ. 特定保健指導の成果が出ている企業にインタビューを実施

■特定保健指導「対象者全員受診」を実現
京都市の長津工業株式会社は、2017年の「健康事業所宣言」以降、運動・食事・生活習慣改善を柱に健康経営を推進してきました。中でも特徴的なのが、特定保健指導の 「対象者全員受診」を継続して達成している点です。
■受けてもらえる特定保健指導の仕組み
特定保健指導は、対象者にとってネガティブに感じられやすく、業務優先で受診が後回しになりがちです。同社でも当初は同様の課題がありましたが、次の取り組みによって実施率が飛躍的に向上しました。
書類配布だけに頼らず、特定保健指導の必要性やメリットを 総務部が直接説明して回る方式に切り替え、受診への心理的ハードルを下げました。
部署の役職者と連携し、勤務時間中に受診できるよう調整。この会社としての後押しが、受診率向上につながっています。その結果、対象者全員が特定保健指導を受診されています。
■特定保健指導から現れた成果
特定保健指導をきっかけに、生活習慣を見直す従業員も増えました。中には、保健師のアドバイスを受けて定期通院や食事・運動習慣を改善し、30kgの減量に成功した従業員もいらっしゃいました。
Ⅴ.協会けんぽ京都支部から「健康経営における次の一歩」をサポート
従業員の健康づくりは、今日から始めることできる「未来への投資」です。協会けんぽ京都支部では、加入事業所様の健康経営を支えるため、
・健康診断・特定保健指導・重症化予防などの保健事業
・京(きょう)から取り組む健康事業所宣言
これらを通じて、企業における健康経営の推進と、従業員の健康維持・改善を継続的にサポートしています。
健康経営の始め方や、特定保健指導の進め方など、ご不明点がありましたらお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせ先
全国健康保険協会(協会けんぽ)京都支部 企画総務グループ
TEL:075-256-8630(音声案内②→④)
詳しくは以下のページをご覧ください。
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