国内最大規模を誇るアカデミア共催創業成長支援プログラム、第13回「1stRound」に採択
2025年10月27日
電源ケーブルの無い人工心臓実現を目指すHelioverse Innovations Inc.(本社:米国オハイオ州、CEO:黒田太陽、以下「当社」)は、東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(本社:東京都文京区本郷、代表取締役社長 植田浩輔、以下、「東大IPC」)が運営する国内最大規模を誇る大学・研究機関共催型創業成長支援プログラム「1stRound」の第13回支援先として採択されました。

電源ケーブルのない超小型人工心臓を患者さんへ
現在、人工心臓治療により従来救命が困難であった末期心不全の患者さんが助かるようになってきています。その成績は 5年生存率70%(※1)を超えつつあり、心臓移植に並ぶメインストリームの治療選択の1つになります。
しかしながら、既存の人工心臓は皮膚を貫通する太い電源ケーブルが必要であり、患者の約22%がデバイス感染を発症し、最も深刻なケースでは生命に関わる(※2)という深刻な課題が残されています。これらは患者さんのQOLを大きく損なう原因の一つとなっています。(※2)
(※1)https://www.annalsthoracicsurgery.org/article/S0003-4975(24)00874-9/abstract
(※2)https://www.annalsthoracicsurgery.org/article/S0003-4975(24)00874-9/abstract
世界最長の人工心臓研究と日本産業技術の融合
当社は、世界最長の人工心臓開発の歴史を有する米国 Cleveland Clinic の研究チームと、日本の高度精密産業を支えてきたエンジニア集団の協働により、
● 電源ケーブルを必要としない 超小型カテーテル式人工心臓
● 体内に大電流を安全に供給可能な 完全植込み型ワイヤレス電源システム
の開発を推進しています。これにより、2030年の臨床治験開始を目標としています。
「1stRound」による支援を通じた加速
今回の「1stRound」による資金支援、事業連携、各分野の専門家による伴走支援を通じ、当社は上記両システムの研究開発をさらに加速し、“ドライブライン感染ゼロ”の新しい人工心臓治療の実現を目指して参ります。
Helioverse Innovations Inc. CEO 黒田 太陽のコメント
当社は、Cleveland Clinicや国立循環器病研究センターの医師陣、日本の産業界を支えてきたパワーエレクトロニクス・ワイヤレス給電エンジニア、日米で豊富な実績を持つビジネスリーダー、規制対応の専門家、国際弁護士など、幅広いバックグラウンドを持つメンバーが結集したチームです。

全員の願いは、時間がかかる人工心臓開発を一日でも早く進め、安全なデバイスを患者さんに届け、これまで失われていた「普通の生活」を取り戻していただくことにあります。「1stRound」プログラムの理念は、その願いを実現するために最適なご支援でした。この度の採択にあたり、審査員の方々から胸が熱くなるような励ましのお言葉を頂き、大きな勇気を得ました。
現在、第一号試作機の開発を加速させており、今後1年以内に次の研究開発ステージへ進むことを目標としています。今後も「1stRound」のご支援を最大限に活用しながら、事業を着実に推進してまいります。
Helioverse Innovations Inc. CMO 川添 信のコメント
多くの皆様がご承知のように、2021年において日本の医療機器の輸入額は約約2.8 兆円であり、市場の66.5%以上を輸入が占めています。(※3)
一方、経産省やJETRO、官邸レポートは、完成品の国際競争力に課題がある一方、部材・素材、精密加工、検査装置や光学部品などの領域で日本企業に強みがあると分析しています。(※4)(※5)
(※3) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29946.html
失われた30年を経て再び日本が世界で尊敬され、称賛されるための競争優位としてソフトパワーの強化と同時に製造業の復活が鍵を握ると考えます。その製造業の復活の重点分野としてヘルスケアを位置づけ、日本のものづくり技術力で培った技術を結集していく必要を我々全員が感じています。人工心臓はその試金石となります。我々の挑戦に期待してください。
技術シーズの社会実装を支援、大学・研究機関横断・Non-Equity型、国内最大規模の創業成長支援プログラム
「1stRound」は、大学に関連する優れた技術や着想の事業化、社会実装を支援する国内最大のアカデミア横断型創業成長支援プログラムです。初動を加速させるためのNon-Equity資金支援をはじめ、その事業価値が算定可能な事業体・スタートアップとなるためのハンズオン支援を行うべく、2017年より東京大学を母体に「起業支援プログラム」としてスタートしました。2019年より名称を「1stRound」とし、コーポレートパートナーの参画も得たコンソーシアム形式で展開、その後国公立・私立大学、国立研究機関が参画し、国内最大規模を誇るアカデミア共催プログラムへと進化しています。

過去採択企業の資金調達成功率は約90%以上、大手企業との協業も拡大
「1stRound」では、過去9年で累計102チームを採択し、会社設立・資金調達を支援してまいりました。過去採択チームの資金調達成功率は90%以上、大型助成金の採択率50%以上を達成しております。また、コーポレートパートナーを中心とする大手企業との協業関係の創出にも注力しており、各回とも半数を超えるチームが協業に至っております。採択企業とコーポレートパートナーをはじめとする様々なステークホルダーを繋げ、双方の知見を活かしたより良いスタートアップ創出のためのコミュニティの醸成とともに、技術シーズを活用したスタートアップビジネス促進の加速を目指します。
また、関連アカデミアの起業家教育プログラムとの連携により、全採択数のうち再応募からの採択は20~25%を占めており、アカデミアからの起業をより後押しする、エコシステム構築を目指しています。
「1stRound」:https://www.1stround.jp
東京大学協創プラットフォーム開発株式会社 1stRound Director 長坂英樹氏の総評
世界の心不全患者数は現在3,000万人規模に達し、米国では620万人が罹患、2030年には800万人に増加すると予測されています。しかし移植提供数は限られ、深刻な治療供給不足が続いています。その代替手段として注目されるのが補助人工心臓(VAD)であり、ポンプを用いて血液循環を助けることで生命を維持する技術です。既存のVADは開胸手術や皮膚を貫通する電源ケーブルによる感染リスク、短期使用にとどまるなど課題を抱えています。Helioverse Innovationsは、低侵襲カテーテル挿入と植込型ワイヤレス給電を組み合わせた次世代VADを開発し、感染や手術負担を大幅に軽減しながら患者のQOLを劇的に改善することを目指します。世界のVAD市場は2030年代に30〜50億ドル規模へ拡大すると予測され、同社は未充足ニーズの大きい領域をターゲットに成長を狙います。最大の強みは、半世紀以上にわたり人工心臓開発に取り組んできた米国Cleveland Clinicを中心とする臨床・技術ネットワークと日本の産官学のモノつくり技術力であり、この盤石な基盤をもとにPoCから規制承認、IPOまで明確なロードマップを描いています。世界市場で戦える体制を整えた同社の挑戦に、期待しております。
Helioverse Innovaitons Inc.について
名称:Helioverse Innovations Inc.
所在地:米国Ohio州
代表者:黒田太陽
設立:2024年
日本法人:Helioverse Innovations Japan 株式会社
所在地:東京都港区南青山3丁目1番36号青山丸竹ビル6F
代表者:黒田太陽
設立:2025年
URL:https://www.helioverseinnov.com/
お問い合わせ:contact@helioverseinnov.com
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像
