~医療機関・医師によって結果が変わり得る乳がん精密検査~「検査先選 び」が治療の明暗を分ける?専門医が解説
約7割が「乳がんの確定診断=組織診」を知らないことも明らかに
社会福祉法人 仁生社 江戸川病院(所在地:東京都江戸川区、院長:加藤 正二郎)は、10月のピンクリボン月間にあわせ、2026年10月2日(金)に報道関係者向けセミナー『乳がん検診で“要精密検査”と言われたら~最初にかかる病院がその後を分ける「検査先選び」と治療選択肢~』を開催しました。
ピンクリボン月間には「乳がん検診を受けよう」という呼びかけが多くされる一方、検診の先、“要精密検査の通知があった場合にどうすべきか”はあまり語られていないことに着目して、当院乳腺センター長 兼 乳腺外科部長の田澤 篤医師が登壇・解説を行いました。当院が実施した乳がんの精密検査に関する独自調査*1の結果にも触れながら、精密検査先の重要性と選び方、そして治療法を決める際にまず考えたいポイントを紹介しました。

◆ プログラムⅠ:もし要精密検査と言われたら~検査先の選び方~
田澤医師ははじめに、精密検査をどこで受けるかは受診者自身が決める必要があることに触れ、「最初にかかる医療機関がその後を分ける」と強調。その理由として(1)医療機関によって受けられる精密検査の種類が違うこと、(2)精密検査を行う医師(または技師)によって異なる診断結果になり得ることの2点を挙げました。
(1)医療機関によって受けられる精密検査の種類が違う
田澤医師はまず、乳がんの精密検査が「問診・視触診」「画像診断」「病理検査」の順に進むことを説明。また、病理検査には細い針で細胞を吸い出す「細胞診」と、局所麻酔をし太めの針で組織の一部を採取する「組織診(生検)」があることに触れました。
そして、細胞診は体への負担が少ない一方で採取できる細胞の量が少なく、乳がんか否かを判断する「確定診断」ができるのは組織診だけであることを説明しました。その上で、医療機関によっては組織診を行っていない、あるいは画像検査までにとどまるなど、提供している検査内容に差があることを指摘。組織診を行っていない医療機関で組織診が必要となった場合、別の施設の紹介を受け改めて受診することになり、確定診断までに時間がかかってしまう問題点に触れ、はじめから組織診ができる医療機関を選ぶよう勧めました。
一方で、江戸川病院が実施した調査では、『乳がんの確定診断に組織診が必要になることがあると知っているか』を尋ね、約7割が組織診の必要性を認知していない実態が浮き彫りになりました。さらに、『医療機関によって受けられる精密検査の種類が違うことを知っているか』との問いに対し、「違うことを具体的に知っている」と回答したのはわずか7.2%、「どの医療機関でもすべての検査が受けられると思っていた」「違いがあることは知っているが、具体的にはわからない」がそれぞれ46.4%で、9割以上が医療機関によって受けられる検査が異なることをよく把握していない現状も明らかになりました。

(2)精密検査を行う医師によって異なる診断結果になり得る
続いて田澤医師は、精密検査の結果が検査を行う人によって左右され得る理由を、実際の症例を交えて解説しました。
エコーは検査中の操作が重要で技量によって見つけられる病変が変わり得ること、さらに組織診も病変に正確に針を当てて十分な量の組織を採取できるかどうかで検査結果が変わることを説明。その上で、乳がんの精密検査で起こり得る例として、画像診断のみで良性と判断され経過観察が続いた後に乳がんと判明するケースや、しこりが小さく組織診が見送られる、あるいは組織診で十分な検体が採れず判定不能となるケースを紹介しました。診断結果が異なり得るからこそ、どこで誰に精密検査を受けるかが重要であること、そして適切な検査・診断が受けられないと治療開始が遅れるリスクがあると指摘しました。
しかし、意識調査では、『乳がんの精密検査を行う医師や技師によって、異なる診断結果になり得ることを知っているか』との問いに対して、約7割が「知らなかった」と回答。十分に知られていない現状も明らかになりました。
この2点を踏まえ、乳がんの精密検査先を選ぶ際に確認すべきポイントとして、以下の3つを提示しました。
【精密検査先選びの重要チェックポイント】
-
確定診断に用いる組織診を行っていると明示しているか
医療機関のホームページなどで、確定診断に用いる組織診を行っていると明記しているかを確認するよう呼びかけました。記載がなくわからない場合は、「組織診まで受けられますか」と事前に問い合わせることも有効だと説明。江戸川病院乳腺外科では、ホームページ上に確定診断(組織診)の申込フォームを設けていることも紹介しました。
-
乳がん治療の実績などが開示されているか
乳がん治療の専門性や実績の重要性を踏まえ、ホームページや新聞などで公表されている手術実績などを確認するよう呼びかけました。あわせて、乳腺の診療科に在籍する医師の人数を確認し、「手術実績の合計÷在籍医師数」で医師1名あたりの手術件数を割り出すことも推奨しました。例として、年間200件の手術を4名の医師で行っている場合は1名あたり50件になり、江戸川病院乳腺外科の場合は1名の医師(田澤医師)で、直近1年間(2025年10月~2026年9月)の手術数は371件であると説明。また、1名あたり100件以上の実績があれば、治療経験が豊富な医師にかかることができるであろうという私見も紹介しました。
-
(石灰化が疑われる場合)石灰化専用の生検ができる設備があるか
検診で石灰化を指摘された場合、その確定診断には、マンモグラフィで位置を3次元的に特定して針を誘導する「マンモグラフィガイド下(ステレオガイド下)マンモトーム生検」という専用の組織診が用いられると説明。石灰化の場合は、この設備があることを明示している医療機関を選ぶよう呼びかけました。江戸川病院乳腺外科は当設備を保有していることに加え、乳腺の石灰化の多くは良性で、乳がんである可能性は全体の1%以下であることもあわせて伝えました。
◆ プログラムⅡ:乳がん治療選択肢の現在地~標準治療とその他~
最後に田澤医師は、乳がんと確定診断された場合の治療選択肢について解説。日本における乳がんの標準治療は、がんの進行度(ステージ)と性質(サブタイプ)に応じて手術療法・放射線治療・薬物療法を組み合わせて行われ、がんが遠隔転移したケースを除き、基本的にはどの場合でも標準治療は手術療法が軸となることを説明しました。
その上で、標準治療以外の選択肢の一例として、重粒子線・陽子線・ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)*2など自由診療による放射線治療にも言及し、江戸川病院では乳がんに対するBNCTを提供していることを紹介。標準治療が現時点で最も効果と安全性が確認された治療法であることも述べた上で、手術に抵抗がある患者などにとっての選択肢となり得ることに触れ、「まずは自分自身がどうしたいかを考え、必要に応じて医師に確認・相談してほしい」と呼びかけました。


■プレスセミナー開催概要
名 称:乳がん検診で"要精密検査"と言われたら
~最初にかかる病院がその後を分ける「検査先選び」と治療選択肢~
日 時:2026年10月2日(金)10時30分~12時00分
登壇者:江戸川病院 乳腺センター長・乳腺外科部長 田澤 篤

【田澤 篤 プロフィール】
江戸川病院 乳腺センター長・乳腺外科部長。日本乳癌学会乳腺専門医・指導医。東北大学医学部卒業。
乳がんの診断、手術、薬物療法、さらにはBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)連携診療など、乳がん診療の全ての領域に従事。江戸川病院の乳がん患者の精密検査から執刀まで全て一貫して務め、手術実績は5,000件を超える。(1995年~2026年)
また、乳がん患者のための情報サイト「乳がんプラザ」を運営し、乳がん治療に関する知見や実践的な情報を継続的に発信。全国の患者から寄せられた1万件以上の相談に回答している。
*1 調査概要
調査名:乳がんの精密検査についてのアンケート
調査時期:2026年9月18日
調査主体:江戸川病院
調査手法:インターネットリサーチ
対象:全国の30歳以上79歳以下の女性
サンプル数:306
詳細:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000173238.html
*2 江戸川病院が導入するBNCTとは
BNCTは、ホウ素を含む薬剤を体内に取り込み、中性子線を照射することで、がん細胞のみを選択的に破壊する放射線治療です。2泊3日の入院期間で治療プロセスが終了し、患者の身体的負担も軽減可能といった特性があります。BNCTが保険適用となる「頭頸部がん」に対する治療や治験としてBNCTを実施している医療機関は存在しますが、江戸川病院では主に「乳がん」に対して自由診療でBNCTを実施しています。

江戸川病院では、BNCT装置を院内に保有し、放射線治療後の再発乳がんを対象とした特定臨床研究を実施しました。現在は、身体への負担を抑え、再照射も可能な「低侵襲な乳がん治療」としてBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)を自由診療にて提供しています。
都内には江戸川病院の他に国立がん研究センターがBNCT装置を有しています。
詳細:https://www.edogawa.or.jp/features/bnct/overview.html
※江戸川病院のBNCT治療
◇流れ、期間
治療の約2週間前:事前のチェック(診察、検査、CT撮影)
治療の約1週間前:治療計画(CTから中性子線の投与線量、照射位置を計算)
治療:基本的には2泊3日の入院
1日目 入院、治療当日のリハーサル
2日目 ホウ素製剤を点滴投与(約2時間)
BNCT装置で中性子線を照射(治療時間は約1時間)
3日目 治療後の診察、退院
照射の約1ヶ月後:定期的な経過観察(MRIや超音波検査など)
◇治療回数
1回の照射(2泊3日)で完了
◇費用
通常税込440万円程(自由診療、見込み金額となり場合によって異なる)
※医学的見地に基づきBNCT 治療により予測される副作用・リスク
放射線性肺炎、皮膚疼痛、多汗症、乏汗症、クレアチニン増加、腫瘍崩壊症候群、皮膚欠損、吐気、食欲不振、部分脱毛など
※江戸川病院のBNCTの装置・医薬品について
江戸川病院のBNCT治療で使用される医療機器(BNCT装置)・医薬品(ホウ素製剤)は医薬品医療機器等法上、未承認となります。万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
|
BNCT装置 |
ホウ素製剤 |
|
|
江戸川病院で使用している 機器・薬品の承認の有無 |
なし |
なし |
|
江戸川病院で使用している 機器・薬品の入手経路 |
国内の株式会社CICS製の装置を導入 |
台湾の台湾製薬株式会社製の製剤を 江戸川病院で個人輸入 ※個人輸入された医薬品等の使用リスクに関する情報は下記をご確認ください。 |
|
国内の承認医薬品・装置の有無 |
あり(住友重機械工業株式会社製) |
あり(ステラファーマ株式会社製) |
|
諸外国における安全性等に係る情報 |
諸外国でも未承認のため、重大なリスクが明らかになっていない可能性があります。 |
諸外国でも未承認のため、重大なリスクが明らかになっていない可能性があります。 |
【江戸川病院について】
江戸川病院は、地域に根ざした総合医療機関として、24時間体制の二次救急医療や急性期治療に加え、がん医療・予防医療・在宅支援に力を注ぐとともに、動物やアートに囲まれた温かな雰囲気づくりを通じて、快適な療養環境整備に取り組んでいます。
がん治療分野では、手術・放射線・薬物療法を診療科の枠を超え連携して行うチーム医療を展開しています。2023年には「新外来化学療法センター」を開設し、外来での抗がん剤治療を快適に受けていただくためのがん治療環境を整備。さらに、放射線治療機器3台体制で19時までの放射線治療に対応しているほか、BNCTをはじめとする高度ながん治療の臨床研究にも積極的に取り組んでいます。
江戸川病院HP:https://www.edogawa.or.jp/



【本件に関する問い合わせ】※患者様・ご家族・一般の方専用
江戸川病院 乳腺センター 担当:田澤
乳がんプラザ MAILフォーム:https://nyuugan.jp/secretary
江戸川病院 BNCTセンター 担当:田雑、植松
TEL:03-3673-1221 / MAIL:bnct-tokyo@edogawa.or.jp
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像