選ばれる理由は「企業の説明」ではなく、「生活者が自分で確かめた実感」へ

〜ブランドナラティブレポート2026年9・10月号「確かめられるブランド」を公開〜

株式会社manage4

マーケティング戦略・事業開発コンサルティングを手がける株式会社manage4(本社:東京都目黒区、代表取締役:南坊泰司、以下「manage4」)は、国内外のマーケティング事例・ブランド施策・SNS上の生活者反応をもとにブランドの潮流を読み解くレポート「ブランドナラティブレポート2026年9・10月号」を公開しました。今月のテーマは「確かめられるブランド」です。

「ブランドナラティブレポート」は、manage4が継続的に蓄積している1,000件近い国内外マーケティング事例アーカイブを基盤に、個別事例の紹介ではなく、複数事例を貫く生活者変化とブランドの見立てを読み解くレポートシリーズです。

本号の見立て|「確かめられる」とは、ブランドが大切にする価値を、生活者が自分で試し、選び、行動できる形にしていること

本号でいう「確かめられるブランド」とは、ブランドが大切にする価値を、生活者が自分で試し、選び、行動できる形にしたブランドです。確かめる対象は、商品の性能だけではありません。自分に合う味、参加した手応え、使い方による違い、これまで気づかなかった必要性も含みます。そのために、確かめる場所や手順、ときには物差しまで用意している点に、今号は注目しました。

前々号では語りたくなる余白を、前号では人が参加しないと完成しない構造を取り上げました。では、その構造のなかで生活者は何をしているのか。今号の答えは「確かめている」です。生活者は確かめる経験を通じて、そのブランドが何を大切にしているのかを感じ取っています。

背景:説明は、比較の材料にはなっても決め手になりにくい

情報があふれるなかで、生活者は企業が語る機能や差別化の言葉を、そのまま受け取るとは限らなくなっています。電通デジタルの調査では、生成AI利用者の約3人に1人が直近半年の購買行動でAIに相談しており、利用意向がもっとも高かったのは複数の商品を比較・検討する場面でした。一方で、最終的な購入決定にもAIを使いたいとした人は49.6%にとどまっています。

比べる作業は外に出せても、決める作業は手元に残る。そう読める結果です。

自分で直接見聞きした情報を重く見る傾向は、ほかの調査にも表れています(博報堂が世帯年収3,000万円以上の層を対象に行った調査では58%)。規制の側でも、英国の広告基準協議会(ASA)が2026年6月、「リサイクル」という表現の裏づけが不十分だとして、アディダス、ユニクロ、カルバン・クラインの広告の再掲載を禁じるなど、言葉に根拠を求める動きが強まっています。

ブランドの側から見ると、価値を語るだけでなく、その価値を生活者が自分で感じ取れる形にすることの意味が大きくなっています。

参考:電通デジタル「生成AIを活用した購買行動調査」/博報堂「新富裕層調査2026」/letsrecycle.com「Adidas, Calvin Klein and Uniqlo ads banned over recycling claims」

今月の見立て:確かめた経験から、ブランドの姿勢が伝わる

manage4代表の南坊泰司は、1,000件近いマーケティング・ブランド事例アーカイブから、今号の4事例を選んだ。4つに共通していたのは、ブランドが大切にする価値を、言葉で伝えるだけで終わらせていないことだ。生活者が自分で試し、動き、感じ取れるように、場所や手順まで用意している。

これは、試食や参加型の仕掛けを増やせばよいという話ではありません。4事例はいずれも、どこで、どの順番で、何を手がかりに確かめてもらうかまで決めています。

生活者が「自分に合うものが見つかった」「自分の参加が反映された」「気づいていなかった」と感じたとき、ブランドの姿勢は広告の言葉よりも具体的に伝わります。manage4は、何をどう確かめてもらうかの設計そのものが、ブランドの姿勢を伝える新しい語り方になりつつあると捉えています。

着目した生活者トレンド

・完成品をそのまま受け取るより、自分の好みに合わせて少しずつ調整できる体験を楽しむ

・自分の行動や記録が、目に見える形で何かに反映されることに手応えを感じる

・人から言われて知るより、自分で体験して気づいたことを納得しやすい

4事例を横断して見える4つの接触面

今号で取り上げた4つの事例は、生活者がブランドの価値を確かめる地点=接触面の置き方において、それぞれ異なる型を示しています。

1.自分に合う形へ調整できる

2.自分の参加が反映されたと分かる

3.価値を引き出す使い方を試せる

4.気づいていなかった必要性に出会う

関連事例|国内外4事例

事例1:スターバックス「マイ カスタマイズ バー」 ― 自分に合う形へ調整できる

概要 マイ カスタマイズ バーは、スターバックス コーヒー ジャパンが2026年9月2日から全国の店舗(一部店舗を除く)に導入した、購入後のビバレッジやフードを客自身が仕上げるセルフ式のカウンターです。バニラ シュガー & ソルト、ペッパー カルダモン メープル ソースなど基本5種類のアイテムを無料で利用でき、同社は既存のカスタマイズと掛け合わせた理論上の組み合わせを最大527万通りとしています。日本での開業当初にあったコンディメントバーを、感染症拡大を機に縮小したのち、現在の店舗に合わせて再構築したものです。

注目ポイント

・自分で選んだアイテムを自分の加減で加え、味や香り、食感の変化を確かめる一連の時間を体験として位置づけている

・これまで注文時にバリスタが対応していた、はちみつ・シナモンパウダー・ココアパウダーの提供を廃止し、購入後の客側の工程へ移している

・パートナー(従業員)がおすすめの組み合わせを紹介し、客と感想を交わすことも想定している

manage4の見立て 527万通りという数字は、自由度の大きさを伝えています。ただ、注目したいのは組み合わせの総数より、少し加えて飲み、もう少し足すかを決められることです。スターバックスは、一杯を自分の好みに近づける自由を、注文時の選択肢としてだけでなく、購入後の店舗体験として用意しました。商品を受け取ってからの短い時間が、味の実験やパートナーとの会話に変わります。前々号で扱った「最後のひと手間」と似て見えますが、ここでの余白は、自分に合う加減を見つけるために置かれていると、manage4は考えます。

引用元:スターバックス ストーリーズ

事例2:HOKA「Run Your City」 ― 自分の参加が反映されたと分かる

概要 HOKAは、米国のDeckers Brandsが展開するランニングシューズブランドです。2026年9月の1カ月間、ランニングアプリStravaを舞台にチャレンジ「Run Your City」を実施しました。ニューヨーク5区のランナーが自分の区のために走行距離を記録し、区同士で競います。進捗はタイムズスクエア、トライベッカ、ソーホー、ウィリアムズバーグのデジタル屋外広告に、走行距離やペースなどの統計として週ごとに表示されました。TikTokやMetaでの有料SNS広告、5区を代表する6人のクリエイターの発信も組み合わせ、締めくくりとして10月3日にはブルックリンで参加者を招くブロックパーティーの開催も予定されていました。

注目ポイント

・個人の走行記録を区ごとに合算し、街頭広告の数字として週次で公開している

・通常はアプリ内にとどまる記録を、屋外広告とSNSの両方に持ち出している

・企画はブランドのプラットフォーム「Together We Fly Higher」に沿って展開されている

manage4の見立て 広告が「見るもの」から「動かすもの」に変わっています。企画を担ったJellyfishの担当者は、ふだんランナーのスマートフォンの中にある記録を街に出す発想だと説明しています。ここで生活者が確かめているのは、シューズの性能ではなく、自分の走りが街の活動に加わったという手応えです。HOKAは、ランニングコミュニティを支える姿勢を、記録を集めて街へ返す仕組みに置き換えました。商品を試す場をつくるだけでなく、ブランドの活動に自分が加わった実感まで返している点に、manage4はこの事例ならではの広がりを見ています。

引用元:Marketing Dive「Hoka builds Strava running stats into digital OOH campaign」

事例3:アサヒスーパードライ ― 価値を引き出す使い方を試せる

概要 アサヒスーパードライは、アサヒビールが1987年に発売した辛口の生ビールです。同社は2025年から「冷え」に着目し、キンキンに冷やすことで辛口のうまさが引き立つと訴求しています。2026年5月には「スーパードライ3.0」として中味・パッケージ・コミュニケーションの刷新を発表し、8月上旬以降の製造分から順次切り替えました。中味の刷新は発売以来2度目です。家庭向けには、飲む前に缶を冷凍庫で3分冷やす「仕上げに3分冷凍庫DRY」を提案しています。同社は、冷蔵庫で冷やした状態から温度が約1℃下がり、「キレ」と「飲みごたえ」がより引き立つと説明しています。

注目ポイント

・「冷凍庫で3分」という、家庭で誰でも再現できる具体的な手順を示している

・飲食店向けには2025年から、4℃未満で提供する店を認定する「スーパーコールド」認定店制度を設けている

・2026年10月の酒税改正でビール類の税率が統一される時期に、ブランド刷新を重ねている

manage4の見立て 「冷えたビールはうまい」は、どのビールブランドでも言えることです。アサヒは「辛口のうまさ」を広告で語るだけでなく、その価値を家庭での飲み方や飲食店の提供条件にまで広げました。冷凍庫に3分入れるという手順は、いつもより少し冷えた一杯を家で試し、違いを感じるための入口になっています。ブランドが大切にする味わいを、生活者が自分の台所で引き出せるようにしている点に、manage4は注目しています。

引用元:アサヒビール ニュースリリース/グルメ Watch「キンキンに冷えたアサヒスーパードライを飲んで『冷えるとおいしい』の秘密を聞いてきた」

事例4:花王「焼肉リセッシュ亭」 ― 気づいていなかった必要性に出会う

概要 焼肉リセッシュ亭は、花王の衣類・布用消臭剤ブランド「リセッシュ」が2026年8月に東京・渋谷で期間限定営業した体験型の焼肉店です。同社は、同じニオイを嗅ぎ続けるうちに鼻が慣れ、本人では気づきにくくなる衣類や布製品のニオイを「無自覚臭」と呼んでいます。来場者は約60分間焼肉を楽しんだあと、各テーブルに置かれた「無自覚臭実験BOX」で、中に入った2種類のニオイを当てるクイズに挑戦しました。一般営業の4日間で230名が参加し、中身だった「焼肉のニオイ」と「メロンの香り」の両方を正しく答えられたのは2名(約0.87%)でした。同社は、この数字はイベント内での体験結果であり、一般的な嗅覚能力を示すものではないとしています。

注目ポイント

・ニオイが衣服に移りやすい焼肉店という環境を、消臭剤ブランドが自ら営業している

・食事のあとに実験を置き、鼻が焼肉のニオイに慣れた状態で答える順番にしている

・お品書きや割り箸袋など、店内のアイテムにも「無自覚臭」にちなんだ表現を入れている

manage4の見立て 「衣類のニオイは自分では気づきにくい」と言われても、多くの人は自分は大丈夫だと思っています。実験BOXは、焼肉のあとに自分の鼻で試すことで、自分では気づけていないニオイがあるかもしれないと感じる体験をつくりました。来場者からは、衣類に残るニオイにも気づけていないかもしれない、という声が上がっています。リセッシュは消臭効果を説明する前に、ニオイ対策を自分の問題として考える入口をつくったと、manage4は見ています。同社の担当者が、嗅覚を扱う企画だからこそAIに頼らず人の経験を持ち寄ったと振り返っている点も、前号から続く問題意識と重なります。

引用元:PR TIMES「焼肉リセッシュ亭」閉店リリース

事例から見える共通点

4つの事例に共通するのは、ブランドが大切にしていることを、生活者が自分の行動を通じて感じ取れる形にしている点です。

スターバックスで確かめるのは、自分に合う味の加減です。HOKAでは、自分の走りが街の活動に加わったという手応え。スーパードライでは、冷やし方ひとつで変わる味わいを家で試せます。リセッシュに至っては、自分では気づけていなかったニオイの可能性に出会います。確かめる対象は、商品の性能に限りません。

そして、確かめた経験の向こうに見えてくるのは、それぞれのブランドの姿勢です。一杯を自分の好みに近づける自由を用意すること。ランナーのコミュニティを支えること。辛口のうまさにこだわり続けること。ニオイにまつわる不安に向き合うこと。manage4はこれらを体験型プロモーションの事例としてではなく、ブランドの姿勢を生活者が体験できる形に移した事例として捉えています。

1.自分に合う形へ調整できる(スターバックス「マイ カスタマイズ バー」)

2.自分の参加が反映されたと分かる(HOKA「Run Your City」)

3.価値を引き出す使い方を試せる(アサヒスーパードライ)

4.気づいていなかった必要性に出会う(花王「焼肉リセッシュ亭」)

重要なのは、ブランドが語る価値と、実際に用意する体験がつながっていることです。自分で仕上げられると言うなら、選びやすく、試しやすい店にする。コミュニティを支えると言うなら、参加した手応えが返ってくる仕組みにする。商品の品質が土台であることは変わりません。そのうえで、品質や思想を実際の接点へどう移すか。ブランドの姿勢は、生活者に何をしてもらい、その結果をどう返すかにも表れます。

代表コメント

株式会社 manage4 代表取締役 南坊 泰司

「今回の4事例を並べて見えてきたのは、ブランドが大切にしていることを、言葉で伝えるだけでなく、生活者が自分で確かめられる形にして差し出す動きです。確かめる対象は品質だけではありません。自分に合う味、参加した手応え、飲み方による違い、気づいていなかった必要性。どれも、生活者が自分で動いてはじめて分かるものです。

言葉はいくらでも作れます。『こだわりの製法』『あなただけの』『地域とともに』といった表現は、生成AIを使えば数秒で量産できますし、売り場や広告はすでにそうした言葉であふれています。言葉が増えるほど、一つひとつの言葉は軽くなる。生活者が最後に自分の実感を頼りにするのは、ごく自然な反応だと思います。

ここでいう『確かめられるブランド』とは、大切にしている価値を、生活者が自分で試し、選び、行動できる形にしたブランドのことです。前々号では語りたくなる余白を、前号では取り繕えない構造を扱いました。その余白や構造は、生活者がブランドの姿勢を自分の体験として受け取れたときに、はじめて力になります。

面白いのは、確かめるためのハードルがどれも低いことです。スターバックスではひとふり足すだけ、アサヒでは冷凍庫に3分入れるだけ。HOKAではいつものランニングがそのまま広告を動かし、リセッシュでは焼肉を食べたあとに箱のニオイを嗅ぐだけです。ただ、これは生活者への丸投げではありません。どこで、どの順番で、何を手がかりに確かめてもらうか、その設計の手間は企業が引き受けています。ブランドの完成度は、企業が作り切る力と、あえて生活者に委ねる力の両方で決まります。

ブランドナラティブは、企業が語る物語ではなく、生活者が自分の体験として語り直せる物語です。体験した人が、『自分にとって、このブランドにはこういう意味がある』と話せることが大切です。自分の好みが見つかった。自分の走りが街の活動に加わった。いつもの飲み方を変えたくなった。気づいていなかった問題を意識した。その経験が、もう一度選ぶ理由や、人に話したくなる理由へ育っていく。そこまでをブランドの設計として考えたいと思います。」

よくある質問(FAQ)

Q1.「ブランドナラティブレポート」とは何ですか?

A. manage4が国内外のマーケティング事例1,000件近いアーカイブを基盤に、複数事例を貫くブランドと生活者の変化を「見立て」として読み解き、定期的に発信するレポートです。

本レポートは、以下のような検討に活用できます。

・新商品の発売プロモーションや体験イベントの設計

・試食・サンプリングなど「試す」施策の見直し

・参加型の店舗体験や売り場導線の設計

・生活者の行動を反映させる参加型キャンペーンや広告の企画

・生活者が語りたくなるブランドナラティブの設計

Q2.過去の事例アーカイブは閲覧できますか?

A. manage4公式サイトの TREND RESEARCH ページで事例アーカイブの一部を無料公開しています。

Q3.自社のマーケティングへの活用について相談できますか?

A.可能です。トレンド・事例を用いたワークショップや講義、ブランド体験設計・プロモーション設計のご支援も承っています。

事例アーカイブのご案内

本レポートのもととなる事例スライドをまとめたページはこちら:TREND RESEARCH(事例アーカイブ)

週に一度、厳選されたトレンドと洞察をmanage4代表取締役自らが発信するニュースレターはこちら:なんぼーのマーケティングアンテナ

レポート概要

・名称:ブランドナラティブレポート2026年9・10月号「確かめられるブランド」

・発行:株式会社manage4

・対象:マーケティング・広告・PR・ブランド担当者、生活者トレンドに関心のある方

・内容:国内外のマーケティング事例、ブランド・生活者トレンドの見立て、実務への示唆

会社概要

・会社名:株式会社manage4

・代表取締役:南坊泰司

・所在地:〒153-0042 東京都目黒区青葉台3丁目18番3号 THE WORKS

・事業内容:マーケティング戦略・戦術策定、事業開発コンサルティング、プロモーション制作

・URL:manage4 公式サイト

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業種
サービス業
本社所在地
東京都目黒区青葉台3丁目18番3号 THE WORKS
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代表者名
南坊 泰司
上場
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設立
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