特許をAIが運用する時代、ワートインテリジェンスが描くアジアIPインフラの地図
大企業R&D現場で実証された「IP-AX」、日本を皮切りにアジア市場へ拡大

アルトス・ベンチャーズが、特許ドメインAI企業であるwert intelligence(ワートインテリジェンス)への投資を実行した。同社が定義してきた新カテゴリーの名称は「IP-AX」。今回の投資をもとに、ワートインテリジェンスは製品の高度化とグローバル市場進出を加速させる計画だ。
アルトス・ベンチャーズは、ワートインテリジェンスがこれまで蓄積してきた特許データとドメインAI技術、大企業R&D現場での実証実績、そしてアジア市場への拡張可能性に着目し、今回の投資を決定した。
この20年間、韓国産業が世界市場に残した最も密度の高い資産は特許だった。サムスン電子・SKハイニックスの半導体特許、LG電子・LGエナジーソリューションの電子・電池特許、現代自動車のモビリティ特許、セルトリオン・韓美薬品のバイオ特許は、韓国製造業にとって重要な「在庫資産」であり続けてきた。しかし、この資産は長らく人の手と目によって管理されてきた。検索する人と分析する人は別々に存在し、判断は結局のところ膨大な文書を扱う個人の経験と力量に依存していた。この構造が持続可能ではないという問題意識は産業界の中で以前から存在していたが、それを製品として具現化した企業は長い間現れなかった。
ワートインテリジェンスがこの3年間で作り上げたのが、まさにこの製品である。106の管轄国・地域における特許1億7,000万件を自社開発のドメイン言語モデル「PlutoLM」と組み合わせ、大企業R&D組織の特許ワークフロー全体をAIが運用する構造へと移行させた。ワートインテリジェンスはこの新カテゴリーを「IP-AX」と名付けた。これは「IP AI Transformation」の略で、特許が扱われる方法そのものを再定義するという意味を込めている。
カテゴリーを作ることと、作ったカテゴリーの中で競争力を確保することは別の問題だ。多くのスタートアップは、市場がそのカテゴリーを十分に受け入れる前に成長の限界に直面する。ワートインテリジェンスが慣性を超えて次の段階へ進む契機となった事例が、LG電子R&Dグループへの全社導入だ。グローバル電子企業のR&D組織全体に自社AIを導入したこの事例は、ワートインテリジェンスの技術力とエンタープライズ実行力を示している。検索精度最大3倍、作業速度最大98%短縮という定量的な成果が、ベンチマークではなく実際の運用データから得られた点も、この事例を他のIP AIの試みと区別している。
アルトス・ベンチャーズは、ワートインテリジェンスが新カテゴリーを提示するだけにとどまらず、大企業R&Dの実際の運用環境にまで浸透した点に注目した。特にアジア産業特有の言語や審査慣行、企業ワークフローまでを併せて扱える技術力とエンタープライズでの実証実績を、今回の投資の主な背景として評価した。
ワートインテリジェンスは、英語圏の文献や検索・ドラフト作成など特定機能に焦点を当てた既存のIP AIソリューションとは異なり、アジア特許の言語・審査慣行・企業ワークフローまでを併せて扱うことに注力してきた。国内にも長年のトラックレコードを持つ特許情報サービス企業は存在するが、ワートインテリジェンスは自社開発のドメインLLMを開発し、大企業R&Dの全社導入という実績を確保した。これをもとに、ワートインテリジェンスは単なるツールベンダーを超え、新たなIP AIカテゴリーを定義する企業を目指している。
ワートインテリジェンスは2026年下半期の日本市場進出を準備している。日本は世界第3位の特許出願国であり、アジア産業IPの中心地だ。半導体・電池・素材・自動車産業において日本の大企業は大規模な特許ポートフォリオを蓄積してきたが、その管理方式は長らく人中心のまま維持されてきた。日本市場が「IP-AX」という新カテゴリーにどう反応するかは、今後のアジアIP AI市場の変化を占う重要な変数になると見られる。ワートインテリジェンスは11月に開催される「IPBC Asia Tokyo」において、半導体ライセンシングのマスタークラスにスピーカーとして登壇する。
ワートインテリジェンスの創業者であるユン・ジョンホ代表は、「今回のラウンドは資金調達以上の意味を持つ」とし、「これまで積み重ねてきた技術と顧客実績をもとに製品をさらに高度化し、日本を含むアジア市場への進出を本格化させる」と述べた。
ワートインテリジェンスは今回の投資をもとにIP AIトランスフォーメーション製品を高度化し、日本を皮切りにアジア市場での顧客基盤を拡大していく計画だ。
【会社概要】
会社名:Wert Intelligence Co., Ltd.(ワートインテリジェンス)
代表者:ユン・ジョンホ
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