全国より寄せられた看護にまつわるエピソードから入賞作品を発表第9回「忘れられない看護エピソード」応募2,629作品から最優秀賞など20作品が決定!
公益社団法人日本看護協会(所在地:東京都渋谷区/会長:福井トシ子)は、5 月11日(土)、日本看護協会JNAホールで「看護の日・看護週間」事業中央行事として、第9回「忘れられない看護エピソード」表彰式・トークショーを開催しました。
下段左から、看護職部門最優秀賞の後藤史保子さん、看護職部門内館牧子賞の佐々木淳子さん、
一般部門最優秀賞の藤本清美さん、一般部門内館牧子賞の三品麻衣さん
「忘れられない看護エピソード」は、厚生労働省と日本看護協会が「看護の日・看護週間」にあたり、看護職や一般の方々を対象に、看護の現場や日常の中で体験したエピソードを募集し、入賞作品を表彰するものです。今回は、全国各地から2,629 作品が集まり、厳正な審査を経て入賞20 作品が決定しました。
また、本表彰式は、来賓や抽選で招待された観覧者ら約230名が見守る中で行われ、受賞作品の発表や特別審査員の内館牧子さんによる講評、「看護の日」PR大使に任命された須藤理彩さんと現役看護師のトークショー、シンガーソングライターで看護師の瀬川あやかさんによるスペシャルLIVEを実施いたしました。
■第9回「忘れられない看護エピソード」概要
・部門・応募資格: ①看護職部門…現在、国内で看護職に就いている方、または過去に看護職に就いていた方
②一般部門…日本国内在住の方
・募集内容 : 看護を通して得られた忘れられない思い出やエピソードについて800字以内でまとめたもの
・応募受付期間 : 2018年11月1日(木) ~ 2019年2月1日(金)
・U R L : https://www.nurse.or.jp/episode/
・主催 : 厚生労働省、日本看護協会
・応募総数 : 2,629点(看護職部門835点、一般部門1,794点)
・審査員 : 特別審査員 内館牧子さん(脚本家)、ゲスト審査員、厚生労働省・日本看護協会関係者ほか
・表彰/副賞 : 最優秀賞 看護職部門/一般部門 賞金20万円(各部門1作品)
内館牧子賞 看護職部門/一般部門 賞金10万円(各部門1作品)
優秀賞 看護職部門/一般部門 賞金3万円(各部門3作品)
入選 看護職部門/一般部門 「看護の日」オリジナルナースキティぬいぐるみ
(各部門5作品)
※優秀賞、内館牧子賞の4作品の中から1作品を楽曲・映像化
■入賞作品一覧
【最優秀賞 看護職部門】
部屋の模様替え合戦
後藤 史保子さん 34歳 <岐阜県>
ナースコールが鳴る。510号室。
悪性リンパ腫のAさん。化学療法を行うが効果がなく、再発を繰り返している。入院も長期化していた。1日に何度もナースコールが鳴る。看護師の対応や入院生活の不満を漏らしていた。
看護師3年目。チーム編成があり、私はAさんの担当になった。頻回のナースコール、Aさんから聞く不満の声。私に受け止められるだろうか……。
今日もナースコールが鳴る。Aさんの部屋に向かう足は重かった。訪室するとAさんが話し始めた。「治療も効かないし、こんなに足も腫れちゃって。でもね、私はまだ1人で何でもできるの」と。
そして、悲しそうな顔で部屋にあるポータブルトイレに目を落とした。しばらく、沈黙が続く。そしてAさんは、体の変化や迫りくる死の不安などをゆっくり話してくださった。部屋を出るとAさんの娘さんが廊下に立っていた。「母は教師をしていました。生徒から頼られる立場だったのに、今は誰かの手を借りなければならないことがつらいんだと思います。家でも何でも自分でしないと気が済まない人でした」と娘さん。
その日から私とAさんとの部屋の模様替え合戦が始まった。Aさんの部屋は個室、トイレがある。Aさんの「まだ1人でできる」の言葉。ベッド、床頭台の位置を変え、部屋のトイレまでの距離を縮める。2人でベッドからトイレまでのつかまる位置を確認する。日に日に、Aさんの動ける範囲が狭まる。また、2人で模様替え。何度も繰り返した。
徐々に状態が悪化し、トイレへの移動は難しくなった。「もう、無理だね。今まで付き合ってくれてありがとう」とAさん。私は「まだ、着替えは自分でできるじゃないですか。ごはんも自分で。まだまだ、付き合いますよ」と応える。「そうだね。まだできることたくさんあるよね」とAさんはうれしそうに笑っていた。
患者のささいな言動に耳を傾け、限られた時間の中でどう生きたいのかを一緒に考えること。患者の思いに寄り添う看護師であり続けたい。
【最優秀賞 一般部門】
「お母さん」
藤本 清美さん 42歳 <山形県>
15年前、陣痛で苦しむ私に、「お母さん頑張れ! お母さん頑張れ!」と、何度も言うナース。私はたまらず、「死んだ子を産むんだから、私、お母さんじゃない」と、泣きながら叫んだ。すると、「何言ってるの! 赤ちゃん産むんだからお母さんでしょ!」と、泣きながらそのナースも叫んだ。そして、静かに赤ちゃんが産まれた。男の子だった。
1年後、全く同じやりとりをして2人目の子も死産となった。女の子だった。解剖が終わった娘をあのナースが連れてきてくれた。
「とっても美人さんね。お顔にはメス、入れてないからね。はい、お母さん」と言って、娘を私に抱かせてくれた。
「またおいで! 妹でも! 弟でも! ねっ! お母さん! 信じて!ねっ! 生きてね! お母さん!」
あのナースに、私は何度も「お母さん」と呼ばれた。赤ちゃんはいないのに「お母さん」。にせものの「お母さん」だ。
次の年、妊娠した。この子も死んじゃうかも、という不安はあのナースが吹き飛ばしてくれた。「これが、心臓よ! お母さん!」
「今日はいよいよ性別判明の日ね! お母さん」。あのナースは、うるさいくらい私のことを、「お母さん」と呼んだ。「お母さん」と呼ばれるのがあんなに嫌だったのに、なんだかだんだん心地良く感じてきた「お母さん」という響き。そして産まれた。
「3人目のお子さん! 女の子ですよ! お母さん!」。あのナースはわざわざ「3人目」と言ってくれた。うれしくて泣いた。
娘が「お母さん」と私を呼ぶ。娘のお友達が、「イオちゃんのお母さん」と私を呼ぶ。もう15年も呼ばれているけど、毎回うれしい気持ちになるのは、天国の2人と、産まれてきてくれた娘のおかげ。あと、私を信じて、私のことを「お母さん」と呼び続けてくれたあのナースのおかげ!
ありがとう! あのナースさん!
今回の最優秀賞、内館牧子賞、優秀賞、入選の合計20 作品をパネルにして日本看護協会ビル内「JNA プラ
ザ」で展示しています。ご来場の方には、入賞作品を収めた小冊子「第9回『忘れられない看護エピソード』集」を差し上げます(なくなりしだい終了)。
期間: 5月13日(月)~6月28 日(金)10:30~17:00(13:00~14:00 を除く)
土・日曜は休館、入場無料
場所: 日本看護協会ビル3 階「JNA プラザ」(東京都渋谷区神宮前5-8-2)
② 一般部門・内館牧子賞受賞作品を映像化し、公開!
また、上記の入賞作品はパネル展でも上映しますので、ぜひご覧ください。
③ 入賞作品集(小冊子)をプレゼント!
入賞作品を収録した小冊子「第9回『忘れられない看護エピソード』集」をご希望の方にプレゼントします。
(お1人様1部、送料無料)。なくなりしだい、終了となります。
はがき、FAX、またはWEBサイトから、必要項目①郵便番号②住所③職業④氏名⑤電話番号を明記の上、日本看護協会広報部「小冊子プレゼント」係までお送りください。
※記載いただいた個人情報は、冊子発送のためにのみ使用いたします。
<申込み先>
●はがき : 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-8-2
日本看護協会広報部「冊子プレゼント」係
●FAX : 03-5778-8478(件名に、「冊子プレゼント希望」と明記)
●WEB : https://www.nurse.or.jp/episode/
日本看護協会 概要
名称 : 公益社団法人 日本看護協会
URL : https://www.nurse.or.jp/
設立 : 1947年
所在地 : 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-8-2
事業内容 : 看護職(保健師・助産師・看護師・准看護師)の資格を持つ個人が自主的に加入し運営する、
日本最大の看護職能団体。47都道府県看護協会(法人会員)と連携して活動する全国組織で、
現在約74万人の看護職が加入中。個人の力だけでは解決できない看護を取り巻く課題を、
組織の力で解決し、看護を発展させ、社会貢献する公益社団法人。
上段左から、厚生労働省・吉田学医政局長、「看護の日」PR大使・須藤理彩さん、日本看護協会会長・福井トシ子
下段左から、看護職部門最優秀賞の後藤史保子さん、看護職部門内館牧子賞の佐々木淳子さん、
一般部門最優秀賞の藤本清美さん、一般部門内館牧子賞の三品麻衣さん
「忘れられない看護エピソード」は、厚生労働省と日本看護協会が「看護の日・看護週間」にあたり、看護職や一般の方々を対象に、看護の現場や日常の中で体験したエピソードを募集し、入賞作品を表彰するものです。今回は、全国各地から2,629 作品が集まり、厳正な審査を経て入賞20 作品が決定しました。
また、本表彰式は、来賓や抽選で招待された観覧者ら約230名が見守る中で行われ、受賞作品の発表や特別審査員の内館牧子さんによる講評、「看護の日」PR大使に任命された須藤理彩さんと現役看護師のトークショー、シンガーソングライターで看護師の瀬川あやかさんによるスペシャルLIVEを実施いたしました。
<「看護の日」について>
近代看護を築いたフローレンス・ナイチンゲールの誕生日にちなみ、5月12日は「看護の日」に制定されています。看護の心、ケアの心、助け合いの心を老若男女問わず誰もが育むきっかけとなるよう、旧厚生省により1990年に制定されました。5月12日を含む日曜日から土曜日までを「看護週間」とし、毎年各地で看護に関連したイベントや活動を実施しています。
■第9回「忘れられない看護エピソード」概要
・部門・応募資格: ①看護職部門…現在、国内で看護職に就いている方、または過去に看護職に就いていた方
②一般部門…日本国内在住の方
・募集内容 : 看護を通して得られた忘れられない思い出やエピソードについて800字以内でまとめたもの
・応募受付期間 : 2018年11月1日(木) ~ 2019年2月1日(金)
・U R L : https://www.nurse.or.jp/episode/
・主催 : 厚生労働省、日本看護協会
・応募総数 : 2,629点(看護職部門835点、一般部門1,794点)
・審査員 : 特別審査員 内館牧子さん(脚本家)、ゲスト審査員、厚生労働省・日本看護協会関係者ほか
・表彰/副賞 : 最優秀賞 看護職部門/一般部門 賞金20万円(各部門1作品)
内館牧子賞 看護職部門/一般部門 賞金10万円(各部門1作品)
優秀賞 看護職部門/一般部門 賞金3万円(各部門3作品)
入選 看護職部門/一般部門 「看護の日」オリジナルナースキティぬいぐるみ
(各部門5作品)
※優秀賞、内館牧子賞の4作品の中から1作品を楽曲・映像化
■入賞作品一覧
※敬称略
【最優秀賞 看護職部門】
部屋の模様替え合戦
後藤 史保子さん 34歳 <岐阜県>
ナースコールが鳴る。510号室。
悪性リンパ腫のAさん。化学療法を行うが効果がなく、再発を繰り返している。入院も長期化していた。1日に何度もナースコールが鳴る。看護師の対応や入院生活の不満を漏らしていた。
看護師3年目。チーム編成があり、私はAさんの担当になった。頻回のナースコール、Aさんから聞く不満の声。私に受け止められるだろうか……。
今日もナースコールが鳴る。Aさんの部屋に向かう足は重かった。訪室するとAさんが話し始めた。「治療も効かないし、こんなに足も腫れちゃって。でもね、私はまだ1人で何でもできるの」と。
そして、悲しそうな顔で部屋にあるポータブルトイレに目を落とした。しばらく、沈黙が続く。そしてAさんは、体の変化や迫りくる死の不安などをゆっくり話してくださった。部屋を出るとAさんの娘さんが廊下に立っていた。「母は教師をしていました。生徒から頼られる立場だったのに、今は誰かの手を借りなければならないことがつらいんだと思います。家でも何でも自分でしないと気が済まない人でした」と娘さん。
その日から私とAさんとの部屋の模様替え合戦が始まった。Aさんの部屋は個室、トイレがある。Aさんの「まだ1人でできる」の言葉。ベッド、床頭台の位置を変え、部屋のトイレまでの距離を縮める。2人でベッドからトイレまでのつかまる位置を確認する。日に日に、Aさんの動ける範囲が狭まる。また、2人で模様替え。何度も繰り返した。
徐々に状態が悪化し、トイレへの移動は難しくなった。「もう、無理だね。今まで付き合ってくれてありがとう」とAさん。私は「まだ、着替えは自分でできるじゃないですか。ごはんも自分で。まだまだ、付き合いますよ」と応える。「そうだね。まだできることたくさんあるよね」とAさんはうれしそうに笑っていた。
患者のささいな言動に耳を傾け、限られた時間の中でどう生きたいのかを一緒に考えること。患者の思いに寄り添う看護師であり続けたい。
【最優秀賞 一般部門】
「お母さん」
藤本 清美さん 42歳 <山形県>
15年前、陣痛で苦しむ私に、「お母さん頑張れ! お母さん頑張れ!」と、何度も言うナース。私はたまらず、「死んだ子を産むんだから、私、お母さんじゃない」と、泣きながら叫んだ。すると、「何言ってるの! 赤ちゃん産むんだからお母さんでしょ!」と、泣きながらそのナースも叫んだ。そして、静かに赤ちゃんが産まれた。男の子だった。
1年後、全く同じやりとりをして2人目の子も死産となった。女の子だった。解剖が終わった娘をあのナースが連れてきてくれた。
「とっても美人さんね。お顔にはメス、入れてないからね。はい、お母さん」と言って、娘を私に抱かせてくれた。
「またおいで! 妹でも! 弟でも! ねっ! お母さん! 信じて!ねっ! 生きてね! お母さん!」
あのナースに、私は何度も「お母さん」と呼ばれた。赤ちゃんはいないのに「お母さん」。にせものの「お母さん」だ。
次の年、妊娠した。この子も死んじゃうかも、という不安はあのナースが吹き飛ばしてくれた。「これが、心臓よ! お母さん!」
「今日はいよいよ性別判明の日ね! お母さん」。あのナースは、うるさいくらい私のことを、「お母さん」と呼んだ。「お母さん」と呼ばれるのがあんなに嫌だったのに、なんだかだんだん心地良く感じてきた「お母さん」という響き。そして産まれた。
「3人目のお子さん! 女の子ですよ! お母さん!」。あのナースはわざわざ「3人目」と言ってくれた。うれしくて泣いた。
娘が「お母さん」と私を呼ぶ。娘のお友達が、「イオちゃんのお母さん」と私を呼ぶ。もう15年も呼ばれているけど、毎回うれしい気持ちになるのは、天国の2人と、産まれてきてくれた娘のおかげ。あと、私を信じて、私のことを「お母さん」と呼び続けてくれたあのナースのおかげ!
ありがとう! あのナースさん!
① 第9回「忘れられない看護エピソード」入賞作品パネル展!
今回の最優秀賞、内館牧子賞、優秀賞、入選の合計20 作品をパネルにして日本看護協会ビル内「JNA プラ
ザ」で展示しています。ご来場の方には、入賞作品を収めた小冊子「第9回『忘れられない看護エピソード』集」を差し上げます(なくなりしだい終了)。
期間: 5月13日(月)~6月28 日(金)10:30~17:00(13:00~14:00 を除く)
土・日曜は休館、入場無料
場所: 日本看護協会ビル3 階「JNA プラザ」(東京都渋谷区神宮前5-8-2)
② 一般部門・内館牧子賞受賞作品を映像化し、公開!
今回は、一般部門で内館牧子賞を受賞した「真っ白なジグソーパズル」を楽曲化・映像化しました。この映像を日本看護協会ホームページ(https://www.nurse.or.jp)で、5月11日(土)より公開しています。
また、上記の入賞作品はパネル展でも上映しますので、ぜひご覧ください。
③ 入賞作品集(小冊子)をプレゼント!
入賞作品を収録した小冊子「第9回『忘れられない看護エピソード』集」をご希望の方にプレゼントします。
(お1人様1部、送料無料)。なくなりしだい、終了となります。
はがき、FAX、またはWEBサイトから、必要項目①郵便番号②住所③職業④氏名⑤電話番号を明記の上、日本看護協会広報部「小冊子プレゼント」係までお送りください。
※記載いただいた個人情報は、冊子発送のためにのみ使用いたします。
<申込み先>
●はがき : 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-8-2
日本看護協会広報部「冊子プレゼント」係
●FAX : 03-5778-8478(件名に、「冊子プレゼント希望」と明記)
●WEB : https://www.nurse.or.jp/episode/
日本看護協会 概要
名称 : 公益社団法人 日本看護協会
URL : https://www.nurse.or.jp/
設立 : 1947年
所在地 : 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-8-2
事業内容 : 看護職(保健師・助産師・看護師・准看護師)の資格を持つ個人が自主的に加入し運営する、
日本最大の看護職能団体。47都道府県看護協会(法人会員)と連携して活動する全国組織で、
現在約74万人の看護職が加入中。個人の力だけでは解決できない看護を取り巻く課題を、
組織の力で解決し、看護を発展させ、社会貢献する公益社団法人。
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