第 29 回「地球環境問題と人類の存続に関するアンケート」調査結果
公益財団法人旭硝子財団(理事長:島村琢哉)は、1992 年より、毎年、世界の環境有識者を対象に環境アンケート調査を実施しております。今年は世界 205 カ国に調査票を送付し、137 カ国1,813 名から回答を頂きました。以下に本年度の調査結果の要点を発表致します。(調査結果の詳細は「第 29 回地球環境問題と人類の存続に関するアンケート調査報告書」に発表すると共に、財団ウェブサイトhttp://www.af-info.or.jpでもご覧頂けます。)
● 世界全体の平均危機時刻は 9 時 47 分で、調査開始以来最も針が進んだ一昨年と同時刻。
● 危機意識が最も高いのは、10 時台を示す北米とオセアニア。逆に最も低いのは唯一 8 時台に留まるアフリカで、北米・オセアニアとの差は、ほぼ 2 時間。
● 環境危機時刻を世代別にみると、「60 代以上」の危機意識は他の世代より高い。
● 危機時刻を決める上で念頭に置いた項目は 2011 年以来一貫して「気候変動」が最多。
● 環境に対する危機感を時刻からみると、昨年と同様に「生物圏保全性」が最も高い。
● 脱炭素社会への転換について、転換は「進んでいる」ととらえている人が多い。
● 環境問題への取組みへの改善の兆しがある項目として「気候変動」が最も多く選ばれた。
I 環境危機時計®~人類存続の危機に対する認識
I-1 環境危機時計の時刻
・昨年の 9 時 46 分と併せて 3 年連続で高い危機意識を示し、1992 年の調査開始時の時刻より、約 2 時間針が進んでいる。(図1,2)
・調査した10 地域中、針が進んだ地域、後退した地域がそれぞれ5 地域と二分し、昨年より後退した地域が増えた。(昨年後退したのはアジアとアフリカの2 地域のみ)(図3)
・針が最も戻ったのは昨年と同様のアフリカで(8 時 59 分→8 時 34 分)、10 地域の中で唯一 8 時台に留まり、2010 年の調査時より時刻が約 2 時間戻った。
・昨年から最も針が進んだのは、東欧・旧ソ連で 17 分(9 時 13 分→9 時 30 分)、2018 年(8 時42 分)と比べると約 50 分進んでいる。
・調査開始以降の世界全体の危機時刻の推移では、1996 年以降、2000 年を除いて、常に 9 時台の「極めて不安」の領域を示している。(表1, 図4)
・日本は昨年から針が 7 分進んで 9 時 46 分となり、世界平均とほぼ同時刻を示している。日本は2008 年には世界平均より時刻が進んだこともあったが、2009 年以降、昨年まで世界平均より遅れ続け、11 年目の今年、世界平均と並んだ。(図4)
I-2 回答者の年代層による環境危機時刻の推移 (2011 年~2020 年)
・昨年度と今年の調査結果を比べると、時刻の変化は小さいが、これまでで最も高いレベルの危機時刻となっている。(図5)
・世代別調査を始めた 2011 年以降、2018 年を除き、「60 代以上」の危機感は常に高い。
・2012 年以降、全世代が「極めて不安」の時間帯を示している。(図5)
II 危機時刻記入にあたって念頭においた「地球環境の変化を示す項目」(世界)
本調査は、危機時刻を決める上で、次の「地球環境の変化を示す 9 項目」から、回答者が住む国または地域において最も深刻だと思われる環境問題を 1 位~3 位で選んでいただいた。
(2018 年、2019 年の調査結果は「2020 年調査報告書」に比較データとして記載)
地球環境の変化を示す 9 項目:
1. 気候変動、2. 生物圏保全性(生物多様性)、3. 陸域系の変化(土地利用)
4. 生物化学フロー(環境汚染)、5. 水資源、6. 人口、7. 食糧、8. ライフスタイル、
9.社会、経済と環境、政策、施策
II-1 地球環境の変化を示す9項目の加重平均選択率
・危機時刻の記入にあたり念頭においた項目の選択率について、世界全体では、3 年続けて「気候変動」が 30%で最多を占め、次いで 14%の「生物圏保全性(生物多様性)」が続いている。(図 6)
II-2 危機時刻の順位
・危機時刻の順位については、一位は「生物圏保全性(生物多様性)」の 9 時 57 分で昨年と同じ
結果となった。しかし、2 位は昨年 3 位だった「気候変動」が 9 時 52 分となり、4 位だった「生
物化学フロー(環境汚染)」は、9 時 50 分で 3 位となっている。(図 6)
・昨年の「気候変動」の時刻は、9 時 44 分で、昨年の全項目の世界平均 9 時 46 分より 2 分早い
が、今年は 9 時 52 分と、今年の世界平均の 9 時 47 分より 5 分進み、「気候変動」への危機感が
増大している。(図 6)
III 環境問題への取り組みに対する改善の兆し―パリ協定、SDG採択(2015年)以前との比較
環境問題への取り組みに対する改善の兆しとして、(1)「一般の人々の意識」、(2)「政策・法制 度」、(3)「社会基盤(資金・人材・技術・設備)」の3つの観点から、脱炭素社会への転換と「地球環境の変化を示す項目」について問うた。
(「全く進んでいない」を「-2」、「どちらかと言えば進んでいない」を「-1」、「どちらかと言え ば進んでいる」を「+1」、「確実に進んでいる」を「+2」として数値化し平均値を出した)。
III-1 脱炭素社会への転換の進み具合
・3つの観点共に転換が「進んでいる」ととらえている人の割合が大きい。(図7)
・どの観点でも改善の兆しが見られるが、「政策、法制度」、「社会基盤」では、「一般の人々の意識」ほど転換が進んでいるとはいえない。(図7)
III-2 改善の兆しがある項目
・改善の兆しがある項目として最も多く選ばれたのは、「気候変動」(28%)で、ついで「ライフスタイル」「社会、経済と環境、政策、施策」が同じく 14%で続いている。(表2)
・「気候変動」について、回答者は政策、法制度や社会基盤よりも、一般の人々の意識(1.28) について改善の兆しを見出している。(表2)
・まったく改善の兆しは見られないという回答も 16%あった。(表2)
本調査は回答者から世界各国における環境問題の実情やご意見、改善策を記入して頂く自由記述欄を設けております。今年は海外 113 カ国、653 件、国内 282 件の合計 935 件のご意見を頂きました。自由記述は問3へのご
意見と共に 9 月 8 日午前 11 時より財団ウェブサイトに掲載致します。
● 危機意識が最も高いのは、10 時台を示す北米とオセアニア。逆に最も低いのは唯一 8 時台に留まるアフリカで、北米・オセアニアとの差は、ほぼ 2 時間。
● 環境危機時刻を世代別にみると、「60 代以上」の危機意識は他の世代より高い。
● 危機時刻を決める上で念頭に置いた項目は 2011 年以来一貫して「気候変動」が最多。
● 環境に対する危機感を時刻からみると、昨年と同様に「生物圏保全性」が最も高い。
● 脱炭素社会への転換について、転換は「進んでいる」ととらえている人が多い。
● 環境問題への取組みへの改善の兆しがある項目として「気候変動」が最も多く選ばれた。
I 環境危機時計®~人類存続の危機に対する認識
I-1 環境危機時計の時刻
・世界全体の平均危機時刻は、昨年より 1 分進んで 9 時 47 分。調査開始以来最も針が進んだ2018 年と同時刻。(図1)
・昨年の 9 時 46 分と併せて 3 年連続で高い危機意識を示し、1992 年の調査開始時の時刻より、約 2 時間針が進んでいる。(図1,2)
・調査した10 地域中、針が進んだ地域、後退した地域がそれぞれ5 地域と二分し、昨年より後退した地域が増えた。(昨年後退したのはアジアとアフリカの2 地域のみ)(図3)
・針が最も戻ったのは昨年と同様のアフリカで(8 時 59 分→8 時 34 分)、10 地域の中で唯一 8 時台に留まり、2010 年の調査時より時刻が約 2 時間戻った。
・昨年から最も針が進んだのは、東欧・旧ソ連で 17 分(9 時 13 分→9 時 30 分)、2018 年(8 時42 分)と比べると約 50 分進んでいる。
・調査開始以降の世界全体の危機時刻の推移では、1996 年以降、2000 年を除いて、常に 9 時台の「極めて不安」の領域を示している。(表1, 図4)
・日本は昨年から針が 7 分進んで 9 時 46 分となり、世界平均とほぼ同時刻を示している。日本は2008 年には世界平均より時刻が進んだこともあったが、2009 年以降、昨年まで世界平均より遅れ続け、11 年目の今年、世界平均と並んだ。(図4)
I-2 回答者の年代層による環境危機時刻の推移 (2011 年~2020 年)
・昨年度と今年の調査結果を比べると、時刻の変化は小さいが、これまでで最も高いレベルの危機時刻となっている。(図5)
・世代別調査を始めた 2011 年以降、2018 年を除き、「60 代以上」の危機感は常に高い。
・2012 年以降、全世代が「極めて不安」の時間帯を示している。(図5)
II 危機時刻記入にあたって念頭においた「地球環境の変化を示す項目」(世界)
本調査は、危機時刻を決める上で、次の「地球環境の変化を示す 9 項目」から、回答者が住む国または地域において最も深刻だと思われる環境問題を 1 位~3 位で選んでいただいた。
(2018 年、2019 年の調査結果は「2020 年調査報告書」に比較データとして記載)
地球環境の変化を示す 9 項目:
1. 気候変動、2. 生物圏保全性(生物多様性)、3. 陸域系の変化(土地利用)
4. 生物化学フロー(環境汚染)、5. 水資源、6. 人口、7. 食糧、8. ライフスタイル、
9.社会、経済と環境、政策、施策
II-1 地球環境の変化を示す9項目の加重平均選択率
・危機時刻の記入にあたり念頭においた項目の選択率について、世界全体では、3 年続けて「気候変動」が 30%で最多を占め、次いで 14%の「生物圏保全性(生物多様性)」が続いている。(図 6)
II-2 危機時刻の順位
・危機時刻の順位については、一位は「生物圏保全性(生物多様性)」の 9 時 57 分で昨年と同じ
結果となった。しかし、2 位は昨年 3 位だった「気候変動」が 9 時 52 分となり、4 位だった「生
物化学フロー(環境汚染)」は、9 時 50 分で 3 位となっている。(図 6)
・昨年の「気候変動」の時刻は、9 時 44 分で、昨年の全項目の世界平均 9 時 46 分より 2 分早い
が、今年は 9 時 52 分と、今年の世界平均の 9 時 47 分より 5 分進み、「気候変動」への危機感が
増大している。(図 6)
III 環境問題への取り組みに対する改善の兆し―パリ協定、SDG採択(2015年)以前との比較
環境問題への取り組みに対する改善の兆しとして、(1)「一般の人々の意識」、(2)「政策・法制 度」、(3)「社会基盤(資金・人材・技術・設備)」の3つの観点から、脱炭素社会への転換と「地球環境の変化を示す項目」について問うた。
(「全く進んでいない」を「-2」、「どちらかと言えば進んでいない」を「-1」、「どちらかと言え ば進んでいる」を「+1」、「確実に進んでいる」を「+2」として数値化し平均値を出した)。
III-1 脱炭素社会への転換の進み具合
・3つの観点共に転換が「進んでいる」ととらえている人の割合が大きい。(図7)
・どの観点でも改善の兆しが見られるが、「政策、法制度」、「社会基盤」では、「一般の人々の意識」ほど転換が進んでいるとはいえない。(図7)
III-2 改善の兆しがある項目
・改善の兆しがある項目として最も多く選ばれたのは、「気候変動」(28%)で、ついで「ライフスタイル」「社会、経済と環境、政策、施策」が同じく 14%で続いている。(表2)
・「気候変動」について、回答者は政策、法制度や社会基盤よりも、一般の人々の意識(1.28) について改善の兆しを見出している。(表2)
・まったく改善の兆しは見られないという回答も 16%あった。(表2)
本調査は回答者から世界各国における環境問題の実情やご意見、改善策を記入して頂く自由記述欄を設けております。今年は海外 113 カ国、653 件、国内 282 件の合計 935 件のご意見を頂きました。自由記述は問3へのご
意見と共に 9 月 8 日午前 11 時より財団ウェブサイトに掲載致します。
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