登壇者から事例を学ぶ、 離職率の低下・採用力の向上につながる働き方改革特別フォーラム「進めよう!中小企業の「働き方改革」~実例から学ぶ<成功の秘訣>とは?~
《イベントレポート》
厚生労働省は、『進めよう!中小企業の「働き方改革」 ~実例から学ぶ<成功の秘訣>とは?~』と題し、2019年9月3日に中小企業の経営者・人事総務担当者に向けた特別フォーラムをザ・グランドホール/品川にて開催いたしました。
- 基調講演「働きがいを高める組織風土改革」について
ひとりひとりが働き方を選べる制度と、柔軟な働き方を実現させるツール
従業員一人一人の個性が違うことを前提に、それぞれが望む働き方や報酬が実現されればよいという考えを持っている同社。100人いれば、100通りの人事制度があってよいというテーマで展開している『選択型人事制度』や『育自分休暇制度』等、様々なユニークな制度事例をご紹介いただきました。
風土づくりへのこだわりと心がけ
事業としてチームワークあふれる「社会」を創ることを掲げているからこそ、自分たちもチームワークあふれる会社であるよう風土づくりに力を入れていると語りました。その思いの下、「公明正大」を大事にしており、議事録は即時オープン・社員でも派遣でも、幹部会議に出たいと言ったら出られるようにしていることを紹介。また「説明責任・質問責任」の考え方を周知しており、気になることは必ず質問し、担当者はそれに対して説明をすることを徹底している等、様々な取り組みについてご紹介いただきました。
これらの取り組みにより、2005年には28%あった離職率は、現在5%を下回っており、会社の売上を上げていくために個人が犠牲になるという考え方ではなく、個人の幸福を追求すれば、チームの生産性と両立できることを語っていただきました。
- 企業プレゼンテーション①(三和建設株式会社代表取締役社長 森本 尚孝氏)
企業プレゼンテーションでは三和建設株式会社 代表取締役社長の森本 尚考(もりもと ひさのり)氏が登壇。
初めに、森本様は働き方改革を行う上で大切にしている経営理念「つくるひとをつくる」に関して、「会社の業績が悪い状態があり、会社の存続が最優先事項になった。そんなときにでも残ったのは”ひと” 。”ひと” のみが会社にとっての真の資産であることを定義し、この経営理念が生まれた」と語りました。
この経営理念は「働き方改革にもつながっている」とし、全ての取り組みをこの理念に一貫させた組織作りをしていると語りました。
具体的な施策として、社内日報システムや年2回、全社員が一堂に会する会議を開催していること、新入社員が1年間共同生活を行い、横のつながりと知を育み三和建設の永続を担う人財として成長することを目的とした教育寮の展開、社内大学の実施などを語っていただきました。
最後にはブランディング戦略への経営決断として、事業領域を絞り込んで経営資源を集中していることを語っていただきました。
- 企業プレゼンテーション②(株式会社オカモトヤ専務取締役 鈴木 美樹子氏)
続いて、株式会社オカモトヤの専務取締役である鈴木美樹子(すずき みきこ)氏が登壇。
オカモトヤでは、オフィス構築へ事業の軸足を移行することになったことから土日出社が増え、振替休日をどのように取得してもらうかという課題に直面したエピソードを語っていただき、働き方改革の背景には事業柱の変化・人材・地域開発を通して、どうしたら社員全員が楽しく働き続けることができるかを考えたと話し、自社の取り組みに関して紹介していただきました。
オフィス構築事業への移行に伴い、土日出社が増えたことに対して、社員から「休みづらいという声」があがったことから、管理職から強制的に5日間休む取組みを開始したことや残業の申請をルール化、セキュリティーやツールの活用も欠かせなかったと語りました。
また、個人面談を年4回実施しており、その面談を通して役員が次期方針を計画する会議に反映しているなど、社員の声を基にした組織作りに努めており、年に1回実施している社員に対して行ったアンケートでは自社の働き方改革に関する取り組みへの満足度、働き方改革に対する意識、自社に対する満足度は総じて高い数字になったことをご紹介いただきました。
そして、「Challenge the Future」をキャッチフレーズに掲げ、社員が振替休日100%消化に向けた評価制度の改定や時差出勤制度導入開始等、すべては働く社員のために更なる計画を進めていることに加えて、オフィス内に社員全員の3年後の目標を掲げており、「仕事・プライベート自分の3年後の希望通りになっている事は、会社の原動力に繋がる。」と会社が社員のプライベート充実も支援すべき理由を語りました。
最後に、「弊社の取り組みが、1億人総活躍社会の実現に向け、日本を支える中小企業が、働き方改革を進める事ができる一助となれれば幸いです。」と各企業へのメッセージを贈りました。
- パネルディスカッション「『働き方改革』中小企業における課題とソリューション」
働き方改革を進めるにあたってのポイント
森本氏は「まずトップの本気度が大事。経営理念をしっかり社員に明示し、それを理解してもらうことが大事。それには長い時間がかかるが、しっかり理解してもらえるまであきらめずに訴えかけることを心がけた。」とコメント。鈴木氏は、「自社も留守電にする時間を1時間早めるのに、およそ3年ほどかかった。これまでの慣習を変えるには大きなエネルギーが必要だが、諦めずに訴え、行動し続けることが大事。」とコメントしました。
働き方改革による効果と、その効果が会社経営への影響
合志氏は「中小企業の場合は、経営層と従業員の距離が大企業に比べて比較的近く、個人の意向を反映した就業規則をつくることが可能だと考える。そうしたことから、信頼関係を構築することが大切。」と語りました。
また、森本氏は「社員の満足度が採用にもつながっている。社員のリアルな声で自社の評判を発信してもらうことで自社に対する良い印象や興味を抱いていただける人が増えていると考える。」とコメントしました。
一方、鈴木氏は「働き方改革の先に、その社員の家族にもつながっていると感じる。働き方改革を通じて、家族やプライベートを大事にしていくことはとても大事。」と語っていただきました。
最後に、豊田氏から「多様性の尊重・らしさの尊重をすることで、働き方改革を実践していってほしい。」と本会の総括として締めくくりました。
- 実施概要
主 催:厚生労働省
日 時:2019年9月3日(火) 14:00~16:00
会 場:ザ・グランドホール/品川
- ゲストプロフィール
サイボウズ株式会社
チームワーク総研 シニアコンサルタント 松川 隆
慶應義塾大学法学部卒業後、1996年日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。為替ディーラー、金融法人営業を経験し、広告代理店に勤務した後、テニススクール事業を立ち上げ独立。2012年サイボウズに入社。体育会出身者ならではの"熱い"研修や講演が持ち味。サイボウズでは人事のマネージャーを務め、採用・育成・研修・制度づくりなど、サイボウズの「人事」を探求し続けている。
<企業プレゼンテーション>
三和建設株式会社
代表取締役社長 森本 尚孝
大阪大学工学部建築工学科卒業。一級建築士。大手ゼネコン勤務を経て、2001年に三和建設株式会社入社。08年に4代目社長に就任。サントリー山崎蒸溜所をはじめ、食品業界向けの建築物に定評がある。Great Place to Work Institute Japanによる「働きがいのある会社ランキング」に2015年より5年連続ベストカンパニー入り。著書に「人に困らない経営」(あさ出版)などがある。
株式会社オカモトヤ
専務取締役 鈴木 美樹子
成蹊大学経済学部経済学科卒業。株式会社エドウインで営業・企画営業・ブランド立ち上げなどを経験。2006年、株式会社オカモトヤ入社。1級建築施工管理技士・認定ファシリティーマネージャーを取得。常務取締役・営業本部長を経て14年に専務取締役就任。3歳・5歳の2女の母。子育てに時間を置きながら営業・業務・管理経営全般の業務を行っている。
<モデレーター>
「月刊総務」
編集長 豊田 健一
早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルート、株式会社魚力で総務課長などを経験後、ウィズワークス株式会社。現在、株式会社月刊総務 取締役、『月刊総務』編集長。一般社団法人ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアムの理事や、総務育成大学校の主席講師、All Aboutの「総務人事、社内コミュニケーション・ガイド」も務める。
<パネリスト>
アデコ株式会社 首都圏西事業本部
第2営業部 ソリューションセールス課 合志 健
2018年から官公庁プロジェクトに特化したソリューションセールス課に配属。 複数の公共事業責任者を経て、2019年4月より厚生労働省 東京労働局が委託する 「中小企業・小規模事業者に対する働き方改革推進支援事業」の東京働き方改革推進支援センター長に従事。 東京働き方改革推進支援センター長として、日々、商工団体等やセミナーへ出向き、 中小企業に対してセンターの支援内容の周知を行っている。
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザーログイン既に登録済みの方はこちら
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像