デザイン思考が高校教育を変える──hyphenateと富山商業高校の挑戦が、入学志願者数2年連続定員超えという成果に。
デザインファームのhyphenate株式会社(読み:ハイフネイト、本社:東京都千代田区)は、2021年より富山県立富山商業高等学校(以下、富商)とともに、デザイン思考を取り入れた教育プログラムを設計・実践しています。
生徒が自ら問いを立て、考え、形にしていく——そんな学びへの大胆な転換が、今、確かな成果を生んでいます。富商では、2024年度は入学志願倍率県下1位、2025年度は2位と2年連続で定員を超過。学校の魅力と学びの質の両面を押し上げ、地域内外から高く評価されています。
hyphenateは、制服という身近でリアルなテーマを起点にしたプログラムを設計し、生徒自身が学校のルールや価値観に疑問を持ち、実際に変えるアクションへとつなげていきました。「問いを立てる力」「見直す力」「創造する力」といった、これからの時代に不可欠な思考スキルを実践を通して育む。受動的な学びから抜け出し、生徒自身が学びの主役となる——この教育のアップデートが、地方の公立高校を面白くしています。

プレスリリース本文:https://www.hyphenate.jp/news/20250617-01
“正解探し”をやめたとき、生徒が動き出す。─ デザイン思考がひらく、新しい授業のかたち
富商が抱えていた課題は、進路の多様化に対応しきれないカリキュラムと、生徒の受け身な学習姿勢でした。hyphenateが提供するデザイン思考プログラムは、これらの課題に対し、具体的なアプローチで解決策を提示しました。それが、学生服です。従来の講義形式だったデザイン思考の授業は、“リアルな問い”からはじまる実践型プログラムへと変更しました。
「これはテストに出る?」ではなく、「自分が着たい制服って、どんなのだろう?」——そんな問いから始まる授業には、熱が生まれます。生徒たちは、自ら問いを立て、インタビューで情報を集め、試作をつくり、フィードバックをもとに改良する……。まさに、デザイン思考のプロセスそのものを、制服というテーマを通じて実践していきました。
自分が感じる違和感に向き合い、アイデアをかたちにし、社会に提案していく。このプロセスこそが、生徒の学びを「自分ごと」に変えていったのです。そして、この変革を力強く後押ししたのは、先生たちのたゆまぬ探求心と、デザイン思考への深い関心でした。
教科書では教えきれないリアルな学び
―制服のプロトタイプに、安全ピンが大活躍!「まずやってみる」から始まる本質的な気づき
デザイン思考の基本プロセスは、通常、インタビューや分析、インサイト発掘から始まります。しかし、富商の授業では、あえて「まずやってみる」プロトタイピングから実践しました。ファッションデザイナーも参加し、アイデアスケッチから、自分たちの体型に合わせた丈の調整まで。安全ピンで仮止めして、自分で“理想のシルエット”を探るというダーティープロトタイプを繰り返し実施。憧れの他校の制服に対し、これまではいわゆる表層的な可愛さで捉えていた生徒たちも、自校の「制服がダサい」という表面的な意見から「体系に合った制服(今の)にするだけで、見違えるほど着こなせる」という制服が持つ根本的な課題に気づいたのです。——試して、直して、また議論する。この繰り返しこそが、まさにデザイン思考。制服は、生徒にとって学びの“素材”として最高の教材となりました。
―商業実践イベント「TOMI SHOP」でファッションショー!
富商の生徒たちが仕入れから販売までを一貫して行う商業実践イベント「TOMI SHOP」では、生徒たちが自分たちで考えた新しい制服案をステージでお披露目。もちろん、台本も演出もすべて生徒の手でつくりました。また、オープンハイスクールでは中学生も巻き込み、新制服デザインへの投票やインタビューも実施。自分たちのアウトプットが“社会に触れる”経験は、彼らにとってもはじめての体験。「制服を通して、こんなに話せるんだ」——そんな驚きが、教室を越えて広がっていきました。
―「学校のルール」も思考の対象に
デザイン思考は、単なる見た目のデザインに留まりません。「制服のルールは30年前のまま」「“ひざ下丈”は不良っぽく見えないための措置だった」という「校則」の背景まで掘り下げ、「学校のルール」そのものをデザイン思考の対象としました。生徒と教員が対話し、協働することで、制服の自由化やジェンダーニュートラル対応といった、生徒たちのニーズに合わせたルールへのアップデートを実現。生徒が自らの学校環境をより良くしていくプロセスを通じて、行動変容を促しました。

段階的な導入と実践

2021年度 |
デザイン思考の基礎を導入し、生徒たちの新たな学びへの興味を喚起 |
2022年度 |
「制服刷新」をテーマに本格始動 |
2023年度 |
制服リニューアルの実例からデザイン思考の活用法を深掘り |
2024年度 |
「理想の会社」をテーマに、問いを立て、仮説検証する力を養成 |
2025年 |
富山県下の産物を使った鍋のスープ販売プロジェクトを開始 |
現在、生徒の問いに応えるカリキュラムは、もっと社会とつながる学びへと進化をしています。
2年連続の定員超えが示す、デザイン思考教育の確かな効果
これまで定員割れに悩んでいた富商。しかし、デザイン思考を取り入れた教育プログラムは、富商の魅力と教育力を飛躍的に向上させました。その結果、2024年度には県下トップの入学志願倍率で定員を上回り、さらに2025年度も県下2位という、競争の激しい環境下において際立った成果を収めています。これは、デザイン思考が、生徒の学習意欲を刺激し、学校全体の教育プログラムを革新したことを明確に示しています。生徒が自ら課題を捉え、解決に挑む「自分ごと化」された学びこそが、この確かな効果をもたらしたのです。

2025年度:https://www.pref.toyama.jp/documents/41799/070225.pdf
2024年度:https://www.pref.toyama.jp/documents/34772/060227.pdf
(富山県教育委員会webサイトより引用)
デザイン×教育が拓く、未来の学び
デザインは、見た目や表層的な部分だけでなく、物事の本質を理解し、より良い未来を創造するための強力なアプローチです。富商の生徒たちは、この教育プログラムの意味を深く理解し、授業に力強く臨んでくれています。生徒が自ら課題を捉え、解決に挑む「自分ごと化」された学びこそが、この確かな効果をもたらしました。
hyphenateは今後も、富商の生徒、教員、そして学校全体、ほかの学校や地域社会とも手を取りながら、デザイン思考に出会える場を広げていきます。「問いを立てる」「見直す」「創造する」——この3つの力が育てば、どんな未来も自分たちでデザインできる。
社会の変化に流されるのではなく、自らの手で流れをつくる人を、これからの教育で増やしていきたい。
デザイン×教育が交差する場所から、もっと面白い未来が、きっと生まれます。
富山商業高等学校 安田隆先生からのコメント
富商は、「自ら社会の課題を発見し、周囲のリソースや環境の制限を超えて行動を起こし、新たな価値を生み出すアントレプレナーシップ(起業家精神)を持ったチェンジメーカーの育成」を目指しています。ビジネスは、お客様の心に響くサービスで喜んでいただくこと。そのために「何をすべきか」だけでなく「なぜ取り組むべきか」という問いを立て、創造的に考える力が不可欠です。自分が「どうありたいか」のビジョンを持ち、多様な人々と協力しながら、前例のない挑戦に自らステップを創る。
hyphenateと共に行うこのデザイン思考教育プログラムは、まさに未来を切り拓く人材育成に大きく貢献していると実感しています。生徒たちの主体的な学びと成長は目覚ましく、このプロジェクトが着実に進化を遂げていることを確信しています。
会社概要

商号 |
hyphenate(ハイフネイト)株式会社 |
事業内容 |
ブランド戦略、新商品およびサービスの企画・コンセプト開発、 |
設立日 |
2006年2月14日 |
本社所在地 |
東京都千代田区神田小川町3丁目26番8号 |
代表者 |
代表取締役CEO 浅沼吾郎 |
「hyphenate」は「ハイフンで文字や単語をつなぐ」という意味の英語の動詞です。私たちのデザインの仕事は、点を⾒つけ、新たな意味を⽣み出すプロセスから始まります。離れていた点と点がつながれば線になり、ラインを描くことで創造へとつながります。私たちは、お客様の問いに対して「最高の解につながる」ご提案ができる会社であること、ひいてはお客様の理想の世界へとつなぐ会社でありたいという思いを託しています。

hyphenate株式会社
hyphenate株式会社は、プロダクト・UI・サービスデザイン、ブランディング、組織ビジョン・人づくりのデザイン、事業計画に至るまで、デザインを介した幅広いサービスを提供しています。お客さまの組織や個人の知見、専門性を最大限に活かす共創の場をつくり、一人ひとりのクリエイティビティを解放し、これまでにない価値の創出と具現化を図る共創型デザインファームです。
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