東京大学、奈良県立医科大学、株式会社リンクバイオが、助成金採択により新たな血栓症治療薬の非臨床ステージに挑戦
助成金の目的と重要性
抗凝固薬は、血栓症の治療や予防において非常に重要な役割を果たしています。感染症・癌・手術といった様々な病態や、妊娠・出産などのイベントで血栓症のリスクは高まりますが、既存の抗凝固薬は出血リスク、自己抗体の発生に由来する血栓症のリスク、妊娠中の女性への使用制限などの課題があるため、あらゆる病態下で汎用的かつ安全に使用できる効果的な新しい治療法の開発が急務となっています。核酸アプタマーの創薬向け研究で世界をリードする東京大学、血栓止血疾患領域でグローバルな先端知見を有する奈良医大、そして核酸アプタマー獲得基盤技術により革新的医薬品創出を目指すリンクバイオが連携して開発を目指す新しい抗凝固薬は、出血のリスクを最小限に抑えながら高い治療効果を発揮する天然型核酸医薬です。本プロジェクトが成功すれば、血栓症治療における新たな標準治療薬となり得る可能性があり、世界中の患者さんにとって大きな福音となることが期待できます。
日本の核酸医薬研究が世界で注目
東京大学の吉本敬太郎准教授は、「化学修飾を施さない天然型の核酸アプタマーは、製造面と毒性リスクの面で大きなアドバンテージがあり、二重特異性化により薬剤としての性能を大きく引き上げることに成功した。」と述べています。また奈良医大の坂田飛鳥助教は、「使用しやすい中和薬の存在により、高い治療効果を保持しつつ安全性を担保でき、既存抗凝固薬では救うことが出来なかった、大切な患者様の命を救うことができる可能性がある。」と述べています。今回のプロジェクトが成功すれば、世界初の二重特異性(バイスペシフィック)アプタマー薬の上市に近づき、血液凝固疾患分野だけでなく核酸医薬分野にも大きなインパクトを与えます。本プロジェクトに関連する論文発表や取り組みは、東京大学のプレスリリース(注釈2) だけでなく、米国科学振興協会のEurekAlert! (注釈3) や Drug Discovery News (注釈4)、にも取り上げられ、海外でも注目を集めています。
リンクバイオの挑戦
リンクバイオは、東京大学との共同特許技術である核酸アプタマー獲得基盤技術「MACE®-SELEX」を活用し、革新的な医療ソリューションを提供するスタートアップ企業です。リンクバイオの稲見有希代表取締役は、「この度の助成金採択は、我々の研究開発の方向性が正しいことを証明しているとともに、世界に誇れる新しい核酸医薬を生み出すための大きな一歩です。今後も患者さんのために最善の治療法を提供するべく努力してまいります。」と述べています。リンクバイオは、革新的な医療技術の開発を通じて、人々の健康と生活の質の向上に貢献していきます。今後の研究進展にご期待ください。
会社概要
株式会社リンクバイオ
代表取締役:稲見有希
所在地:茨城県取手市寺田5270
事業内容:核酸アプタマー獲得基盤技術MACE®-SELEXを活用した医薬品・診断薬・再生医療用試薬などの開発およびその支援
本件に関するお問い合わせ先
メールアドレス:office@linkbio.co.jp
注釈(参照Webサイト・記事)
1) 令和6年度 「難治性疾患実用化研究事業」の採択課題(1次公募)について
https://www.amed.go.jp/koubo/11/02/1102C_00081.html
2) 東京大学 PRESS RELEASES:二重特異性導入による天然型核酸アプタマーの飛躍的進化 ―高い薬効と安全性を兼ね備えた新しい血栓症治療薬として期待―
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/press/z0109_00090.html
3) EurekAlert!: A new DNA drug to fight blood clots
https://www.eurekalert.org/news-releases/999069
4) Drug Discovery News:Synthetic DNA provides a safer blood clot treatment
https://www.drugdiscoverynews.com/synthetic-dna-provides-a-safer-blood-clot-treatment-15938
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