電池向けの次世代カーボン素材を開発する東北大発3DC、プレシリーズAファーストクローズで2.5億円を調達　累計調達額は6.8億円に

～リチウムイオン電池の性能・寿命を向上させるべく、GMSの製造体制構築に力を入れる～

株式会社3DC

2024年1月23日 10時01分

電池の進化を加速させる革新的カーボン新素材の開発・製造販売を行う株式会社3DC（本社：宮城県仙台市、代表取締役CEO：黒田拓馬　代表取締役CSO：西原洋知、以下「3DC」）は、2024年1月、ANRI株式会社（本社：東京都港区、代表パートナー：佐俣アンリ）、森松インターナショナルホールディングス（02155.HK）の日本法人である森松T&S株式会社（本社：岐阜県本巣市、代表取締役社長：川島宏貴）を引受先とする第三者割当増資により、プレシリーズAファーストクローズにおいて2.5億円の資金調達を実施しました。これにより、3DCの累計調達額は6.8億円に到達しました。

今回調達した資金により、次世代カーボン素材「グラフェンメソスポンジ（GMS）」の製造体制の構築を進め、既存リチウムイオン電池の性能および寿命向上を目指します。

■3DCについて

3DCは、脱炭素社会で必須となるリチウムイオン電池や次世代電池、キャパシタ、燃料電池などの蓄電・発電デバイスに向けたカーボン新素材「グラフェンメソスポンジ（GMS）」を開発する東北大学発のベンチャー企業です。

GMSは、炭素1原子分の厚みでスポンジのような三次元構造を備えた、まさに「三次元型のグラフェン」素材。最も注目すべきはその柔軟性で、まるでゴムのように弾性変形します。このような「変形する炭素材料」を開発しているのは、世界でも3DCだけです。また、GMSは優れた多孔性、導電性、耐食性も有しており、炭素材料の壁と言われる「寿命と性能のトレードオフ問題」を解決し得る革新的な材料として全世界から注目されています。

3DCのCSO（Chief Science Officer）を務める東北大学材料科学高等研究所（所長：折茂慎一教授）の西原教授は、約15年にわたるカーボン素材研究の結果、2016年にGMSを生み出しました。西原教授はカーボン研究のグローバルリーダーで、2020年にはAsian Scientist Magazineの「2020年アジアの科学者100人」にも選出されています。

3DCは現在、2024年以降の本格的な市場参入に向け、国内外の電池・電池材料・キャパシタ・自動車メーカーなどと協力してGMSの導入実証を進めているところです。リチウムイオン電池向けを始めとして既存競合製品よりも優位なデータを出せており、電池メーカーなどから積極的な引き合いをいただいております。

将来的には、電気エネルギーを蓄積・使用するあらゆる場面でGMSが使用される社会を実現するのが目標です。

■資金調達の目的

3DCは過去にシードラウンドでの第三者割当増資および金融機関からの融資等により累計4.3億円の資金調達を実施し、GMSの研究開発を進めてきました。その結果、リチウムイオン電池向けを始めとした複数用途でのGMS開発に見込みがついたため、その本格的な製造体制を構築すべく、今回新たに資金調達を実施しました。

GMSを量産してリチウムイオン電池に組み込めば、その性能および寿命を大幅に向上させられることがデータで示されております。3DCはGMSによってリチウムイオン電池の能力を根本から底上げし、脱炭素社会に大きく貢献する電池を生み出します。

■投資家からのコメント

＜ANRI株式会社　Principal　元島勇太氏＞
実用化される電池のほぼ全てに使用されている、炭素材料。3DCのGMSは、これら既存の炭素材料を大きく進化させます。今後ますます電化が進む世界の基盤を支える企業として、3DCは世界中から必要とされ、グローバルに活躍していくことでしょう。世界中のあらゆる機器にGMSが入ると世界はちょっとだけよくなると信じています！東北発の黒い粉が世界を変えます！やっていきましょう！

<森松T&S株式会社　常務執行役員　片岡光宗氏>

3DC社が手掛けるカーボン新素材「GMS」は、東北大学から創造された可逆的かつ反復的な膨張・収縮が可能な唯一のカーボン材で、リチウムイオン電池の進化を加速するこれまでに無い画期的な材料です。リチウムイオン電池用負極材の出発原料として、負極材メーカーから「早期に量産供給体制を！」と強く求められており、期待の大きさとポテンシャルの高さを強く感じています。今回、弊社がグローバルプラントエンジニアリング企業として、GMSに携われる機会を得た事に興奮しています。

■3DC代表取締役CEO　黒田拓馬　コメント

社内外の素晴らしい皆様のご協力のもと、創業から二年で事業を量産化段階に進められることに心から感謝しております。リチウムイオン電池材料という市場は、性能・規模・品質・コスト全てにおいて高い要求が求められる難しい市場です。しかし、カーボンニュートラルな社会の構築に不可欠な社会的意義の大きい市場でもあります。ステークホルダーの皆様と共に、この難しくも重要な市場において事業を成立させ、社会に貢献していきます。