水素エンジン開発の i Labo、東海旅客鉄道株式会社(JR東海)とのハイブリッド用水素エンジンの開発で合意
東海旅客鉄道株式会社(JR東海)とのハイブリッド用水素エンジンの開発について
■開発の背景
i Laboは、半世紀にわたる水素エンジン研究の実績をもとに、部品交換、制御変更等により既存のディーゼルエンジンを、水素を燃料として運転可能なエンジンに置換する「水素化コンバージョン」普及促進の為、i Labo山梨R&Dセンターの水素専用エンジンベンチにて水素エンジンの開発を行っております。この技術は、鉄道車両、トラック、バス、その他輸送機器、重機等の産業機械、発電機、船舶など大出力を必要とする用途に最適です。
JR東海は、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取組みの一環として、軽油を燃料とするディ ーゼル鉄道車両から排出されるCO2を実質ゼロにする手段のひとつとして、水素を燃料とした「水素動力車両」の開発に取り組んでいます。JR東海が運行する非電化路線は、山間部が多く、勾配が連続するため、高出力かつ高効率なシステムが求められています。
これらの背景から、i Laboが有する水素エンジン技術とJR東海が有するハイブリッド鉄道車両の技術を組み合わせることで、高い出力とエネルギー効率を有する鉄道車両向けの新しい非化石燃料パワートレーン開発を目指すこととしました。
■水素エンジンの特徴
水素と酸素を燃焼して動力に変換する水素エンジンは、運転時にCO2を排出せず、エネルギー密度が高い水素による長距離走行を可能にするパワートレーンとして有力な選択肢です。水素エンジンは、塵埃、塩害等の過酷な環境での長期利用に対応する耐久性と、高い出力、高負荷域での高いエネルギー効率を備えており、このような条件が求められる商用車両、産業機械で特に威力を発揮します。また、高品位水素(Grade-D水素)を必要とせず、低コストの副生水素等の活用により、水素コストそのものの低減を可能にします。
このように、水素エンジンは非化石燃料パワートレーンとして多くの優位性を有しており、水素エンジンの搭載が拡大することで、水素需要拡大や水素インフラ整備等を後押しし、脱炭素社会実現に向けた正の循環を生み出すことが期待できます。
■今後の展望
水素エンジンはハイブリッドシステムと組み合わせることで、ハイブリッド駆動システム全体としての過渡特性、効率が高まり、更なる環境優位性を実現できます。i Laboではハイブリッドシステム向けの水素エンジン制御器を開発し、今後JR東海で計画している模擬走行試験において性能を検証します。
本開発を通じて、脱炭素社会の早期実現に向けて、鉄道をはじめとした水素エンジンの事業機会の拡大と、世界に誇る日本のエンジン技術を活用することで、産業競争力の維持・拡大への貢献を進めて参ります。
i Labo水素エンジン外観
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